機動戦士ガンダムDN   作:藤和木 士

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どうも皆様。前話から引き続きの方は改めまして、例のアストレイ系Youtuberの話題の時に流れで組んだアストレイレッドフレーム改をいじっています、藤和木 士です。

ネイ「アシスタントのネイです」

グリーフィア「アシスタントのグリーフィアよぉ」

では引き続きEPISODE45の投稿です。

グリーフィア「前話はあれよね。まさか勢いで言った言葉で変な縁を結んじゃうレヴ君が憐れだったわぁ♪」

ネイ「いや、それ全然憐れんでないよね……結果的にレヴさんにとってプラスになりそうではあるけども」

(;・∀・)みんなも発言には責任もとう!

ネイ「それを言えるんですかねぇ……」

グリーフィア「それを今回の話で試してみましょうか?」

何でや(´・ω・`)さて、黒白の海岸から現実世界へと意識を取り戻した元君を待ち受けるものとは?それでは本編へ!


EPISODE45 重なる手2

 

 

「…………んむ……」

 

 3人でハジメの目覚めを待っていたクリエ、グランツ、アレクは聞こえてきた声に反応し、ベッドを覗き込む。目を覚ましたハジメが、頭を抑えながら体を起こしてくる。

 目を覚ましたハジメにアレクがナースコールを鳴らす。その間にクリエとグランツは彼に容体を訊く。

 

「ハジメ君、大丈夫かしら?」

 

「お、奥様……大丈……っっ!いっつぁ……」

 

「無理はしない方がいいだろう。思い切り正面からぶつかったからね。最悪頭蓋骨が割れているかもしれない。今医師の方が……っと、来たようだ」

 

 入ってきた医師と看護師がすぐにハジメの具合を確かめる。頭を触り、また他の所にも影響がないかを聞きとっていく。

 それらはすぐに終わり、冷却ジェルシートを額に付けさせ一日安静にすると伝えると医師達はすぐに退室する。とりあえず、大事には至らなかったようだ。だが医師の退室後、アレクはベッドのパイプを掴んでハジメに聞かせる。

 

「ったく、もう夜だぞ。これでもし頭蓋骨骨折になっていたら……」

 

「まぁまぁ、アレク君。積もる話はそれくらいにしよう。……ハジメ君、もう君は大丈夫なのだろうか。怪我の具合もそうだが、君自身の答えは……」

 

 最悪の事態を危惧する発言をしようとしたアレクをグランツが抑えながらも、同時にハジメにレヴ・リヴァイとの交わし合いについて訊く。それは無論、あの時限りのものではないかというクリエたちの不安でもあった。もしこれでまた同じようなことをすれば、彼女達も気が気でならない。

 しかし、ハジメもそんな心情を知ってか、余裕のある口調でこれまでの事を謝罪する。

 

「はい。皆様には心配をおかけしました。もう無理はしません。お嬢様にも明日これまでの事を詫びます。お嬢様が受け入れてくれるかどうか……怖いところではありますが。ともかく、改めて申し訳ありませんでしたっ」

 

 精一杯上体をベッドに下げ、謝罪するハジメ。今朝までのような無我夢中に目的を追いかけていた彼ではない。自身の娘に精一杯に仕えていた、記憶を失っていた頃の彼と記憶を取り戻した後の彼が合わさったかのように澄んだ表情と声だった。もう心配しなくていい、クリエは心からそう思った。

 それはグランツやアレクにも伝わったようで、2人も安堵した表情を見せる。

 

「そうか……よかった。これで憂いはないな」

 

「まだ安心しきるには早いですがね。ヴァイスインフィニットの攻略……それに」

 

 アレクが何かを言いかけたところで、ハジメが割り込む。

 

「あの、少しだけお願いしたいことがあるんです」

 

「お願い?」

 

 お願いと言う単語に皆反応する。何をハジメは願うのか。だがそれは奇しくも既に彼女達が驚きつつも知った事実。ヴァイスインフィニットの攻略の鍵とも呼べる、唯一にして必須の方法だった。

