ジャンヌ「どちらもUC歴のガンダム作品では有名な曲ですからね。アシスタントのジャンヌ・ドラニエスです」
レイ「水の星よりは私も歌ってみたいなー。アシスタントのレイ・オーバだよっ!」
あぁ、一応2人とも元はアイドルだもんね(´・ω・`)だったら詩姫のCV決めてサウンドトラックとか出してもいいのにバンダイさん(´-ω-`)
ジャンヌ「それは公式の方に言ってみればいかがです?」
レイ「もちろんアンケートの方でね!」
あー最近アンケート答えてなかったね……詩姫のかアイツのデッキで答えるかな。と今回はEPISODE34、拒絶3となります。
ジャンヌ「あぁ……元さんどうするつもりなんでしょうか……話を聞いて」
レイ「あの話結構重いもんねー……元君おかしなことをしなければいいけれど」
トチ狂ってお友達になりにいくとか?(゚∀゚)
レイ「というか……今元君ってジャンヌちゃんとどういう関係なんだろ」
え、主と従者ですが?(´・ω・`)
レイ「そういう意味じゃない。なんていうか、前章辺り……いや、もう1章終盤から変わってる気もするよね?」
ジャンヌ「ですよね。ただ前回の元さんは今までと違っていたような気も……主に反応が」
ふふん。それはどうなるのか気になるところですよ。それでは本編へ(´-ω-`)
学校の終業のチャイムが鳴る。それに合わせて、ホームルームの終わったクラスメイト達が立ち上がり、仲の良い友人達と集まって下校の支度を整えていく。そんな中、ジャンヌ・ファーフニルも帰宅準備を整えつつ、先に教室を後にしようとしていた同級生のレイアにこの2週間決まっていた挨拶を送る。
「レイアさん、今日も詩竜双極祭の練習頑張ってくださいね」
「ジャンヌちゃん、ありがと!でもせっかくだからジャンヌちゃんも応援に来てくれればいいのに……」
同級生であり、一番の愛しい少女は無垢な笑顔を向けてそう言った。その言葉はジャンヌの心を深く抉る。
分かっている。レイアには決して悪意はない。自分は友人なのだから、もっと近くで応援してほしいと思って誘ってくれたのだ。正直に言えば、ジャンヌもレイアの気づかいをありがたく受けたかった。しかし自身にとって最悪とも言えるそのイベントに参加する気にはなれなかった。去年に引き続き学校側から参加を要請されるも、ジャンヌはそれを拒否した。嫌だった。今までジャンヌは真面目に詩巫女として授業に取り組んだことはない。見て覚えてノートに内容を書留める。歌も良さげに歌うだけで気持ちも何も込めていない。何も思い入れのない物事を、人前で披露するなど絶対にしたくはない。しても見透かされてしまう気がした。
今年も何とか無理を言って参加はせずに済んだが、問題は来年。学校の教師からは「来年は絶対参加」を言い渡された。もう逃げられない。その圧迫感がジャンヌの心に重く圧し掛かっていた。しかし参加を喜ぶレイアにそんな弱い自分を見せるわけにはいかない。そんな顔を見せてしまえば、レイアも不安になる。詩竜双極祭へのモチベーションを下げてしまうだけ。だからジャンヌはレイアの誘いに行きたいのは山々であると答える。
「すみません……この時期になるとわたくしの家も忙しくなるので……」
「そっかー。でも都合が良くなったらいつでも来てくれていいからね!」
そう言ってレイアは早速練習へと向かう。その様子を観察に徹していたネアが近づきその心中を気遣う。
「お嬢様……」
「大丈夫よ、ネア。……大丈夫」
とはいえ、気持ちいいものではない。愛しの人に嘘を言うのは。特段大きい嘘ではない。実際この時期になると名誉詩巫女である母は学園で特別講師をやることもある。その為に資料集めを行い家の者はそのための準備を行う。ただジャンヌはそれを手伝いはしない。母には申し訳ないが見ることも嫌なのだ。
ネアもその言葉に嘘が含まれていることは当然知っていた。しかしそこは十年にも渡って仕えてきた仲。その心中を察し、それを目の前で指摘することはしなかった。
レイアに申し訳ない気持ちを感じつつ、ジャンヌはいつものようにネアにこの後の事を聞く。
「それで、今日もグリューネさんの方に?」
「はい。今日はレイアと同じ方ですね。グリューネ姉さんも参加者なので……」
「……そう、分かったわ」
遠慮がちに一礼してからネアは足早に教室を出る。ネアの異母姉であるグリューネも今回の詩竜双極祭の参加者だった。ネアはそのサポーターとして姉を支援することになっていたのだ。
