機動戦士ガンダムDN   作:藤和木 士

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どうも、皆様。更新がかなり不規則ですが、書く気力はまだ失せてません。藤和木 士です。

レイ「はひゃ~……更新ペース決まってないとここまで遅くなるんだね、藤和木。あ、レイ・オーバだよっ」

ジャンヌ「まぁ、以前も藤和木は「ある意味3日坊主の自分を、奮い立たせるためのモノ」として投稿予定日を言っていた的な発言をしていましたからね。ジャンヌ・ドラニエスです」

あはは……まぁ、それ以外にリアルの問題とか今回から出てくるヒロインの事とかを考えてたんだけどね……色んな理由で(;´・ω・)
さて、今回はEPISODE3です。ヒロイン登場!……先に言っておくけど、他意はないからね?……うん、理想のヒロインだからね?(´・ω・`)

レイ「それもう他意あるよね?」

ジャンヌ「なぜかここ最近、わたくし達を関わらせていなかったので、詳細は分かりませんが……これで分かりますね」

さて、ではどうぞ!


EPISODE3 出会い3

 

 

 マキナ・ドランディア大陸の1つ、「サークノ・レ・ファイ」北東側を国土とする、竜人族の聖地を保有する国「ドラグディア」。広大な大地で自然を生かすことと、文明を象徴する工業の発展、その2つの共存思想を伝統としてきた国である。

 しかしかつての戦争以来、対立し続ける地続きの機械族最大国家・マキナスとの戦争は終わりを見せない。対するドラグディアもまた竜人族最大国家。それぞれの国は救世主が舞い降りた大陸でその姿を模したMSを使い、いつまでも自分達の存在を押し付け支配しようとしていた。

 そして、その戦争を左右すると言われているのが救世主により誕生した最初の竜人・機人族の国王達が誕生させた、それぞれの国家を象徴する大型艦およびドラゴンだった。マキナスの竜型航空戦艦「マギア・マキナス」。そしてドラグディアの生ける機竜「クリムゾン・ドラゴニアス」。その力はかつての戦争でも、未だ大地に傷跡を残すほどである。その凄まじさを知りたいなら、国境付近の古戦場跡「ヴールーン古戦場跡」は大昔の関所の跡地で比較的残っており、歴史学者が今も訪れるほどだ。

 戦争を一瞬で終わらせる力を持つ象徴達ではあるものの、実はこの300年ほど、正確には297年もの間、彼らは戦場に姿を現してはいない。なぜ姿を現さなくなったのか、人々の間では象徴達すらも自らを生み出した者達が続ける戦争に呆れ、眠りについたのだと言われている。

 そのために、元来から象徴達を操る不思議な力「詩祈(シノヴァ)」を持つ者達によってその目覚めが行われていた。象徴達と共に、両種族をそれぞれ導く「指導者」とも呼べる存在。機人族では「奏女官(シアル)」、ドラグディアでは「詩巫女(キャーヴァ)」と呼ばれ、その育成学校があるほどだ。

 その中でも最も施設が充実し、首都に存在する竜人族誕生の聖地を敷地内に持つ国立学園「聖トゥインクル学園」では、多くの詩巫女候補が詩巫女として必要な知識・技術・歴史そして歌唱力を日々高めている。そのほとんどが国の戦争の道具に使われることの意味を深く知らず、ただ純粋に自身の歌で願いを成しえるために。……とある1人を除いては。

 

 

 

 

 

 

 

 

 今日は本当に最悪な日だ。少女はそう思う。目の前の一番嫌な授業、詩巫女の使命を如何にも良さげに語る教師、それを憎いくらい真面目に聞く同級生達。立場が違うだけでこれほどお気楽に過ごせるなど、少女にとっては恨み言の1つでは収まらないほどの事だ。ただ1人の愛しい彼女だけを除いては。

 少女はチラリと右斜め前方に目を向ける。小柄な体躯ながらも背筋をピンと伸ばし、教師の話をノートへと書き込む、藍色の髪を独特の形で結う学生服の少女。自身がこの学校の中で、己のすべてを賭けてでも、全身全霊を以て愛したい女性である。もし何も知らない者が聞けば、動揺するのは間違いないだろう。しかし、このクラスの人物はそれを本人以外よく知っている。否が応でも知らされた。なので反応は様々だ。

