機動戦士ガンダムDN   作:藤和木 士

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どうも、ちょっと今日はまともな返しが出来そうにないです。とりあえずEPISODE89と90の公開です。

レイ「鬱モードで投稿するの初めてかなぁ」

ジャンヌ「…今日は、いえ、しばらくは私は許しますよ。最低限話していただければ」

ごめんなさいです、皆様。それではどうぞ。


EPISODE89 戦う理由3

 

 

 目まぐるしく事態が変わった一夜が明け、決戦の日となった。東日本連合軍の面々は非常にハードなスケジュールをこなすこととなった。急遽決まったシュバルトゼロとヴァイスインフィニットの決闘の為、手の止まっていた作業を再開。一日ですべてのMS修復作業を完遂させたのだ。

 それだけにとどまらず、各勢力で投入しようとしていた新型MS、新武装の調整も急ピッチで仕上げられた。その調整はHOWも例外ではなく、相模宗司、入嶋千恵里、大和進の新型MSの調整作業はほぼ徹夜で進められた。

 その作業に無論彼らも付き合い、仮眠を取りながらもその行程は何とか完了を見た。新型機「ガンダムDNⅡレーバテイン」「ガンダムDNアルヴⅡ」「オースデスティニーガンダム」の3機は無事作戦前にロールアウトされたのだった。

 その3機がきっと黒和元の力になる。関わった者達とパイロット達は確信していた。しかし不安がないわけではない。

 なぜならこの3機が、改修、修復された機体達が活躍するのは、シュバルトゼロが勝利した後にしかないのだから。すべては、シュバルトゼロが勝つかに掛かっている。勝たねば意味がない。それでも彼らは無理を押して仕上げた。その時の為だけに。勝つと、信じていた。

 すべては、その時の為に。

 

 

 

 

 約束の時まで1時間を切った頃、準備を整えていた宗司達の下に元がやってきていた。

 元隊長は徹夜明けの宗司達を労う。

 

「すまないな。急な日程で」

 

「大変でしたけど……これも俺達がグズグズしてたからと思えば、自業自得ですよ」

 

「そうですよ。隊長こそ、ジャンヌさんのいない状態でのシュバルトゼロのシミュレーションやっていらっしゃるみたいですし」

 

 謝る元隊長に対し、入嶋と共にそう言って見せる。眠気はないわけではなさそうだが、徐々に覚醒しつつはある。ドリンクなどを飲めば耐えられそうだ。

 MSの方も頭に入っている。これまでとはやや勝手の異なる機体ではあったが、基本となる部分は同じ。後は武器の使いどころさえ誤らなければ大丈夫だろう。

 入嶋の方も苦戦していたものの問題はないと思う。もっとも入嶋のアルヴⅡは新型素体のレーバテインと違って旧来のガンダムDNをベースにしているため、操縦系統の意味では複雑ではないだろうが。それでも扱いの難しい兵装が多くなったらしい。

 ここまで言ったとはいえこのハードなスケジュールに文句がないわけではない。そしてそれは、もう一人の新型受領者の口から告げられる。

 

「俺は文句がないわけじゃない。いくらサボってたとはいえ、俺の機体の方は普通一日じゃ無理だろこれ……!」

 

「あはは……見てたけど私じゃ無理だったね。進さんのコーディネイティア能力があればこそ、一日で分かったくらいだと思う」

 

「一日読み込んでもこれが正しいかどうか分かんねーよ、ったく」

 

 進はフォローしたクルーシアにも文句を言う。進の新型機はオースから提供されたプランに則り開発された。オースで作ってからこちらにロールアウトするのでもよかった、むしろ最初はその方向でオースがお願いしていたらしいのだが、HOW側が運用を管理する都合で最初からこちらでパーツを作った方が修復に時間がかからないとなって開発が委任されたらしい。

 そのオース側が成長した進のパイロット、戦闘データを基に開発したオースインパルスの後継機と謳っているオースデスティニーガンダムは控えめに言っても通常戦闘能力でもレーバテインと互角以上。流石、オースのメカニズム。そのせいか、進も癖を掴むのに苦労したわけだが。

 そして苦労したのは進だけではない。ガンダムDNⅡレーバテインを共に調整したエターナも疲れに目をこすらせていた。

 

「そーよ……私だって、いつもなら寝てた時間に起きてエンゲージシステムの調整やったんだから……ふぁう」

 

「エターナ、大丈夫か」

 

「大丈夫……仮眠取ったし、まだ寝ない」

 

 眠りこけそうになるエターナの肩をそっと支える。

 エターナもずっと新造されたガンダムDNⅡレーバテインのエンゲージシステム調整に駆り出されていた。負担の少ない電子空間での作業とはいえ、疲れは溜まり、途中で寝てしまうほどであった。

