機動戦士ガンダムDN   作:藤和木 士

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どうも、皆様。つい1週間前まで梅雨みたいに雨が降ったり涼しい気候だったのが嘘みたいに晴れて蝉もミンミン鳴いております、藤和木 士です。

ジャンヌ「アシスタントのジャンヌです」

レイ「アシスタントのレイだよ!」

今回はEPISODE44、それから45をお届けします。タイトルが違いますが、前話からそのまま続いています(´Д`)

レイ「そうだねぇ……けど、重なる手?え、これ元君とジャ……」

ぶぁぁくしょい!(゚Д゚;)なんのことかな?

ジャンヌ「別に隠す必要あるんですか?」

というか、なんで!なんでそことそこが重なると決めつけてる!?

ジャンヌ「そりゃあ……」

レイ「藤和木が作者で、ヒロインのモチーフがあれじゃあねぇ……まぁ今作主人公のデザインは割と逸脱してるからあれだけど」

一切他意ないからね?(´・ω・`)さて派手にごっちんこした元君とレヴ君。2人の介抱から始まるEP44本編をどうぞ!


EPISODE44 重なる手1

 

 

 2人の言葉を聞いて、鎮まる屋上。先程までの乱闘が嘘のような静けさだ。最初はどうなってしまうのかと心配だったクリエも、収まった騒動に一安心である。

 やがてネアやグリューネもハジメの顔を覗き込み、その寝顔に微笑む。

 

「ハジメさん、寝ちゃったね」

 

「ま、ここ最近のハードワークも重なっていたみたいだし。でも良かったですね、ハジメさんの憑き物も落とせたみたいだし」

 

「憑き物、か。確かにそうかもしれないな。それに原因は聞いたとはいえ、まだ彼がその後どういう未来を辿って今ここに来たのかすらも、私達は知らない。それでも今はこれでいい」

 

「そうだな。ジャンヌ・ファーフニルと向き直れただけでも、大きな前進だろうしな」

 

 リリーとアレクは納得したように頷く。安堵したのもつかの間、クリエはグランツの横に立ち、もしもの事を口にした。

 

「ねぇ、グランツさん。もしハジメ君がこのまま進んでいたら、どうなっていたと思います?」

 

「クリエ君?……そうだね。これは想像になるが、彼がガンダムとの戦いも制していたら、やはり救世主になっただろう。だけど、それは彼の描く1人だけの世界の救世主だろう。決して私達の世界の救世主ではなかった」

 

 グランツは難しい顔をしてそう答えた。ハジメだけしかいない世界の救世主。願いを聞いても、相手の事は聞き取ろうとはしない、救世主だと思い込んだ者になっていたのだと。奇しくもその考えはクリエも思っていたことだ。

 

「そうですね。きっと彼はジャンヌが死んだとしても、それを心から悲しんだとは思えない。泣いたとしてもそれは自分が目標を果たせなかったことに対してで、ジャンヌの死に対してじゃない」

 

「中々大胆に言うね。けど、私も同じだと思うね。彼はきっと世界を救うことを目的としたマシンとなってしまう。そう考えると私達もそれを知らずに望んで、ガンダムが願いを投影させるマシンだと思っていたのかもしれないね」

 

「そうですね。でも、今はもう違う。少なくとも、彼は」

 

 クリエは思った。例えガンダムが願いを投影させるマシンだとしても、使い手次第でそれは変わるのだと。今のハジメならそれを見せてくれるはずだと。

 未来を繋いでくれたレヴ・リヴァイには本当に感謝しなくてはならないと思う。しかし、同時にまた苦笑を感じえないこともしてくれたが。

 

「兄ぃ……」

 

「あぁ……リッド、頭が……」

 

 妹の声を聞き、心配してくれているのだと思って痛む箇所を言うレヴ。しかし彼の妹の口から出たのは、手厳しい一言だった。

 

「何やらかしてんの、このバカァ!!」

 

「あだっ!?何で!?」

 

 追撃の一発を腹に受け、涙目で理由を聞くレヴ。しかし、周りで聞いていた者達、特にファーフニル家関係者にはその致命的な発言に気づいていた。グリーフィアがその発言について語る。

 

「忘れた?さっき貴方ハジメさんに、ジャンヌをもう絶対離さないくらい抱きしめてやれって言ったこと」

 