 

「今のガンダムじゃ、絶対にヴァイスインフィニットには勝てない。でもシュバルトゼロにも、ヴァイスインフィニットがアドバンテージを取るシステムを使えるんです」

 

「それは……!」

 

 しかし、言いかけたところで彼はやや言葉に詰まる。あまり言いたくない、言いづらさが見受けられた。だがもったいぶるよりもと、アレクが彼の背中を押した。

 

「言ってみろ。ガンダムが勝つためのことを知っているのなら、お前が言わなきゃ始まらない」

 

「隊長……。はい。その名はエンゲージシステムといいます」

 

「エンゲージ、システム……」

 

 契約の名を冠したシステム名。ハジメはそのシステムの内容を3人に話していく。ガンダムの出力系統を制御するためのサブパイロットシステムであること。システム制御のためにはサブパイロットが戦闘訓練を積んでいなくてもいいこと。そしてサブパイロットにはメインパイロット、機体との相性があるということを話す。内容的に話しづらそうなところはなさそうに見えるが、問題は最後告げるべきことにあった。

 クリエ達は一足先にそれを知っていた。クリエの愛娘ジャンヌ、それから彼女が持っていたゼロ・スターターの番人、スタートがエンゲージシステムの必要性を教えてくれたからだ。とはいえ、それでも驚かされはした。まさかハジメのガンダムのエンゲージシステムを、最も使いこなせるのがジャンヌだとは思いもしなかった。最初は冗談を言っているのかとも思ったが、元英雄が投影したデータはそれが現実であることを突きつけていた。

 立ち直りかけているジャンヌではあるものの、自分の子どもを戦争に参加させることなど想像したくもなかった。それは詩巫女という象徴を操る者を目指し、また子どもに目指させた者が言うべき言葉ではないだろう。しかしそれでもクリエは、自分によく似た娘を喪う危険に飛び込ませたくなかった。だからこそクリエ達はハジメからその覚悟を聞きたかった。スタートの予測でハジメがそれを目覚めて早々に言うはずだと言っていた。そして今ハジメはまさに説明をしている。当然、重要となるジャンヌとの相性についても話し始めた。

 

「ここからが本題ですが……現状スタートの見立てで一番俺とシュバルトゼロに相性がいい人物がいます。それはファーフニル家次女、ジャンヌ・ファーフニルです」

 

『………………』

 

 ハジメの発言で一気に3人の視線が鋭くなる。部屋の空気も2,3度下がったと思われるほどで、ハジメは体を震わせる。

 

(怖いでしょうけど、私もここだけは譲れないわ。あの人がいなくなった今、私があなたを見定めなきゃいけない。娘を任せられるかどうか……確かめさせてもらうわ)

 

 ガンドはもういない。当主となったクリエも本気でハジメと向き合う気でいた。ハジメの言葉に真剣に耳を傾ける。

 

「この2日間、俺はお嬢様を遠ざけ続けました……本当はそれも、3日前にスタートから教えられた。お嬢様を巻き込みたくなかった。もちろん今も。でも、もう逃げるわけには行かない、それに、もう1人にはさせたくない!……だから、お願いします、当主……俺に……彼女を、ジャンヌ・ファーフニルを任せてください!!」

 

 ベッドからも降り、その床に思い切り額が着きそうな勢いで顔を下げる。先程も痛そうにしていたにも関わらず、彼は土下座をした。

 もしガンドが生きていて、今のハジメを見たらどう思うだろうか。散々娘から逃げたにも関わらず、それだけで許してもらえると思ったのかと怒るだろうか。それともこれまでの事もあって、許していただろうか。

 しかしそれらも今は居ない自身の夫のIF(イフ)だ。その判断を下すのは、そう、クリエ・ファーフニルの意志だ。だから――――――。

 

 

 

 

「ハジメ君。それは、どれくらいの本気?」

 

「当主……?」

 

 

 

 

 顔を上げたハジメを、クリエはしゃがんで覗き込むように見つめる。その眼力はハジメを捕らえて離さない。言葉に迷うハジメにクリエはもう一度その意思を問う。

 