 少女にとっては、彼女と一緒に居られる時間だけが、この学校、それどころか今の自分の唯一の癒しであった。そんな彼女の笑顔を見ていると、自然と嫌な授業も受けられた。けれども、昨日の事もあって今は少々難しかった。

 昨夜、少女は喧嘩をした。相手は少女を育ててくれた父親だ。喧嘩の理由は「自身の進路」。希望は無いが、それでも彼女は叫ばずにはいられなかった。詩巫女にはなりたくない、と。

 少女の家は代々詩巫女をやって来た家系だ。彼女の母もまた、詩巫女をやっていたという。だが、それは決して幸せなものではない。家柄による優劣、それにより向けられる嫉妬、更にそこに、彼女の家にだけ与えられた「呪い」。呪いさえ自由に捨てられれば、家柄など好きにくれてやるくらいだ。

 だがそんなことを父は許してはくれなかった。分かっている。もしそんなことをすれば、たちまち呪いが自分を死にもたらす。そんなことだけはさせたくないということも、彼女は分かっていた。それでも、彼女は言わずにはいられなかった。助けを求めていた。こんな忌々しい家の血から逃れたいと。例え愛しい藍色の髪の少女と、会えなくなってもそれが叶うのなら。

 もちろん、それだけで出来るのであれば、とっくの昔に先祖の誰かが呪いなど解いてくれているだろう。それがないから今もこうして少女を苦しめている。早く目の前の授業が終わり、藍色の髪の少女との昼食の時間が来ないだろうかと外に目を向ける。

 

 

(……?)

 

 

 少女の視線が、空の一点に集中する。澄み渡る空に色が同化しつつも、機械画面のノイズに似た放出のされ方をする蒼い粒子。蒼い粒子を放出する、黒い機人の姿。

 それを見つけた時、どくん、と彼女の中で何かが鳴動する。ただのMS、にしては粒子の色が通常型とは違う。通常のそれは本来、赤い粒子を放出するはずなのだ。それが何だったのかは分からないが、しばしの間それに目を奪われる。だからこそ、突然飛んだ教師からの呼び声に目を見開いてしまう。

 

「―――ジャンヌさん?」

 

「―――ッ!?は、はいっ!!」

 

 完全なる不意打ちに、少女―――「ジャンヌ・ファーフニル」はその場で悲鳴にも似た声と共に起立する。起立した勢いで、光を反射し輝く銀色の髪が黒のレースの髪飾りと共にフワッと跳ね上がる。だが、場違い感が半端ない彼女の叫びは、一瞬の静けさの後、小さな苦笑の囁きと教師のため息を誘発した。

 迂闊でした……。いくら昨日の事を忘れたいからと言って、外に目を向けたら如何にも見てくださいと言わんばかりのものを見せられて……!けれど、よりにもよってわたくしの愛しのレイアさんにまで笑われるなんて……っ。

 赤面して顔を斜め下に向けるジャンヌに、詩巫女史の担当教師はしわを寄せて叱る。

 

「もう……何を見ていたかは知りませんが、新学期も始まって1か月が経つのだから、気を緩めてはいけませんよ?」

 

「はい……」

 

「それでは……と、もう終わりのようですね。サージェさん、号令を」

 

 が、それはチャイムに遮られ一旦授業の終わりが告げられる。ホッとしたジャンヌはその間に表情をリセットし、クラスをまとめる委員長の同級生による終わりの挨拶に合わせる。

 

「起立、礼!」

 

『ありがとうございましたッ』

 

 流石に歌を習う分野の生徒。女性だけであるにも関わらず、その一声だけで教室の空気が少し震える。その様子にコクリと頷き、解散の声をかける。

 

「お疲れ様。お昼ご飯はちゃんと取るのよ。あと、ジャンヌさんは放課後先生の所に来るように」

 

「う……はい……」

 