「あ、あぁ……それが何か……」

 

「何勝手に、ファーフニル家のお嬢様であるジャンヌ様と仮にも一使用人の人であるハジメさんをくっ付けているんですか?」

 

「………………あ」

 

 続くネアの発言で、ようやく気付く。というより、それを分かって言っていなかったことが更に妹の怒りを買う。

 

「ちょっと!分かってて言ったんじゃないの!?」

 

「ごめ……!ぶつけた衝撃で言いたいことが混ざって……つまり……」

 

 タジタジになってしまうレヴ。そんな彼に追撃が続く。

 

「いやぁ、まさかこの時代に名家の娘を簡単に結ばせる勇気を持った子がいるとは……。恐いもの知らずだね」

 

「ちょっと調子に乗った子かなって思っていましたけど……いやぁ、度胸ある~」

 

「俺ですらグリューネとの交際は、ノルンさんを通したぞ……。俺より逸材だぞ、お前」

 

「え、いや、確かにMSには乗りたいですよ?でも決して度胸がいる前線というわけではなくですね……?」

 

 現役MSパイロット+整備員からのおだて上げに、必死になって止めてもらうように願うレヴの姿は滑稽だった。しかしそこまで盛り上がったのなら、オチは必要だ。その役にクリエ自身が買って出る。

 

「んー……突然で驚いたけど、私はオールオッケー、って感じかしらぁ♪もっとも……うちの執事長と末っ子がなんて言うかしらね~」

 

 そんな事を言ってハジメを介抱しているフォーンの方に顔を向ける。しかしフォーンはハジメの頭の支えを解除し、代わりにその右手の肘を持って震わせている。怒りMaxの状態であると言えよう。その肘を反対側に曲げかねない。

 そんなフォーンも口を開く。

 

「そうですね。私でしたら返事をしたハジメも含めて、後できっちり落とし前を付けてもらいましょう……。その時は覚悟していろ?」

 

「ひっ!……は、はい……」

 

 レヴは恐怖のあまり声が上ずってしまっていた。クリエは冗談のつもりだったのだが、フォーンは本気で怒っていた。これをエターナが聞いていればと思うと、彼がとてもかわいそうな気がしないでもない。これは後で少しお話が必要なようだ。もっともクリエ自身もそれはそれで悪い気はしない。

 これで終わりかと思われた一幕。しかしそこに思わぬ追加の出来事が起こったのだった。それは苦笑するだけに留まっていたローレインの口からだった。

 

「あのー、もう少しだけいいですかね」

 

「ローレインさん?どうなされたんです?」

 

 ネアが聞き返す。他の者達も何事かと顔を向ける。当のローレインも困った様子をしており、何か言い出しづらいようだ。すると同じく何かに気づいていたと思われるリリーが説明を引き継ぐ。

 

「私が言おう。とはいっても、私も先程気づいたのだがな」

 

「気づいた?何にだ?」

 

 アレクが問う。その問いにリリーは屋上に続く扉の方を向いて、声を飛ばす。

 

 

「もう出てきてもいいよ、君達。むしろ聞いていたのなら、出てきた方がいい―――――ジャンヌ」

 

「えっ……」

 

 リリーの言葉に思わずかき分けて前に出るクリエ。すると半開きになった屋上の扉から姿を現したのは……。

 

 

 

 

「………………」

 

 

 

 

 未だその眼を曇らせた、クリエの愛娘ジャンヌ・ファーフニルが病院の看護師に付き添われてそこにいた。彼女はその手にハジメの始動機、ゼロ・スターターを持っていた。そのスターターから1人の男性の声が漏れる。

 

『……俺はスタート。ハジメのガンダムに宿る、元英雄の一部。悪いが、話は全部聞かせてもらってたぜ』

 

 元英雄の声が屋上に響いた。

 

 

 

 

「お嬢様!聞いていらしたんですか……?」

 

「…………うん」

 

 駆け寄ったネアの問いに、ジャンヌは反応を伺いながらも頷き返す。看護師は送り届けたということで一礼して院内に戻っていく。ネアの中にはジャンヌが病室の外に、閉じこもった殻から自分の意志で出られたことへの喜びと、話を聞いて度思ったのかという不安が押し寄せていた。

