レイ「久々だったね番外編。しかも前の奴見たら一年後くらいにやるとか言っておきながら今年まで放置してたし」
ジャンヌ「まぁネタ埋めとしてはいいのでは。放置してたのに文句あるのは変わりませんけど。それで前話は確か零崎、神治との会話で終わっていましたね」
というか途中です。元君は最後に何を告げるのか。いよいよ戦闘開始になりそうな最新話をどうぞ。
零崎、神治、エンドに向けて最後に告げる。
「俺には未来を歩む資格はない。一度この世界から消え、別世界に渡ったとしても、それはもう俺自身が死んだことに変わりはない。それ以前に、俺の人生は終わっていたのかもしれない」
異世界マキナ・ドランディアへ渡った時、外の身体が記憶のない状態のとき、ずっとスタートと共にMSの操作について学んでいた。だがその時点で、もう思い出さなければいいとさえ思っていた時があった。
柚羽が死んで、なのに自分が生きていて。生きる目標なんてない。記憶が戻ってもこの異世界で生きる理由なんてないのだと。ところが、それを変えた、変えさせた人物がいた。
それは他でもない、記憶を失っていた自分自身。ハジメ・ナッシュと呼ばれていた存在の最後の願いだ。
『でなきゃ、俺はあいつに勝てない。お嬢様の隣にも行けない。……だからさ、託すよ。本当の俺に。受け継いでくれるかどうかは分からないけど、でも託す。……お嬢様を、救ってくれ、俺』
決めかねていた決断を最終的に決めたのはあの時の言葉。俺にとっての柚羽が、彼にとってのジャンヌだった。ならば、今の俺が、あいつの願いを叶えなければならない。だからこそ記憶を取り戻して立った。
「それなのに俺は愚かにも生きることを選択した。間違っていたのかもしれない。けれど、そこにはあいつが、柚羽と同じ護りたいと思った少女がいた。だから俺は戦い続けた。けれどもその彼女は囚われた。俺自身のミスだろう」
立ち上がり、戦った。その少女と様々な経験をした。共に戦い、戦争を終わらせた。彼女は積極的に自身を求めるようになった。
最初はこれも悪くないと思っていた。レイアを救出するまでの間だけだと。きっと取り戻せば彼女もレイアの方に目を向け直すと。しかし過ごしていくうちに気づいてしまった。彼女の期待を。想いを。
それが怖かった。また心を通わせれば、失ってしまうのではないかと。好意と共に一度は請け負った想いを手放そうとする気持ちが生まれた。
その気持ちは過ごしていくうちに大きくなる。だが彼女は必ず守り抜くという願いだけは果たそうと表と裏で葛藤を続けてきた。彼女への好意を、心の中で裏切って、守ること、使命のことだけを考えてきた。
それが果たせる時が来たとき、思わず我を忘れてそれを掴みにかかった。その結果がこれだ。奪われ、全てを失いかけた。愚かしいにもほどがある。やはり生きていなければよかったとその願いを諦めようとした。
けれどもそうならなかった。そうさせないと思う者達がいた。そいつらが、再び俺を焚き付けさせた。戦え、戦えと、戦ってほしいと。それでようやく気が付いた。
まだ終わっていない。こんなところでは終われない。まだ俺は生きている。動くのなら、手を伸ばさなければならない。俺は魔王。人のために手を伸ばす者。もう共に歩めないとしても、救い出さなければならない。消えていった者達の願いを果たす者として、戦い続ける。新たな時代を作る「破壊者」として、目の前の障害を破壊し、未来を創造する。
その決意が、再び自分を立ち上がらせた。後悔する暇なんてなかった。
「けれど、後悔したって何も変わりはしない。なら、取り戻すだけだ。俺は、そんなことしか、戦うことでしか護れない。もっとも、今の俺に護るものはない。だから、取り返す。だがお前達はそうでないと言えるのか?」
『どういうことだ?』
「お前達ゼロンに、戦って護れるものがあるのか?護るものを、その行いで取り返せるのか?その手で護るものは、なんだ」
ゼロンの護るもの、などたかが知れている。聞きたいわけではない。そんなものに価値があるのかと問いかけたのだ。お前達は自分とは違う、人とは違うのだと。
そんな侮蔑しかない言葉に対して、零崎が答えた。