ここ最近のハジメとの付き添いもこれが原因である。ネアを待っているにしても時間つぶし出来るのは詩巫女関連の著書も多い図書館くらいしかない。それくらいなら多少変な噂は付けど、ハジメと帰る方が暇つぶしには最適だ。そして今日もその迎えが来た。
「お嬢様」
「ん、来たわね。それじゃあ行きましょう」
元が教室の出入り口から呼びかける。ジャンヌもそれに応え教室の出口まで向かう。合流したジャンヌは早速ハジメを引き連れていつものように軍の基地へと向かおうとする。だがしかし、そこでハジメに呼び止められた。
「すみません、少々お時間を頂いてもよろしいでしょうか?」
珍しくジャンヌを呼び止めるハジメに、ジャンヌはやや戸惑う。これまで呼び止めることはいくつかあったが、それでも最近はほぼなかったのだ。久々の呼び止めに不満を漏らす。
「もう……用事だったら先に済ませなさいよね」
「申し訳ありません。ただ、お嬢様に関係することなので……一緒に来て頂けますか?」
「えぇ……?」
ハジメからの申し出に、戸惑いを覚える。自身に関係ある用事と言われてもジャンヌには心当たりはない。戸惑いがを見せるも真っすぐ向けられたハジメの視線に気圧され、ジャンヌはそれに小さく相槌を打った。
「えっと……まぁ少し話を聞くだけなら……」
「ありがとうございます。それじゃあ少し職員室の方に寄ってから……」
そう伝えるとハジメは行き先に手を向け、案内する。その後ろ姿に考えを巡らせながらジャンヌは付いて行く。
ハジメの言う通り職員室で何かの部屋の鍵を借り、連れてこられたのは旧校舎の一角。とある資料室の前だった。何の資料室かと目線をドアの上部付近の室名札に向ける。それを見てハッとする。
(え……ここって……)
思わず身震いをする。なぜならそこは、学内における詩巫女の資料を最も多く保管する場所、詩巫女資料室であったのだ。ジャンヌも名前こそ知っていたが旧校舎であることもあってあまり気に留めていなかった。しかしジャンヌとしては図書館と同じく来たくない場所であることに違いない。
「ね、ねぇハジメ。ちょっとここはやめましょう?勝手にこんなところに入っちゃ……」
不味いと思いハジメに場所の変更を願い出る。その声には若干震えも混ざっていた。しかしハジメは、それに気づいているのか、それとも無意識か声量はそのままに冷たく提案を断った。
「そうですか?でも鍵は借りられたのでいいではないですか。それに今から場所を変えるというのも面倒です。それに俺はこの話はここですべきだと思うんです」
「…………う……」
息が詰まる。喉に何かが詰まったように声音が重くなった。緊張感が更に強くジャンヌの心を縛る。ハジメは分かっていて、ここに来たのだということに気づく。
怖い。何を考えているのか分からない不安感がジャンヌを襲う。一体これから自分は何をされてしまうのか。従者の行動に苦しむ。そんな彼女の従者はドアを開き、こちらを招く。
「さぁ、お嬢様」
「ひっ……!」
差し出された手から離れるように身を引く。露骨すぎるが、それでも今のジャンヌにとってはハジメの動作1つ1つに恐れを抱いていた。
いつもなら謝罪が来る反応だ。しかし、今日のハジメは違った。表情を険しいものとし、一歩前へ出たと思うと逃げようとするジャンヌの手を掴む。
「へっ!?い、嫌っ!」
「…………」
いきなり掴まれたことに嫌悪感を示すジャンヌ。しかしハジメはそれに構わず室内へと引き込む。まるで路上痴漢のような光景で、誰かが見ていれば確実に通報物だったであろう。
乱暴に資料室の中に引き込まれ、息を飲む。ジャンヌのその顔は既に涙でにじんでいた。しかし連れ込んだハジメはありがちな襲い掛かるということはせず、部屋の鍵を閉じただけであった。誰も入ってこられないようになってから自身を弄ぶのではと身構えるが、ハジメは仁王立ちの如くそのまま直立した状態でジャンヌに問いかける。
「お嬢様、お聞かせください」
「な、何よ……何をするのよぉ……!」
恐怖のあまり足がすくみ、近くのガラス張りの展示台に手を着く。その中には詩巫女の資料などもあったが、それどころの話ではない。この異常状況からの脱出を模索する。しかしいずれもハジメとの体格差などを考えると現実的ではない。しかし助けを呼ぼうと声を上げかけたところで、ハジメの声が室内に走った。