 話を聞いていたというスターターから発せられたスタートという人物の声が確かなら、ジャンヌはさっきのやり取りをすべて聞いていたということになる。それに対して、ジャンヌはどのように思ったのだろうか。ネアも含めスタートを初めて知った者の大多数がそれを気になった。しかし先に聞かれたのはスタートに対する質問だった。グランツがスタートに訊く。

 

「スタートだったね。君はガンダム、それだけでなくハジメ君のサポートをしていた。……君は、ハジメ君の心の闇を知っていたのかね」

 

「それは……」

 

 ネアも気付く。スタートと言う存在がネア達の今知った事以上の事を知っているわけではない。それでもハジメの事を知っていたのなら、一番近くで見ていた彼なら知っていたのかもしれない。

 グランツからの問いにジャンヌにスターターを持ち上げてもらいながら、スタートはそれについて言及した。

 

『知らなかった、といえば嘘になる。そいつの記憶をロードした時に、俺も事情は知った。もちろんさっきあんたが言ってた他の過去についてもな。だが、元英雄の一部となった俺でも、装依資格者の人間がその出来事についてどれくらい後悔しているかまでは全部分かるわけじゃねぇ。結果的にそいつの闇がガンダムを引き寄せたようなもんだけどな』

 

「そうか……」

 

 グランツやアレクが、スタートの言葉に苦しく頷く。ハジメの闇がガンダムを引き寄せた。それが救世主とされたガンダムとかけ離れたものだったからだ。つまり闇を抱えたハジメだったからこそガンダムが出現したのだということだ。先程ガンダムが願いを投影するマシンであってはならないと言っていたグランツでも、ショックだったのだろう。

 ネアもその現実に辛い物を感じる。しかしスタートはこう言う。

 

『かつての戦争を経験した俺だからこそ言う。今の戦争は行きつくところまで来ちまった。人も同じだ。ドラグディア政府のように腐った連中もいる。けどな、そんな中でお前たちは闇を持って現れたガンダムの装依者の心を解いた。決してこの戦争に関連して生まれたものでもない憎しみを、癒してくれた。そんな奴らが共にいてくれれば、ガンダムはどこまでだって戦える。俺も同じだった。友と、家族と、そして愛する者と共に、戦争を終わらせるために戦った。結局俺は終わらせられなかったが、それでも希望は残ってくれた。だから、頼む。あいつと、黒和元と共に、戦ってくれ』

 

 かつての救世主はそう言ったのだ。今も戦争を続ける自分たちを希望と言い、共に戦ってほしいと願った。戦闘員でないネアでもその重みが十分分かる。きっと彼も彼の仲間も、いつとも知れない自分達の為に戦ったのだと。

 スタートの言葉に、そこにいた全員が噛みしめる。ただ1人、ジャンヌはその足を先へと進めた。ゆっくり、一歩ずつ目的の人物の下へと向かう。ネアも慌ててそれについていく。その先にいるのは、自らを護ると誓ってくれた、意識を落とした彼女の従者。ジャンヌが頭の先付近に座り込むと、フォーンはハジメの体を持ち上げ慎重に彼女の膝元に後頭部を乗せ換える。

 ハジメの顔を覗き込むように見るジャンヌ。その口元から彼女の気持ちが零れる。

 

「………………正直言って、最初は凄くあなたの事、嫌いだった」

 

 初っ端から飛んでくる、ハジメへの嫌悪。思わず何人かの息が詰まるような声を聞いた。聞きなれているネアでも、うわぁ、と顔を塞いで思ってしまったほどだ。

 ジャンヌは言葉を続けた。これまでの事を、ハジメと過ごした時の事を呟く。

 

「貴方の不注意でマフィアに捕まった時も、貴方あの事すごく恨んでた。絶対クビにしてやるって。でも、あの時初めてMSに装依して助けてくれた。あの時はとても怖かったけど、膝を着いて謝ってくれた。それからまたポルンに人質にされた時も、貴方は助けに来てくれた。私が大っ嫌いだったガンダムになった時も、貴方の言葉があったから、前を見てお礼を言えた」

 

 ジャンヌはハジメの頭を撫でる。これまでそんな事、ジャンヌは異性にしたことはなかった。それはネアの記憶の中だけだが、それでもやはりあり得ないことであるのは間違いない。

 

