機動戦士ガンダムDN   作:藤和木 士

47 / 322
どうも皆様。お元気でしょうか。バトルスピリッツサーガブレイヴの視聴の余韻に浸りきってしまい、本当は昨日投稿するつもりだった藤和木 士です。

ネイ「そうですか……アシスタントのネイ・ランテイルです」

グリーフィア「アシスタントのグリーフィア・ダルクよぉ。けどどうして日本の夏ってこんなに暑いのかしら~……日傘が手放せないわ」

ネイ「そうだよね。お嬢様やレイも最初は辛かったって言ってたし」

グリーフィア「それで作者さん。遅れたことに何か一言は?」

サーガブレイヴめっちゃエモかったです(*´ω`*)

ネイ「あっ(察し)」

グリーフィア「ここまで一辺倒だと清々しいわね」

ピンチからの弾さんチェンジはあれだけど、サジットヴルム・ノヴァ煌臨からの流れがもう圧巻の一言!久々に見れたブレイヴのキャラたちの変化とかも感動したよ(*´ω`)

グリーフィア「大満足のようねぇ。で、今日のEPISODE33は拒絶の2つ目だけど、拒絶って前の話で出てたジャンヌの事かしら?」

あっはい(´・ω・`)まぁそれが主軸ですね。何を拒絶するかはお楽しみですよ(^ω^)

ネイ「いや、拒絶は楽しむものではないかと……」

まぁ、それは気にしない気にしない(;・∀・)それでは本編どうぞ


EPISODE33 拒絶2

 

 あれから夜が明け、学校で元は考えていた。授業中であるにも関わらず、ジャンヌが言っていた言葉の意味を。なぜあれほどに自分に関係した詩巫女の話を触れられたくないのか。人間誰でも触れられたくないことはある。苦手なシチュエーションだったり、人物だったり、元も今までの20年ほどの間にそういったものを経験してきた。あれほどの拒絶も経験がないわけではない。

 しかし、同時にそれほどの物がジャンヌの中にあるということを認識すると、何が一体ジャンヌを詩巫女から背けさせているのか。自身と年も1ケタ程度しか変わらない少女に何があるのか。どうしても気になってしまう。

 確かめたい。詩巫女に何があるのか。だが気になるとはいえ、それを本人から直接聞くのは不可能だ。少し失言しただけであれではどうしようもない。他に誰か聞ける人物がいれば、と思ったところで授業終了のチャイムが鳴る。

 

「っと、今日はここまで。他の先生からも聞いていると思うが、今週から詩竜双極祭の準備期間に入るから、時間割変わるぞー。ちゃんとプリント見て確認する様に。それじゃあ、ノアール、号令」

 

「はい。起立、礼」

 

 魔術歴史学の授業が終わり、各々昼食の為に席を立っていくクラスメイト達。元もノートなどを机に収め、立とうとしたところで後ろから馴染みのある人物の声がかかる。

 

「よっ、ハジメ。今日どうするー」

 

 数少ない友人の1人、ローレインだった。元の学校での軍からのお目付け役である彼女は、いつものように男子用制服の襟を外し、その首元を露わにしている。男子の制服でありながら妙な色気があるのは、間違いなくこのミスマッチが関係しているのだろう。むしろ一周回って反則だ。

 ここ最近は戦闘ばかりであり、ローレインに学校側への説明をよくお願いしている。それが仕事なので仕方がないが、お礼も含めて何か奢るのもいいかもしれない。

 

「そうだな……って、あ、そうだ」

 

 だが言いかけて元は気づく。先程の相談、ローレインに聞いても良いのではないか。学校では普段男装のイメージが強いが、裏ではドラグディア軍の諜報部所属の彼女。しかも学校でも裏では情報屋として動いている。彼女曰く学園で色々裏を知っておくと動きやすいとのことだが、もしかすると彼女ならジャンヌの詩巫女嫌いも何か分かるのではないだろうか。

 試しにローレインに聞いてみることにする。

 

