機動戦士ガンダムDN   作:藤和木 士

6 / 322
どうも、皆様、藤和木 士です。

グリーフィア「短っ!……まぁ、あんまり話すことないからかしら?グリーフィア・ダルクよ」

ネイ「アシスタントのネイです。……というか、前回の話見て、私も名前変えて出てたような……」

オマージュ!!いいね!?(;゚Д゚)

ネイ「あ、はい」

グリーフィア「となると私のキャラも出そうねぇ。……どうなるのやら♪」

まぁ、ともかくEPISODE4です。あと、話すことと言えばストレス溜まりっぱなしってことかな。原因は母方の実家にあるけど、とりあえず今は関係ないからお話行くよー。

ネイ「この出会いの節はいつまで続くんでしょうね」

グリーフィア「さぁ?とりあえず見てみましょ」


EPISODE4 出会い4

 

 

 黒いガンダムがドラグディア軍の指揮官ガンド・ファーフニルの機体「ドラグーナ・ガンドヴァル」に敗北した日、そしてジャンヌ・ファーフニルが黒いMSを目撃した日。それは、後の事を考えれば、「運命」とも言える日であった。何しろ、「呪いの家系」と呼ばれたファーフニル家の親子が、呪いの原因の一因でもある「ガンダム」を見ていたのだから。

 そして、彼らとガンダム―――の装依者が、まるで定められたかのように再び邂逅することも、また「運命」と言えた。その瞬間は、今、起ころうとしていた。

 

 

 

 

「……はぁッ……はぁッ」

 

 木々の中を、一人の青年が枝をかき分けて進む。白と言うよりは銀色に近い髪に、ボロボロの黒スーツ。身長は160㎝後半で、非常に弱った様子は何かから逃げている、と言う言葉が似合っている。しかし、後方からは誰も追ってきている様子はない。それでも、青年は走り続ける。

 

(怖い……怖い怖い怖い)

 

 青年の頭の中では、常にその言葉が反復している。だが、そこに何が、という対象はなかった。

 だが、森の中で目覚めた青年が、最初に思い出したことは「何かに追われているということ」だった。誰か、は分からない。けれども同時に思い出した「夜を照らす炎」が、咄嗟に青年の足を動かしていた。

 空を飛び、襲い掛かってくる竜人と機人の姿とそれが映し出される暗闇。それが終わったと思ったらいきなり森の中だ。だが、それ以上に彼を不安にさせていたのはそれが一番の問題ではなかったからだ。

 

「……っ。どこだ、ここ……。それに、俺の……名前……」

 

 分からない。ここがどこなのかということ以上に、自分が誰なのか、何者なのかが分からなかった。思い出そうとしても、逃げながらのせいなのか、それ以外の要因なのか、思い出すことは叶わない。

 

「はぁッ……っ!」

 

 光が見え始め、もうすぐ森を抜けると思われたところで何かに躓く。姿勢を保つ力もない青年はそのまま地面に顔をぶつけてしまう。顔を苦痛で歪める青年は立とうとするも、段々と意識が遠ざかるのを感じる。

 

(もう……ダメなのかな……俺)

 

 名前もここがどこなのかも、自身が誰なのかも分からない。そんな中で、青年は必死に手を茂みから伸ばすが、力尽きて地面に着ける。閉じていく視界。消えゆく意識でかすかに誰かの声が響いた。

 

『―――……ハジメ―――』

 

(……ハジメ?……ハジメ)

 

 自然と心の中で、反復する。ハジメ。それが、俺の、名前?

 そう思ったところで、「ハジメ」の意識は眠りの底に着いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「それでさー、ジャンヌちゃんってば、いきなり今日の授業中にすっごい声出したんだぁ!初めて見るってくらいの驚いた声!」

 

「あぁ~、昼前のあれ?確かに、私達のクラスでもなんだなんだって、話題になってたんだけど、ジャンヌの声だったんだね……」

 

 レイアが昼休み前の事について、同じ学園で別の詩巫女養成科クラスに通う友人に聞かせている。その様子をジャンヌは後方からその様子を見て、片手で顔を覆い、恥ずかしいのを隠して見ている。彼女達は現在下校途中にあった。しかし、その様子は他の一般的な学生とは少し違う雰囲気を出していた。その理由は、後方にいたジャンヌの横隣りにいる2人の人物にある。

 

「……はぁ」

 

