レイ「アシスタントのレイだよっ!元君重傷だけど大丈夫かな……」
ジャンヌ「アシスタントのジャンヌです。それもそうですが、前話でガンドさんが重傷で運ばれたのも気になります」
レイ「だよね!別離ってまさか……」
カンのいい詩姫は嫌いだよ……ってまぁ今回で分かるけどさ(;・∀・)
ジャンヌ「そうなると復讐もなんとなく察しが……先行き不安ですね」
さぁ、気になっているであろうガンドの容体はいかに!(゚∀゚)それでは本編へ
病院内の通路を足早に進む元達。元はアレクに肩を貸されて、先を行く看護師やリリー達の後を追う。立って初めて分かったが、身体にかなりのダメージがあった。その痛みのせいで最初はまともに歩くことも出来なかったが、無理を言って何とかその列に付いて行く。
まだまともに歩けるようになった足を速めていく元に、アレクと同じく後ろでそれを補助するローレインは注意を払う。
「おい、大丈夫か。足が速くなっているが……」
「そうだそうだ、お前だって一応重症の身なんだから、もう少しゆっくり行ったって……」
「……大丈夫か、ハジメ軍曹。少しスピードを落とした方がいいか?」
2人の声に反応し、リリーは振り返って確認を行う。しかし元は傷を庇うようにそれを拒否する。
「いいえ……それより一刻も早く、ガンド少佐の……当主の容体を……」
額にも汗を浮かべており、周りからしてみればこちらも危機的状況を思わせるものだ。依者側からして見れば、本人の意思を無視してでも止めに入る状況だろう。それらに留意しつつもリリーらは元の要求を聞き入れる形を取る。
「分かった。ローレイン、君も肩を貸してやってくれまいか?」
「背中押すよりその方がいいっぽいですね。ハジメ、行くぞ」
「悪い……」
ローレインも反対側に入り肩を貸す形で補助に入る。更に先頭も気持ち一つスピードを落として病室に急ぐ。
ガンドがいる部屋までたどり着くと、ちょうど同じタイミングで反対側の通路からもう1つの集団が合流する。その集団はこちらと同じく看護師に連れられ、慌ただしく向かってきていた。そしてその集団の顔は元も良く知る人物達、いやこちらと同じく当事者たちがほとんどを占めていた。そこに更にガンドの関係者でもある人物が入り、家でもないのに家の主要人物全員がほぼ揃っていた。そのうちの1人でガンドの関係者の1人、クリエが重傷気味の元を見て口を押えて怪我の度合いを訊いてくる。
「は、ハジメ!?だ、大丈夫なの?」
「奥様、自分は大丈夫で……痛っ!」
大丈夫だと言いかけたところで左足に衝撃が走る。見るとローレインの足が見事に後方へと戻る途中だった。
「なんて言ってますけど、こいつも同じく重症患者ですよ。ガンダムも大破状態で、生きてるのがほぼ奇跡な状況です」
「ローレイン、お前な……っっ!」
咎めようとすると更に足を蹴ってくる。流石にクリエや既に顔を出していたグリューネ、ネア、それにノーヴェは笑いなどの反応を漏らす。
「あーいい気味いい気味。言っちゃいけないけど、因果応報って感じ」
「お、お姉ちゃん……流石に命からがら生き残れた人にそれは……」
「分かってる。流石に言い過ぎたわ」
「大体事情はグリューネから聞いたからあれだけど……流石に笑えないわ。大丈夫?」
「何も言えない……いや、話せはするけど……」
グリューネの言葉通りの現状だった。あれだけ大口をジャンヌに叩いておきながら、自分は白のガンダム相手に何も出来ずに敗退。しかもMSが大破しても自分は生き残るという更に格好のつかない結果を残している。むしろ笑ってくれた方が清々するかもしれない。
だがそれ以上に元が気になるのはジャンヌの様子だ。母クリエに肩を持ってもらって歩いているが、その眼にはまるで生気はない。絶望の淵へと追い込まれたような眼をしていた。歩いているのも不思議と思える光景だが、扉の中へと入っていくリリーやグランツ達の姿に、先に入ってくれるように頼む。
「すみません、先に入ってくれますか。今の状態だと入るのが遅れてしまうので……」
「そ、そう?じゃあお先に……」
クリエも夫の無事に焦りを浮かべると、すぐにジャンヌを押しながら部屋へと入っていく。その後をグリューネ、ネア、ノーヴェと続く。その最後尾をローレイン、アレクが元に肩を貸した状態で横になって部屋に入っていく。
ドアを閉めると、部屋の中にクリエの叫びが木魂する。
「貴方っ!!」
悲鳴とも取れるほどの声量に元は若干竦む。2人に支えられながら、元もガンドの下へ歩み寄った。だが、それは現実として受け止めるにはあまりにも重すぎる姿だった。