「なぁ、情報屋として聞きたい話があるんだけどいいか?」

 

「いや、情報屋として聞きたいのにこのタイミングで言われるのかよ……人多いっていうのに。まぁいいけど、何だ?」

 

「あぁ、ちょっとうちのお嬢様って詩巫女のことどう思っているのかなって。ローレインは何か知っているか?」

 

 そう聞くと、ローレインがハッとしたのち、難しい顔をして元から背ける。

 

(……あれ、何かおかしい。ローレインがこうなるって、何が……)

 

 ローレインの様子に元がどうしたのか聞こうとする。しかしその前にローレインが顔を戻し、元に返答しつつ耳を寄せた。

 

「あー……ハジメ、ちょっと付き合ってもらっていいか?………………出来ればその話は、ここじゃない方がいい」

 

「?まぁ……その方がいいなら……」

 

 真面目さを醸し出すローレインの言葉に、緊張感をもってそう返答する。疑問を浮かべながらも、レヴとリッドの誘いも後回しにして2人で教室を後にした。

 

 

 

 

 やれやれ、どうしたものか……。ローレインはハジメの手を引きつつ苦悩する。これまで多くの相手とポーカーフェイスの情報戦を演じて来たローレインも、この問題は非常に困難な問題だ。

 いつか来るのではという質問ではあった。しかし、ローレインでもてっきりそういった家族の問題はファーフニル家の誰かが説明してくれる。自分が絡むことでもやや少量のことだと思っていた。しかし、ハジメの反応からそういったことをまったく聞いている様子ではない。念のため職員室で次の現代文の講師に遅れるとは言っておいたが、果たしてそれでどうにかなる問題だろうか。何せあの問題は、ファーフニル家にとって永遠に続く問題なのだから。

 

(俺が説明するのかよ……。けど、何があったかくらいは聞いておいて、それでちょっと反応見るか……)

 

 面倒くささを感じつつ、歩いていると目的の場所へとたどり着く。旧校舎に差し掛かる場所にある「資料室」。職員室に寄った際MS科目担当の非常勤講師に頼んで借りた鍵を差し込み、案内する。

 

「とりあえず、ここで話そう」

 

「ここで?別にいいけど……まさか何かやろうって言うんじゃ……」

 

 ハジメが警戒した面持ちでこちらを向く。まぁ正直言って、そうしたいところではあったが主な目的は説明に便利なのと、まだ人影が少なく、不慮の事態になった時に人目につかないというのが主な理由だ。

 だが面白そうなので半分茶化しで肯定する。

 

「おお、よく分かったな。……ってのはまぁ半分だな。ちょっと人目につかないところで話さないといけない内容だから」

 

「半分はあるのかよ……。そんなにやばいのか、お嬢様と詩巫女の話というのは……」

 

「あぁ、やばいよ。誰だってあんな家、生まれたくないだろうさ」

 

 キツイ言葉を吐く。実際それが的を射ている。さっさと終わらせなければならない。こんな話、話す側も辛いのだから。後方でハジメが息を飲む。振り返ってからローレインは口を開く。

 

 

「じゃあ、話そうか。この国に伝わる、都市伝説のお話を……」

 

 

 

 

「都市伝説……?」

 

 思わず声を漏らす。ジャンヌと詩巫女の話をと言って、ローレインに案内された場所。何かの古い資料室のような雰囲気で話の口火が切られたものの、出てきたのは都市伝説というバカげた話だ。

 思わずどういうことかと聞こうとするが、それを遮ってローレインが続けた。

 

「そう。ドラグディアのほとんどの国民にとっての都市伝説。だが、限られた人物にとってそれは嘘のような本当の話。ジャンヌが詩巫女を嫌う理由は、それくらい大きな話なのさ」

 

「お嬢様が……詩巫女を嫌う?」

 

 なぜ、という言葉が出てきそうなのを抑え込む。元々それを聞くためにお願いしたのだ。それをまた言うというのも億劫だ。そのまま話を続けてもらうことにする。

 一方ローレインも元の言葉に答えていく。

 