 ため息を漏らし、視線を左側に向ける。左側には彼女のメイドであるネアがいた。しかし、ネアとは反対の右側を見ると、そこにはジャンヌより背が20センチは高い、アッシュブロンドの髪の男性が黒スーツ姿で同行していた。本来の学生の帰宅姿にしては、あまりにも不自然な光景である。他の人が見れば一瞬、不審者?と言ってしまうことだろう。だがジャンヌ達の帰り道としては、これはいつもの光景。そして、聖トゥインクル学園の生徒からしてみれば、珍しいものの、無いわけではない光景であったのだ。

 聖トゥインクル学園は、所謂お金持ちと呼ばれる部類の家に生まれた子息・子女が通う学園だ。とはいえ、レイアやネアといったそうでない生徒も多く受け入れている。いわばそれらの生徒が同じ場所で学ぶ、ハイブリットの学園である。

 家柄に囚われず、自由な学園生活を、という校風を尊重した結果だ。だがそうなると子どもを学校に通わせるお金持ちの親からしてみれば、子どもが大丈夫だろうかと不安しかない。そこで聖トゥインクル学園では、申請により付き人などを子どもに付けることが出来る。家の経済状況によりそのご息女のボディーガードの人数を学園側と決め、登下校中や学校での不測の事態から守る。これは創立半年後から続く、学園の名物の1つでもあった。

 だからこそ、ドラグディアには「詩巫女を攫うなら、ステージで攫え」などという皮肉めいた格言も存在する。もっとも、警備などの数の都合上ステージの方がもっと安心なのだが。

しかし、10年ほど前に放映された「詩巫女ホリデイ」という映画作品では、ヒロインの詩巫女アイドルに惚れた男性が、何故か警戒が厳重なコンサートステージからヒロインと共に逃走に成功し、それが色んな意味で話題沸騰した。以来、誘拐未遂もちらほらと出てきて、結果的にその映画配給会社は最近続編の批判と共に倒産したそうだ。

 ため息を漏らしたジャンヌに、黒スーツの男性が声を掛ける。

 

「どうされましたか、お嬢様。何かおありしましたか」

 

 父と年齢が近いにも関わらず、若い容姿のボディーガードの口からは、その容姿から想像される濁りの少ない声が発せられる。しかし、それにキャーキャー言うような性分ではないジャンヌは、ムッとした表情でチラリと見て、また顔を正面に戻す。

 話をする気はないという自身の主に対し、学校での付き人であるネアが上司とも言える男性に事情を説明する。

 

「実は、昨日の話の事で……」

 

「なるほど……大体は察しました」

 

 少し後ろに下がって、そのようにやり取りする2人。ここで大きく話をしないのは、ジャンヌの性格と、この状況を知っているからで、ここで大きく話を広げればまたジャンヌが不機嫌になるというのを2人も分かっていたからだ。

 しかし、2人がジャンヌの事を気遣って、それ以上話にしなかったとしても、突かれてしまえば意味はない。レイアと話していた別の詩巫女養成クラスの少女が、ジャンヌに話を聞こうとする。

 

「……で、一体何を浮ついてて、ガンダムを見てたの~?」

 

「……ノーヴェさん?言っておきますけど、ガンダムだと断定はしていませんからね?」

 

 睨め付けるような視線を黒髪の少女に向ける。黒い髪をツーサイドアップの形で垂らしている同じ制服姿の少女は、幼げな顔立ちからニヤリとした表情でジャンヌに返答する。

 

「いやぁ、聖トゥインクル学園の学生で、ガンダムって話が出たら食い付かないわけないよ。で、どうなのどうなのっ?」

 

 ぐいぐいと真相を訊こうとする少女は「ノーヴェ・リントヴルン」。彼女も聖トゥインクル学園の所謂お金持ちの子女、お嬢様と呼ばれる部類だ。だが、彼女の場合ジャンヌと帰り道が一緒で、家柄の親交もありジャンヌの家のボディーガードに共に送り迎えしてもらうこともあるため、ボディーガードがいないこともある。今日は遅れて帰る妹の方にボディーガードが言っていた。

 というか、今日はこの娘と帰るんじゃなかったわ……。こっちの事情は知ってはいる家だけど、「呪い」の事とかはこの娘には知らされていないって聞いているし、今その話をあんまりしてほしくないのだけれど……。いや、いつももしては欲しくないけれども。けれど、ノーヴェって実はわたくしの呪いのこと、知ってたりする……?