「どれくらい?」

 

 ハジメを試すようにジッと見つめる。やがて、ハジメは自らの見つけ出した答えを部屋で聞く者達全てに向けた。

 

「…………ガンダムは破壊させない。ガンダムでお嬢様と共に生き延びます。主を護るのが、俺の使命だから!」

 

 主を護る。それは彼の本来得ていた仕事だ。しかし彼はそれを一度放棄した。普通なら関係が切れても当然のもの。だったが、主であるジャンヌは言った。主失格だと。お互いに失格でも、それぞれがもう一度と言うのならば……。クリエはその眼を緩くして、ハジメに語り掛ける。

 

「…………そう。ならそれはあの子の前で言ってあげて」

 

「当主……はい!」

 

「ふっ、やれやれ……」

 

「それなら、私達も責任を持ってその命を預からねばな。もっともそれも、ジャンヌ君次第であるわけだが」

 

 クリエの反応で、やがてグランツとアレクの緊張も解ける。当の本人であるハジメも感謝の返答をする。とりあえずはクリエも護ると言ったハジメを信じるしかない。それでもジャンヌが実際に許可を出すまではダメだ。もう一度娘の了解を、ハジメが聞かなければ二人はすれ違ってしまう。本人達で解決するのも重要なステップだろう。とりあえず今はもう遅い。今日の所はゆっくり休むよう、クリエとグランツの2人は言い渡す。

 

「とりあえず、今日はもう遅いからジャンヌに言うなら明日、ね?」

 

「うむ、それが賢明だろうね。何せ君も動くには辛い状況だろうし」

 

「分かりました。ありがとうございます。……あ、あとタオルか何かありませんか?何か顔がやけに塩っぽくて……すみません」

 

 ハジメもその言葉に従い、濡らしたタオルで顔を拭いてからベッドへと戻る。それを見届けてからクリエ達は病室を出た。病室を出ると、グランツが声を掛けてくる。

 

「……それでよかったかな、クリエ君」

 

「えぇ……不安でいっぱいですけれど、それでもこれはあの子たちが決めることですから。……まさかあの子が、ガンダムと一緒に戦いたいだなんて、思いもしなかったですけれど」

 

 クリエはため息を吐く。今も昼間にジャンヌが言った言葉が反芻していた。いきなりハジメのパートナーとなると言った時には、突拍子もないことで理解できず、フォーンなどはパートナーという所に目が行き、そんなことを許せるわけがないと詰め寄ったほどだ。しかしジャンヌははっきりと自分の意志を伝えた。その言葉が蘇る。

 

『それでも私は彼の力になりたいの。異性としてじゃない、主として力になりたいから』

 

 異性としてではない。それを言われてフォーンもそれならばと引き下がった。もっともクリエとしては勢いで行かなくとも、2人の合意があるのなら……と心の中で苦笑いしていた。2人とも枠に縛られ過ぎだと感じていた。2人ならエンゲージシステム関係なしにいいパートナーとなれると思う。

 ともかくそれを伝えあった時、初めて2人のすれ違いは解消される。明日が楽しみだ。

 

「さて、それじゃあ今日はこれで帰りますね、グランツ司令」

 

「そうか。では他の者に護衛を……」

 

「いえ、大丈夫ですよ。フォーンも外で待機してくれていますから。それでは」

 

「あぁ、フォーンにもよろしく伝えてくれ」

 

 互いに別れを告げて、その場を解散する。グランツ司令もガンダム討伐と並行してとある計画を進行しているという。ガンダムの方もヴェールが新装備と修復を並行して突貫で行っているらしい。この戦いはハジメだけでなく、ドラグディア軍にとってもリベンジを兼ねた重要な戦いなのだ。しかしながら全容の一部を聞かされたクリエとしては動揺を隠せない。もし本当なら、それはドラグディアという国にどれほどのダメージを与えるか……。