「そう、ジャンヌ・ファーフニルは元々詩巫女養成科志望じゃなかった。それこそ富豪の子どもが学ぶ所謂「エリート科」を目指す生徒だったんだ。けど、5年前それは起こった。とある呪いの証がジーナ・ファーフニルからジャンヌに移ったんだ」

 

「呪い……?」

 

 自然と復唱するその単語。それが他人を不幸に貶める非科学的なものであることを知ってはいた。そして、この世界マキナ・ドランディアでは魔術によってそれが可能であることも。

 しかし元が復唱したのは、それがジャンヌに移ったという点だ。ジーナ・ファーフニル、つまり今のジーナ・ボルメスからその呪いが移った。それだけで詩巫女養成科に強制されるという事実が、元の中で困惑を生む。

 ジーナから移った呪い。それが一体何を意味するのか。ローレインが続ける話が更にその疑念を徐々に加速させる。

 

「呪いの内容に関しては少し話を後にする。そもそもジャンヌの家、ファーフニル家は12名家の内、もっとも詩の扱いに長けた家。今度行われる詩竜双極祭の元となった象徴との心の共鳴、詩竜超克の儀はファーフニル家が創世記後の時代で初めて再現したんだ」

 

「お嬢様の家が……詩竜双極祭の大元を作った、と言うことか?」

 

「そう。それどころか、国の象徴の力を振るえるほどの地位になったんだ。むしろ国のトップと言っても過言じゃなかっただろうな」

 

 ローレインの話に頷きを返す。しかしよく考えるとおかしな点がある。これまでジャンヌを含めファーフニル家の人間はそれほどの重要な役目に付いているようには思えないのだ。当主であるガンドも軍では二つ名持ちの少佐だ。リリー准将はおろか元の隊の隊長であるアレクと同格。普通なら家の名でもっと上の相応の地位に居ても疑問は持たない。

 加えて今のファーフニル家でそのような話は聞いたことがない。象徴の事だってこれまでにそれ関連の話題が家で上がったことも、それに由来したような目立つ物もない。嫌な予感がする。そう思っているとローレインがその疑問に答えを明かしだす。

 

「ただ、これは過去の話だ。とある代まではファーフニル家はその圧倒的な歌の力で、国の象徴を従えていた。けど300年前、それは起こった」

 

「……起こった?何が?」

 

 聞き返す元に、しっかりとした口調で、淡々とその事実を明かした。

 

「死んだんだよ。国の象徴であるクリムゾン・ドラゴニアスが。その年起こった戦争でな」

 

「なっ……!?国の象徴が!?でも、機械の竜が死んだって……」

 

 思わず言葉に詰まる。象徴はこの国にとって竜人族の存在を示す重大なものだ。それが死んでいたということに驚きを隠せない。しかし機械の竜なら、直すことが出来る。何より今でも象徴が生きている事実があるのだ。きっとその後直したに違いない。そう言おうとした。

 ところがさらに驚くべき事実を、ローレインは元に告げる。

 

「直せるって言いたいんだろう?確かに機械の竜なら、「直す」ことは出来るだろうぜ。確かに出来る。……でも、死んだっていうのは、「生ける機竜」に「なる前」、なんだ」

 

「……は?」

 

 一瞬意味が分からなかった。何を言っているんだと、ツッコミが出てこようとする。少し経って物事を整理しても、むしろ整理したことで余計に疑問が浮かび上がってくる。

 機竜になる前?前に死んだって、つまり前の段階が存在したってことなのか?でも機竜になる前になっているものって……まさか……つまり……。

 信じたくはなかった。しかしそれは元にも分かる事実。嘘だと思いつつ元は「国民の常識」を覆す発言を、その事実を口にする。

 

「なぁ、まさかクリムゾン・ドラゴニアスって……本当は……」

 

 元の問いかけに、頷きを返してローレインがその事実を告げた。

 