 最後に掛けられたその言葉に、ジャンヌは重く応答する。すぐに教師は教室を出て行ったが、ジャンヌは机にもたれこむように座り、頭を腕の中にうずめる。

 うう~っ!まさか帰りにまで影響するなんて……!昼食の時間にまで影響しなかったのは良かったけれども、これじゃあそれと同じじゃないッ!!大体、何であんなところをモビルスーツが飛んでいるの!?街中を飛ぶなんてよっぽどのことだし、もしドラグディアのMSじゃないなら、何で警報なりなんなり流れていないのっ!!お父様はなぜ出撃していないのよ!そうよ、全部あの黒いモビルスー……。

 いつの間にかいなくなっていた黒いMSに対し、届かぬ八つ当たりを心の中でかますジャンヌであったが、すぐにそれは取り払われる。顔をうずめていたジャンヌの肩をポンと叩き、馴染みのある声が呼んだのだ。

 

「ジャンヌちゃんっ!!」

 

「!!レイアさんっ」

 

 聞き覚え……否、よく知る人物の声でジャンヌは声の方に顔を勢いよく上げる。先程とはうって変わって見せる表情。視線の先には、藍色の髪を両サイドでいくつか輪を作るように結び、それ以外は流すヘアスタイルが特徴の愛しの少女「レイア・スターライト」がお弁当を持ってこちらにいつもの笑顔を振り撒く。

 あぁ……やっぱりレイアさんはいつも完璧ですっ。わたくしが落ち込んでいるときに、こうもいいタイミングで声を掛けてくれるなんて……!これはもう、救世主様のお告げととっても過言ではないですっ!レイアさんは、わたくしの救世主様です!!

 脳内でそのようなことを口走る。ただ、実際に口走りはしないものの、既に表情に若干それが漏れ出ているため、あまり口走らなくても意味がないというのは、クラスでのタブーである。同じクラスである、彼女のメイドもそれについては頭を抱えていたりする。

 だが今のジャンヌにとってはそんなことは関係ない。特に今は、父の事や外で飛行していた黒いMSを忘れたいがために、視線など一切そっちのけでレイアの方に構う。

 

「さ、先程はお見苦しいところをお見せしてしまい、すみませんっ。少々、考え事をしていたところに、変なものが飛んでいるのを見てしまって……」

 

「変なもの?でも、ジャンヌちゃんが先生に怒られるのって、何だか珍しいよねっ」

 

「え、えぇ……本当、自分でも思いますが、珍しいこともあるものです……う、うふふ」

 

 痛いところを付いてくるレイアの指摘を、何とかごまかそうとする。しかしそのごまかしも、傍から見ればかなり雑であり、レイアの持つ天然さがなければたちどころにばれてしまいそうだ。それに助け船を出すが如く、紅の髪を腰まで伸ばし、物静かさの中に不思議さを取り入れたような雰囲気を持つ少女が、両手で大きめのランチ用の籠を持って、2人に話しかける。

 

「レイア、その辺にしてあげよう?お嬢様、落ち込むのは構いませんが、そろそろお昼を取らないと時間が無くなりますよ?」

 

「あ~、ネアの言う通りだね。ごめんねっ」

 

「あ、いえ、そんな謝らなくても。……ネア、そのくらいはわたくしも分かっているわ。けど……」

 

 2人がネアと呼ぶ人物は「ネア・ライン」。とある出自から、住み込みでファーフニル家のメイドをしている少女で、ジャンヌの幼少期から近しい従者の1人として行動を共にしている。3姉妹の次女であるジャンヌではあるが、彼女にとっては主従関係のない時のやりとりを含めて、1つ歳の離れた姉妹とも言える仲だ。

ジャンヌは幼い頃から彼女に陰から支えられてきていた。そしてこれもまた、彼女のささやかな助け舟でもあった。言葉を続けようとするジャンヌの耳元をレイアから隠すように片手で手筒を作り、耳打ちする。

 

「お嬢様も、今はレイアの気を話から逸らした方がよいのでは?」

 

「っ……」

 

 一瞬、思案するジャンヌ。下手に家の事を話せば、ジャンヌ自身の事情にも関わってくる可能性もある。レイアとの間に割って入られたことには納得がいかないところではあったが、それでもバレるよりはマシな方である。

