ネイ「遂に切られた切札。一度は敗れたジャッジメントクローズモードですが、今の状態で通じるんでしょうか?」
グリーフィア「正直言ってあんまり通じるとは思えないけどね。あの時だって二人で全力でやってたと思うのに、勝ちをギリギリで持って行かれたんだし」
どのようにして勝ちを狙っていくのか。それでは本編をどうぞ。
「今さらそいつを発動したところで!俺は止まらない!!」
ジャッジメントクローズモードを発動した元に対し、未だに余裕の姿勢を崩さない神治がそのように言って迎え撃ってくる。神治の言う通り、今さらの発動と言えるだろう。しかし、止まらないかどうかはまた別の問題だ。
ブレードガンⅡにビームサーベルを纏わせ、ヴァイスインフィニットエアレーザーの両刃剣と再び激突する。当然の如くジャンヌの悲鳴が聞かせられる。
『う、ぐうぅ……!!』
神治は分かっている。それが元にとって無視できない声であると。その苦悶の声を聞かせるだけで、元は弱くなることを。だからこそここぞとばかりに使ってくる。
だが、それは「今」以外の元に対してだった。「今」の元は、止まらなかった。
「ふ……何?止まらない、だと?」
「はぁっ!!」
神治が動揺した隙を突いて斬り抜ける。両刃剣の片方を叩き落とし、シールドアームに切れ込みを入れる。斬り抜けてから反転すると、その背部目がけて取り出したネオ・ガン・グニールの砲撃とナハト=ヴァールの連弾を浴びせる。
ヴァイスインフィニット側は唖然としながらも攻撃を防御する。DNウォールを展開したのを見てから、ネオ・ガン・グニールを構え、アズールハルピュイア譲りの加速力とアレスマグナの力でその突撃を敢行する。
銃槍による突撃はDNウォールによって防がれる。が、それも一瞬の攻防。加速力と腕力にDNウォールが屈し、内部に槍の先端が突き刺さる。それを見てエンドが狼狽する。
『この機体のDNウォールを突破だと?スタートの力もか』
「それだけじゃない。全部の力を、上乗せだ!」
その言葉が示す意味、ネオ・ガン・グニールが砲撃態勢へと入る。穂先からビームが生成されていく。穂の部分が可変し銃口を露出させる。スカルキングの砲撃能力が加算されていた。
防御した状態からのこの状況に神治からは切羽詰まった声が漏れる。本当に躊躇いなく攻撃しようとして来る元に、正気を疑っていた。
「くそっ、人質がいるんだぞ!?声が聞こえてないのか?」
『……神治、どうやらもはや通じないようだ、その戦法は』
「何だと!?まさか、本当に……」
『この状況は、こちらが不利だッ!』
エンドがこちらの覚悟を悟る。その時、ネオ・ガン・グニールからビームが煌めく。
「狙うは、そこっ!」
放たれた高圧縮ビーム。しかし寸前でエンドの操作したであろうヴァイスインフィニットエアレーザーの蹴りにより、射線がずらされビームはシールドを掠めながら明後日の方向へと飛ぶ。
DNウォールが消失し、一度距離を取ろうとするヴァイスインフィニット。元は、シュバルトゼロクローザーでそのまま逃げるヴァイスインフィニットを追う。
追跡が展開されながら、お互いに銃撃戦へと発展する。その中でエンドが元の狙いに気づく。
『なるほど。まだジャンヌ・ファーフニルを救うことは諦めていない、ということか』
「っ!そうなのか……だったら、何で……まさか、本当に?」
『愛する者が傷つこうとも、突き進む。その覚悟を決めたということ。その前に助け出すという自信を、賭けに出たわけだ』
エンドの言う通り、突き進むことを選んでいた。そこに迷いはもうない。
助け出す、絶対に。助けられなかったことの事を今考えていては救えないと理解し、救い出すことだけを考える。その思考だけが元の身体を突き動かし、シュバルトゼロクローザーで攻撃を仕掛ける。
攻撃の精度も先程までとは違う。撃墜しない箇所を、なおかつ動きに影響の出るスラスター、四肢部分の可動箇所、武装を一点集中して狙う。その攻撃にヴァイスインフィニットはただ避け、防御するしかない。
その過程で神治らはジャンヌへと、同時にレイアにも負荷は掛けていっていた。レイアの分まで悲鳴をこちらに聞かせてくる。
『あぐ……づぅ……いぎゃ!!』
『っ!……うぐ、くぅ……』
「おらっ、働けよパーツ共っ!俺が救世主になるために!もっと声を響かせろよぉ!!」