「そう。クリムゾン・ドラゴニアスは生身のドラゴンだった。その時まではな」

 

 重く圧し掛かる事実。やはりという納得と、まさかという困惑が同時にやってくる。しかしそれでも疑問は残る。戦死したクリムゾン・ドラゴニアスがなぜ機械化という禁忌と呼べる方法を用いてまで蘇生させられたのか。そして、それがどうしてジャンヌの呪いに関わるのか。

 それらの答えを知るであろうローレインは、更にその話を紐解いていく。

 

「死因としては流れ弾に当たったって感じだ。もっと正確に言うなら、クリムゾン・ドラゴニアスはパートナーである当時の詩巫女、ジャンヌの先祖「オルレリアン・ファーフニル」を庇って死んだっていうのが、裏での常識だ。当然、国の象徴が死んだっていうのは当時の軍部、もとい政府は混乱状態になったさ。戦争の要である象徴が亡くなった。それだけの事実で竜人族のアイデンティティーが崩壊するってな。けど、その時丁度、ドラグディアではマキナス原産の禁忌の機械化技術で開発した新たな兵器が完成していたんだ」

 

「機械化技術……」

 

 元の脳裏に1か月近く前の立てこもり事件の光景が思い起こされる。死んだはずのシグットが、体中を兵器にして戦っていた時の光景だ。あれを既にドラグディアでは解析していたという話にやや驚く。ローレインはそれについて言及する。

 

「モビルウエポンを礎とした「機竜」の開発。創世記の時代に開発されたそれは本物の竜の骨などを生体端末とすることで、竜の復活すらも可能にした。その1号機「ガン・ドラグム」にクリムゾン・ドラゴニアスの骨そして脳を格納し生み出されたのが、今国民が知っている「クリムゾン・ドラゴニアス」。生ける機竜の完成さ」

 

「そんな……でも、いきなりそんなことしたら誰だって死んだっていうのを勘づくだろ!?」

 

 思わず声を荒らげる。誰かが気づくはずだという元の考えは、そんな現実を信じたくないという叫びだ。しかし続くローレインの言葉でそれを砕かれる。

 

「そうだろうな。普通の情勢なら。でも当時の政府はその変貌を象徴が進化したと大々的にアピールした。堂々と嘘を付いたのさ。それを当時のドラグディアの国民たちは鵜呑みにした。それで今の常識が出来上ったのさ」

 

「………………」

 

 言葉が出なかった。あまりにも荒唐無稽すぎる話だった。反論したかったが出来なかった、しても意味がなかった。元が暮らしていた世界でも、過去に世界を巻き込んだ大戦争があった。その時も自分の国は負けている劣勢の状況でも、如何にも進軍しているという宣伝を大々的に報じ、国民の士気を上げていた。その結果悲惨な終戦への流れを引き起こしたというのに、国民はその時までずっと自分達が勝ってきたと思っていたのだ。そんな流れがこの世界で起きないという保証はない。そしてそれに気づいても、もう後の祭りである。

 あまりにもとんでもない話に言葉が出ずにいる元。だがしかし、まだ答えが出切ってはいない。本当に大事なのは、ジャンヌがなぜ詩巫女をそれほどまで嫌うのか。その答えをローレインが語り出す。

 

「そして……これが一番残酷だろうな。当時の詩巫女であり、ファーフニル家における詩巫女の当主であったオルレリアンへの国民に対する口止めとしてその体に呪いが刻まれた。その呪いは、ファーフニル家を永遠に詩巫女へと引き込み続ける呪い。生まれる子供達をすべて女にし、詩巫女としての使命を果たそうとしなくなったものを死に至らしめる」

 

「何……!?」

 

 その単語に息が詰まる。詩巫女の使命を果たせなければ、死ぬ。あまりにも残酷すぎる呪いの条件。それでようやくジャンヌのあの時見せた顔の意味に気づく。

 あまりにも冷たい鋭い目。あれは絶望だったのだ。あまりにも残酷すぎる運命に精一杯抗う少女の、必死の抵抗。それがあの表情の意味なのだろう。それだけの絶望を自分の主が抱えていた。初めて会った時から、それ以上前から自分以上の絶望を抱えていた。それなら詩巫女を嫌ってもおかしくない。