 ネアの方に向けていたキツイ目線をレイアの方に戻すと、ジャンヌは奥に秘めた物をレイアに向ける愛のこもった笑顔で隠しながら、昼食に向かうことを提案する。

 

「……そうですね。次の授業のこともありますから、気分の切り替えの為にも昼食にしましょうか」

 

「だねーっ!今日は屋上空いてなさそうだから、どうする?」

 

「なら、第2中庭はどうかな。まだ桜も咲いているって話だから綺麗だと思う」

 

「さんせー!」

 

 元気よく出ていくレイアを先頭に、ジャンヌ、ネアと続いて教室を後にする。

 

 

 

 

「黒い……MS?」

 

「はい。ドラグディアでも、教科書で見たことのあるマキナスのものでもないMSです」

 

 昼食として持参した(実際に持ってきていたのは従者のネアだが)サンドイッチを口にしつつ、ジャンヌはそう語る。内容はもちろん、授業中に目に入って来た、黒いMSの姿についてだ。

 今思い返すと、あのMS見たことのない機種……というどころか、動力機関すらも違っているように見えましたね、あれ。けれど、お父様からは特に何も聞かされていない……いいえ、昨日わたくしもあの人の話をよく聞かずに出て行ったのです。言っていても届いていなかったという可能性も……。でも、あのディメンションノイズは一体……。

 同じくサンドイッチを口の中に収めたネアが、従者としての立場でそのMSの特徴を訊く。

 

「私も気付きませんでした……。他に、何か気になった点はございましたか」

 

「そうね……やっぱり、強いて言うならディメンションノイズの色が違ったことかしら。赤じゃなくて、蒼かったの」

 

「ディメンションノイズの色が……青?」

 

 レイアは首を傾げつつ、自分の持ってきていた弁当のおかずをほおばる。なぜ彼女は首を傾げたのか、理由は1つだ。

 現在使用されているディメンションノイズ……通称DNはこの次元世界を構成する次元空間内の原子の1つだ。それがDNジェネレーターを介してジェネレーターから引き出した際に、赤い粒子となってこの世界でエネルギーとして運用されるようになる。言うなれば、ジェネレーターは変圧器のようなものだ。

 そしてその変圧器の役割を果たすジェネレーターによって、DNの純度が決まる。この時純度の違いによって、色が変化するという。純度の違いは主に次元空間から機体存在座標まで、DNの原子が届く時間、というより距離によって変わる。変圧するのは、主にこの距離の話であった。特にDNジェネレーター運用最初期は、時間がかかり過ぎてDNの色が灰色か透明、最悪消失していたという。

 この問題を克服し、現在のMSの生産性・運用面での安全性を考慮して開発されたのが現在のDNジェネレーターだ。そのジェネレーターが放出するDNの色が、赤黒い粒子なのである。血のように聞こえるが、空中で生成粒子の崩壊が起こるため、実際には赤色のオーロラのようであるのだが。ネアもそれを指摘する。

 

「ですが、現在のMSと言えば、DNの色は赤。昔でもそのほとんどは薄い赤色だったと聞きますが……」

 

「えぇ。何かの見間違いかもしれないけれど……でも、それはそれで納得できないわ」

 

 ともかく、蒼い粒子などジャンヌはその眼で見たことは一度もなかった。家柄や父の仕事の関係上、ドラグディア軍の本部を訪れ、最新MSの開発現場を見せてもらったことは何度かある。けれども、あれほど兵器にあるまじき幻想的な、蒼炎とでもいうべきDNをMSが発する場など、見たことはない。

 本当に何だったんだろうか、と思いながらもサンドイッチをまた1口食べたところでレイアが咄嗟にとあることを口にする。

 

「……!蒼いDNと言えば、あれじゃない!?救世主様の伝説!」

 

「っ」

 

 レイアの一言にビクン、と反応する。決してどこかを触られて危機回避的にではない。いや、ある意味危機回避は正しいのだが、触られたからというわけでは決してなかった。だが、レイアが何気なく呟いた「救世主」という言葉に、ジャンヌは昔からの癖で反応してしまったのだ。心の底で、嫌な自分の本性が蠢く。

 

(なんで、みんな救世主なんてものを信じるの?)

