ネイ「アシスタントのネイです。……臆したわけですね」
グリーフィア「アシスタントのグリーフィアよぉ♪チキン野郎ねぇ、作者さん♪」
(´・ω・`)最近復帰した友人はともかく、私はこれまで界放祭参加、しかも去年はCSの方にも出たのにこの始末だよ。チキン野郎に異存はない_(:3 」∠)_もうツイッターの後ろの方にチキン野郎とでもつけようかしら……
さて、そんなことは置いといて。EPISODE41、投稿です。
グリーフィア「んー……と?たしか元さん大分不安定な状況だったかしらね」
ネイ「そうだね。ジャンヌさんに恨まれてでも白いガンダム……ヴァイスインフィニットを撃墜するって言ってたから。今回はその後ですか?」
そうだね。まぁ前回から3日位飛んで7月に入っているけどね。あ、ちなみに最近執筆原稿として使っているワードの一番上にはサブタイトルに加えて日数も書き始めてます。いつかわかんなくなるんだよね(;・∀・)
グリーフィア「まぁ。それは作者が間違ってその部分もコピー&ペーストしてくれること期待ね♪」
変な期待するんじゃねぇ( ゚Д゚)それ今までのミスとかも含めて結構怖いんだぞ(゚Д゚;)
ネイ「あ、あはは……それじゃあ本編へ……」
悲劇の連続が起こったあの夜から3日が過ぎた。季節は夏の盛りが始まる7月へと暦を進める。それは必然的に詩竜双極祭までの時間が短くなったということ。参加者の一部が巻き込まれ、当事者となった白のガンダム襲撃事件は学校にも震撼を与えていた。中央広場は半壊しその戦闘の傷跡を各箇所に残し、生徒達に知らしめていた。幸いにも当時学校に残っていたのは当事者を除けば職員室にいて異常を警察へと伝えた教師陣と、校門付近にいた下校前の中等部、高等部の生徒数名で無関係な人間に被害が及ばなかったのは幸運と言える。
しかし、関係者への傷跡は深い物だった。ドラグディア軍十数名が戦死、学校生徒の負傷、犯人であるディーナ・リントヴルンの逃走、レイア・スターライトの行方……。ひと時の平和が戻ったとはいえ、注意深くならなければならなかった。
夫を失ったクリエは続いた次女への災難から来るショックで体調を崩していた。にも関わらず、彼女は当主不在の状況で混乱するファーフニル家をまとめ上げていた。負傷していたグリューネやネアも学業に復帰し、詩竜双極祭の練習と並行して母ノルンと共にクリエを手助けしていた。傷を押して、各自出来ることをやっていた。
しかし、その傷から復帰できていない者もいた。ノーヴェは学校には来られているものの、かけがえのない双子の妹がこれほどの事態を起こしてしまったことで詩竜双極祭への参加を辞退しかけた。幸いそれは同じく事件に巻き込まれたグリューネからの叱咤もあって回避された。だが、今どうしようもない状態の人物が2人、いた。
ジャンヌ・ファーフニル、そして黒和元である。ジャンヌは怪我と精神的ショック、そして詩竜の呪印による衰弱で病室にこもってしまっていた。一番白のガンダム……ヴァイスインフィニットに痛めつけられたのは彼女だ。そこに続く自身の関係者の喪失、そして今度は自分が……。元が直前に起こした行動すら霞む悲劇の連続は、少女を追い詰めるには十分すぎた。それでも自殺することなく、かなりの乱れはあれど精神崩壊一歩手前の精神不安定状態で踏みとどまれたのは、まだ不幸中の幸いであった。問題なのは、元の方だった。
彼は重度の怪我でありながらも次の日から学校へと通学していた。しかし、彼の立ち振る舞いは違った。一言言うなら、異常であった。授業以外の時間は全て戦闘教本を読み込んでいた。昼食も友人であるレヴやリッド、それにローレインすら挟まない。1人で校舎の静かなところで食事と教本の叩き込みをしていた。学校が終わると一直線にフリードリヒ地区の基地まで全力疾走、着き次第シュミレーションポッドで訓練を行う。エネミーレベルはMax、更に他の隊のエースパイロット相手に模擬戦闘を行うというあまりにハードすぎる訓練をこの2日間続けていた。
その行動は悪魔に取り付かれたか、それとも現実問題への逃避か。しかし彼はその奇行に対し問いかける者達に、こう答えた。
「戦わなければ、護れない」と―――――――。
そして幸か不幸か。レイア・スターライトを誘拐し、ファーフニル隊を壊滅させたディーナ・リントヴルンから既に次の出現を予告されていた。