 それでも戦闘を完璧に出来るほどに調整を行ってくれて、なおかつこちらのシミュレーションにも付き合ってくれた。エンゲージシステムの主調整が出来るのはパートナーのみであり、おそらくレーバテインが無事ロールアウトできたのは彼女のおかげだった。

 そんな進とエターナに対して、仕上げてくれたことに頭を下げる元隊長。感謝を述べる。

 

「ありがとう。そこまで手間を一日で掛けさせてしまって」

 

「あ、頭下げんなよ!まだこれからだろ」

 

「そうね……これで負けたら、一生恨む、から」

 

 二人から感謝はまだだと言って逆に元へエールを送った。そう、まだこれからが問題なのだ。

 一方それを見て呉川小隊長はこの作戦における心配、不満を口にする。

 

「彼らが受け入れているからいいものの、いたずらに負担を掛けることは賛成ではありません。もしそれで彼らが死ぬようなことがあれば……」

 

「おいおい呉川……そんなこと今言わなくても」

 

「今だからこそだ、黙っていろ、クルツ」

 

 無茶をして死んだら、という不安になることを口にする呉川。確かに、疲れは溜まっている。油断、あるいは注意散漫で落とされる可能性だってある。心配されて当然だろう。

 そこまで心配してくれる呉川小隊長の言葉を無下には出来ない。呉川小隊長は元隊長に問い詰める。

 

「それについては、どうお考えで?」

 

「手厳しいな。いつもより。昔と同じか」

 

「私は何も変わっていません。どうなのですか」

 

「そうだな……」

 

 きつい視線を向けられて目を逸らす元隊長。呉川小隊長に圧される、というより呉川小隊長が誰かを気圧す滅多に見ない光景に唾をのむ。

 しかし思案の後元隊長は困ったような声で答えた。

 

「それに関しては、既に最初に入るときに問うているさ。覚悟はあるか、と」

 

「それは、戦う覚悟という意味だ。無茶をしろということを覚悟しろと言っているのでは……」

 

「それも普通は含んでいる。人を護る仕事なんだ。福利厚生をちゃんとしていても、護れないことだってある。ベストを尽くすためのものだと、分かっているんじゃないのか」

 

 HOWの仕事へと関わる際、元隊長は確かに言った。その覚悟はきっとこういうことを意味していることもなんとなくだが感じていた。それを今さらながら責任を問う呉川小隊長の言い分は、的外れとも言えた。

 もちろん、心配してくれるのは嬉しい。だがそれで隊長を困らせるのは違う。それをクルツも分かって会話にダメ出しした。

 

「呉川、もう諦めとけ。ソージ達だって、それ分かってて入ってるんだ。俺達と同じだ。今さらだろ」

 

 ドライな意見であるものの概ね宗司が言いたいことを言ってくれる。それに対し納得のいかない様子の呉川小隊長であったが、ふとこちらを見やってため息を吐く。

 

「……戦うことに異論はない。だが、俺はそうやって人がすりつぶされていくのを見たくないだけだ。立場がある者が、ない者を蹂躙する姿をな」

 

 呟く呉川小隊長の顔は険しい。何かを思い出し、嫌悪するような顔を見せる。背を向けると負け惜しみの如く最後に告げていく。

 

「そこまで言うのなら俺はただ任務を遂行するだけだ。俺が、お前達を死なせない。行くべき場所へと連れていく」

 

 言って先に行ってしまう。その背に呉川小隊長の辛い経験を持っている事を感じ取る。その背を見ながら、クルツがふと呉川小隊長の過去について触れる。

 

「そういや俺、あいつの昔の事なんも知らねぇな」

 

「そうなんです?」

 

「あぁ。部隊を転々としていたのは分かってるけど、入る前とかは全く話さないんだよなぁ」

 

 意外と謎が多いのかもしれない。それは元隊長も同じだった。

 

「うちの調査部も彼の経歴を調べたが、実はまだはっきりしていないことがある。あいつは捨て子だったらしいが、親とかを特定できていない」

 

「そうなんですか……」

 

「あぁ。その件で、何かあったのかもしれないな。成長してからの何かが。いずれにせよ、今それを解す暇はない。戦ってくれるだけありがたい」

 

 どうにかしたい気持ちを持ち合わせながらも、元隊長は進む達に言われたように今へと目を向ける。

 隊長はふと、昨日の話題と共に言った。

 

「昨日も言ったが、お前達は、俺のようにはなるなよ」

 

「それ、気になってました。どういうことです」

 

 入嶋がその意図について尋ねる。すると元隊長はこう言った。

 