 

 やめて、レイアさんの前でそんなことを口走ろうとしないで。レイアさんはただ、わたくしの発言に思い当たるものがあるから、言おうとしているの。今はあなたが出てくる場面じゃないの。お願い、消えてよ……。

 必死に自分の中から溢れてくる、嫌な感情を抑え込む。やはり今日は最悪な日だ。どうして、こんなにも世界は無情なのか。落ち着いた時なら簡単に出る答えも、今はなかなか出てこない。それに知らずと苛立ちが募る。

 一方、レイアの発言に興味を示したネアがジャンヌに目を向けつつも、話を聞く。

 

「救世主の伝説って……この星の創世記のこと?」

 

「そうそう!「機竜創世記」っていうんだっけ?そこで出てた、救世主こと蒼炎の機動戦士「ガンダム」!!」

 

「ガンダム……」

 

 ガンダム。この星がかつて2つの人類勢力で争う中、突如として現れた機械の戦士。時には救世主という文字に、ガンダムとルビが振られることもある名前だ。そして、全てのMSの祖とも言える。マキナ・ドランディアに存在するMSは、全てガンダムの模造品なのだ。

 レイアはそのまま創世記の事に触れていく。

 

「創世記の言葉に『人々が争い、枯れ果てた大地に現れし機械の竜と蒼炎の機動戦士2つの種族に機械と竜、竜が持つ2つの力を分け与えん。その力を以て人々、世界再生する』……ってあるよね。私授業で初めて聞いた時は蒼い炎がMSを覆っているのかもって思ったけど、もしかすると、出てるDNが蒼いからそういう風についたんじゃないのかなぁ?」

 

「そんなまさか……」

 

 ジャンヌはレイアの考えを否定する。本当はレイアの考えに同調したい。だがそれでも、救世主という言葉がジャンヌに、レイアの言葉を否定させていた。そんな彼女の想いを汲み取るように、ネアがもっともらしいことを口にする。

 

「でも、そういう考えもあるんじゃないでしょうか。昔より今の方がはっきり目に映るのであれば、当時と今とで認識が違うこともあるから……」

 

 まさしくその通りだ。昔からある話も、本当は今の科学で証明できるというものもある。それを見間違えた可能性はいくらでもある。ただそれをすぐに言えなかったことがつらかった。

 しかし、そんなことなど気にせずに、レイアはジャンヌに羨望の眼差しを向ける。

 

「そうだよ!はぁ~、ジャンヌちゃんいいなぁ……」

 

 あぁ……愛しい。そんなにもわたくしの事を憧れの存在のように見てくれるなんて……。わたくし、恥ずかしすぎますっ。……でも。

 でも、分かっていた。その喜びは、救世主があってこその物だと。自分の一番嫌いなものに関わるそれが、愛しい人の興味の対象であることに、ジャンヌは再び自身の中で嫌な感情―――嫉妬の炎を湧き上がらせる。

 だが、不意の一言にその感情の炎上は止まる。

 

「その人のおかげで、今私はこの学園で歌の勉強が出来るもん!」

 

「あ―――」

 

 聖トゥインクル学園高等部詩巫女養成科は、文字通り詩巫女を育成する学科だ。しかし象徴はその通り1体だけであり、共に行動できるのは詩巫女1人だ。これだけの人数の中で、それに選ばれるのはただ1人。しかもこの数百年は、誰も適合できていないという話もある。そうなると選ばれなかったり、選ばれるまでに食べていける、生活できる仕事に就いたりする必要がある。その多くが歌関係の仕事への志望を第2希望としていた。だがしかし、彼女は違った。

 彼女は、最初から歌を学びたいという理由から、詩巫女養成科を受験したのだ。しかも、学園でも珍しい、高等部への外部入学で養成科を受けたのである。詩巫女を目指さない、かつ高等部への外部入学は彼女が初めてであり、他学科からも入学当初はかなり注目され、今でも噂は絶えない。

 何よりも、ジャンヌ・ファーフニル自身がまた歌と向き合おうと思ったきっかけこそ、彼女の考えであった。

 

『詩巫女養成科だからって、必ず詩巫女になれるわけじゃない。けど、詩巫女と同じくらい、みんなを幸せにできるアイドルにはなれるよ!』

 