7月7日、その日詩竜双極祭の場で黒のガンダムを破壊すると、宣言したのだ。
◆
その日の早朝。元は目覚ましの音と共に起床する。日付は7月の4日目、土曜日である。土曜日なので学校はないものの、元は朝早くから起きる理由があった。
ヴァイスインフィニットガンダムに負けた理由……機体の装備もあったが一番の理由は技術の格差だ。今のままでは、例えガンダムが強化されようとも負けてしまう。負ければ今度は誰が犠牲になるのか。元は絶対に負けない為に出来る限りの訓練を己に課した。今日も朝から基地へと向かい、シュミレーションポッドと生身での訓練を行う予定なのである。
使用人達が朝の食事を用意する厨房を尻目に、玄関へと向かう元。だが元を呼び止める声が響いた。
「ハジメ、待て。どこへ行く」
声の主は元のファーフニル家使用人としての上司たる男、フォーン・フリードだった。しかし、彼の後ろにはファーフニル家の仮の当主としてまとめるクリエ・ファーフニルと、彼女を支えるネア・ラインがいた。彼女達の表情にはどことなく曇りがあるように見える。
表情の理由は分からない。だがその曇りが心配を意味するものだと気づいた元は、行き先だけを告げて玄関へと向かおうとした。
「基地です。朝食はいらないので……」
「待てと言った」
だがフォーンは玄関の方へ向かおうとする元を、自身の方へと向き直らせる。是が非でも元を抑えようとする動きに、元は遺憾の意を示す。
「なんですか……用件は言って……」
「そうじゃないのよ……ハジメ君。あの人が言っていたのは、そんな事じゃないの」
反論する元に、哀しそうに諭すクリエ。クリエはそのまま元へとガンドの言葉の意味を綴る。
「私の夫だって言っていたじゃない……怒りに呑まれてはいけない、冷静になれって。今の貴方は復讐に囚われているわ。お願いだから、他の事にももっと気を配って……」
クリエの言葉を受ける。ガンドは確かにそう言っていた。だが、元には通さなければならないものがあった。だから元はクリエに対し視線を合わせ、譲れないものを語った。
「戦わなかったら、また人が死ぬ」
「それは……!」
「もう失うのなんて、嫌なんです。もう俺の前で、誰かが死んでいくのなんて……。失礼します」
「は、ハジメさん!」
ネアの制止も振り切って元はその場を後にし、外へと出ていく。外へ出た元は早速一走りを行おうとしたところで、身体がふらつく。夏の日差しが彼の体に負担を掛ける。一度座り込むも再び立ち上がった元は、勢いを戻して基地へと向かっていった。
◆
「…………止められなかったわね……あぁ……」
ハジメが去ったファーフニル邸の廊下で、止めようとしていたクリエが重いため息を漏らす。弱り切った様子で壁に体をもたれさせる。あまりいい光景でもないので、フォーンはすぐさま代案を提案する。
「奥様、疲れていらっしゃるなら席に座られては?そろそろ朝食の準備も出来るころですし」
「うう……ハジメ君がいなくちゃ、朝食の場もネアちゃんしかいないわ……寂しいわぁ……超ショック」
「お、奥様……」
ふざけたような言い回しに、ネアが反応に困っている。フォーンも敢えて無視したが、それでも最初の頃よりそんなことを言えるようになっているのでまだいい方だ。とはいえ、その言葉は彼女にとって重大な問題でもある。
夫は死に、次女は未だ病床、更にその次女の使用人は暴走……。今のファーフニル家は長女と三女が普段からいないこともあって、活気が失われていた。使用人の間でもこれから先の事を考えて身の振り方が交わされているほどだ。どうにかしてハジメだけでも健在であってほしかったというのが、使用人の長であるフォーンの声だった。
しかし今は居る者で何とかせねば。フォーンはクリエのジョークに真面目に乗ることにした。
「話し相手くらいなら、私も同席しますよ」
「あらフォーン……何?20年前の続きを始めるつもり?」
「……なんのことやら」
クリエからの問いかけに、フォーンはそのように返して見せる。確かに自分も、クリエを妻とする機会に巡り合った者の1人だ。しかしフォーンは勝負に負けた。まだそれほどメジャーでなかったプロト・マキナ・ブレイカーを使って、射撃戦を仕掛けたフォーンに勝ちをもぎ取ったガンドとの試合は現在のドラグディア軍内でも有名な話だ。
