ネイ「再びの決闘。第1部3章を思い出しますね」
グリーフィア「あの頃から年も技術も重ねて、相手はパイロットも変わった。果たして、勝つのはどっちかしら?」
それでは本編をどうぞ。
「さぁ、やらせてもらう!お前を、討つ!」
「っ!」
早速攻撃を仕掛けてきたのはヴァイスインフィニットの側だ。血気に満ち溢れた神治の声と共にビームライフルを放ってくる。それを冷静に回避に徹する。
回避しながら相手の動きを計測していく。ジャンヌがいないために今回はスタートがフォローに回っている。同時に元もその動きを測っていく。
(相変わらず射撃精度はエンド頼りのようだな。狙いを付けてからの発射にラグがある。DNL能力も低い。そこは問題じゃない。けど……)
厄介に思うのは予想していた通り、ヴァイスインフィニットの機体性能。前回戦った時のデータよりも機動性能、その反射性能が上がっているように思う。反撃も兼ねてこちらも速射のビームライフル二射を放つ。
それに対しヴァイスインフィニットは余裕を持って回避行動を取る。こちらの攻撃に当たる素振りすら見せずに素早い機動制御で回避して攻撃に転じる。
「やはりか」
「何がだよっ!」
振り下ろされるビームサーベル。こちらもビームサーベルで防ぐ。飛び散る火花が数舜輝く。だがそれを嫌うようにシュバルトゼロ側は素早くいなして左腕のナハト=ヴァールのバルカンをばら撒く。
バルカン系列は威力としては大したほどではなく、ガンダムならば強引に突破することも可能な攻撃だ。事実目の前のヴァイスインフィニットは強引に弾幕を越えて来ようとする。
「そんな程度の攻撃!」
止まらないと自負する神治。そこにこちらは右手のゼロ・バスターライフルを折りたたみ、アレスモードに切り替え弾幕の中から拳を振るう。
「単純な!」
弾幕を無理矢理突破したことで神治はその攻撃に一歩反応が遅れる。気付いた時にはエンドが動かす。
「ぐっ!?」
『えぇい!』
エンドの操縦の下、素早く飛びのく。ヴァイスインフィニットは再び様子見の距離へと移動する。
機体性能が上がったことでエンドは大分動かしやすくなったようだ。それを理解しながら素早くシュバルトゼロクローザーのモードを切り替える。
「スカルキング!」
『鎧袖一極!』
その手にガンランスを構えた重装備形態へと切り替えると、片手で保持したまま射撃形態をとる。キングビットシールドがランスの周囲を旋回する。
それを見てヴァイスインフィニット側もモードを切り替える。ジャンプ形態と記憶している橙色にフレームが変化した。そこに間髪入れずにネオ・ガン・グニールの砲撃を放つ。
放たれた光の束が途中で分裂、拡散弾としてヴァイスインフィニットに襲い掛かる。それをヴァイスインフィニットは持ち前の機能である短距離瞬間移動で回避する。
普通なら捉えきれない回避。しかし元はDNLである。放たれる弾丸をあらかじめ制御し、分裂後の軌道をある程度制御し襲い掛からせた。タイミングの違う分裂砲撃がヴァイスインフィニットの回避した先にも降り注ぐ。
だが、それもまたヴァイスインフィニットは避ける。
「くっ!まだまだぁ!」
威勢よく声を張り上げる神治。その言葉通り、転移直後も更なる連続転移で空間を移動し、転移直後の機動でも攻撃を回避していく。
それも元にとっては予測の範囲内であった。既に左腕のシールドをマルチスペースに格納し、キングビットシールドVを合体、大型シールドとしての拡散ビーム砲発射形態をとる。
弾幕が途切れようとしたタイミング、そこでシールドから第2波となるビームの雨を放った。
「まだ撃ちこむ!」
「ちっ!しつこい!」
第1波となる弾幕を回避して加速起動に入ろうとした神治だったが、続く二射目に舌打ちしながらも再び攻撃を回避する。
それを見て元は口元を緩める。やはり、と思った。二射目の攻撃は射程の短いショートショットで撃っている。故にヴァイスインフィニットは後方へと一時回避の形で短距離跳躍を使った。それは既に見切っている。
シールドにはショートショットで使わなかったエネルギーが残っている。既に溜め切ったビームを、今度は全力照射で放った。
「キングビットシールド、空を薙ぎ払え!」
掛け声と共にキングビットシールドVから大出力の光条が、幾重にもバラバラに空を焼いていく。照射されるビームは正面の空域全てを薙ぎ払っていく。そしてそれが回避した直後のヴァイスインフィニットエアレーザーを捉える。