 過去の話の突っつき具合からして、知っているのではという疑惑を持つも、あまり深入りしても気分を悪くするだけ、と言い聞かせて分からない、とだけ言っておくことにした。

 

「知りません。大体、わたくしは見たのがガンダムだとは一言も言っていないです。レイアさんの考えにそうかもと思っただけでして……」

 

「あれ、そう言ってたっけ?」

 

 ふとレイアが2人間に割って入る。それは、ノーヴェへのツッコミの言葉だった。ただ2人の間に顔を突き出すように入ったため、ジャンヌとの距離がかなり近く、ジャンヌも急に沸き上がったレイアへの緊張感が高まる。

 

「れ、レイアさんッ!?」

 

「あー、レイア言っちゃダメだって、それは。少しジャンヌを混乱させようかなって思って……って、別の意味で混乱してた」

 

 ちょっとしたからかいのつもりであったノーヴェの言葉は、予想外の動きで当初のジャンヌへのちょっかいに成功する。後方で付いて行きながらそれを見ていたネアとボディーガードの「フォーン・フリード」もまた、ため息と表情の動かない呆れ顔をする。

 唐突のダメダメお嬢様に見かね、ネアが付き人として仲裁に入る。

 

「レイア、いきなりお嬢様を驚かせないであげて。前も言ってたけど、お嬢様はそう言ったことにあまり耐性がないから。……特にレイア相手だと」

 

「あははー、ごめんねー」

 

 最後の言葉だけレイアに聞こえないように小さく釘止めするネア。レイアの後、ノーヴェにも言う。

 

「ノーヴェ様も、お嬢様と長年のご友人とはいえ、からかいはほどほどにしていただけると助かります。……後のフォローが大変なので」

 

「まぁ、仲はどうか分からないけど、付き合いは長いよね。善処はするね」

 

 一方ノーヴェにも注意がされる。若干ジャンヌへの不満も入っていたが、それはある意味忠誠の裏返しとも言えなくもない。

 そしてジャンヌはと言うと、呼吸をその間に呼吸と気持ちを整えていた。先程の光景を脳にしっかりと焼き付け、かつ表情を元に戻そうとしていた。

 あ、あんなにレイアさんの顔がぁ……。あれだけ近くにあったら、レイアさんと……ふぁーんっ♪

 絶対的に外には漏らせないような事を心の中で叫んでいたジャンヌ。咄嗟にレイアから表情を悟られないようにと、近くの公園の方に顔を向ける。

 と、その視界に、とあるものを見つけた。

 

「―――え?」

 

 ジャンヌの視線に留まったのは、公園のベンチの近くの茂みだ。春から夏への移り変わりの為か、茂みの緑がより深くなっていく変化の途中の隅に、それらに合わない肌色が見えたのだ。

 ペンキでも飛んでしまったのだろうか、と思ったジャンヌだったが、よく目を凝らして見て、「それ」を理解した。

 

(あれって……人の手!?)

 

 一瞬、戦慄を感じる。立ち止まっていたため、レイア達もジャンヌの異変に気づき、その方角を見始める。

 

「ん?どうしたの?ジャンヌ?」

 

「ジャンヌちゃん?公園の方なんか見て、どうしたの……って、あれ人じゃない!?」

 

 真っ先にレイアが気づく。ただならない声の上げ方に、ボディーガードのフォーンが咄嗟に動く。

 

「お嬢様、ここでお待ちを。ネア、ジャンヌお嬢様を」

 

「分かってます」

 

 指示を飛ばしたのち、すぐさま公園の塀部分からフォーンが駆けだしていった。万が一、茂みを覗いた時に急に……ということを可能な限り避けるための動きである。しかし、それをあまり理解しているはずもないレイアが、フォーンに続いて公園の出入り口の方へ走って向かう。

 

「レイアさんっ!?」

 

「大丈夫っ。私が着く頃にはフォーンさんが見てるって!」

 

 発見者ながら、レイアの唐突な行動に思わず悲鳴が漏れてしまう。が、その心配も杞憂となる。

 

「……大丈夫です、来てもらっても!」

 

「ッ……!」

 

 茂みに着いて、「それ」を確認したフォーンが振り返ってこちらに大きく声を出す。レイアが心配なジャンヌは、それを受け早急にノーヴェの横を通り過ぎて公園へと入っていく。

 

「お、お嬢様!」

 

「相変わらず早いね……多分レイアの事でなんだろうけど」

 

 そんなの当り前じゃない。わたくしにとってはレイアさんの無事が何より……もしわたくしが見ていたばかりに、レイアさんが危険な目にあったらわたくしのせい……っ。

 ノーヴェの意見を小馬鹿にするように心の中で肯定しながら、ジャンヌはレイアを追うようにして件の公園の茂みに駆け寄る。既にレイアがフォーンに抑えられながらもその手の隠れた部分を覗いていた。