『あるさ。護っている。ゼロンを崇める民を。護るものはそれだけでいい。いずれすべての人間がゼロンを崇める。すべての人間が守るべき対象となるのだから』
「そうか。やっぱりその程度の存在だったということか。どうだっていいがな」
『聞いておいてそう語るか』
「あぁ。予想できた答えだ。理解できないと、変わらないのなら、破壊してでも
「本性を現したな。ならっ」
神治がそれを合図と受け取り、再装依の構えを取る。こちらもスターターを再始動させる。
両者が戦闘体勢を取る中で、零崎は先程の元の言葉にこう返す。
『理解はしている。理解したからこそ、儂はこの道を行く。理解されないのならそれでいい。その時を、儂は待つだけよ』
「あぁ、そうかい!」
荒々しく返答し、装依ボタンを押し込む。二機のスターターが同時起動する。
『ジェミニアス・クロス・クローザー!シュバルトゼロ・クローザー』
『ゼロニアス・ザ・エアレーザー!ヴァイスインフィニット・エアレーザー』
『装依』
ゲートが重なり、再びリ・ホリンの甲板上に2機のガンダムが出現する。不死鳥の背負いし漆黒のガンダムと、救世主のローブを巻いたような白銀のガンダムが相対する。
ここで決まる。日本という国が足掻けるか、そうでないか。だが元には大して関係なかった。
目的はただ一つ。零崎たちにはああ言ったものの、変わることのない絶対目標。ジャンヌとレイアの奪還。必ず果たすという意志の下、先日よりも格段に出力の増していると感じられるヴァイスインフィニット相手に構えた。
「さぁ、聖戦の始まりだァ!」
「来い。越えられるものならな」
◆
一方元と神治のやり取りを後方で見ていた宗司達はその一挙一挙に気が気でなかった。エターナが愚痴をこぼした。
『まったく……いきなりMSを装依解除した時は、何やってんのかって思ったわよ……』
『エターナちゃんの言う通りだよ……諦めたのかと思った……』
入嶋も同じ感想を抱いていたと述べる。宗司も、唐突に元が装依を解いた時には不調かと疑い、エターナと共に飛び込もうとしていた。それを事情を察した光巴に止められなければ乱戦になっていただろう。
その止めた光巴からは心配していた者達に向けてその判断が正しかったであろうことを指摘する。
『言ったでしょ。元お兄さんの行動には意味がある。ゼロンみたいに、考えなしじゃない。出たとこ勝負なところはあるけどね』
『それって駄目じゃないの……賭けなんてあの人らしくないというか』
紫音艦長が光巴の言葉に対し、元隊長がらしくないと評する。その意見は他の面々にも共通しており、進と呉川小隊長が言葉を続ける。
『それ、一つの部隊を預かる隊長として一番やっちゃいけない気がする。そんなの無責任だ』
『同感だ。最近の元隊長は目に余る。やはり着いて行くことは……』
元隊長の行いを、そのように否定する二人。二人ほどではないが、宗司もどうなのかと思っていた。
だがそんな意見にも反対意見、擁護する意見もまた存在していた。
『けど、お兄ちゃんそれ言えるの?お兄ちゃんの尊敬する輝さんだって、時折命令違反とかする常習犯でもあるって』
『そ、それは!……特例、とか?』
『いや、絶対あれ問題するべきことなのに身内ってことで見逃されてる感じだよ。軍隊としては失格っていうか、仕事場としてダメでしょ』
『ぐむむ……そう、だけど……』
進は妹の真由からの指摘にたじろぐ。恩人の例を挙げられては擁護したくなるものの、それが特例としてしまっては示しがつかない。何せ進自身先程は隊長としてどうなのかと一般論で語ってしまっていたからなおさら言い訳できなかった。
完全に言い負かされる形となった進。対して呉川小隊長にはクルツが元隊長の弁護に入る。
『いやいや、それお前が言っちゃったらおしまいだろ。元問題児』
『何の話だ』
『とぼけちゃって。お前CROZEに来る前は独断行動で色んな部隊の隊長達を困らせてただろ。HOWの中じゃ有名だぜ?』
『そういえば、そうだったね。私もそんな話聞いたことある』
呉川小隊長が問題児、それを聞いて宗司は自らの耳を疑った。まさか、呉川小隊長が、と。ところがクルツの言葉に深絵隊長が頷いたことで、それが本当の事なのだと理解する。