ベッドに寝かされたガンド。彼の至る所に包帯が巻かれていた。そのうちの左手と右足の包帯は本来あるはずの部分を途中から隠してしまうような巻き方だった。本来伸びるべき部分の包帯は血で染みており、ベッドのシーツにも血が付着してしまっていた。
本来の人の生き方ならあり得ない光景。その異常性に吐き気を催す。しかし、聞こえて来た涙声でそれを堪える。既に反対側の方ではクリエたちが悲しみに暮れていた。クリエは愛する夫の右手を握って顔に当てながら涙声を漏らし、ネアは惨状に耐えられず顔を背けてはまたその姿を見てを繰り返す。そしてジャンヌは腕をだらんとさせてイスに座り、両親の姿を茫然と見通していた。そんな彼らの様子を、いつの間にか部屋にいたフォーンも視線を外し、見るに耐えられないという様子を露わにしている。
泣き続ける妻の姿に、夫であるガンドは自身のむごたらしい姿に構わず励ます。
「ごめんな、クリエ……こんなことになってしまって……」
「私も、覚悟していたつもりです……でも、こんなことって……っ!」
ガンドの声に精一杯という様子が感じ取れる。何とか平静を保とうとするも、クリエの顔は涙で歪む。そばに付いていた医師が顔を俯け、今の様子を伝える。
「手は尽くしました。ですが、なにぶん失血が多い。今会話できているのが不思議なくらいです。おそらく、1日も持たないかと……」
「そう、ですか……」
リリーが沈んだ声で医師に返答する。そこで元の体が崩れ落ちそうになる。あわやという所でローレインとアレクが支える。
「ハジメっ!?」
「っ、無理もない。ガンダムの装依者とはいえ、民間人だ。それに体に力が入りにくいんだろう。けど、もう少し持たせろよ……」
元に声を掛けて心を保たせようとする。反対側で起きていることに気づき、ガンドが顔をこちらに向ける。
「ハジメ、か?……無事だったんだな……」
「あ……お、俺は…………」
言葉が上手く出てこなかった。恐怖と痛みで口が思うように動かない。そんな元に代わり、グランツが前に出てその姿を見て謝罪を口にする。
「すまない、ガンドよ。こんなことになってしまい……ファーフニル家という重荷も担がせて……」
「いいんですよ……家を失って、家族を失って……復讐しかなかった俺に、……貴方は生きる理由を与えてくれた。…………それだけで俺は……、このファーフニル家を継げてよかった」
あまりにも潔い、全てを悟ったような返答だった。ファーフニル家という呪われた家の当主となった男は、それ以上に大切なものを今持っていた。それは自分の体の部位をなくしてしまってもなお誇れるものだと言えるほどに、強かった。第三者とも言える元にすらそうだと思わせるほどに、彼の言葉は家の大黒柱として相応しかった。
グランツもそう聞いて一歩下がる。その顔は後悔と安堵の物が混ざり合っている。グランツとの会話が終わると、ガンドは泣きじゃくる妻に言葉を向ける。
「クリエ、君と出会えて、よかった……」
「私もよ……貴方」
クリエは顔を乗り出してその唇を重ね合わせる。続いてガンドはネアにも言葉を向けた。
「ネア……君を家に預かってから色々と世話になった。ジャンヌの世話を小さい頃から見てくれて、ありがとう……」
「いえ……お嬢様のおかげでっ、私は今日まで生きてこられました……っっ!」
「そうか……なら、最後の頼みだ。家の者達に、これからも私の家族を頼むと、フォーンと共に伝えてやってくれ……」
「はいっ……!うっ……うう!」
ガンドからの最後の頼みに、涙が零れつつも了承するネア。しかし最後の最後で姉であるグリューネの胸の中で泣いてしまう。そんなネアをグリューネは何も言わずに抱きしめる。
ガンドからの最期の言葉とも取れる行動は、今度はジャンヌへと送られる。
「ジャンヌ。お前は三姉妹の中でも……母さんによく似た子だ。とてもこの先が心配になるほど、愛しい」
「………………」
ジャンヌは答えない。声すらも発しない程精神の弱り切った彼女の反応は全くなかった。だがそれでもガンドは、心を閉ざす過酷な運命を背負った娘に語り掛ける。
「お前に詩巫女の道を強いてしまったことは……心から申し訳ないと、思っている……だが、お前が生きるには、それしかなかった……お前には生きて欲しかった。だからジャンヌ……俺が死んでも、お前は生きてくれ……ジーナやエターナ、それに母さんやネア、フォーン、そしてハジメと共に」
「………………っ」
一瞬ハジメの名前が出て反応が帰ってくる。だが憤りのような反応であり、あまり良い印象ではない。それでもジャンヌが話を聞いてくれていたことに安心した表情を返す。