「お嬢様は、本当に詩竜双極祭の参加者に選ばれなかったのですか?」
「………………えぇ?」
聞こえてきたのは、自分が詩竜双極祭に選ばれなかったのかという問いかけだった。なぜその質問を、と最初に考える。昨日嘘の答えとはいえ確かに選ばれなかったと言った。だからこそ本来このような質問は飛んでこないだろう。
だが質問が飛んでこないとは限らない。もしハジメがそれを信じていないのなら、今こうして聞かれるのも考えられる。なぜハジメが疑っているのか、昨日の勢い余って怒りを前に出したことが原因なのだろう。ともかくそれを踏まえて、冷静さを装ってハジメを咎める。
「……ちょっと、昨日も言ったじゃない!わたくしは選ばれなかったって。ハジメがわたくしの腕を高く評価してくれているのは嬉しいけれど、でもそれが事実で……」
思ってもいないことを口にして、追及から逃れようと試みる。ところがハジメはそれすらも分かったように、いきなり核心を突いた。
「本当は嫌だったんじゃないですか。詩巫女という自分を縛り付けるそれが」
「―――っ!?」
息が詰まる。まぎれもないジャンヌの本心だった。自分では隠していたつもりだったのに、なぜハジメが知っているのか。いや、まだ知っているというのは納得できる。なぜなら彼は彼女の従者。家の者がそれを教えた可能性は十分にある。しかしそれでは昨日のあの発言が説明できない。一体何を考えて今それを聞くのか。
衝撃のあまり閉口したままのジャンヌ。お互いに沈黙の間が訪れる。先にそれを破ったのは質問をしたハジメだった。
「聞きました、お嬢様のこと。お嬢様が詩巫女になりたくなかったことも」
「…………」
知られてしまった本心。並べられていく自分の本音にジャンヌは言葉が出ない。その表情は青ざめ、手は自然と震える。動揺が仕草に現れてしまっていた。ハジメがそれを見て目を伏せる。だが彼はそのまま言葉を続ける。
「お嬢様が本当は何になりたかったとかは知りません。お嬢様が感じた絶望も、大きいことは分かってもどれだけかは知りません。でも、だからこそ俺は知りたいんです。お嬢様が今の自分をどう思っているのか。どうしたいのか」
自分の事を知りたい、といつものように自身の心の内へと入り込もうとするハジメ。しかしジャンヌはその行いに怒りを抱く。子どものような怒りではない、怒りよりももっとドス黒い、嫌な感情だ。
何よ……何よ何よ何よ。貴方に分かるわけないじゃない。今わたくしがこうなっていて嬉しいとでも思っているの?聞いて何かを解決できるっていうの!?……勝手なこと言わないでよ。こうなった理由も、元をたどれば全部……全部創世記のガンダムが原因じゃない!!
ジャンヌの中で生まれる憎悪の塊。ハジメに対するそれが今彼女の口から飛び出す。
「知りたいですって……?…………分かった気でいるんじゃないわよっ!!」
「あ……お嬢さ……つっ!?」
ゆっくりと近づいて、その怒りのままに言葉を吐き捨てるジャンヌ。それだけにとどまらず、同時にハジメの頬を勢いよく叩く。少女の怒りが爆発した瞬間である。
だがそれだけでは収まらない。一度引き起こされた怒りは噴火の如く溜まっていたもの全てを吐き出していく。
「えぇそうよ!いきなり変な印が出て、そしたらお父様やお母様からそれが詩巫女にならないと死ぬ呪いの証だって言われて!意味も分からず詩巫女の勉強が始まって、どんどん自由を奪われていった!嫌だったわ!家の使用人からは憐れむように見られて、家に来た詩巫女の講師だって嘲笑うように見て来た!それでも見返してやろうって必死に取り組んだわ!でもその度に他の詩巫女志望の子が呟いていたわ。『家名の七光りで詩巫女になった女子』って!使用人にも影で笑われてどれだけ嫌だったか……でもお父様に言っても何も変わらない!詩巫女になれってそれだけ言われて!何もかも呪ったわ……家もこの国も……この世界も!世界を作った、貴方の使う救世主ガンダムだって!!」
「………………」
恨みつらみを語るジャンヌ。怒声は嗚咽交じりとなっており、その瞳からは大粒の涙が溢れていた。決闘直後の時も涙を見せたが、今の彼女の涙はそれよりももっと辛いものである。これまでにため込んだ憎しみが、ハジメの前で吐き出されていった。
