ネイ「アシスタントのネイ・ランテイルです」
グリーフィア「アシスタントのグリーフィア・ダルクよぉ」
いよいよ今回で第2章完結!EPISODE29の公開です。
ネイ「遂に2章も終わるんですね……一体どのような終わり方になるんでしょうか……」
グリーフィア「そうねぇ。とはいえ前にレイ達も言っていたけれど、まだピンチだってことには変わりないのだけれど」
そこは何とかなるさ(´Д`)まぁ今日の投稿は番外編の投稿も一緒になるからね。ちょうど2章の途中のお話になるから、そちらもご覧ください。では本編へ!
数分に渡るドッグファイトを経て、見事可変MSをすべて撃破したガンダム。空中に漂うガンダムは戦場を統べる存在のように空中に君臨していた。が、そのガンダムを操る元は、機体をホバリングさせた状態で超機動による反動に苦しんでいた。
「なんとか……片付いた」
息を荒々しく吐く元。同時に機体の危険を知らせるアラートが響く。だがしかし、それは背部から響いた蒸気音に近い音の直後、収まった。機体コンソールとスタートの発言から、伝えられる。
『エラクスシステム暴走危険域突入、と同時にリム・クリスタル投入。……よし、システム正常停止確認。しばらくの間、機体各部のエネルギー流入に制限を掛ける。元、大丈夫か?』
スタートから告げられるシステム停止の知らせ。一連の動作はシステムの正常停止を行う動作だったのである。機体は蒼い光を失い、再び黒い姿へと戻る。
機体各部の装甲破損具合はシステム作動前とほぼ変わらない。しかしモニターには機体の内部への負担が著しく出ていた。元もこれだけの戦果を挙げたので、退いた方が良いと思っていた。しかし、戦闘が終わり、退避していたマキナスのMS達が再び戦闘の光条を放ち向かっていた。
狙いとなるのはもちろん元だ。あれほどの動きを見せた機体を、見逃すはずがなかった。元は機体性能の下がったガンダムでその射線から退避、後退していく。それを援護する様に再展開するリリーのナイツ・ヴィーナスのMS達。リリーが通信で呼びかけてくる。
『よくやってくれた。一度下がれ。後は私達が持ちこたえる!』
「わ、分かりました」
リリーの言葉に従い、後方へと機体を向ける。これ以上の戦闘はガンダムに無茶をさせることになる。元も分かっていたからこそ戦闘を彼らに任せた。
しかし、彼らのその戦闘も、間もなく終わるものとなった。
『いいえ。リリー准将も退いておくれやす。デカいのお見舞いしたるさかいに!』
突如響いた聞きなれる女性の声。元や他のMS装依者達も動揺を見せる。だが機体モニターに映った射線退避勧告を見て、その言葉に全員従う。
退避した直後、ドラグディアのMS達のいた空中を、地上から大出力のビームと思わしき熱を帯びた光が伸びていく。圧倒的な熱量を持った光の収束体は、空を薙いでいき多くのマキナス軍MSを焼き尽くしていく。回避しようとした敵空中艦もエンジンを貫かれ爆散する。空はたちまち爆発の光で溢れ、マキナス軍は後退、どころか撤退信号を放ち、国境方面へと撤退していく。
あまりに劇的過ぎる逆転劇に各々固まった。あまりにも凄まじい破壊力が、もしあれに焼かれていたらと思うと素直に喜べなかったのだ。元もその威力に、誰が放ったのかということも忘れ、通信回線に向かって疑問を投げかける。
「い、一体、何があのビームを……?」
すると元の言葉を下方に目をやったガンドが近寄りつつ訂正した。
『……いや、あれは炎だな』
「炎?ビームの炎ってことですか?」
『違う。魔術でドラゴンの放った炎を、収束させてビームと同じだけの破壊力にしたんだ。本来ならこんな混戦で使うべき攻撃じゃない。……で、そんな荒唐無稽なことを簡単にやっちまったのが、あれだ』
「…………な」
ガンドの指さした方向に思わず目を丸くする。地上付近にいたのは、機械の鎧を身に付けた何か巨大な生物。あまりにも大きく、本当に生き物かと疑ってしまう。