回避した直後伸びてきた攻撃に神治の反応が遅れた。それを全力で回避させたのは他ならないエンドだ。
『ちぃ!緊急回避!!』
「ぐぁぅ!?」
伸びてきたビームをエンドによる更なる短距離跳躍で回避した。その時には既にヴァイスインフィニットのフレームが個々の物ではない、全能力統合の白へと変わっていた。
その様子を遠目で確認していた元。これだけの全力攻撃を物ともしない。やはり同型機では向こうに負荷の分がある。
この時点で攻略の困難さがうかがえる。だがまだ攻撃が終わったわけではない。元は次なる攻撃の態勢を取る。キングビットシールドV再び分離稼働させる。
ヴァイスインフィニットもやられるだけではない。背部から展開したビームランチャーを構えこちらへの砲撃を定めていた。
こちらもガン・グニールを射出する構え。パイロットの宣言がなされる。
『DNFッ!』
『Ready set GO!DNF「ガン・グニール・ストライク」!』
『DNF ロンゴミニアス・バスター』
両者同時に動く。投げつけるようにして放ったネオ・ガン・グニールがキングビットシールドVで加速、撃ちだされる。それを迎え撃つようにヴァイスインフィニットのビームランチャーが大出力で放たれる。
互いに直撃コース。その勢いを落とさずに両者の攻撃が激突した。焼き尽くそうとするビームを展開したフィールドで打ち消し、貫こうとするガンランス。しかし出力に競り負け、先に均衡を崩したのはガンランスの方だった。フィールドが消失し、ビームに呑まれる。
ビームに呑みこまれて大爆発を引き起こす。煙が辺りを覆った。しかし、その時点でシュバルトゼロクローザーは次なる行動を取っていた。
(視界不良……だがDNLの力なら)
元の操るシュバルトゼロクローザーはその機体を爆発の煙の中に隠していた。目くらましとしての策。DNLならば視界不良の状態でも敵の位置が分かる。
しかしそれは相手も同じ。そう簡単にはいかない。だからこそ、元は策を講じる。パネルウイングから射出装置を顕現させると、煙の外に向かって物質を飛ばす。それはダミーバルーン。デコイの一種である。
デコイを飛ばすためにDNを用いたそれは射出されて展開されると内部のDNで浮遊状態となる。それらが煙の外に向けて飛ばされる。
一般的なデコイの使い方だ。おそらく普通なら飛び出してきたそれらに向けて攻撃をしてくるだろう。だが相手はDNL。気付かれる可能性も高い。だからこそ、再び策を講じる。
その頃先に射出したデコイが煙から飛び出す。煙の外にいたヴァイスインフィニットエアレーザーは出てきた影に向けて撃とうとする。
「そこっ!って、なんだ?」
だが撃つ前に気づいた。いくつもの影が飛び出すのを、同時に煙の中の別方向から更に単体で一つの影が飛び出す。それに対し素早くライフルを向け直す。
「デコイか!姑息なんだよ!」
素早く標的を切り替え、その目標を撃つ。ビームで撃ち抜かれたそれは爆発を起こして更に煙と高純度DNを辺りに充満させる。
間違いなく撃ち抜いたという確信を得ていた神治。ところがエンドの声が警戒を呼んだ。
『待て神治!まだっ!』
「何……!?」
煙を突っ切る形で、再びシュバルトゼロクローザーが姿を現す。その体には一切の被弾はない。
これが元の策だった。撃ち抜かれたそれは、同じくデコイ。ただ、高純度DNをより多く注入し、機体が損傷したと誤認させるための目くらましとした特注品だったのだ。
油断しきっていたヴァイスインフィニットエアレーザーにビームサーベルの一太刀を浴びせる。
「はぁぁっ!!」
振り上げられた一撃が火花を散らせる。しかしそれはヴァイスインフィニットの本体を切り裂いたのではなく、ビーム刃を展開したビームランチャーとの鍔迫り合いによって起こったものだった。
攻撃を受けた神治は驚きながらも余裕を崩そうとしないのに必死だった。
「は、ははっ!どうだ!全然効かない!お前の力じゃ俺には届かない!」
勝ち誇った様子の神治。鍔競り合う状態でそのように言った。押し込めずにいる状況でそう思うのも当然。しかし元は、決して諦めていない。まだこれが全てではない。冷静沈着に、一手一手を繰り出していく姿勢を崩さない。
それどころか逆に神治に対し、煽りを入れていく。
「この程度で勝った気でいるのか、お前は」