深絵隊長が噂に聞く呉川小隊長の過去の騒動についてかいつまんで話し出す。
『私は直接担当したわけじゃないんだけど、別区の小隊長さんにしつこく絡んでたって話だったね。失敗に対して赦さなかったり、考え方ひとつとっても殴り掛かってたって話』
「そう、なんですか」
『言いがかりですよ、それは。私は正しいことの為にやっている。言われた人間が間違っていただけの事。相応しくなかっただけだ。今のあなたと同じように』
深絵隊長に対して強く否定する呉川小隊長。否定こそしているが、それが却ってその事実を助長しているようにすら思える。高圧的、上官に向かってすら失礼な物言いだと客観的に見て思う。
例え呉川小隊長の言っていることが正しかったのだとしても、頷けない。どこかゼロンの物言いにも似た意見にも思える。その様子にやれやれと言った具合の深絵隊長。
『そう言ってると顰蹙しか買わないよ?』
『勝手に言っていてください。それは黒和元だってそうだったでしょう』
「元隊長も、って」
気になる単語に反応する。元隊長が呉川小隊長と同じ問題児だったというのだろうか。すると黎人司令がその話の詳細を話す。
『まぁ、転移してきた頃の元はこちらの作戦にもケチを付けて来たね。そんな馬鹿気た対応でいいのか、とか言っていたかな』
『あの馬鹿、そんなことを……馬鹿なのは知ってたけど』
エターナもこちらの世界への転移前からの想像していたイメージと違っていたためか、意外という反応を示す。
その話は無論入嶋をも驚かせていく。
『元隊長が、そんなことを!?あ、でも凄い人だし、それくらいは……?』
『確かに、それ相応の力があったのは事実だ。けれどそれでも問題にはなる。反省したからか、あるいは無茶できないと判断したからか、シュバルトゼロの旧式化問題が出て来てからは無茶もしなくなった。もちろん、隊長という立場の自覚が出てきたというのも間違いではないだろう』
『いずれにしても、元君もそれが間違っていたって分かった。その上で自分の通したい考えを通せるように動いていく。あなたのそれとは違う。そうやって人がいたの、忘れてる?』
前にもそう言う人物がいたことを例に挙げて問い詰める深絵隊長。悲しみを想起させるような表情をする彼女に対し、呉川小隊長もそれを知っている素振りながらも、それを切って捨てていく。
『えぇ。ですが、あの女は間違っていた。俺とは違う。それだけです。話はここまでです。戦闘中ですので』
『そう。後でどうなろうと、文句言わないでね』
『言いますよ。それは不当なのですから』
言って意に介さない呉川小隊長が通信から外れる。こちらからも距離を取る小隊長はやはりおかしいと思う。これまでがまるで嘘のようだ。
しかしその呉川小隊長に声を掛ける隊員もいなかった。宗司も心配こそしたものの、構っていられずに元隊長とヴァイスインフィニットのパイロットとの話し合いを見る方に戻る。
先程していた話を話題にクルーシアがかつての自身の事件を振り返っていく。
『確かに、元隊長さんは凄く無茶をする人だと思います。私の事件の時も、色々掛け合ってそれで今観察処分という形で私がHOWに属せるようにしたって』
『そうだったよね……。元隊長がいなかったら、クルスと一緒に戦うどころか、私もHOWに入れていなかった、HOWに入ろうとすら思わなかったかもだから』
入嶋の憧れもまたない。それは全て元隊長が自らを変えて、周りの運命を変えていくかのようだ。深絵隊長もその考えを明かす。
『元君は、みんなの為に戦える人だから。そうしようと思ったら思い切った策もやる。何事も一生懸命だから』
『流石に肩の力を抜けと言っているんだがね。聞こうともしない』
『そうだな。あいつは気を使い過ぎる。だから自分自身を追い詰めるというのに』
黎人司令のため息に続いて勇人警部も愚痴をこぼす。しかしそんな彼らからは決して嫌という気持ちは感じられない。
気になって宗司は問いかけた。
「でも、嫌がってそうには感じませんけど」