奇しくもハジメの言葉に従う形となったが、これは決してジャンヌの本意ではない。ただ精神を逆撫でられたことで、ジャンヌ自身も抑えが利かないようになってしまっていたのだ。
やがて声を出すことに疲れ、その場に座り込むジャンヌ。だがハジメが近づこうとしたところで彼を涙目で睨み付け、遠ざける。
「来ないで……来ないでよぉ……!やっぱり、ガンダムなんて私に嫌なことしか……ううっ!」
頭を抱え、泣き崩れる少女。嫌な記憶も思い出し一気に絶望の底へと墜ちていく。溢れ出る涙と続く嗚咽。そんな彼女に、従者の青年は立ったまま声を掛ける。
「……ありがとうございます、お嬢様」
「…………ふぇ?」
それは感謝だった。場違いとも呼べる言葉の選択。ジャンヌはその言葉の意味を、自身を馬鹿にしているのだと最初感じた。ジャンヌの哀れと言える惨状を聞き、それを罵っているのだと判断したのだ。
困惑と怒りがジャンヌの心に渦巻く。しかし続けてハジメは、彼女の話に対しての自身の考えを聞かせる。
「貴女の本音が聞けて良かった。やっぱりお嬢様は、ガンダムの事もそう思っていたんですね」
「そ、そうよ!それが何か……」
「これで覚悟が決まりました」
「え…………」
ハジメの言葉に戸惑いを見せる。混乱する頭の中でジャンヌはどうなっているのか理解に苦しんだ。覚悟とは一体何なのか。何を覚悟したというのか。疑問を募らせるジャンヌにハジメが口を開く。
「貴女のために、俺は戦う。貴女がそれを望むなら、それを果たすために全てを賭けてそれを成してみせる」
「な、何を言って……」
無責任なことを、と怒りを暴発させようとするが、続いたハジメの発言がそれを怒りごと凍てつかせる。
「俺は―――――――――」
「――――――――――え?」
声にならない戸惑い。ハジメは「それ」を伝えると部屋から出ていく。残ったのはジャンヌと先程の騒々しさが嘘のような静寂だ。
ジャンヌは「それ」の意味を理解していた。ただそれは自身が今望んだことであると同時に、心からは思っていなかったはずのことだ。なぜハジメが「それ」を言ったのか。理由は簡単だ。自分がそれを望んでいることを言ったから。それでも彼女は喜べなかった。自分が取り返しのつかないことを言ってしまったと思ったから。
口走ってしまったことと、心からの願い。それを伝えることなく彼女はその場で思考を停止させてしまう。本当にそれが正しかったのか、分からぬまま。
◆
資料室を出ると、見知った顔が壁に耳を当てているのを見る。
「あ」
『あ』
お互いに視認すると、共に一言。しかし両者共に状況を察してか、何事もなかったように自然な流れで言葉を交わす。
「いつからそこで?」
「ネアが教室に迎えに来て、それで教室を出たタイミングで2人が下駄箱とは逆の方向に行った辺りから、かしらね。ま、詩竜双極祭の練習は遅れるって言ってあるから」
元の問いに、盗聴者の1人であるグリューネはそのように明かす。どうやらほぼすべて見ていたようだ。
頭を掻きつつ、困った様子でグリューネにぎこちない笑みで言い訳をする。
「困りましたね。ということはさっきのやりとりも……」
「えぇ、見ていたわ。嫌がる女の子を無理矢理部屋に入れたことも」
「あ、あの、ハジメさん……。その、すみませんでした。黙っていたりして……」
サラッと元が犯罪者であるとする発言がグリューネから飛ぶ。だが、先に謝罪したのはグリューネ側のネアだった。いきなり謝られては状況が飲み込み難いが、その理由を元はなんとなく分かっていた。だからこそ元はネアの謝罪の撤回を要求する。
「謝らないでください。それは当主達の判断だったのでしょうから」
「うう……それはそうですけど……。でも、状況を見てそれだけはいつか伝えておかなければならなかったわけで……」
ネアは視線を泳がせて謝罪を続ける。元は当初記憶喪失の謎の青年としてファーフニル家に保護された。その際にジャンヌの従者になったとはいえ、まだ素相の分からぬ身。余計に情報を与えるのは良くないと、敢えてジャンヌの詩巫女嫌いを教えられていなかったのだ。
元の言葉に同意する様にグリューネがネアを叱る。
「そうよぉ。それでジャンヌをあんなに追い込んだんだから、極刑よぉ♪」
「ね、姉さん……」
「まぁ、実際そうですから、言い訳もできませんよ」