「っ!!強がりをっ!ぐっ!?」
反論を封じようとする神治。しかし直後にアレスマグナモードに切り替えて近接出力を押し上げて弾き飛ばす。反動で後退する最中にアズールハルピュイアへと移行、体勢を立て直そうとする神治を銃撃する。
神治の対応が遅れ、攻撃をそのまま受ける。しかしそのダメージは想像以上に効いていない様子。見ると観測データからダメージを軽減しているとの情報が上がっている。おそらくはモードの一つのダメージ軽減によるものだろう。
アズールハルピュイアの攻撃をモードの力で受け止めながらエンドが元達の攻撃を徒労と評する。
『無駄な事。その程度の攻撃では今の私達には到底及ばない。無駄弾だ』
「そうだな、だが」
『だったら、それに対応するまでってなぁ!』
『世壊災醒!』
それに対しこちらは更なるエレメントシフトで返す。スタートのブレイクネクロに交代して翻す動きで急激に距離を詰める。
背部から引き抜いたエリミネイターソードを銃として扱い、狙い撃つスタート。それもエンドは手を掲げる程度で防御し、ダメージを受け付けない。だがその状態目がけてスタートがエリミネイターソードを振るうと、ヴァイスインフィニットはそれに触れるのを避けるように後退する。
ブレイクネクロはエレメント・カオスによって防御機構の無効化を近接攻撃に付与する。だが敵のヴァイスインフィニットも似た機構で攻撃を受け付けないようにしている。攻撃は受け付けないはずだった。
それを見て元は予測する。それでも嫌がったのはおそらく攻撃の許容値があるためであること。敵が無傷で受け止められる攻撃にエリミネイターソードの近接攻撃はないかもしれない。
もちろんそうであるとは決めつけない。片隅に入れておく。そのようにしてヴァイスインフィニットのデータを測定し、攻略プランを作り上げていく。その間にスタートがエンドとの戦闘を続ける。
スタートがエンドに対し言葉をぶつける。
『お前は記憶があるらしいな。機竜創世記の本当の真実まで知っている』
『そういうということは、それがあることは分かっているようだな』
話しているのは機竜創世記時代についてのこと。二人は共に機竜大戦のそもそものきっかけとなった機竜創世記時代の元人間。英雄として駆け抜けた者達だ。
その記憶をスタートはおぼろげにしか覚えていない。その事は昨日今日の時点でスタートから聞いている。醜い戦争であったことは覚えていても、その発端や奥深い記憶を忘れてしまっていると言っていた。
一方、先日の戦闘でエンドはその記憶を覚えているとの旨を言っていた。それが本当なら、そのうえでなぜゼロンに味方するのか。その理由は知らなければならないとスタートと共に思っていた。
その質問をぶつけるスタート。
『あの戦争で、多くの者を喪った!その痛みがなぜ分からない!』
『失った者の痛みが分かるなら、今の私の行動も理解できるはずだ。この戦争はまた奴に支配されている』
『支配されている……?それをしようとしているのは、ゼロンだろ?』
『私の中では違うな!記憶のない、真実を知らぬ者には分からんさ!』
スタートを拒絶する様にしてエンドがヴァイスインフィニットの反撃を繰り出す。腰部から実体剣を振り抜き、振りかぶっていたエリミネイターソードを弾く。その勢いをそのままに連続して斬りつけてくる。
スタートはエリミネイターソードでそれを防ぎながら反撃を試みる。ところが一つ一つの攻撃が重く、徐々に押されていく。
『ぐっ、やはり出力は上か』
「スタート、代われ。シフトスカルキング!」
返事を待たずスタートと再び担当を交代する。スカルキングへと移行したシュバルトゼロクローザーはエリミネイターソードをバスターソードへと強化しながら、振り回す。その一刀がヴァイスインフィニットエアレーザーの腰部剣を叩き壊す。
その一刀がそのままヴァイスインフィニット本体を切り裂こうとする。しかしそれを見越していたエンドが素早く身を引き、攻撃から逃れた。
攻撃から逃れて距離を取ると、その声が神治の物となり叫び声を上げる。
「別世界の事なんて知るかよっ!」
「来るっ」
エンド達の会話を切り捨てるようにして向かってくる神治。肩部のシールドから両刃剣を取り出すと次元跳躍して飛び込んでくる。その攻撃をエリミネイターバスターソードで防ぐ。