 如何にも彼女らしい言葉だった。聞いた当初は一瞬呆けてしまい、周囲からも笑われていたが、その評判を覆すように、彼女の歌は多くの生徒達に認められ、現在では歌の分野においては、上級生にも劣らないと言われている。

 

「……ン」

 

 それを思い出し、口角が少し上がる。しかしそれを見て、笑われたと思ったのかレイアは少し不服そうに口を尖らせる。

 

「あー、ジャンヌちゃん今笑った!?」

 

「あ、いえ。別に悪い意味ではありませんからっ。……レイさんはやっぱりすごいなぁ、と改めて思いまして」

 

 ジャンヌ自身が思ったことをそのまま伝える。すると、後頭部を掻くように、仕草を見せてレイアは照れた。

 

「んーえへへ……そんなことないよっ!」

 

 良かった……。レイアさんの頬を膨らませて怒る姿も可愛いですが、やはり笑っていて欲しいものです。それを見ているだけで、わたくしは幸せなんですから!

 満足そうにレイアの笑顔を見るジャンヌ。その心には、既に先程の事は忘れ、嫌な気持ちも消えていた。また復活するにしても、いい気分転換だ。しかし、その時間も長くは続かない。

 唐突に鳴った学校のチャイム。予鈴だ。この鳴り方からして10分前を知らせる予鈴だろう。

 

「あ、もうこんな時間ですね」

 

「そうね。レイアさんすみません。わたくしが席を立つのが遅かったせいで……」

 

 先程の教室でのことを詫びるも、それは仕方ないとレイアは笑って答える。

 

「気にしてないよ~。それよりも手を動かそうっ」

 

「は、はい、そうですね……」

 

 レイアから急かしを受け、ジャンヌはすぐに残っていたサンドイッチを口の中へ素早く飲み込んでいく。よく噛んで飲み込んだところで、ドリンクボトルから注いだお茶を口にする。

 そうして昼食を済ませ、後片付けをし終えたところで、5分前のチャイムが鳴る。

 

「じゃあ、行こっか!」

 

「はいっ」

 

「うん」

 

 レイアの掛け声にジャンヌ、ネアが応え、3人は校舎内へと戻っていった。

 

 

NEXT EPISODE

 




今回もお読みいただき、ありがとうございます。それでは次回も見てくださいね!Uトリg……

ジャンヌ「藤和木ィ……?」

ひぃ!(;゚Д゚)

レイ「……大体わかった。けどこれ中々アウトじゃない?」

いや、まぁ確かに色々あると思う!けどさ、今回竜と機械で構築してたら、いつの間にかジャンヌさん達がオマージュされたんだ!!というか「ジャンヌ」って名前自体、創作では有名だしなにより今回のテーマに合ってるから!

ジャンヌ「だからと言って……容姿も立場も割と……いえ、かなり似ていると思われるのですが……?」

私の好みの問題だ!(キッパリ)被ってるところはあるが、リスペクトしてはいるし、何よりあの関係性で何かバトスピ系物語書きたいって欲望が前にあったからね。こういう形だが、挑戦しようと思う。

レイ「そ、そう……けど、まさかネイもね……」

ジャンヌ「今回のアシスタント変更って、これも狙ってます?」

うん、結果的に正解。こっちは本当に気づかずにいて「あ」ってなった。まぁ、まったくの別存在だから。あと、髪色とか髪飾りやら、髪型やらも変えてあるので!

レイ「こういうこと言うから、後々突かれると思うんだけど……」

(´・ω・`)けど、割と他作品をオマージュした別作品のキャラって公式でもよく出ているからね。まぁ、そこら辺はともかくとして、今回はここまで。次回もよろしくです!

レイ「あ、そういえば前に要望されてた設定の件は?」

忘れてた……(;゚Д゚)先日、前作SSRの設定を出してほしいという件があったのですが、今度の活動4周年に合わせて公開しようかな?と考えています。
周年ネタに尽きてたからってことになりますが、私としても若干心残りとかあるので……主にラスボス機体の事やら……

ジャンヌ「それでは、次回もお楽しみに」
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