これで終わりと思われた最期の言葉。だがそれは最後の最後に元に対しても向けられた。
「……ハジメ」
「っっ!?は、はいっ……」
呼ばれたことに狼狽してしまう元。何とか口から出そうなものを抑えながら、元はガンドの近くまで行く。元が自身の視界に入りやすいところまで来たところで、ガンドは元に言葉を掛ける。
「恐れるな、というのは無理な話かもしれない……だが、既にお前も、ドラグディアの軍人の1人だ。それに……こんなことになってしまったのは、自分のせいだとも思っているのかもしれない。けど俺は、俺の護りたい者のために……戦っただけだ。何が言いたいのか分からないかもしれないが……言いたいことは1つだ……お前は、俺によく似ている」
「どういう……ことですか……」
告げられたのは、自分によく似ているということだ。だが元はガンドのように心は強くない。とてもではないが、ガンド程今の状況を冷静に見て居られていなかった。それにこんなことになったのは、倒すことのできなかった自分の責任だ。もし自分が、あのガンダムを倒すことさえできていれば、こんなことにはという罪悪感があった。
元は受け入れられずにいたが、ガンドはそれを指摘した。
「そういう風に真面目に、気負いすぎるところだ……。昔の俺に、そっくりだった。最初の内は戦友を失って、何度もショックに陥っていた……。だけど、全部を受け入れられはしない。全部を1つ1つ受け入れていたら……守れるものも守れなくなってしまう……怒りも同じだ。いちいち怒っていたら、キリがない」
ガンドの言葉に、元はただただ聞くことしか出来なかった。最後の言葉をいちいち質問してしまえば、言いたいことを言う前に消えてしまいそうだったから。ガンドはそのまま続ける。
「あの白いガンダム……ディーナ・リントヴルンは、お前を狙っている……だが、怒りに飲み込まれるな……っ。冷静さを失えば……奴には、勝てない……っ!」
「貴方っ!?」
ガンドの苦悶の反応に、クリエが思わず声を大にして呼びかける。そんな彼女を彼は笑みを作って安心させると、消え入りそうな声で全員に語りかけるように呟いていく。
「残念だが、そろそろ限界みたいだ……。心配なことはたくさんあるが……それは今を生きる者達に任せよう……。願うなら、グランツ司令……いや、義父さんとフォーンと一緒に見た、終誕の日を……もう一度…………見たかっ…………た………………」
言葉が途切れると同時に、近くにあった機器からブザー音がなる。同時に待機していた医師と看護師がガンドの周りへと向かい、彼の体に付けられていたチューブを外していく。ガンドの手を握っていたクリエはその手を掴んだまま号泣する。
「貴方……貴方ぁぁぁ!!」
「クリエ……!」
泣き崩れるクリエをフォーンがガンドの遺体から剥しつつ、その肩を抱く。速やかに行われていく片付け。元はただそれを見ているだけだった。
その時だった。部屋の空気が変わったのは。
「うぐ…………がぁっ!!」
「ちょ、ちょっとジャンヌ!?」
「お嬢様……?どうなされたんです!?」
ジャンヌのうめき声と倒れる音に真っ先に反応するノーヴェとネア。2人に続き、クリエやフォーン、リリーにグランツ、更にはガンドの方に気が向いていた医師の方も続々と彼女の下に集まる。
ただ1人、元はそこに向かわなかった。失意の中でジャンヌの下にすら行くことが叶わなかった。主の危機であるにも関わらず。
◆
「お嬢様!何が……」
必死に首元を抑えるジャンヌをネアが介抱しようとする。だがジャンヌは首元を必死に抑えて悶え苦しむ。その様子は今までまったく彼女の事情について知らなかったアレクにはさっぱりだった。持病などだろうかと考えていたところで、何かに気づいたクリエが涙を拭くと、血相を変えて彼女を傍に抱き寄せる。抱き寄せるとクリエは娘の首元に当てていた手をどかし、その理由に気づいた。
「そんな……駄目よ、ジャンヌ!詩巫女になることを諦めないで!!生きることを諦めないでっ!!」
「何っ?まさか……!」
「お嬢!」
クリエの言葉でグランツもその事態に気づく。フォーンも察知して彼女に声を掛ける。その理由に未だ気づけないアレクやリリー、グリーフィア達。多くの者が事態を理解できずにいる中、クリエにジャンヌの首筋を見せてもらったグランツがそれを口にする。
「……詩竜の呪印が……拡大し始めている……」
「なっ……!?」
「詩竜の呪印……まさか、ファーフニル家の呪いですか!?」