やがて地上に降りた元は、それがドラゴンであることを知り、更に驚いてしまった。ついでに言うなら、そのドラゴンを操っていた女性の素相にも驚いてしまうのだが。
ともあれ、決闘とそれに端を発した国外追放未遂とマキナスの国境侵攻は無事終わりを迎えたのであった。
◆
戦闘は終わった。その事実はネアも、そして彼女の為に尽くしてくれた、全ての人々が認識した。本来なら決闘を終えた時点で祝いの言葉をもう1人の当事者である、自分の従者後輩の青年に言って終わりだっただろう。しかし、彼女が彼に話しかける時点でそのタイミングを失い、マキナス軍との戦闘に入ってしまった。次々と飛び立っていった、ドラグディアの軍人達。その列にその従者後輩までもが加わろうとしたときには、ネアはとても辛く思った。
元は自分など、父親に厄介払いされた存在。今までも自分の腹違いの姉や遠い親戚の老人、それに自身の仕える主の父親に生かされてここまで来て、迷惑を掛けようとしていた。それくらいなら、いっそ消えてしまいたかった。でも、そうじゃなかった。
お嬢様の言った言葉。「どうして、貴方が犠牲になれば解決するの?」「貴方を失って悲しむ人がいないはず無いじゃない」。ハジメさんに言った言葉、それは私にも当てはまる言葉だった。家から追い出された時も、私はいなくなればよかった、いなければよかったと思っていた。けれど、グリューネさん、ううん、姉さんがそれを許さなかった。私といたいからって、グランツさんに無理を言って、私をお嬢様の家に置いてもらえるようにした。
始まりを思い返したネアの脳裏に、ジャンヌの家に置かれ、彼女の従者として働くようになった時の事が続いて思い起こされる。最初の頃はまだ仕事の失敗も多く、指導係のフォーンにもよく叱られ、隠れて泣いていたこともあった。
(あの頃は大変だったなぁ。でも、お嬢様が私を救ってくれた)
泣いてばかりいたネアに、ちょうど居合わせたジャンヌが話しかけてきたのだ。その頃はお互いにまだ5歳。ジャンヌもまだ家の呪いなどなかった時の事だ。泣きじゃくっていたネアに、ジャンヌは迷惑気にしつつも、ネアに手を出した。
(いいかげんになくのをやめなさいっ!フォーンにはだまっててあげるから!わたしにだけはほんとうのことをいっていいわ。わたしはあなたのあるじさまで、あなたはわたしのはなしあいてなんだから!)
ネアの手を引っ張って、ジャンヌは自身の部屋へと通した。そして彼女の悩みを聞こうとしてくれたのだ。その時は泣きじゃくってあまり話せなかったが、それ以来ネアはジャンヌに一生付いて行こうと決めたのだ。それ以降ジャンヌが性格を変えても、ネアは嫌と言わずに、彼女の為に尽くしてきた。
後で聞いた話によれば、フォーン様もその話を聞いていたという。しかしそれ以降ネアの仕事の回転率が上がっていき、お咎めなしとなったのだ。その実、ネアは様々な人に支えられ、同時に支えにもなっていた。ネアがいなければ、この作戦は行われなかった。作戦の要因も揃わなかった。
そう思うと、ネアの心に余裕が到来する。それは今までファーフニル家で過ごしていた時のものとは違う、解放されたような安心感。それをもたらしてくれた姉が、とても愛しい。そして、彼女の身を案じてくれていたのがもう1人いたことに、ネアも驚いた。その人物の素相に対してだ。
ハジメが去った後の闘技場に現れた1人の女性。彼女はネア達を誘うと、1匹のドラゴンの背に乗って戦場方面へと向かった。あまりに突飛な話だったが、姉のグリューネにも急かされ、ジャンヌやアレク、ヴェールも車に乗りこんで竜を追って国境付近に向かった。
ガンダムの蒼い光が消えた後、そのドラゴンは戦闘に介入した。たった1発の魔術収束ブレスで薙ぎ払い、敵を払いのける姿はまさに「母は強し」であった。誰の母親か、と思うかもしれないが、それはすぐに明かされる。