「事件の後も貴方はわたくしの為に尽くしてくれていた。付き合っているなんて変な噂が流れた後、昼食場所が被った時、離れようとしてくれて。それから巻き込まれたネアの事件でも、私やネアを護ってくれた。ネアの為に、自分の為に必死になって訓練を受けてた。そして決闘に勝った貴方を見て、私も安心した。本当に嬉しかったの。勝ってくれたんだって。でも、安心したのも一瞬で、またすぐに貴方は戦闘に参戦しようとしていた。その時私どうしてって思ったわ。ネアの為に、私の従者だっていうのに、どうしてそこまで必死になろうとするのって。実際に言ったわ。けど貴方は言った。それじゃあ意味がないって。最初は生意気だって思った。でも貴方は貴方なりにすごく考えていた。挙句の果てに私を納得させるためにレイアさんの名前まで出してた。どこまでもわたくしの事を考えてた。そして貴方は帰ってきてくれた」

 

 話はネアの事件の時に移っていた。あの時のハジメはほぼ勝利不可能と思われ、負けても問題ないように裏で関係者が動いていた。それでもハジメは勝ってしまった。突きつけられる現実に抗うために、ジャンヌの声もあって勝ったが、それ以上にハジメの強い意志があってのものだ。もっとも今では、それも失うことへの恐れだったのかもしれない。

 しかし今のジャンヌにそれは関係ない。戦ってくれたことへの想いはまだまだ続く。

 

「それ以来ずっと心の中で、思い初めていたの。ハジメと居るのも悪くないって。ネアと同じくらいの安心があった。だからあなたの訓練にも付いて行った。でも、わたくしが詩巫女になるのが嫌だってことを指摘された時、怖かった。結局貴方も、わたくしを詩巫女にしようとして来るんだって怖くなった。でも貴方は違った。戦争を終わらせるって、自分の命を犠牲にしてでもって。ますます怖くなった。どうして命を犠牲にしてでもわたくしを助けようとするのって……こんな卑屈な主なのにって」

 

 あの時、ハジメは確かに言っていた。戦争を終わらせてみせると。ガンダムの圧倒的な力があってこその発言であったそれにも、今はもう1つの理由があったのだと分かる。

 ジャンヌも、それに気づいていた。

 

「でも、今分かった。あなたはずっと戦っていた。過去の自分と。悲しまないようにするために、助けを求めている人に全力で、盲目になって手を伸ばし続けていたんだ……。(わたし)がずっと、嫌味を思っていた時も、止めようとしていた時も、一緒に居るのが悪くなくなってきた時も……っ」

 

「お嬢様……!」

 

 その声に嗚咽が混じり始める。気付いた時には既にジャンヌの瞳から涙が溢れだしていた。止まらない涙の雨がハジメの顔に掛かる。それでもジャンヌの懺悔は続く。

 

「最低ね、私。私なんかよりずっと救われない、それでいてそんな現実に必死に抗っていた人間を馬鹿にして……主、失格……っ!ごめん、なさいっ。ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさいぃ!」

 

「お嬢様っ!お嬢様だけじゃない。私だって、私だって……!」

 

 謝罪を連呼するジャンヌをネアは必死に抱きしめる。自分もそんなハジメに助けてもらった。その辛さが分かるからこそ、ジャンヌの悲しみを受け止めようと思ったのだ。

 2人の悲しみが木魂する。それを聞いていた者は思う。かつて自分もそうであった者や、この現実を生んでしまった者の1人であることに情けなさを感じる者、関係なくとも2人の悲しみに共感する者……。様々な思惟がそこにはあった。

 やがて泣き声が収まると、ジャンヌはその手をネアの手とハジメの頬に触れる。その瞳には既に力強いものを取り戻していた。

 

「正直言って、好きかどうかって言われたら、まだ拒否したくなる。だけど、私はハジメの力になりたい。だから、私は―――――」

 

 一泊置いて、ジャンヌは周りにいた者達に言った。

 

 

 

 

「―――――ハジメの、パートナーになる」

 

 その発言は、周りの者達を大いに混乱させた。

 

 

 

 

 元は再び、黒白の海岸に足を踏み入れていた。頭はまだ痛む感覚が残っており、あの一撃がとても力のこもったものだったと改めて実感する。それだけレヴも全力で自分を止めようとしてくれていたのだろう。おかげで踏みとどまれた。