しかしそのガンドはもういない。加えてフォーンもその時以来自分には縁がないと諦めて彼の下に付いた。彼女のいる家を護れることを誇りとして、今日まで勤めている。可能性としてはなくはないのだろう。しかしそんな状況になろうとも、フォーンにはその気は毛頭なかった。それは、意地とも呼べる信念だった。あの時負けた自身にその資格はないと思っていた。今のフォーンとガンドならどうかは分からない。しかしあの場で、あの決闘形式の戦闘で負けた時点で、彼に挑む権利など自分にないと悟っていたのだ。
(あの時負けた時点で、俺の道は決まった。例えあいつが死のうとも、俺は今の執事の立場で家を護り続ける……。それが奴との約束。あの時も……)
病院でのことが思い起こされる。あの時フォーンは一足先にガンドの下へと訪れていた。そこで彼に謝罪と共に2つの事を言われた。1つは元とジャンヌの事、そしてもう1つは自身に対して。死んだときには当主としてクリエを支えて欲しいと頼まれた。だがフォーンはそれを真っ先に断った。クリエの夫であり、その代の当主は誰が認めようとガンドであると。そんな事を言いたいのなら今すぐ俺が殺してやると言ってやった。そんなフォーンの言葉にガンドは笑った。力のやや抜けた、しかし元気があれば笑い飛ばすという表現が似合う笑い。だがそれを聞いてガンドは穏やかな表情で「ありがとう」と言った。
彼の勝利に、誓いに掛けてフォーンは今の立場でいることを決めたのだ。だからクリエがどう言おうともフォーンはそれを曲げはしないのだ。一方フォーンに誘いを断られたクリエは残念そうにしながらも、同席を受けようとする。
「あら……残念。でも一緒に食事をするっていうのも今は嬉しい♪じゃあ一緒に……」
「すみません、でしたら私もお願いしてよろしいですか?」
そう横から願い出たのは、かつて元を手当てしたこともある庭師の男性であった。唐突とはいえ、そんな申し出にクリエは同じく了承する。
「あらあら~、庭師のダエットさんじゃない。もう朝のお仕事終わり?だったら一緒に食べましょう」
「えぇ、まぁ。それに先程のやり取りで気になったことがありましてね……」
「え……さっきのって……ハジメさんが?」
ハジメの事に触れるダエットにネアが首を傾げた。フォーンも気付いていないことがあることに驚きを隠せない。先程のやり取りのどこかに、彼が気になることがあったというのだ。
どのことか悩む2人に、庭師はひとまずはと声を掛ける。
「とりあえずは食堂で。料理の前にお話ししましょう、私の仮定を」
「?」
気になりつつもまずは一同食堂へと向かった。
「何?あいつが過去に何かあった?」
「はい。端的に申せば、彼は過去に誰かを喪っているのではと……」
ダエットが語り出した予測に、フォーンは聞き返す。食堂に座って料理を待つ間、彼の話を聞くことになったフォーン達。そんな彼らが最初に聞かされたのは、ハジメが誰かの死を見届けたということだった。
最初はあり得そうな話に、フォーンはバカバカしいとその考えを否定する。
「あり得ん。誰かの死など、このドラグディアでも民間人なら多々あることだ。それにアイツは仮にも軍人なんだぞ。人の死に敏感なやつに、人が殺せるか!」
フォーンの考えは一般的な考えなら間違ってはいない。死ぬということは単純に殺された以外にも病気、寿命での死も意味する。それを今何人も殺すことになる戦争に足を突っこんでいるハジメに限って、そのようなことで一々気にするとはあり得ないと思っていた。
短絡的とも取られない、しかし順当とも言える思考をするフォーン。だがダエットはフォーンにも分かりやすいように、自身の考えを1つ1つ説明していく。
「確かに、彼は今何度かの戦闘を経験しています。ただ、今回注目したいのは、彼の先程の言葉」
「言葉……?」
「さっきのやり取りに、何かあったかしら……。ハジメ君はさっき「もう誰も失いたくない、死なせたくない」みたいなこと言っていたけれど……」
「はい。先程彼は確かにそう言いました。これまでの戦いで、彼は近しい人物を、戦闘で失いましたでしょうか?」
「それは……なかったと思うが……」
やり取りが交わされる。一体何を言いたいのかと相手となるこちらはやや懐疑的になる。だが庭師はその懐疑的な考えを、的確に飛ばした。
「ではなぜ彼は、もう死ぬのを見たくないと言ったのでしょうか?」
「それは……」