ドラゴンのブレスにより窮地を脱したドラグディアのMS達はドラゴンの付近へと降り立っていく。ナイツ・ヴィーナスのMSを装依する隊員達がその迫力に驚きを見せる。それはこの戦闘の立役者でもあるガンダムも同じであった。ドラゴンの姿に改めて驚きを示していた。
「今さっきの攻撃を、本当にこのドラゴンが……」
年相応の青年らしい言葉。そう呟くハジメに車から降りたジャンヌが真っ先に話しかける。
「ハジメっ!」
「お嬢様。ご無事で」
「無事じゃないわよぉ!落とされるんじゃないかって、心配で……うぅっ!」
従者の手を掴んだ途端、泣き出してしまう主。しかしそれだけジャンヌがハジメの事を心配していたのも事実だ。ネアもジャンヌを落ち着かせながら、無事を祝う。
「お嬢様、そんなに泣いていたらハジメさんを困らせちゃいますよ?……ハジメさん、無事で何よりです」
「はい。お嬢様をお守りいただき、ありがとうございます。ネアさん」
3人がそれぞれの無事を確認すると、ハジメはドラゴンの主について訊いてくる。
「それで、このドラゴンは一体誰が……」
「あー……それがですね……」
説明に困っていると、ドラゴンの背から降りた女性がこちらに向かって降りてくる。
「私どす。今回は皆様方には本当にお世話になりました」
なまった地方言葉で話しかけてくる女性。着物姿を着こなすオレンジ髪の女性。するとグリューネがその女性に駆け寄ってくる。
「お母さん!」
「お、お母さん!?」
「んもー、グリューネったら、上手くいかないかもって本当に心配したんやからぁ」
グリューネにそう呼ばれた女性は、その肩書き通りにグリューネを我が子のように抱きしめる。ハジメがその女性の振る舞いに戸惑う中、アレクが説明をする。
「あぁ、彼女はノルン・サランディーネ。グリューネの実母で今回の主犯ヴァルトの前妻に当たる人物だ。彼女もヴァルト側が暴走して非情行動に出た時の為に準備していた人物なのさ」
「ちなみに、私が要請しました~。ハジメ君、よくやったわぁ~」
遅れて車の中からやって来たのは、ジャンヌの母クリエ・ファーフニル。彼女もまたグリューネの協力者だったのだ。正確には彼女はノルンの知り合い、ノルンの後輩に当たり、ノルンと共にもう1人の事件の当事者、ヴァルト・ロードの現妻であるシャリィ・ロードの確保に奔走、確保したのちこちらの救援に来たというのが真相だった。
とはいえ、他にもツッコミどころはある。クリエから子供のように頭を抱きしめられるハジメが、ドラゴンの事について尋ねた。
「お、奥様、そんなにされては……というか、あのドラゴンは?」
「あぁ、あれはうちの家系が代々育成する赤竜の一体、サラマンダードラゴンの「ヴォイガー」言います。軍にも徴用されとるんよ?ほら、挨拶!」
「グゥゥゥーン……」
ノルンの言葉に、ドラゴンはあいさつ代わりに唸る。最初はネアも驚いたが、かなり人懐っこい。それがサランディーネ家の代々の賜物であることは間違いない。ハジメもお辞儀をする。
そうしてこの戦いに関わった、全ての人物が揃った。実母から離れたグリューネが、ネアとアレクの横に立つと全員を見渡し、お礼の言葉を述べる。
「さて……今回はみなさん、本当にありがとうございました!無事にネアも妹として戻ってこれました」
「ぐ、グリューネさん……」
妹の自分を屈託なく抱きしめ、笑いかけてくる姉に恥ずかしそうにするネア。だが、ネアもそれが分からないわけではない。幼い頃に別れた妹を取り戻すために、長い時間を掛けて妹を護りながら計画を練ってきた。今それが成就し、何の心配もなく妹と一緒に居られる。これがどれほど嬉しい物か、今まで出来なかった当たり前のことが当たり前に出来るようになる。その喜びを、ネアも受け入れその名を改めて呼んだ。
「……うん、ありがとう、姉さん」
「ネア……うんっ!」
数年以来となる姉妹の再開は、ここに無事達成されたのであった。その様子を見て、各々が拍手を送る。
「これで、無事終わりですね、お嬢様」