 元は申し訳ない気持ちと共に、激しい怒りを感じる。それは先程反論したくても意味がないと感じたはずの当時のドラグディア政府の人間に、だ。未来のことなどは分かるはずもないが、それでもこれだけのこと予測できないはずはない。今だってこんなバカげたことはやめさせるべきなのに、政府は何もしようとしない。むしろまだ小競り合いを続けて戦争を長引かせようとさえも見える。これを聞くきっかけとなったジャンヌとのやり取りでも自分もその戦争を行う者の1人だと思ったが、それを今まで知らなかった自分の軽率さ、それ以上にまだ呪いでジャンヌを苦しめようとする政府を、許すことが出来なかった。

 その怒りが自然と、元の拳を固く握らせる。ローレインがそれに気づきつつもその後を口にする。

 

「……以来ファーフニル家は詩巫女の名家という表面と共に、呪いを受けた家系として裏じゃ知られている。ジーナ・ファーフニル、いや今はジーナ・ボルメスか。彼女も自分から呪いが移動するなんて思わなかったみたいだ。当初は呪いを戻す方法とか探していたらしい。けど結局、ジャンヌ・ファーフニルが詩巫女としての道に強制させられたって話だ。そのせいで大分昔より性格はひねくれたけどな。レイアへの依存もそれが原因……」

 

「っく!!」

 

 唐突にガン、と壁を叩く。コンクリートの壁から、しっかりとした打撃音が響く。苛立ちを露わにした様子を頬に汗を垂らし、拳を痛めていないか尋ねるローレイン。

 

「おいおい……大丈夫かよ。いきなりそんなことして、ガンダムの操縦に支障出ないだろうな?」

 

「あっ……いや、大丈夫だ。すまない、いきなり……」

 

「まぁ大丈夫ならいいけどよ、あんまりため込むなよ?」

 

 精神面で気に掛けるローレイン。あまりこういう面を見せるのも良くない。それにローレインは自分を信じてこの事を話してくれたのかもしれない。怒るのは分かっていて、それでも自分が怒りを制御できるのだと信じて。ため込むなというのもそれを感じてのことだろう。

昂る気持ちを抑え込み、平静を取り戻すとローレインに話を聞かせてもらったお礼を伝える。

 

「ありがとう。そういうことだったんだな……」

 

「ま、礼には及ばないさ。でも何でいきなりそのことを……」

 

 ローレインの疑問は当然だろう。こちらはそれほど重大なものとは知らなかったとはいえ、あまり話したくないであろう話を聞かせてくれと無理を言ったのだから。先程の壁への八つ当たりもあって、昨日からの経緯を明かす。

 

「あぁ、昨日たまたまお嬢様に詩竜双極祭の事を聞いてな。出ないのかと聞いたら怒られてしまって……」

 

「あー……ていうかそれ、怒ったで済むか?」

 

 苦笑いを見せて、訂正する様に聞き返すローレイン。元はそのまま伝えてもあれだからと思ったのだが、そこまで見透かされてしまっていると、どれだけ関係者に問題の重要性を理解されているかがよく分かる。仕方なく隠すこともない為そうであると訂正する。

 

「察しが良い。竜に睨まれたように背筋が凍った」

 

「やっぱり。そりゃあ気になるわ。けどあんまりそう言ってやるのもあれだぜ?ジャンヌ・ファーフニルも女なんだしよ。聞いてたらかなりショック受けるかも……」

 

 窘めるように指摘されて気付く。今の自分は主の心に更に棘を刺すような言い方であったと。いくら竜の特徴を持つ竜人族でも、今や自分の知る人類と同じ外見。竜人族という種族を軽率に見てしまっていた。本人としては少し茶化してローレインに心配を掛けさせないようにしていたのだが、むしろこのままいくとジャンヌの前でも茶化して済まそうとするかもしれない。これはそんな問題ではないのだ。

