レイ「ここ最近のいつも以上に体調が悪そう!何があったの……?」
ジャンヌ「えー……どうやら気になったゲームの事前情報動画を見ようと調べたところ、それを見ていた他の人のサジェストでグロ映像見たらしく、それで気分悪くなっているようです……」
レイ「あちゃー、そういうダメなんだ作者」
ジャンヌ「まぁ、聞く限り大分ショッキングな映像みたいですけどね。サムネイルだけで体調を崩すくらいですから……。手を気にしてらっしゃるのでしばらく手を握るようにしてます」
あんなのおすすめに表示するな……それではどうぞ(ガクブル)
今度こそ取り戻すという強い意志を以ってシュバルトゼロクローザーは空を往く。行く先に見えるのはゼロンの艦隊が待ち受ける四河港ポート基地。しかし、決戦の地はそこではない。
ゼロンから後日改めて指定のあった場所の名前は「旧ポート基地」。四河港ポート基地の前身にあたる基地と言われていた。
その事実にHOWの側では混乱があった。そんな基地の情報は今までなかったからだ。おそらく四河港ポート基地に移管する前にゼロンが潜伏期間中に利用していた基地であることは分かる。だが今も現存しているような言い方で言われ、どこにあるのか分からなかった。
それも考慮していたのか、ゼロンはこんな指示を送っていた。
『四河港と名護屋港の間に位置する場所まで来てもらいたい』
その指示にHOWの間で一つの仮説が浮かぶ。移動基地、普段は海中に沈んでいると判断した。それならば基地を浮上させて出現させられる。決戦の地として場所を用意できる。
もっともゼロンがそんな移動基地を所有している事に大層驚いたわけだが。しかし当人である元にそんな事は関係なかった。
ただ取り返す。例え罠が仕掛けられようとも行って戦うだけだった。その脳裏にジャンヌとのやり取りが思い浮かぶ。
『違う……そうかもしれないけど、違うの!私は』
彼女が真に望んでいる事が自分の考えと違っているのは分かっている。だがもうそれは出来ない。今の自分にその資格はない。それを分かってもらうために、本当に幸せを掴んでもらうために助けに行く。
そんな思いを抱きながら空を行く。その道中でシュバルトゼロクローザーの調子を確認する。
(ジャンヌなしでもポテンシャルはある。若干出力上昇にタイムラグがあるのが気になるな。それ以上に問題なのは……ジャッジメントクローズモードの安定駆動不可か)
シュバルトゼロクローザーの最大機能であるジャッジメントクローズモード。それはジャンヌとのエンゲージリンクがあればこそ起動できる最強のモード。ジャンヌがいない為に、このモードの使用は厳禁とされていた。
だが決して稼働できないわけでもない。パイロットのへの高負荷を無視すれば稼働が出来る。もちろん高負荷であるために推奨はされない。来馬からも絶対に使うなと再三言われている。
約束はなるべく守るつもりだ。しかし、もしどうしようもないなら、この身を犠牲にする覚悟が元にはあった。そうしなければ届かないのなら手を伸ばす。それでも届かないのであれば、その時は本当に最後の一手を使うつもりでいる。
スタートからの反発は容易に想像できる。だからこそ言っていない。言っているのはただ一人、いや、一体だ。
そのスタートから機体についての調子を触れられる。
『どうだ、元。機体の方は』
「問題ない。ジャンヌがいない分性能の低下は免れない。だがお前と考えた戦闘スタイルでなら、奴と張り合える、かもしれない」
『かもしれない、か。不安だがそれが現実だな。ジャッジメントクローズを無理に発動させてでも勝ちにいかねばならないのは、避けられんかもな』
スタートですらジャッジメントクローズモードの発動は避けられないと言う。来馬の言いたいことは分かるが、それが守られる保証は極めて低い。大目玉を喰らうほどに無茶をするのは確定だ。
それには同意見だ。だが元にはそのスタートからそれ以上に止められるであろう打開策を考えていた。
それを使わないことに越したことはない。しかし使うことになれば、何を言われるか。そうならない為にもスタートに返しながら今のうちにシュバルトゼロクローザーの性能を確認する。
「そうだな。そうならないためにも少し動かす」
『了解だ。その間にこちらで細かいところを調整する』
幾度かの機動を行いながら目的地を目指す。後方からはある程度距離を離して護衛のHOW艦隊が追従している。そちらには決戦を邪魔しないようにと言って同行してもらっている。