「えぇ……そうね」
「兄弟姉妹が当たり前でいられる。これほど嬉しいことはないさ、2人とも」
「その通り。そんな当たり前を護るのが、私達軍人なのさ。……ですよね、バァンおじさん」
「フッ、リリー君、今はまだ仕事中ではないかね?その呼び名は近所のおじさんであった時の、プライベートな時間にしてほしかったかな……いや、今はプライベートな時間か」
ハジメやジャンヌにバァンとリリーが語りかける。2人の軍人は、本来の関係性を口にし、顔を見合わせ笑う。その隣ではヴェールとゼントもかつての話を思い出す。
「そういえば、ヴェールは昔兄達にすごいコンプレックスを抱いていたな。いなくなればいいって言ってなかったか?」
「そんなこと言ってたね。……でも、そうは言っても、本当にそうなってたら、私泣いてたかも」
「ほう、どうしてだ?」
「決まってるよ。兄妹の代わりは、いないんだから」
「納得だ」
いい感じになっていることを誰も指摘しない。いや、指摘するのもおこがましいのだろう。今はネアとグリューネが主役なのだから。気になりはするだろうが。
一方、親組であるガンドとクリエ、ノルンはこれからの事について話す。
「それで、ノルンさん。ネアの事ですが……本当によろしかったので?」
「当り前です。うちの子は妹の為にあの毒親の下で生活してきたんですから、あの子の為なら、娘2人位苦でもありゃしません。しばらくは混乱もあるから、ネアの方はまたしばらくお願いするかもやけど」
「あらあら逞しいこと。流石私が憧れた先輩ですね」
「後輩の家族に面倒見てもらっていたんやから、当然の事よ」
話によれば、グリューネとネアはノルンがまとめて面倒を見てくれるそうだ。それでも事件の騒動を鎮静化させるため、色々と動かなければいけないらしく、しばらくネアもまたファーフニル家でお世話になる予定だ。
しかし、とネアは思っていた。今までと決定的に違うことがあった。それは、確かな肉親がいること。これは何物にも代えがたい安心感だ。改めて抱き付く姉に、苦笑いしつつも嬉しさを再び口にする。
「お姉ちゃん、ありがとう!」
◆
「さて……そういえば、アレク・ケルツァートも何か協力していたみたいですけど、一体どうして?」
姉妹の再会を喜ぶ傍ら、ハジメがそのようなことを口にする。結局のところ、遅れてやって来たジャンヌも、アレクがどういった理由でグリューネと通じていたのか不明だった。いくら欺くためとはいえ、何がどうやってレドリックの部隊のエースと、そこまで出来る深いつながりがあったというのだろうか。
すると、その答えをグリューネがネアの方から手を放すと彼女を引き連れながらアレクへと抱き付き、答える。
「あぁ、アレ君は私の彼氏よ」
「あぁ、彼氏……って彼氏?」
「ちょっ……!?彼氏!?グリューネさんと、アレクさんが!?」
ハジメとジャンヌは目を丸くし、その事実に驚愕する。彼らだけではなく、グリューネに腕を掴まれた状態のネアも、他数名が同じ反応をした。当の本人であるアレクも、後頭部を掻きつつ、恥ずかしさを表現しながら事実であることを告げる。
「えぇ。1年ほど前から交際させてもらっています。まさか最初に近づいた理由が、反乱を見越しての戦力確保とは思っていませんでしたが。今じゃお互い大事に思っているけども」
「えぇ!だからハジメさんがもしアレ君を殺してたら、ハジメさんだけ国外追放だったわね」
「…………助かった」
グリューネからの脅しとも取れる言葉に、ハジメは怖気づく。とはいえこれで憂いなしだと思われた。しかし、ジャンヌはそこで思い出す。
「そうだ、ハジメ!リム・クリスタルが生まれた時のこと、忘れていないわよね!?」
「……あっ、ていうか、それまだ言いますか!?」
「当然よ!わたくしの純真な思い、返しなさいっ!!」