「嘘……クリエさんが言ってた、発動したら死ぬっていう!?」
詩竜の呪印。詩巫女になることを強制させられる最悪の呪い。なれなければ死をもたらす禁忌の呪いが、発動してしまっていたのだ。それを知る者達の表情に焦りが浮かぶ。
もしそれが本当なら、ジャンヌ・ファーフニルは死んでしまう。しかし一体どれだけの時間が残されているのか。解決する方法はないのか。それらが彼らの間に渦巻いた。
「詩竜の呪印……母さんから聞いたことがあるわ。どうにか出来ないんです?」
「グランツ司令……」
「……残念ながら、どうにか出来ていればこうはならん。これまでも呪いを受けて来た者達は、皆死ぬ前に誓いの共鳴の成否を確認してその役目を終えてきたのだ……」
「私の時も必死に共鳴が出来るレベルになれるようにしてた……諦めたらもう終わりだったから……。でも、だからってこんな……」
今までに前例がなかった言える状況。続く悲劇に一同に暗い影を落とす。病院関係者達も下手に触れない方がいいと、ガンドの遺体の方を優先して処理していく。
何かないか。アレクも考えようとしたところで気づいた。周りのどこにもハジメがいないことに。ジャンヌに何かあればすぐに駆け寄るはずの彼が、いくら怪我をしているとはいえ今なおその近くにいなかったのだ。
直後に後方から音が響く。アレクが反射的に振り向くと、そこに探し求める人物、クロワ・ハジメが部屋から出て行こうとするのが見える。
「アイツ……どこへ……!」
ジャンヌに目もくれず去ろうとする、あまりにも彼らしくない行動に怒りが沸いたアレクはすぐに彼の後を追う。扉を出たところで、壁に手を当てて行こうとするハジメを呼び止める。
「ハジメ!どこ行くんだよ!ジャンヌ・ファーフニルが大変なことになっているんだぞ……!」
通路にアレクの声が響く。その声を聞いたためか遅れて病室のドアをくぐってグリューネもその現場に遭遇する。
すると顔を半分だけこちらに向けたハジメは、気だるげな声と共に言い放つ。
「分かってるさ……そんなこと。けど、あの白いガンダムを殺さないと、何も変わらないじゃないか……」
「なっ……!?お前……」
「……ハジメさん、貴方本当に分かってる?あれにはディーナが……ノーヴェの妹が装依しているのよ?レイアだって人質になっている。あれを今撃墜したら、誰も救えないのよ!?」
ハジメの口から出た、殺すという発言。ハジメの言葉から湧き出る殺意。それがアレクとグリューネに向けられていた。あまりにも今までのハジメと異なる口調も合わさって、上官であるアレクすらも気圧されてしまう。先にグリューネがその言葉が意味する事実をハジメへとぶつける。
しかし、ハジメは冷めた視線のまま、考えを変えない。むしろ予想を上回る返しを口にした。
「分かっているよ。だけど、あれは敵だ。戦えなきゃ、犠牲は出る。殺す気で戦わないと、戦えないと、また誰かが死ぬ。だったら、俺は……」
そして2人に対し、病院の通路の中で告げた。
「
護れなかったことへの怒りと、救えなかったことに対する悲しみが、憎しみすらも愛へと変える。それは復讐と言う名の轟火へと青年を浸していくのであった。
NEXT EPISODE
今回もお読みいただきありがとうございます。味方サイドの名有り人物初の戦死という(´・ω・`)
レイ「ガンドさん……敬礼っ!」
ジャンヌ「彼は家族を護って……。けど、残された方もかなり不安定と言いますか……元さんとジャンヌさんがやばい方向に行っている気がします」
前作では主人公が復讐に囚われるっていう展開はなかったからね。でもストーリー進んでたらその内出てたんだよね。それでも元君がやばいのは確定的に明らかというわけでして(゚Д゚;)ジャンヌも大分不安定なのが詩竜の刻印の効果からも明らかだね。
ジャンヌ「復讐に囚われるガンダムパイロットっていました?」
一時的なのも含めると多いかもだけど、有名なのはやっぱりシン・アスカだよね。キラが嫌いってわけではないけど、それでもSEEDDestinyの主人公はシン君で行って欲しかったっていうのはある(´・ω・`)ステラをを殺した!止めようとしたのに!後敵側で人類という壮大な対象相手に復讐ならクルーゼさんとかね。
レイ「けどだからって元君が復讐していいってことじゃないよね!?」
それを止めなくちゃね(゚∀゚)
ジャンヌ「止める真剣さが(顔に)ないです」
レイ「止めるのにもう1人殺すなんてことないようにね?」
大丈夫、新たには殺さないよ(^ω^)さて今回はここまで。次回も
レイ「よろしくね!……って新たに……?」