 しかしこうしてここにまた来ることになったのは、またなんとも言えない。逃げ出したような状況だったのにも関わらずアイツは引き入れた。これには何か意味があるはずだ。そう思って歩いていると、海を見つめるアイツがいた。

 白髪の短髪が海から吹き抜ける風でわずかに靡く。前髪が顔に掛かると、その人物は横に流す。そこでその人物も元の姿に気づく。

 

「ふっ、よう、ハジメ。答えは出たのか?」

 

「………………」

 

 スタートの問いかけに元は答えない。ただ元はスタートに近づき、確かめる。

 

「……もう一度だけ確かめる。行けるのか、彼女で」

 

 元が確かめたのは、エンゲージシステムの相手だ。誰とは言わない。まだ元は以前の時にそのシステムを使う必要がある、パートナーはいると言われたがそれが誰なのかは聞かなかった。聞けなかった。聞いたらもっと自分に重たく圧し掛かることが怖かったから。それに「彼女」に迷惑を、命の危機にさらすことだけはしたくなかったからだ。

 しかし、今の元は理解していた。どれだけ力を付けても機能の差で絶対に勝てない。同じ土俵で戦えなければ立ち向かうこと自体が無謀だ。ならば、元は決めなければならない。それが間違いでないか、スタートに確認したのである。

 元の覚悟を知ってか知らずか、スタートは鼻で笑いつつもいつもと変わらぬ口調で質問に返した。

 

「変わらないさ。お前の運命を決めるのは、あの銀髪お嬢様だ。後は、お前次第だ。……覚悟、出来てるか?」

 

「…………っ。あぁ……出来たさ」

 

 一瞬だけ、覚悟を確かめるようにスタートの声が鋭くなる。かつて元は彼から逃げるように黒白の海岸を去った。もう一度来たからには彼もまた確認したかったのだろう。

 その問いかけに元は頷いて答える。もう離さない。選ぶべき道を元は行く。その意思表示をすると、スタートはフッと息を吐いて言った。

 

「ならいい。行けよ」

 

「あぁ」

 

 元は踵を返して黒白の海岸を、スタートの下を後にする。その表情には憂いはない。早く現実に戻り、会って話したかった。彼女と。自分が護るべき彼女と。

 

 

 

 

 今のガンダムの装依者が去った黒白の海岸で、1人佇むスタート。彼の脳裏にかつての記憶が思い浮かぶ。突如として再び起こった戦争。それを止めようと彼と彼の仲間達は立ち上がった。だが次々と死んでいく仲間達。そんな中彼は元凶を見つけた。戦争を起こしたすべての元凶。だがその姿はおぼろげなものだ。スタートは覚えていなかったのだ。元凶が一体何だったのか。なぜ自分がこんな姿になっているのかも。覚えているのは仲間達の一部と、愛した女性との思い出、そしてガンダムの圧倒的な強さだ。

 なぜ千年もの間、自分はガンダムに封印されていたのだろうか。ただあの白いガンダムの事だけは、1つだけ分かることがある。スタートは自身の記憶に強く残る、最愛の女性の名を呟いた。

 

 

 

 

「……シア」

 

 

 黒白の海岸に、彼の言葉は消える。そして黒白の海岸に降りていた夜が明けていく。ハジメの道は照らされた。なら今の自分は、そんな彼らと共にあるべきだ。それがきっと、自分が今もここにいる理由だから。元英雄の一部はそう自分に言い聞かせるのであった。

 

 

NEXT EPISODE

 




EPISODE44はここまでとなります。続くEPISODE45もすぐ同時に投稿されていますのでそちらも是非。

ジャンヌ「……エンゲージってやっぱり直球ですよね。リングって付けたらまんま……」

だぁぁ(゚Д゚;)だから本当に他意ないんです!契約の意味ですから!

レイ「そう言ってる時点でなぁ……分かっちゃうよね、みんな☆」

(´・ω・`)

ジャンヌ「まぁ、そこから外して見ると、ものすごく地味ですがスタートさんによる過去劇場が重要そうですよね」

過去劇場ってそれただの回想……(;・∀・)

レイ「けどシアって誰なんだろう?……最愛の女性ってことだから、やっぱりスタートの彼女さんだろうけど」

まぁそこにもちょっとミスリード投げ込んでるけどね。さて、では続くEP45もお楽しみください!
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