 息を少し切らせ、たどり着いたところで、レイアの顔を見る。

 

「れ、レイアさんっ。一体何が……」

 

「……酷い。どうしてこんな……」

 

 一瞬、ジャンヌの体が硬直する。声を掛けたところで、そう口にしたため自身に向けられた言葉だと受け取ってしまったのだ。しかし、その後に続いた言葉で、平静を取り戻すとレイアの視線の先を恐る恐る見る。そしてレイアの言葉の意味を理解する。

 

「……っ」

 

 茂みを覗いてみると、そこにいたのは1人の男性だった。髪はジャンヌと同じくらいの色相の銀で、髪型は少しはねっけがあるが、普段のは物静かそうなものなのではという面影がある。服も材質は良くなさそうだが、黒のスーツ姿であり、それを助長させる。だが、その顔は未だ少し幼さがあるように思える。だが、それ以上に、その姿はとても良いとは思えなかった。

 服のあちこちに枝や葉が着いている。それだけならまだしも、あちこちには所々焼け焦げてしまったような跡がある。一部は焼け焦げた服の中……その下の皮膚にも生々しい傷跡があり、戦場を生身で抜けてきたのかと思われるような格好だった。

 

「……お嬢様」

 

「……」

 

 フォーンが下がらせようとするも、ジャンヌは首を振ってそれを断る。ジャンヌも父が戦場に出る軍人であるため、父がいる軍の司令部に行ったことがある。そこで戦場から帰還し、命を落とした兵というモノは、目にしたことがある。だからこそ、フォーンがあまり見せたくないと思ったのには理解はあるが、おそらく初めて見るであろうレイアを放っては置けなかった。自然とレイアの手を握る。

 同じく到着したネアとノーヴェも、それを見て各々に声を上げる。

 

「お嬢様っ。あまり急がれるとこちらも……あっ、これは……」

 

「……はぁ~。まだ、息はありそう……ですよね?」

 

「はい、確認しました。わざとというわけでもないようです」

 

 ノーヴェからの確認に予想通りの反応が語られた。一応、こういった状況でも、稀に脈拍を偽装して起こされる状況から逆転……という場面もあるので、それには非常に慎重だ。

 一先ず、偶然にも自身が視線を向けたおかげで助かった命があったというのは、少しいい気分だ。ジャンヌはそのままフォーンに救急車の手配をフォーンに依頼する。

 

「じゃあ、フォーン、救急車を呼んで。病院に搬送を……」

 

「―――ジャンヌちゃんっ!」

 

 しかし、予想外の声が響く。声の主はレイア。ジャンヌのすぐ横から発せられたので、すぐに理解と同時にはっとする。

 

「は、はいっ……て、あ、レ、レイアさ……!」

 

 そこでようやく自身の手がレイアの手を握っていることに気づく。慌てて離そうとしたが、その前にレイアはその手をがっちりと両手でつかみ、アクションを起こす。

 

「ジャンヌちゃん!」

 

「ふぇあぁあっ!?」

 

『……』

 

 れ、レイアさんに握られてる……わたくしの手、しっかりと……っ!え、これは夢ですか?夢なんですか?夢ですよね!?いきなりこんなところでレイアさんに正面向かって握られるだなんて……。まさか、わたくし……レイアさんに、こ、告白されて!?

 次々起こる急展開に、ジャンヌの思考は追いつかない。妄想たっぷりの脳内思考が表情から漏れ出ているのを見て、ネアやノーヴェは何とも言えないという表情で見守る。

 そして、当の本人であるレイアは、ジャンヌの手を強く握って言った。

 

 

 

 

「お願い、彼を助けてあげてっ」

 

 

 

 

「………………え?」

 

 妄想していた光景(欲望)が、瞬間的に消えていく。同時にジャンヌの意識も夢の中から現実へと引き戻される。強く握られ、何とかして自分の心を落ち着けさせようと、本意ではない振りほどきをしようとしていた手の力もプツンと抜けていく。

 だが、ジャンヌの思考が元の場所に着地する前に、レイアが続ける。

 

「ここからだとジャンヌちゃんの家の方が近いし、それに確か、ジャンヌちゃんの家にはお医者さんもいたよね?」

 

「え、えぇ……。確かに医者ではないですが、医師免許を持つ庭師がいたと思いますが……でも、わざわざ……」

 