 元は先程の言葉を悔いるように彼女の言葉を受け入れる。

 

「そうだな。お嬢様と俺とじゃ、苦しさの度合いが違う。そう言ってしまうのはお嬢様の名誉に関わる」

 

「お前……本当に反省するときは全力だな。けど、この話は内緒にしておけよ?知ったらあのお嬢様、お前をクビにするかも……」

 

「分かってる。そんなヘマしたら、俺も生活とか本当に終わりだ」

 

 ローレインの危惧を先回りする形で遮る元。そんなことはあまり口にするものではない。本当にそうなってしまうかもしれないから。

 そして話を聞かせてもらったお礼に、元は財布から紙幣を2つほど渡す。今日の昼代と情報代を含めてのだ。

 

「じゃあ、これお代。昼飯の代金と情報代ってことで」

 

「え、あ、おい。こんなにか……やけに金払いがいいじゃねーか。ギャンブルでもするつもりか?」

 

 あまりにも気を利かせたことに疑いを向けられる。しかし元も普段からの礼を含めてのお代だ。元はそんなことはないとありのままに伝える。

 

「金を払ってのギャンブルなら金渡さねぇって。前金ならあり得るけどな」

 

「あ、ま、そっか。って、ギャンブルすることだけは否定しなかったな?」

 

 と同時にチャイムが鳴る。授業前の予鈴だ。元は話をうやむやにするようにローレインを急かす。

 

「ほら、とにかく急ぐぞ。次の授業遅れるとは伝えてあるけど、間に合わなかったら問題だぞ?」

 

「え、待てよ!もう言ってあるんだから昼飯食ってからにしようぜ~。俺真面目モードのせいでもう腹減って……」

 

「えぇ……まぁ、それでもいいか」

 

 空腹を訴え、渋々その案に従う元。使っていた資料室……「詩巫女資料室」を施錠するローレインに続いて食堂へ向かう。スキップをしながら元からもらったお金で何を食べようか妄想を膨らませるローレイン。一方その後をゆっくりとしながらもおいて行かれないように付いて行く元。

 しかしその表情はやや陰りが見えていた。それはだましてしまったという後悔から来るものだった。先程の発言で、元は言った。「金を払ってのギャンブルなら金は渡さない」と。そしてローレインもそれに対し、「ギャンブルをすることは否定しなかった」と言った。そう、元は賭けに出ようとしていた。しかしそれはギャンブルではない。いやあるいは、それ以上に危険なギャンブルだった。

 

(悪い、ローレイン。1つだけ確かめさせてくれ……ジャンヌお嬢様の事を。俺に何が出来るのかを)

 

 元の意志は固かった。聞かなければ、彼女の気持ちを。

 

 

NEXT EPISODE

 




今回もお読みいただきありがとうございます。さぁジャンヌが詩巫女になりたくない理由が明かされましたね(´-ω-`)

グリーフィア「呪いってまた直球ね……何、ヒロインをそんなに苦しめたいの、この作者は」

ネイ「それにまだ話にも直接出ていない象徴にそんな秘密が……これ異世界戦争ってタイトルはそれを公表して国内で混乱が起きるってことなのでは……」

それはない(;・∀・)普通にドラグディアとマキナスの戦争にするつもりだよ……。まぁ呪いについては結構前から考えていた構成です。ただ象徴は最初はいなかったけどね(´・ω・`)

グリーフィア「まぁそれはともかくとして……次の話元君が何か趣味悪いこと考えてそうなんだけれど?」

ネイ「だよね?元さん変にジャンヌさんを追い詰めないといいんだけど……」

(´・ω・`)やっぱこっちの編成少し変えた方がいいかな……

ネイ「どういうことです!?」

ま、今回はここまででーす。

グリーフィア「あらあら~、それじゃあまた次回へ~」
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。