忘れるはずのない、あの行為。あの時のジャンヌは本当に心配し、懇願し、そして混乱した。ハジメを止めようとしていた場面で、ハジメが行った安易な行動は例え理由を聞いてもジャンヌにとってまだ終わっていない。無理だと言われても返してもらう必要があった。もっとも返すものなどないのだが。
掴みかかるジャンヌと力を抑えつつも反抗するハジメ。そんな2人の痴話喧嘩に、ジャンヌの両親であるガンドとクリエは妄想を織り交ぜつつ動向を窺っていた。
「じゅ、純真な思い!?は、ハジメが何かやったのか!?」
「うーん、みたいねぇ。たぶらかしてたらあれだけど。でも、今回はそこまでは行ってなさそう?ともかく話は聞かなくちゃね。ネアちゃんとグリューネちゃんも、お話聞かせてくれるかしらぁ?」
「あ、はい、奥様」
「もちろん聞かせますよ~。彼がどうしてこうなっているのか♪」
躊躇いつつもその声に応えるネアと、喜々として協力を申し出るグリューネ。ジャンヌはそれに構わずハジメを問い詰め続けた。
「ハジメェェェェッ!!」
……この後、お縄に付いたハジメの前でジャンヌは件の口づけについて、ネアとグリューネの補足を受けつつも両親にも話した。が、両親もハジメから事情を聞き、許せないことではあるがハジメにも事情があったとして、今回は不問となった。ただし、ハジメ本人はガンドからその口づけに秘められたもう1つの意味を聞き、帰ってからベッドの枕に顔をうずめたというのは、また別の話であった。
ともあれ今回の姉妹の運命は、ジャンヌの誘拐事件に引き続きまたしても、1人の青年と彼の操る黒きガンダムが解決したのである。
◆
一方、こちらはマキナス領地にて。ドラグディアへと攻め込んだマキナスの軍勢は、大きく数を減らされ、国境付近の前線基地「エクセラ基地」へと後退していた。
基地の滑走路には、既に空中艦1隻と多くのMSが駐留していた。MSの装依を解除したMS装依者の中には、反射ダメージで負傷したものも多く、衛生兵が行き来していた。その中にはガンダムに翼を両断され、地表へと落下した試作可変MS「マキナート・エアレイダー」のパイロット、「フリップ・プレイン」も怪我の手当てを受けていた。
幸い、彼の機体は地表激突直前に何とか不時着に成功していた。しかし、同じく翼をやられた僚機はそのままなすすべなく地表に激突し、その命を散らせた。他の仲間達も、ガンダムにトドメを刺され、残った自身は撤退する部隊に救助され何とか基地へと戻ってきていた。
だが助かったにもかかわらず、フリップの顔は沈んでいた。理由はもちろん、ガンダムの事だ。
「マキマ隊長、アルド……みんな……いい奴だったっていうのに。ガンダムの野郎、絶対に許さねぇ!」
既に彼はガンダムへの怒りで一杯だった。今すぐにでもMSを装依して、仇を討ちに行きたい。それはこの基地に収容された部隊員達に共通できるものだった。
が、そんな彼らを、予想外の事態が襲ってくることとなる。
「ん?何だお前?」
1人の隊員が侵入者と思われる人物に気づいた。その人物は学生服を着た少女で、見るからにここにいるには不自然な存在だった。続いて気づいたのは、彼女から発する臭い。アンドロイドとはいえ、臭いをちゃんと感じることのできる彼らが気づいたのは、トカゲっぽさがわずかに感じられる臭いだ。それがドラグディアの住民の特徴だと気づくと、彼らは更に警戒心を増す。
なぜドラグディアの女子学生が、マキナスの基地にいるのか。スパイを疑った隊員達が集まり、銃を向けていく。すると、少女がその光景に感想を口にする。
「おやおや、随分と物騒だこと。戦闘があったとはいえ、まだやる気は落ちてないようね。まぁ、その方がやりがいはあるけれど」
余裕そうにこちらの精神を逆撫でする少女。隊員の1人が「捕虜にしてやろうぜ!」と叫ぶ。その声に同調していく周囲。少女を捕虜にする。その言葉だけで彼らが何を考えているかが嫌ほどわかるだろう。血気盛んな隊員達だったが続く少女の行動は、彼らを同様に盛り上げてはくれなかった。