「……なるほど、確かに私達は今までこの世界に来た彼の事は見て来た。でも……」
「この世界に来る前の……ハジメさんの世界でのハジメさんは、過去のハジメさんは全く知りません」
そう、ハジメの過去をこの世界の人間は一切知らなかった。ハジメの世界の事や、年齢などの必要な基本情報は知っているものの、この世界であまり必要のなかったハジメの情報を聞いた者はこの場に一切いなかった。下手をするとジャンヌも話を聞いていないのかもしれない。
気づいたところでダエットも更に仮定を進める。
「何があったかは分かりませんが、彼は過去に今回の時ほどの大きな衝撃を受ける出来事を経験した可能性が高いと思われます。それも、戦争に関係ないような、しかし今回の事に匹敵するほどの……」
「……しかし、あり得るのか?奴は救世主ガンダムに選ばれるほどの……」
「ねぇ、フォーン君。それがいけないんじゃ……」
ガンダムの装依者であることを引き合いに、否定しようとするのをクリエに止められる。止められたことにフォーンは不服さを見せるが、クリエはそのまま事実を反論で述べる。
「彼は確かにガンダムに選ばれた。でも、彼は普通の、ドラゴンのいない世界の住人なのよ?救世主っていう私達の認識も、彼にとっては救世主とされているMSを勝手に持たされた人だから……」
「そうか……いや、そうですね。もしかすると、アイツは救世主としてのプレッシャーに押し込まれて……」
「でしょうな。私は彼の活躍を見たわけではありませんが、ご当主も常々彼の凄さに感服しておられると共に不安であると申されておりました。ご当主はそれを見抜いておられたのかもしれません」
思えば、初めて会った時からクロワ・ハジメという人物は、救世主などという人物には程遠かった。記憶を失っているとはいえ、突出したものはない。強いて言うなら危険に対しても必死に飛び込んでいく姿勢は、普通の人間には出来ないことだろう。だがそれを除いても前回の決闘。あの裏側を見ていたフォーンは、寝る前にガンドから戦術指南を受けていた場面を見ていた。努力とあの場にいた者達の尽力があればこその勝利だった。
あれも救世主という重荷から来る、本来の彼と違ったものだったのだとしたら……。それは自分達が、知らずの内に期待というプレッシャーを押し付けて行動を制限させていたことに他ならない。もしかすると救世主の誕生に、自分達は浮かれていたのかもしれない。反省の言葉が頭に思い浮かぶ。
しかし、だからと今の彼を止めないわけにはいかない。むしろ止めなくてはならないだろう。ネアもそれを指摘する。
「でしたら今すぐ止めないと!」
「あぁ、そうだな。当主」
ハジメの様子が気がかりなネアとフォーンは、クリエに追走を打診した。が、クリエは難しい顔をしてそれを断る。
「いいえ、それよりも前に私達にはやらなくちゃいけないことがあるわ」
「えっ」
「それは一体……?」
やらなくてはいけないことという言葉に、2人は動揺する。ハジメを止めるよりも前にすべきこととは一体何なのか、心当たりが全くなかったからだ。クリエの言葉に固唾を飲んで見守る2人。そんな2人にクリエは満を持して言った。
「朝食を頂かなくちゃ、ね♪」
『………………』
「ハッハッハ、そうですね。元々そのためにここに来たのですから」
フォーン達の気が彼女の自由奔放さに呆れて下がってしまう。呑気なクリエに、ダエットが笑って肯定する。その後2人はクリエがご飯を食べ終えるまで、ネアも朝食を取り、そんな2人をフォーンが苛立ちを抑えつつ待つのであった。
NEXT EPISODE
今回もお読みいただきありがとうございます。次回の投稿は2話連続になると思われます(´-ω-`)
グリーフィア「うふふっ♪クリエさんはブレないわねぇ」
ネイ「最後で色々と台無しですけどね……でも庭師さんがまさかの再登場とは……」
何かあったらまた使えるようにしていたからね。名前も今回に合わせて作ったくらいだし(´Д`)
ネイ「あれ、ひょっとして名前すらないモブの予定だったんですか?(汗)」
そうっす(´-ω-`)
グリーフィア「でも前に元君の先輩っぽい使用人の人もいたから、格上げと考えると面白いわね。先輩使用人が名前を与えられるのはいつになるのかしら~」
ネイ「えぇ……」
さて、今回はここまでです。次回も……
グリーフィア「よろしくっ!次回はいよいよ元君の過去が、明らかになる~?」