「それじゃあダメだよ!!」

 

「ひゃうぅ!?」

 

 話を続けようとしたジャンヌの言葉を、レイアは彼女の腕を掴んで遮った。普通、いくら仲のいい友人同士とはいえ、レイアの行動はあまり推奨されるものではない。だが、状況とレイアの事を良く知っている面々だからこそ、止めはしなかった。……1人、どうなるのかと驚いた表情の後にやけている人物がいたが。

 対するジャンヌは二の腕を掴まれ、身動きできない。力の問題もありはするが、それ以上に突然掴まれたことへの驚きのせいだ。連続する衝撃に、もはや精神状態は(いい意味で)壊滅状態だった。レイアの一声だけで竦んでしまっているほどだ。

 

「あ、ご、ごめんね。……でも、早く助けないとって、思って……」

 

 流石に気づいたらしく、自身の突っ走りを謝罪するレイア。うって変わってしおらしい表情だ。ただ、そのしょんぼりとした中にある愛らしさに、ジャンヌはいとも容易く落とされる。

 

「い、いえ……出来ればそのままその……」

 

「……お嬢様?」

 

 ネアはその光景を白い目で見ている。そうとは知らず、ジャンヌは顔を赤らめて背けていたが、携帯を掛けていたフォーンの言葉でその場の空気が再び一転する。

 

「申し訳ございません、お嬢様。生憎と言うべきか……首都の一角で起きたマフィア同士の衝突による被害で、救急車は回せないそうです」

 

「そ、そうなの?……となると」

 

 ゆっくりと、視線をフォーンから再び青年の方に向ける。あまり家に見ず知らずの者、特に男性はあまり入れたいとは思わなかった。しかし、怪我の度合い、それに何より、レイアからの頼みである。

 少し考えたのち、ジャンヌはファーフニル家の者の1人として、決断を下す。

 

「……分かりました。フォーン、家に運んで。ネアは家の方に連絡してくれる?」

 

「分かりました」

 

「はい、お嬢様」

 

 2人の従者達は、主であるジャンヌの声に答え、すぐさま青年の搬送と自宅の者へ準備に取り掛からせた。

 それを見て、ノーヴェは意外だと言葉を漏らす。

 

「珍しいね。ジャンヌが人助けなんて」

 

「滅多にこのような非常事態がないだけであって、流石にこれは致し方ありません」

 

「そう」

 

 ジャンヌもまた竜人族の1人だ。いくらレイア第一、男性忌避の気があるとはいえ人命がかかるとなれば、仕方なかった。もっとも、レイアからということもあり、それを察してかノーヴェもどこか深入りしようとはしていなかった。

 フォーンにより持ち上げられる青年。その様子を、顔色を窺うように心配そうな表情で見てレイアは、ジャンヌに感謝の気持ちを伝えた。

 

「ジャンヌちゃん、ありがとう」

 

「いえ、レイアさんの為でしたら、大丈夫です。それに、お礼なら後で2人にも」

 

「……うん、そうだね」

 

 レイアの為、という部分には気を留めず、だがしっかりとレイアは返事をした。そしてフォーンが青年を背負ったのを確認して、ジャンヌの実家「ファーフニル邸」まで駆けだしていった。

 

 

NEXT EPISODE

 




今回もお読みいただき、ありがとうございます。

ネイ「新しくキャラが出て、ハジメさんとジャンヌさんが出会いましたね。フリードがまさかお話に絡んでくるなんてと思いましたが……」

グリーフィア「けど定番のドラゴンの名前ね。もう1人は……リンドヴルムかしら?モチーフは」

そうだね。リントヴルムだね。

ネイ「……あ(察し)」

それでいいんだよ(^o^)

グリーフィア「詩巫女、ってやってる時点で察しねぇ。けど、レイアとジャンヌのやり取り、ある意味そっくりすぎて別の意味で怖いわ」

これがぁ、2人を3年くらいなりきり的に採用していた経験よぉ!(メタい)

グリーフィア「慰謝料を請求するわ」

なんで!?(;゚Д゚)

ネイ「2人への、って話じゃないですか?それより、次回から大きく動きそうですね」

あ、うん。そうだね。とりあえず、今裏で進めてEPISODE6くらいで出会いの節は終わりそうだから、次はEPISODE5!

グリーフィア「次回もよろしくねぇ。じゃんけーん♪」

いや、あの番組と張り合うつもりないからね!?(;゚Д゚)そしたら日曜投稿になるから!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。