「ふふっ、捕虜っていうのはいい考えね。これを使う理由が1つ増えたもの」
そう言って見せるのは金属の箱のような物。しかし軍人である彼らには、それが自分達も戦うために使うMS装依装置、始動機ことスターターであることを理解する。隊員達の間に緊張が走る。
少女は見せつけるようにしてから、そのスターターを腰に当てる。少女の細いウエストに、瞬時に巻き付いていく始動機。
『インフィニット・スターター!!』
マキナスのMS始動機ともドラグディアの物とも、そしてシュバルトゼロガンダムのとも違う装着音声を奏でる。更に少女はスターターにガンダムの物と酷似した歯車と星を合わせたロックリリーサーと、セレクトスーツカードのようなカードをスターターに装填していく。カードの装填と共にスターターから音声が鳴る。
『INFINITE』
無限を意味する単語が鳴る。注目を集めるように彼女は手を上に挙げる。隊員達が警戒心を上げる中、少女は遂にそれを行った。
「装依」
賛美する様に手を広げてから、両手で装依ボタンを押す。直後前後をアクセス・ゲートが挟み込む。挟み込んだゲートは空中へ一回転してから停止すると、そのまま下へと下がり少女の半透明となった体をすり抜ける。
「なっ……!?」
現した姿に、隊員達は驚愕した。なぜならその機体は、先程まで自分達が戦場で見ていたあのガンダムに、色こそ違えど類似していたのだ。機体色を真っ白に変え、背部のバックパックも漆黒のガンダムが背負った砲身を挟む細かなスラスターが配置されたウイングとは違う、推力を大きく変更する目的を持った猛禽類のような意匠を持った羽の揃った翼となっていた。しかし、大きく上へと伸びた形状の頭部の額には、確かにあのガンダムと同じ、V字アンテナと、その下に光る2つのツインアイがあった。
その姿に、先程まで喧嘩腰だった兵士達は竦んでいく。スターターから、装依完了を告げる音声が響いた。
『エンディング インフィニティ スリープ―――――ヴァイスインフィニットガンダム』
「さぁ、始めましょうか。本当の、戦争を」
ガンダムの眼が光る。
数時間後、エクセラ基地は火に包まれていた。燃え上がる空中艦。破壊され滑走路にて破片を散らすMSの残骸。床に油血をぶちまける、機人族の亡骸。エクセラ基地はたった1機の白いガンダムによって陥落した。
空中で静止する血しぶきを所々に浴びた純白のガンダム。その機体は眼下のエクセラ基地から目を離すと、そのままドラグディアの方へと飛んでいった。その様子を、何とか生き残ったフリップが睨み付ける。呪詛のようにその名を叫んで。
「ガンダム……ガンダム、ガンダム……ッ!!」
次なる戦場が幕を開ける予兆だった。遂にガンダムは、その機体と対峙する。黒と白、相反する色を持つ、自身と同じガンダムと。少女達の命を懸けた死闘が、始まろうとしていた。
第2章 END
NEXT EPISODE AND NEXT CHAPTER
今回もお読みいただきありがとうございます。ツイッターの方でリディ少尉っぽいって言ってたのはこれが原因でした(゚∀゚)
ネイ「ネアさんとグリューネさんが姉妹に戻れて私としても良かったです。とはいえ、まさか新しい敵はガンダムですか……」
グリーフィア「白いガンダム、リディ少尉の出ているあの作品とは逆ね。あっちは味方が白で敵対していたのが黒の同型ガンダムだけれど、こっちは黒が味方で白が敵って」
黒いガンダムは前作SSRからの引き継ぎ要素だからね。黒いガンダムが主人公でもいいじゃない( ゚Д゚)
ネイ「そ、そうですか……。とりあえず番外編も含めて、後は黒の館DNの用語設定集だけですね、2章は」
グリーフィア「とうとう作者君の頭の中だけじゃ用語のまとめが出来なくなったのよねぇ」
流石にオリジナル要素を高めてくと記憶に留まりづらくなってくる(T_T)では同時公開の番外編と次回の黒の館DNを、
グリーフィア「お楽しみに~」