『あああああぁぁぁぁぁぁーーーーっ!!?』
更なる悲鳴で動揺を誘おうとする神治。そのうえでこちらを叩き潰そうとビームランチャーをビームランサーとして起動、反撃の一刺しを繰り出す。が、その攻撃は身体を捻らせ避けて、代わりにその胴体にシールドによる打突を喰らわせる。
「遅い」
「がっ!?このっ!」
『っ!殺気!?待て神治!回……』
エンドが喋るより前にシュバルトゼロクローザーの武装制御を行う。瞬間轟音と共にヴァイスインフィニットの胴体が衝撃に襲われていた。その衝撃にうめき声を上げるヴァイスインフィニットのパイロット達。
「がぁっ!?」
『げふっ!?』
『おぇぇっ!!……』
『ぐぅ……これは……バンカー、だとっ』
シュバルトゼロクローザーの手持ちシールド、ナハト=ヴァールの先端が煙を上げながら突き出されている。ヴァイスインフィニットの機体にはそれが当てられたであろう箇所にへこみが生まれていた。
それを確認してから、スタートが知らせる。
『ナハト=ヴァール、パイルバンカーモード、出力50%カットで動作確認!効いているぞ』
「分かっている!」
普通なら軽々とMSの装甲を貫く一撃。それを中にいる人質のジャンヌ達の為に敢えてその出力を抑え込み、貫かないギリギリの出力で稼働させたのだ。
威力は貫かない程度に抑え込んでこそいるものの、衝撃まではコントロールできない。強く打つ程度でもヴァイスインフィニット側には大ダメージのようだ。バンカーを収納形態に戻しながらジェミニナイフを構えて斬りつけていく。
よろけていたヴァイスインフィニットエアレーザーにナイフの斬撃がダメージを与える。無秩序ながら関節駆動系を狙っており、肘部にダメージを与えて斬り抜ける。即座に切り返してジェミニソードと合体、ディオスクロイとして背部スラスター、強化パーツを狙う。
しかし、神治もまだ動けた。痛みを堪えて、機体を動かす。
「こんのぉぉぉぉ!やられるかよっ!」
渾身の機動、間一髪のところを勢いよく取り出し、即振り回した両刃剣で受け止める。激突と同時に両者は弾かれ、距離が空いた。
お互い衝撃に苦難しながら立て直す。それぞれから文句が放たれる。
「無茶苦茶な反撃だな……間に合わせるためとはいえ、そうも来る」
「お前、こそっ。助ける気が、あるくせに、こんなっ、ぐぅ……」
だがまだ元が有利な展開は続いている。変わらずディオスクロイとナハト=ヴァールを構え、突撃のタイミングを伺う。
万全の戦闘体勢を整えている元に、神治の方は動揺で突破口を切り開こうと映像を展開する。それはエンゲージシステムで捕らえているジャンヌ・ファーフニルの現在の映像だった。
「見ろっ!お前の攻撃で、この人質だって今にも息絶えそうに……」
「小賢しい!」
ところがその映像を切り裂くように元はシュバルトゼロクローザーの機体を突撃させる。映像の奥から突如として飛び出してきたシュバルトゼロクローザーを見て反応の遅れた神治。
「なっ!?」
『余計なことを!』
吐き捨てるエンドがすぐに操縦を変わった様子で、攻撃を止める。押し込む刃。その状態で元は神治達に言い放つ。
「お前達が、どれだけジャンヌを、レイアを痛めつけようと勝手にしろ。だけど、俺は必ず二人を救い出す」
「くっ、こいつ……どうしたら、そんな考えに!?」
『ごく当たり前のことだ、神治。戦士として、時として傷つける覚悟を持った者がいる。それがお前の敵である、黒和元という男』
「そんなの、ただのクズじゃないか!人質に構わずなんて……」
元の行いをクズだと断言する神治。元自身もそれを言われて仕方ないと思う。だがしかし、それを否定したのは目の前にいるエンド自身だった。
『確かに、その点ではクズと言えるだろう。だが、それを成せる奴は、お前よりも戦う者として、遥かに高みにいる者だ。今のお前には、越えられない……!』
「くっ!?何だよ、それっ!こいつが、上だと!?なんで!」
エンドの言葉の意味を理解できずに苛立つ神治。一方元はその意味を分かっていた。
決してエンドは褒めてなどいない。厄介な相手であると、貶してやっかんでいる。その度合いを神治に伝えただけだ。