「今の俺は、他の誰かを巻き込まないように生きている。作戦では必要な時は力を借りているが、それでも、あいつの力を借りることだけは、今もずっと納得できなかった」

 

 あいつ、という単語だけで誰の事を指しているのか分かる。納得できなかったのも、きっと戦わせることに対してだ。

 

「…………っ」

 

 それを聞いて少しだけエターナが曇った表情をする。他には気づかれない程に小さな反応だったが、宗司は気づいていた。元隊長はそれを知ってか知らずか話を進める。

 

「だからあいつらを救えた時、俺は言うつもりだ。もうこの戦いから降りろと。それが間違いなことなんて分かってる。だけど、俺にはその資格はない」

 

「資格がないなんて……それでもジャンヌ副隊長さんは」

 

「分かってるさ。だから、言うんだ」

 

 クルーシアからのそれでもという言葉を打ち消した元隊長。その声に悲しみを漂わせて。クルーシアは持ち合わせた第六感で感じ取り、口を噤む。

 それを見て申し訳ない表情をすると元隊長は自分達にはそうなってほしくないと語る。

 

「お前達には、こんな大人になってほしくはない。こんな、無責任な大人には。そうなってもらわないために、俺は戦う。ダメな大人が前に出て、犠牲にならないとな」

 

「犠牲って、そんなこと!」

 

 進が言の一番に反応し怒る。昨日言った事を覆す発言に対して怒ったのだ。しかし当然元隊長も分かっており、勿論と答える。

 

「死ぬつもりはないさ。ただ俺は、国の平和の為に、身をすりつぶす。それだけだ」

 

「国の、ため……」

 

 その言葉に恐怖を覚える。いつかは自分もそうなるのだろうか。国の為に自分の未来すらも捧げて。

 そんな考えをしていると、元隊長は宗司達がそうはならないと言って見せる。

 

「お前達はそうならないさ。そうはさせない。苦しむのは俺達上の世代だけだ」

 

「あ……いえ」

 

「そんなの……」

 

 宗司と入嶋は思い悩む。任せてしまうことの申し訳なさと、受け継がねばならないという焦燥感に駆られる。クルーシアもそんな二人を見て同じ気持ちを表情に表している。

 対して、軍人思考の進とクルツはため息と共にまっぴらごめんだと語った。

 

「はっ、そんな積み重ね、ごめんだっての」

 

「俺らはそんなの嫌ですよ。まぁでも、戦いは終わらねぇのは事実ですけどね。必然的に、責任背負っていかなきゃいけない。面倒くさいなぁこの仕事」

 

 ドライな考え方で宗司達よりは現実を受け入れている。だがそれでも嫌なものは嫌とはっきり言えている。正直言ってそんな思考が羨ましかった。

 そんな中、エターナだけは元の方を真っ直ぐ見やる。その視線に気づき、元隊長が尋ねた。

 

「どうした、エターナ」

 

「っ」

 

 尋ねた元隊長。エターナは目を逸らす。やはりその発言に納得がいかないのか。今更降りるなんて言われてもおかしくなく、またそれを止めるにもどうやって言えばいいのか分からない。

 だがエターナは自らその口を開いてみせた。元隊長に意見する。

 

「……姉様は、きっと犠牲なんて認めない。あんたが、そうなるっていうのなら、きっと姉様もそれを望む。一緒でありたいって思う」

 

「そうだろうな。だけどそれはもう届かないこと。それに、最初は君が望んだことだから」

 

 君が最初に望んだこと。エターナは決して元隊長とジャンヌ副隊長の仲を認めていなかった訳ではない。だがあまりにも未熟だった精神が、急激な変化に着いて行けずに発した言葉だった。

 そんな我儘な言葉にも元隊長は今も護り続けている。立場が弱いものに寄り添う姿勢。それは優しさとも呼べるのかもしれない。

 だが、今の彼女は違った。力強い声で元隊長の続く言葉と、自らの言葉を否定しにかかった。

 

「だから、俺は」

 

「違う!私は、姉様に甘えたかっただけだった。でももういい。私だってもう戦ってる。それに、気づいた。私がやるべきことは止めることじゃない。認めることだった。そうすれば、きっともっと早く、姉様を幸せにできた。私は、あんたを認める。もう、認めてる」

 

 ずっと言いたかったのであろう言葉だと分かる。謝罪と承認をエターナが口にした。その言葉は元隊長をわずかに驚かせていた。

 もちろん、入嶋達も驚いている。筋金入りの元隊長キラーだったエターナがそう言った事を。

ようやくそれを彼女が言えたことにパートナーとして安堵する。エターナにとってはこれも一つの成長だと思うから。

 それを聞いた元隊長は迷うような動作の後、エターナに問いかける。

 