『そりゃそうだよ。お父さんもみんな、私だってちゃんと元お兄さんを信じられる。応援できる。積み重ねてきた実績と人柄が元隊長の力だから。ゼロンのそれとは違う』
『そうだな、光巴』
『光姫の娘には随分とロマンチストなところがあるようだ。否定はしないがな』
『あはは、照れてますよ~勇人さん』
光巴の言葉に頷く黎人司令と勇人警部。それだけの信頼を得ているからこそ、元隊長は後を任せられるのかもしれない。仲間を信じすぎて、先の戦闘も自分が無茶をしたのかもと思ってしまう。
それは黎人司令達も感じ得居たことのようで、現在の話し合いについては苦言を告げる。
『だからと言って、ゼロン側に会談を申し込むなんて先に言ってほしいがな……』
『黎人にも言っていなかったのかあの馬鹿。やっぱりあれ殺されそうだったの不味いんじゃねぇか』
『き、きっと……大丈夫、だったと……思いたい』
『深絵先輩。フォローしすぎるのも大概ですよ?って、みんな、あっちが動きそうです。装依態勢に入りました』
夢乃隊長からの言葉で集中がなされる。再び装依した二機のガンダム。戦闘体勢に入ろうとする。
その様子を見ながら、パートナーであるエターナに言った。
「エターナ、不安だと思うけど、待とう」
『不安?そんなのとうにない。あいつが助けてくれなきゃ、姉様は戻ってこないんだから』
エターナは再び姉の事を第一に考えていた。出撃前のやり取りがまだ引っかかっているのだろうか。
だがしかし、それが決してエゴだけの感情でないことを彼女の口から知る。
『アイツが凄いのなんて、ずっと前から分かってた。姉様の呪いを解いて、機竜大戦も終わらせて、ドラグディアの両雄って呼ばれて。ずっと羨ましかった。姉様だけじゃなく、アイツも』
「エターナ……」
エターナは俺達の知らない、異世界マキナ・ドランディアでの元隊長の事を知っている。その時の隊長は大きな戦争を止めたという話だ。その話を実際に知っているエターナにとっては姉を取られるという危機感も存在していた。羨ましかったというのはあり得る話だ。
その気持ちを含めてエターナはこの戦いに対する元隊長への想いを吐露する。
『だから、私はもう信じてる。妬むってことは、実力があるって認めてるから。私が救えなかった人を、アイツは救えるってこと、私は知ってる。だからってあんな行動はしてほしくなかったけど。でもそれがアイツの平常運転って言うなら……見届ける』
「そうか……なら見よう。あの人が救う所を。その時が来るのを」
『そうね。それが今の私の役目、か』
役割を受け入れるエターナ。その彼女と共に、見る景色の先で、遂にその戦いの火蓋が切って落とされたのであった。
NEXT EPISODE
EP93はここまでです。
レイ「元君……もう心を自分で追い詰めてて辛いよぉ……」
ジャンヌ「見ててただただ辛いですね……。それでも戦うことはやめない。いいえ。終わってはいけないと思って、再び立ち上がる。ここで勝たなければ本当に道がないですね」
負けるという選択肢はないですからね。そして零崎とのやり取りですが。
レイ「零崎の言葉もカルトっぽさあるね。自分達を崇める存在だけ守るとか」
ジャンヌ「いずれは全ての人間が、と言っていますが、それって逆らうものを全て抹殺するってことですからね。本当にこの人ジャンヌ・Fさんと話したいって言った人物と同じなんでしょうか」
レイ「それでHOWの方も、なんか色々起こってたね」
ジャンヌ「呉川小隊長も、何か今までと違う、落ち着きがないように思います。否定していますが、あの羽鳥さんと似たようなものを感じます」
彼女は理想の為に、仲間の為に狂った。彼が狂う理由は果たして何か、と言った具合ですね。
レイ「それに負けることなく、宗司君達は元君の事を信頼してくれるといいね!」
ジャンヌ「彼らが支え、導くのが一番元さんの未来にとって大事な気もします。元さんの意識が変わるときは来るんでしょうか……」
さて、それではそろそろ次話へと移りましょうか。
レイ「なんか大分持ち直したよね作者」
ジャンヌ「でもまだ不調なんですよね」
まだ、ね。そろそろ終わりたいから。
ジャンヌ「はいはい。それでは同日公開の次話に続きます」