実際元自身も心の中で舌打ちしている。本気になられるのは厄介だ。けれども押し通すしかない。攻撃を、隙を突いて、一撃で決めると。もっとも奴の言葉に救われていないわけではない。
はっきりとクズと言ってくれる分割り切れる。やはり自分はジャンヌには相応しくないのだと思える。救うことだけに専念できた。
それらを何も分かっていない様子の神治は苦し紛れに回線を人質としているジャンヌに繋げ、苛立ちと共に喋らせようとする。
「おい、魔王の女!お前のパートナーはお前を殺そうとしているぞ!殺されたくないんじゃないのか!命乞いしてみろよ!」
『あ……ぐぅ……』
項垂れた様子が回線から聞こえてくる。無理矢理喋らせようとしているのがよく分かる。しかしそれではむしろ状況がよく分かっていないのがほとんどだろう。
もっともその様子も痛々しさが伝わってくる。押し込む力をそのままに、ジャンヌの声にしっかりと耳を傾ける。
何とか命令を聞き、精一杯声を出すジャンヌ。ジャンヌのたどたどしい喘ぎ声が言葉を紡ぐ。
『はじ、め……倒し、て……ゼロン、を……』
「なっ、お前何言って!?」
『わたし、は……あなたに、もう、ひつよう、のない……存在。わたしの、ことは……いいから……痛み、は……うけとめて、いるから、レイアさん……を……』
回線から聞こえてくるジャンヌの懇願。囚われる前のやり取りを強く意識しているせいか、自ら生きることを諦めてしまっていた。ただレイアの救出を願う。
神治の思う通りにならないのは良かった。しかしこの事態は自分が招いたことだ。元の気持ちは変わらない。だがそれでも生きる事すら諦めて欲しくはない。元にとってはジャンヌとレイア、「二人が」生きていてほしいから。
諦めるジャンヌに向けて接触回線で呼びかける。
「ふざけるなっ。俺はお前と、レイアの二人に生きていて欲しいから戦う。お前がいない世界じゃ、意味がない。お前達二人が再び笑い合える時間のために、絶対に救い出す!そこに俺がいなくとも!」
『違う……わたし、が、のぞんだ……のは、そんなことじゃ……あああぁぁぁっ!?』
「何イチャついてやがる!!」
回線を無理矢理終わらせる様に負荷を引き上げた神治。同時に機体の出力を上げて無理にシュバルトゼロクローザーを押し返す。
二つのエンゲージシステムで上がった出力は凄まじく、軽くシュバルトゼロクローザーは飛ばされる。空中に身を投げ出しつつも後転するような形で地面へと着地する。
身構えようとする元だったが、そこで鋭い痛みが身体を襲う。
「っ……がぁっ!?」
『元!もう限界か……』
「まだだ……まだ終われない!」
限界というのはジャッジメントクローズモードの発動限界だった。通常時よりも多大な負荷を掛ける単独のジャッジメントクローズモードに身体が悲鳴を上げていた。
吐血し掛けるもそれをぐっと堪える。何とか目の前の敵を、ヴァイスインフィニットと相対し続ける。
一方のヴァイスインフィニットもそれになんとなく気づき、嘲笑う。
『どうやらその機能、単独では負荷が大きすぎるようだな』
「ははっ、そういうことかよ。所詮お前が、俺に敵うわけないだろ!これで終わりにしてやる!」
神治が勝てると意気込み、シールドから両刃剣を大量に射出。ファンネルとして浮遊させる。こちらも無理を押してビットウエポンを全て射出、コントロールする。
まだ終われない。そう語ったからには対抗する。全力でDNFをぶつける。
『DNF!』
『DNF「セイクリッドラウンドナイツ」』
『Ready set GO!DNF「ウイングレイド・クロスストーム」!!』
『いっけぇぇぇぇぇ!!!』
同時に叫び、ファンネル同士が突撃する。数で言えばこちらが有利。しかし相手の物は大きい分頑丈。それを動きで補い、避け、DNFの出力で撃墜し合う。
遠隔操作端末同士が激突を繰り広げる中、元の方は更に自らも攻撃を仕掛ける。コントロールをスタートと共に維持しつつブレードガンⅡを構えてヴァイスインフィニットエアレーザーに仕掛ける。
「はぁぁぁぁぁぁっ!!」
「ちっ!コントロールしながら?手助けかよっ」
それをスタートにやってもらっていると勘違いしながら神治が迎え撃つ。予想通りファンネルコントロールはエンドが担当しているようだ。