「エターナ、それは、以前言ったことを……」

 

「そう言ってる。あんな約束なんてもうどうだっていい。私が今望むのは……」

 

 言いかけて口を閉ざす。やはりそれを口にするのはまだ恥ずかしいらしい。そこもエターナらしいと言えばらしいが。

 それに対して元隊長はどう答えるのか、注目が集まる。重たい口を開くように元隊長は声を発した。

 

「俺は、お前が変わってくれたことを心から嬉しく思う。それは間違いない。―――だけど、もう決めたことだ。助け出したとしても、それは変わらない」

 

 後ろ向きな返答。予想はしていた。唐突に言われたとしても変わらない意志。それだけ本気で考えている証拠だった。

 望む答えが得られなかった事にエターナの心配をする。恥も捨てて伝えた彼女が自棄にならないかどうか。けれどもそれは杞憂に終わった。

 落ち着いた、落胆した口調でエターナが頷いた。

 

「そう。変わらない、か」

 

「お前の言葉があったとしてもなかったとしても、今の俺は彼女と共にいるに値しない」

 

「自分でそう思ってるなら、もう言えないわね。分かった」

 

「エターナちゃん……」

 

 入嶋の声を受けてもエターナは顔を背けたままだった。玉砕と言ってもいい結果。だがエターナは全てを受け入れたように穏やかに話す。

 

「あんたがそう思うなら、私も何も言わない。姉様を助けてくれれば、それでいい」

 

「そのつもりだ」

 

「だけど、言わせて」

 

 離れるかと思われた時、エターナが元に対し詰め寄った。真剣な表情で言い聞かせるように元隊長に釘を差す。

 

「もし姉様が本気なら、その時は私も本気であんたに言うつもりだから」

 

 強く言い放ったエターナの言葉に息を呑む。空気が変わったとでもいうべきか。いつもの元隊長への敵意がそのまま結ばせるというやる気に転化したかのようだ。

 決意と呼べる宣言に元隊長も躊躇うような視線を見せる。一度目を閉じ、困った様子で返答する。

 

「無駄だと分かっていても、か?」

 

「それでも、私は姉様の願いを叶えたい」

 

「そうか。それでも、分かってもらうしかないな。それはそうと、今日は頼む」

 

「分かってる。まずはここからだから」

 

 やや煙たがった様子の元隊長は会話を切って宗司達に今日の支援を頼んでその場を後にする。エターナも諦め良く追及はせずにその背中を見送った。

 それを見送ったのちエターナにこれで良かったのかと問う。

 

「エターナ、もういいのか?」

 

「よくはない。だけど、今はあーだこーだ言う時じゃない。あいつに、賭けてるから」

 

「……そうか」

 

 その肩にそっと手を置く。エターナはむすっとしながらもその手をそっと弾く。手厳しいな、と思った。

 とはいえいつまでも話していられる場合ではない。宗司達も行かなければならない。6人の意見が一致する。

 

「じゃあ、そろそろ俺達も」

 

「……そうだね。元隊長をサポートする為に、昨日今日って頑張ってるから」

 

「あいつに、見せつけてやんなくちゃな」

 

「そうね。見せつける。私達の想いまで」

 

 意気込む新機体組。それを既存の機体を操る2人が激励する。

 

「きっと出来るよ、みんななら」

 

「もうエースなんだからな!」

 

 全員で向かう。その中でただ1人、入嶋だけが少し不安な表情を顔に残していた。

 

 

NEXT EPISODE

 




EPISODE89はここまでです。

ジャンヌ「よく打てました。次の方もよろしくお願いします」

レイ「まぁ相当滅入ってるのは分かるんだけど、ちょっとくらい解説入れる?」

これ書いてるの、私。

レイ「分かったから!もう、それならお休みすればいいのに…」

ジャンヌ「それでも打ちたいのでしょうから、わたくしの公式からの供給カードイラスト見てもまだ引き摺っているの大分ヤバいんですって」

レイ「そうだね。そして劇中の元君もそれくらいやばい状態っぽいけども」

ジャンヌ「れ、レイさん!まぁ、エターナさんも決意されていますし、呉川さんは何やら不機嫌と言いますか、ですし?」

君達が喋るくらいなら、まぁ打てるくらいは打つ。けどもうちょっと次もあるから勘弁。

ジャンヌ「ここまでが限界ですね。皆様。作者がしばらく落ち着くまでこの調子で、お付き合いよろしくお願いします」

レイ「無理に空元気は今度こそダメだからね~。というわけでグリーフィアちゃん達に続くよ」
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