もし何かあったとしても手を出すな、と言ってもやはり心配されるのは当然だ。ゼロン側にも見届け人という形で観戦することは許可されている。ゼロンも同じ条件だという。
とはいえ、元は思う。おそらくゼロンは抜け道を用意している。移動要塞ならいくらでも戦力を隠しておける。そこからヴァイスインフィニットのG-Arcを行使してくる可能性は十分にあった。間違いなく二体一以上で戦闘が行われる。
操るとはいえそれはルール違反に近い。だがそれがヴァイスインフィニットの力。それを考慮して元も作戦を立ててきた。
どんな手を使って来てでも必ず勝つ。その強い意志と共に向かっていると上空にその機体が現れた。
『止まれ』
「……ポイントはここか」
銃を向けられながら制止を呼びかけられる。シュバルトゼロクローザーもブレーキを掛けて空中で静止する。白銀のガンダムヴァイスインフィニットエアレーザー。そのパイロット、黒和神治がこちらに話しかける。
『今日ここで決着を付けてやる。お前達をここで葬る。魔王の終わりだ』
「威勢は充分。だがそもそも旧ポート基地はどこにある。光学迷彩か潜水でもしてるなら姿を見せろ」
『すぐに見せてやる!お前を殺すフィールドは、ここだ!』
神治が合図をすると空気が振動を始める。振動の発動元は海からだ。浮上してくる。ゼロンの隠された基地が。
空気の振動が大きくなっていく。そして海が割れた。海中から出現したシルエット、それを見て元はその正体を口にする。
「……なるほどな。これが旧ポート基地か。まさか、これをまた見ることになるとは……「人工衛星 ホリン」」
『そうだ。お前が魔王となって旧組織を壊滅させた地。ここでお前は懺悔し、地獄へ落とされるのだ!』
そこは魔王黒和元という存在が生まれた、あの場所だった。
◆
ホリンの浮上を見て、後方待機していたHOWの面々は驚きの声を上げる。Gチームがあれほどの物体が海中にあったことに戸惑う。
「なんだ……あんなのが海に?」
『こんな基地をゼロンが……クルスは知ってた?』
『知らない……こんな移動基地、私も知らないよ……』
かつてはゼロン側勢力であったクルーシアが首を横に振って知らないと断言する。こんな巨大な物、いくら末端でも知っていそうな感じだが、それでも知らなかったと言うあたり本当に知らなかったのだろう。
比較的戦闘員として長い進やクルツもゼロンにこれほどの要塞があったことに驚く。
『こんなのがあるの、どの組織でも聞いたことないぞ!本当に移動要塞なのか?』
『これだけの規模ってなると……移動要塞、とは違うかもしれねぇな……』
クルツのそんな指摘は的を外していないらしく、解析していたエターナがガンダムDNⅡにインプットされていたデータを引き出してくる。
『待って、機体にあれとよく似た施設の情報が入ってる』
「よく似た施設?前にもあったってことか?」
エターナの言葉に聞き返す。エターナがその施設の情報を出そうとしているところで、呉川小隊長がその名を読み上げた。
『……ホリンだ』
『えっ?』
『かつて次元覇院が衛星軌道上に飛ばそうとした人工衛星。宇宙軍事基地。「黒和元」が魔王と名乗るきっかけとなったホリン・ダウン作戦の元凶だ』
ホリン・ダウン作戦という単語に少しだけ聞き覚えがあった。かつて両親と共に家から非難した時、その数日後に当時のMSオーダーズが行ったという作戦をテレビ画面で見た。
海上に浮かんでいた鉄の円盤の上でビームの火線が飛び交っていたのを覚えている。時通り異常なまでのビームが放たれたりして余波で中継が止まった。今なら分かる。あれはきっとシュバルトゼロがやったのだ。
その話題がきっかけで、当時を知る者達からその時の事が回線から聞こえてくる。
『うん、忘れもしない。元君が魔王を初めて名乗った場所。次元覇院壊滅の最初の場所にして、MSオーダーズ最後の戦場だよ』
『そういえば、深絵さん達はその時からずっと……』
『深絵先輩だけじゃない。私やかほちーも、新堂さんだって戦ってきた』
『話には聞いていましたけど……でも次元覇院の人工衛星ってその事件で接収された後は爆破処理されたんじゃ……?』
『そですよね?そないなこと聞いた覚えあるけど……あれ新造したん?』
その話を聞く限りではそうとしか思えない。これほどの物を新しく作り上げるだけの資金があるとは思えないのだが、そう考えるしかない。
しかし、黎人司令がそうではない可能性をデータと共に示す。
『いや、あれは間違いなく、ホリンだ』
『それは……あの事を指してか?』
『あの事……?新堂さんそれって……』