グリューネの不吉な発言に、元は苦笑いしながらも肯定する。元自身あれほど追い詰めてしまったのは紛れもない自分自身であること、そしてやりすぎだというのは理解していた。それでも元はそれを聞かなければならなかった。ジャンヌの思い、特に詩巫女をもたらした原因である、救世主ガンダムの事を。それを聞けた今、元の中で決意が生まれていた。
決意を胸にジャンヌの事を2人に任せる。
「すみませんがお嬢様の事、お願いできますか?」
「あ……ハジメさん……」
「貴方がやりなさいよー、貴方が引き起こしたことなんだからー。って言いたいけど、今のジャンヌに貴方が近づいたら悪化するだけよね。仕方ないからこの前の借りを返すってことにするわ。感謝なさい」
「えぇ、すみません」
ネアが戸惑いを見せるが、渋々と言った様子でグリューネが悪態を付きそれを引き受ける。今のジャンヌには一度元と距離を取ることが必要だった。元は部屋の鍵を渡しその場を後にしようとするが、そこでグリューネに呼び止められる。その声は真面目さと陽気さを併せ持つ彼女から、更に真面目さを先鋭させたような声だった。
「ねぇ、ハジメさん。さっきの言葉、本気?」
「さっき、とは、どのことでしょう?」
元は聞き返す。元としては何気なく聞き返したというつもりだったが、他人からはどこか白々しさが残っていた。それが天然さもあれど真面目さがウリの元の発言では異質だったのだろう。
そんな彼の懐に飛び込むような発言を、グリューネは元に言い聞かせるように復唱した。
「何が『俺が終わらせます、戦争を。この身に代えてでも、貴女の嫌うガンダムが壊れてでも』よ。無茶苦茶言うわね」
言われた瞬間、元は黙り込む。自己犠牲を意味するその発言は、確かに元がジャンヌの前で先ほど言った言葉である。
……やっぱり聞かれてたか。聞こえる可能性も考慮して、なるべくあの部屋の中だけに聞こえるようにしていたんだけど、あれだけ熱心に聞かれてちゃ聞こえるだろうな。無茶苦茶なのは分かっている。けど、それでも俺はやる。
元の決意は揺るがない。ジャンヌはガンダムを恨んでいる。ならばガンダムごとこの戦争を葬って初めて彼女は元の生活に戻れるはずだ。元はそう考え、彼女の前で宣言した。
グリューネからの呆れとも呼べる発言に対し、そのまま元は自分の考えを伝える。
「無茶苦茶でも俺は成します。それでお嬢様の笑顔を取り戻せるなら」
「もう……無茶苦茶な上に聞かん坊だなんて。ガンダムの力に酔っているんじゃなくて?」
「………………」
ガンダムの力に酔っている。詰るように指摘したグリューネの言葉を、元は無視する。もう止まるわけには行かない。止まれば、あの時の様に悲惨な結果になるのは見えている。誰かの窮地に、躊躇いはいらない。そう考えていた。
元の脳裏にかつての記憶が思い起こされる。下校途中の幼馴染が別れる直前に見せた、達観を感じさせる笑み。その翌日に彼女の家の前で聞いた話、葬式場で棺桶にて対面した少女の顔。別れ際の少女の言葉が蘇った。
『もし私が助けを呼んだら、真っ先に助けに来てくれる?』
あの時はなんのことだったのか分からなかった。分かった時には既に遅かった。もう間違えはしない。命消えゆく前に、願いを果たす。元は拳をその決意が現れるほどに固く握りしめ、ジャンヌをグリューネ達に任せ、基地へと向かったのである。
NEXT EPISODE
今回もお読みいただきありがとうございます。次回はいよいよあの白のガンダムが姿を現す物語が展開されていきますよー!
ジャンヌ「……元さん、あれはダメですよ……」
レイ「だよねー……トラウマをほじくり返した上に、無茶な約束おいてさ。負けちゃったらもう駄目な約束じゃん」
まぁ、そこはグリューネさんが言っている通り、ガンダムの力に心酔しているところがありますからね。それ以外にもまだ正確に明らかになっていない、元君の過去も関係していますがね。
レイ「過去が関係しているの?」
ジャンヌ「過去って言いますと……あの幼馴染のです?」
うん、そうだね(´・ω・`)あんまり言ってほしくなかったけど。
ジャンヌ「なら台本に書いておいてくださいよ……」
レイ「そうそうー。楽しみ奪っちゃダメだよー」
いや、うちの台本大まかなものしか渡してないから……。まぁでもその話まだまだ色々事情があるからね。少しずつ明かしていくからこれくらいはいいんだよ。さて、今回はここまでかな。
レイ「次回もお楽しみに―!」