攻撃を防がれようとも、構わず攻撃を繰り出してくる神治。その気迫は十分なものがあるが、まだまだ子ども。防いだところにシールドカノンで狙いを定める。
ところが放たれたそれはヴァイスインフィニットを捉えるに至らない。撃った時には姿を消してしまっていた。
「何っ。くっ、後ろっ」
「こっちだ!遅い!」
後方からの気配を感じ取り、対抗する。短距離跳躍で飛んだヴァイスインフィニットエアレーザーはその両刃剣を突き立てようとしてくる。それを回避しての反撃、と思ったのだが、その勢いが予想以上に早いことを感じ取る。対応を変え、シールドで受け流しながら横を抜ける。
両者共に一歩も譲らない攻防を展開する。その背に向けて反撃を放つが、神治は既にそれを見越していたのか、短距離ジャンプで距離を取る。
同じくライフルを向け、咆える。
「お前では、俺には勝てない!」
腰背部のランチャーも展開して放つ一斉射。こちらもシールドカノンとエリミネイターバスターライフルで相殺する姿勢だ。両者のビームは共にぶつかり合い、爆発を起こす。
爆風が辺りを再び包み込む。神治の側はそのままビームランチャーを向けいつでも撃てる構えをキープする。
「さぁ、次出てきたら……」
「―――――どうなるんだ?」
既にシュバルトゼロクローザーは背後に位置取っていた。蒼のフレームが輝くアズールハルピュイアの速度で、爆発と同時に移動を行っていた。
展開されたアズールハルピュイアのエレメント・フリージアによる冷気がわずかにヴァイスインフィニットの反応を遅らせる。その間にアレスマグナへとエレメントシフトし、その拳を見舞う。
「ぐうっ!?」
「まだっ」
ディメンションナックルの一撃がビームライフルを叩いて弾き飛ばす。続く二撃目で防御したシールドを打ちヴァイスインフィニットを後退させる。アレスマグナの一撃は確かに通じている。ダメージ軽減でも勢いまでは殺せていない。
このままテンポを取る。選択を決めて更にヴァイスインフィニットの攻撃を加えようと拳を振るいあげる。
だが、それを見て神治が呟く。
「ならっ、こうだっ」
『―――あっ、があああぁぁぁっ!!?』
「っ!」
響いた悲鳴。よく聞いた彼女の声だった。それによる衝撃で攻撃の勢いが衰える。だがすぐに隙を晒すまいと素早く後退して距離を取る。
距離を取ってから思考を巡らせる。先程の声。間違いない。やはりその手で来た。
自身を、黒和元の力を抑え込むための一手。動揺を誘える手段。抗おうとしても無視できない弱点。それを元も予測していた。
その声の主を、元は尋ねた。
「やはり、ジャンヌがそこにいるのか」
『その通り。お前に対する人質だ。黒和元』
「無視できんのかよ!?魔王!!」
その言葉が重くのしかかる。
NEXT EPISODE
今回はここまでです。
グリーフィア「元君も予想していたとはいえ……胸糞悪いわねこの展開」
ネイ「人質となったジャンヌさんの悲鳴……やっぱり、元さんには効果抜群だね……」
グリーフィア「抜群ってレベルじゃないわよ。自分の攻撃でジャンヌが痛めつけられる。そんなの今の元君には途方もない精神的ダメージでしょ。自分のせいだって前の話でも言っているんだし」
ネイ「そうだった……作者さん元さんに酷いことしかしてないですよ……」
正直書いてて物語とはいえつらです。けど元君ならやれるから書いてます。
グリーフィア「元君はおもちゃじゃないんだぞ!」
それはA○E。
ネイ「でも、この状況から次回どうしていくんでしょうか。この話の時点で元さんはどんなことになっても戦うと言っていますが、まさか、本当に顧みずに……」
グリーフィア「戦うしかないのは、そうでしょうね。問題は元君が戦えるか。それは次回のお楽しみってことでしょうが。けど、それに至るまで元君凄い考えて戦ってるわね」
ネイ「そうだよね。今までも機体性能を生かしたり、先を読んでいたけど、今回はもっと考えているというか。やっぱりジャンヌさんがいない分をちゃんとやっているんですね」
そこは旧式で戦い続けたパイロットの意地ってやつですよ。さて、それでは今回は、ここまでです。疲れた。
グリーフィア「はいはい。この後はツイッターの告知もよろしくね~」
うぃっす。
ネイ「最近はジャンヌお嬢様で通してる分、楽ではありますね」
グリーフィア「そもそもアシスタントとかもういいのでは案件」
それは、考えてる。はい、ではまた次回。
ネイ「あはは、次回もよろしくお願いします」