紫音が尋ねるとその言葉の意味を黎人司令が衝撃の事実と共に話す。
『ホリンは表向きには爆破処理されたと言われている。だが実際はあれだけの物を完全粉砕することは出来ない。ガンダムのDNFも通常では破砕できなかった。だから僕らMSオーダーズや日本政府は、ホリンを沈没処理としたんだ』
『沈没、処理……』
学校の歴史の授業で聞いたことがある。大きな戦争が終わった後、軍艦などを使えなくするために海に沈める行為が行われたと。
完全に壊すよりも海に沈めた方が手間がかからない、というような話だった気がする。確かに海に落着した人工衛星を処理するならその方がいいだろう。
問題はその話が今回の話とどうつながるのか。するとその話を聞いていた勇人警部が納得したように頷く。
『なるほど。その場所は確か、四河湾の海底だったな。今のゼロン前線基地の目と鼻の先』
「!まさか……直した?」
『そんな面倒な事……』
自身と共にエターナがそんな事がと否定する。しかし隊長陣達はそれがあり得ない話ではないとメリットの例を挙げる。
『だがする価値はある。直せばまた宇宙からの攻撃の起点となる。ゼロンは宇宙にも進出しているが、未だ安全に宇宙から攻撃する方法は作り上げてはいない』
『ゼロンも色々と宇宙での拠点づくりに躍起になってるけど、あんまりうまくいっていないみたいだしね。その担当って言われていたプリテンダーズはもう完全にゼロンと敵対して、本拠地のコロニーを護るって言ってるし、地球を攻められる拠点としてまた宙にあげたいって気持ちはあるのかも』
そこまで瞬時に考えられる隊長達にただただ沈黙する。そんな事情からそこまで考えてゼロンは再び人工衛星を打ち上げようとしているのか。
しかし、そんな壮大な考えよりも、もっとシンプルかもしれないとその人物は言った。
『……案外そういうことまで考えてないかもしれないよ』
『光巴?』
光巴が首を横に振ってゼロンの目的について予想を立てる。
『ただ単に、魔王を今度こそ討ち果たすっていう目的の為、生まれたこの場所でまた戦って、今度は殺すっていう願掛けだと思う。ゼロンは、次元覇院はそういう人達の集まりで、今もそんなに変わっていないと、大勢は思うから』
ドライな考え方。しかし納得する部分はある。ゼロンなら考えそうなことと。悪趣味というか、執念深いと言えるか。
そんな執念こそがホリンを蘇らせたのだろう。機体のデータからすぐに判別されるあたり、その意向は強そうだ。執念の強さに黎人司令と須藤司令がやっかむ。
『そんなことされても、僕らは何とも思わない、むしろはた迷惑なんだけどね』
『彼らには意味のあることなのだ。カルトとはそういう意味のないことにこだわる。もっとも、当の本人である元君には堪えることかもしれんが……』
『元隊長……』
心配の声を口にする入嶋。遠目から見るシュバルトゼロの機体は静観していると言えるほど静かだった。その機体が徐々に降下していく。ヴァイスインフィニットも同じ速度で降りていく。
この後、戦いが始まる。相手は元隊長を殺そうとし、元隊長は奪われた大切な人達を取り戻す。条件はイコールではない。圧倒的に不利だ。
そこに場所のプレッシャーまで入るのだろうか。元隊長に限ってそれはないと思いたい。そんなプレッシャーに呑まれないでほしい。元の事を知ったつもりでいるパートナーからもあり得ないと声が飛ぶ。
『アイツにそんな子供だましは通じない。思ったとしても、黒き英雄は折れない!願いを果たすだけ、だから……』
自分自身に言い聞かせるような声で元隊長に期待を寄せるエターナにも、不安はあるようだ。それでも信じている。それが彼女を知る中でどれだけ大きなことか。
エターナの言葉を噛みしめるようにして宗司自身も信頼を言葉にする。
「あの人は、隊長はやるさ」
ジッと戦いが始まる時を待つ。
◆
黒和元に対し、言ってやったと神治は思う。魔王の生まれた地、確かに葬り去ったと思っていた場所、自身の晴れ舞台となったであろう舞台が再び目の前に現れる。絶望は計り知れない。
ゼロンが人工衛星ホリンを流用して作り上げた移動基地こそこの旧ポート基地だ。潜伏しながら日本各地の動向を探り、各地の旧次元覇院信奉者を支援して決起に備えるための移動要塞。
宙への浮上は完全に諦めてしまったものの、ゼロンの活動の為にその第一歩を確実に作り出してくれた重要な基地。それを今回初めて公の場に晒したのだ。