神治と剣同士の激突を行う。残っている両刃剣とのぶつかり合い、神治単体でも剣の扱いはそれなりと言った様子だ。元もビットのコントロールに意識を割いている分精度は甘い。それでもやや元が圧されつつあるのは負荷が限界まで来ているのと、ダブルエンゲージシステムの恩恵だろう。
出力と反応速度で互角以上に渡り合ってくる神治は、余裕を崩さず元を貶してくる。
「どうした?さっきよりも動きが鈍いぜ!」
「そこは、分かるくらいの能力はあったか!」
「調子に、乗るな!」
挑発に乗せられ力任せに振るわれる一閃。それを大きく後ろに跳躍したシュバルトゼロクローザーは、その吹き飛ばされた高さを生かしてそのまま次なるDNFを繰り出す。
「DNF!」
『Ready set GO!DNF「ディメンションストライザー」!!』
「くっ!?」
急降下を合わせて神治の不意を突く。だがその一撃はギリギリのところで躱される。蒼い残像が残る。エラクスだ。エラクスシステムで背後に回った神治が咆える。
「そんな攻撃!隙だらけなんだよ!」
がら空きの背後を目がけてヴァイスインフィニットが攻撃を仕掛けてくる。大きく隙を晒したシュバルトゼロは体勢を崩している。反撃、回避にもワンアクションがいる。もはや決定的だった。
しかし、元は冷静に告げる。
「隙だらけなのは、そっちもだ!」
瞬間ヴァイスインフィニットエアレーザーの機体を一斉に拘束していく。それはシフトパネルウイングから放たれたアンカーとフェザービットから形成されるビームウィップ。激突の中でマルチ・スペースシステム内に補充していたそれらを積載していたシフトパネルウイングを飛び上がりと同時にパージ、あらかじめ展開していたのである。
誘い込まれたことに絶句する神治。一方エンドは冷静にそれらの撃墜をファンネルとなっていた大剣でやろうとする。
「嘘だろ、こんな……古臭い武器に!?ぐっ!」
『すぐに対処する。セイクリッド!』
『やらせん!』
スタートがエンドを先回りする形で残っていたビットで射出済みの両刃剣を攻撃、いくつかのビットの犠牲と共に破砕を成し遂げる。
ヴァイスインフィニット側の両刃剣も射出出来ないように既にアンカーで剣をがんじがらめに抑え込んでいる。シフトパネルウイングのアンカーの反対を地面へと射出して固定するとシフトパネルウイングがシュバルトゼロクローザーの本来の位置へと戻ってくる。
完全に固定したのを確認し、スタートに仕上げの合図を放つ。
「スタート、これで決める!」
『分かっている。DNF使用許可!』
『っ、何をするつもりだ……』
何をするのかと尋ねるエンドに答えてやる。
「言っただろう。救い出すと!」
その言葉と共にシュバルトゼロクローザーの右腕を掲げる。マルチ・スペースシステムで取り出したのは手甲パーツ。あの日、レイアを救い出そうとした時に装着したあの装備だった。
それを装着した上で、エラクスを起動。エレメントをアレスへと切り替え、更にDNFを起動させる。
『Ready set GO!EDNF「アレス・ゴッド・フィンガー」!!』
蒼く染まった全身、その中で唯一右手が真っ赤に燃え上がる。失った者を取り返せと言わんばかりの輝きに染まっていた。これこそ、二人をこちら側に強制的に引き戻すための必殺の一撃だ。
その行動でエンドも気付く。あれを受けてはいけないと拘束から逃れようと試みる。
『ぐっ、外れん……』
「くそっ!エンゲージシステムは二つあるんだ!押し返せよっ!なんでできない!!」
神治も出力が上がっているのにと必死に騒ぐ。だが如何に出力を上げようと抵抗できないだろう。それはかつてシュバルトゼロクローザーにも使われた兵器、ユグドラルキャプチャーと同じ対DNL兵装に加え、ワイヤー自体はあのANDメタルで構成されている。
DNの出力での抵抗すら封じるANDメタルも使った捕縛。それでは接触したシュバルトゼロクローザーも影響を受けそうなものだが心配は無用。ANDメタルには接触したMSのみに効力を抑え、更に万が一にはそれを無効化する機能が手甲のパーツに追加されていた。
一度失敗したからこそ改めて構成し直した作戦。二度目は必ず成功させる。その想いを抱えて動けないヴァイスインフィニットに向かって機体を加速させる。
『向かってくるか、黒和元!』
「このっ、何とかしろよエンド!」