その理由はHOW側でも予想された通り、見せつける為であった。HOWに、魔王に絶望を突きつける為。どれだけ壊そうとも不滅なのだと教える為、そして今度こそ完全敗北させるために因縁の地であるこの基地を待機状態から復旧させて決戦の地としたのだ。
声を出さない魔王に対し、得意気になって気分を聞く。
「どうだ、絶望したか?お前達HOW、MSオーダーズが破壊した人工衛星ホリン。それは爆破されてこの三枝の海に沈んでいた。それをゼロンは新たな基地へと生まれ変わらせ、新たな覇道の為の足掛かりとしたのだ!残念だったなぁ!お前達のやったことは、所詮無駄なこと!何度でも、何度だってこの教義は蘇る!」
言ってやった!心の中で充足感が生まれていく。今まで馬鹿にされてきた。下に見てきたあいつに言ってやったのだ。
どれだけ魔王という強力な後ろ盾があったとしてもこの事実を見逃せないはず。次元覇院を潰したという証の復活が、彼らを追い詰める。
そうに違いないという強い思いが神治の頭の中で決まっていた。それだけが彼らの勢いの源だと。しかし神治の期待は大きく裏切られる。黒和元の口が開かれた。
『絶望?残っていたのならやることは一つ。また破壊するだけだ。人を傷つける兵器がそこにあるのなら、何度でも』
「無駄なこと。何度蘇ると言ったはずだ!」
『ならば、蘇る気力すらも打ち砕く。粉々に壊して、蘇る力すらも奪い去る』
「やはり悪だな、お前達は。人の意志を、正義を砕くなどと言う野蛮な発想を平気でするお前達は!」
心底嫌悪する。奴らは所詮人の気持ちを、信心をないがしろにするろくでなしだ。それをまたこうして示した。奴らを許しては置けない。
ますます黒和元への憎しみが募っていく。両親を殺された時の絶望が蘇る。あの時、神治は何も出来なかった。両親がただただ無慈悲に殺されていくのを見る事しか出来なかった。この絶望と同じ気持ちを、奴にも味合わせる。自分自身と「仲間」、その二つの側面から苦しませると誓って戦いの地への着地を急ぐ。
その降下の間に黒和元の生意気な言葉は止まらない。
『お前の今の言葉に、正義はない。ただ自分の我儘を、感情を押し付けたいだけにしか聞こえない。そこにお前達以外の人間の存在を認めていない』
「それの何が悪い!俺達を虐げる者、妨げる者は、全て人にあらず!俺の復讐の何が悪い?みんなそうだ!復讐だ!」
『その被害者ぶった傲慢さが、開き直りが世界を閉ざしていると、なぜ分からない』
「開き直りならお前だって!散々人を殺しておいて、魔王と名乗ってるじゃないか!」
そうだ、奴は自ら魔王を名乗っている。人を傷つける最低の存在だと自ら名乗った男。悪人を殺さずして何が正義か。当然の事を言い放った。
ゼロンだけではない、普通ならすべての人が望むこと。それをなぜ東側の人間擬きは許すのか理解に苦しむ。
いや、理解する必要なんてない。こんな自ら悪を名乗る者を理解する機など起こさなければいい。それがゼロンの、ゼロンが引き継いだ次元覇院の教義なのだ。
しかし、黒和元は思ってもいない言葉で反論する。
「当然だ。俺はお前達によって、憎しみの渦に落ちたんだからな。復讐が悪いとは思わんさ」
『何を……』
「ただ、復讐される側がその思考を理解できないだけ。だからこそ、語らないか?」
そう言ったところで「移動要塞リ・ホリン」の甲板へと着地する。着地して戦闘体勢へと入ろうとした神治に対して、黒和元は―――――その装依を解いた。
「なっ……!?」
『……ほぅ』
「……」
声にならない驚きのまま、生身の黒和元の前に立ち尽くしてしまった。
NEXT EPISODE
今回は、ここまでです……。
レイ「この調子狂うなぁ……まぁ話としてはまさか衛星ホリンをまた見ることになるとは」
ジャンヌ「設定の方では沈没処理とされていましたが、作中では壊されたと伝わっていたんですね。それをまた使うなんて、ゼロンも次元覇院の頃と変わらないと言いますか……」
レイ「それもだけど、元君もヤバいよ!MS解除しちゃってさぁ!」
ジャンヌ「対話を求める姿勢、神治相手に通じない気もするんですが、果たして次話でどうなるか、と言った感じですかね」
そ、そろそろいい?
ジャンヌ「全然喋ってないんですけど……そんなに怖かったんです?」
も、むり……一回休憩挟む……( ;∀;)
レイ「どんなの見たのさ……」
ここで話したら、また思い出すから嫌……記憶から消したい……。
レイ「うわー、相当だねこれ」
ジャンヌ「作者怖がりでもあるんですけど、ここまではヤバいですね。舞台裏にしておきましょう。では次話に続きます。休憩を挟んでね」