抵抗を諦めようとしないエンド達。それに向かって元は子の一撃で絶対に救うと宣言する。
「約束を果たす。ジャンヌもレイアも、救って見せる。今度こそ、終わらせる!」
その手がヴァイスインフィニットの胸部に向けて伸びる。エンゲージシステムに近い場所を触れて、そこからデータ化しているジャンヌ達をサルベージする。触れてしまえば後は勝ちだ。
その距離がもうすぐで届く。もう数十センチとなった、その時、突如エネミー反応が近距離に示される。同時にリ・ホリンの甲板が吹き飛ぶ。飛び出してきた影が襲ってくる。
「残念だが、そこまでのようだな、ガンダム!」
「くっ!?ハリヴァー!」
ハル・ハリヴァーの駆るシナンジュ・ゼロンがライフルを向けて妨害してくる。直撃コースを狙ってきており、やむを得ず回避する。再び離れるヴァイスインフィニットとの距離。
更に立て続けに甲板が吹き飛ぶ。続いて現れたのは黄金の機体。蒼穹島のタイプシリーズからデータを得て作られた究極のタイプシリーズの一機、タイプ[リズン]だ。そのパイロットのジョセフが待っていたと言わんばかりに叫ぶ。
「こっちにもいるんだなぁ!魔王、お前を狩る!」
『っ!タイプシリーズもか!元!』
「くぉのっ!!」
大型ガンブレードランスから放たれる大出力ビーム二本を束ねた極太のビームが襲い掛かる。それをエラクスの加速で間一髪回避する。
攻撃は完全に避け切った。しかしもう攻撃には移れない。奴らは拘束されたヴァイスインフィニットの前にたどり着いており、こちらに銃を構えている。
エラクスを解除し、着地する。途端に痛みが身体を支配する。
「がぁっ!?……ぐぅ…あ」
『元!……G-Arcか……エンド』
倒れるのを堪える元に心配を向けながらエンドへと言葉を向けるスタート。普通なら横槍と判断する、ルール違反の行動。しかし奴にはそれを合法とする機能がある。元もそれを分かっていた。それを秘密裏に使ってくることも、想定していた。
遠くなる意識を繋ぎ留めながら、エンドの答えを待つ。エンドはヴァイスインフィニットの拘束を、二機を「操作」して解かれながらこちらに対し現実を突きつける。
『分かっていたはずだ。こうなることは。私の「軍隊」に、お前達は敵わない』
その言葉と共に二人を救うという希望は打ち砕かれたように見えた。元の持つ、「最後の切札」以外。
NEXT EPISODE
EP96はここまでです。
グリーフィア「はー最後マジクソなんだけど!?」
ネイ「落ち着いて、姉さん……口調が」
グリーフィア「失礼♪ただ、本当に厄介ね、G-Arcは」
ネイ「MSを操作して運用する。単純に単体のMSの戦力を二倍以上に引き上げられるっていうのは驚異的だね」
単純ではないよ。MSほどの機体をファンネル操作するなら確かニュータイプ能力もそれなりに高いのじゃないとダメだったはずだから。
グリーフィア「つまり、それをやってるエンドはとんでもなくヤバいDNLってことの裏付けね。ホント、ヤバいわね。MS二体操作とか」
ネイ「そのうえ本体の操作も……神治が動かしているとはいえ、まだ危なっかしいところもあるみたいだし」
今分かっているのはMSのメイン操縦は神治、ファンネル系統や緊急時にエンドって感じですね。元君より助けてもらう割合は多いけど。
グリーフィア「ホント、それまでに何とかしなきゃいけなかったって言うのにさ!けど元君も結構凄かったわよね~。この状態になるまでの間」
ネイ「能力の同時使用、隙を見てパイルバンカーの使用、ファンネル系武装同士の対決からの不意打ち、避けられてもトラップ配置と。いつも以上に元さんの戦術が輝いていたんですが……ヴァイスインフィニットの方が上でしたね」
本当なら元君はG-Arcを使われる前に終わらせるつもりだったんです。すべての能力をフルに使い、反応されるよりも前にDNFで決着を付ける。それがことごとく失敗しているのはやはりエンドも英雄であるというのが影響してますね。
ネイ「英雄相手に小細工は通じない、と言いますか……」
グリーフィア「いずれにしても、元君も体力限界で手詰まり、のはずなんだけど。なんかまだあるみたいよね、これ。ここまで来ると……まさか?」
その想像は次回にお願いしようか。というわけで今回はここまでです。
ネイ「それではまた次回に」