 乾坤一擲とも言える作戦の発令はガンダムの戦闘に掛かっている。だからこそクリエは余計にハジメとジャンヌの勝利を願わずにいられなかった。

 

 

 

 

 静けさが支配した深夜の病院。時計の短針が既に4番目の数字を刻んだ中、元も眠りに落ちていた。昼間のダメージで余計に眠気が襲ってきており、クリエ達の訪問後すぐに眠ってしまっていた。

 とても深い眠り。ところが元は自身の身体の違和感に気づいて目を覚ます。

 

「…………ん」

 

 布団がかぶせられた自身の身体に掛かる不自然な重み。それが元の目を覚まさせる。意識ははっきりしないが、感じた違和感は確かに今も残っている。布団の違和感は外から見ても確認できた。人1人分にしては異様な大きさのふくらみが現れている。まるで、もう1人いるかのような……。

 ここで元の緊張感が高まる。何者かが侵入している。しかもそのふくらみはもぞもぞと動いていた。銃かナイフを構えようとしているのか、危機を感じた元はすぐに毛布を払いのけ、侵入者の顔を確認しようとする。

 

「誰…………だ?」

 

 しかし、侵入者に問答するその声は途中で疑問の問いかけに変わる。なぜなら布団の中にいたのは自身と同じ銀色の、ウェーブの掛かった長髪を持つ1人の少女。ファーフニル家の次女で元が主と慕っていたジャンヌ・ファーフニルだったのである。

 

「………………え」

 

「………………」

 

 動揺の一言が漏れる。驚きで一気に元の意識が覚醒するも、なぜジャンヌが元のベッドの中にいるのかという問いの回答は見つからない。冷静さを欠いた元は思わず彼女がなぜここにいるのかと大声で聞こうとした。

 

「な、なぜお嬢さ……もぐっ!?」

 

「っっ!?ダメっ」

 

 だがそれをさせまいと慌ててジャンヌは小声でそう言いながらも、同時に元の口を塞ぐ。彼女の手が元の口に触れる。共にその感触、匂い、行動に赤面しているのが自分でも分かる。

 大声を止められてから数秒、匂いが鼻を通って刺激が脳に与えられ慣れたところでようやく彼女の手が口から離れる。月光に照らされ、明かされた彼女の顔が見える。顔はほんのり赤く染まり、バツの悪そうな表情で見つめ返している。そのせいか、元にはとても彼女が魅力的に見えた。これまで主の少女としてしかみていなかったことや、彼女自身がレイアへの好意を露わにしていたことへのギャップが余計にそれを助長させていた。彼女が着る病院着が着崩れているのもますます変な気を起こしかねない。

 間違いを犯す前にと、身体を半分起こした元はなぜ彼女が今いるのかを小声で問う。

 

「…………どうして、ここに?」

 

「………………」

 

 元の問いかけに彼女は黙って視線を外すだけだ。だが視線を元と外とを往復させている。何か言いたいことがあるのは明白だ。こちらから聞こうとするのではなく、話し出せるのを待つ元。

 やがて、彼女の口が開く。

 

「……それよりも、何か言うこと、ない?」

 

 少し怒った口調で逆に問いかけるジャンヌ。それはつまりこれまで顔を出さなかった元に謝罪を求めているということだった。それより、と釘っている辺り、本来の目的とは違うのだろう。とはいえ、彼女の不満も元に対し問われるべきことである。元は顔を合わせなかったことを謝罪する。

 

「……申し訳ありませんでした、お嬢様。勝手な暴走をしてしまい……」

 

 まさしくあれは暴走だった。過去の亡霊に縛られ、自分勝手な判断をした。目の前の恐怖から逃げようとした。これはもうクビを宣告されても仕方のないことだ。

 しかし今ジャンヌの下から離れるわけにはいかない。いや、もう離れてはいけない。もう離れないと誓ったのだ。今のジャンヌから離れてしまえば、誰が支えるというのだ。元は彼女の返答を覚悟して待つ。

 元の謝罪を受けたジャンヌは……。

 

「……そうね。けど、わたくしも……私もあなたの闇を見抜けなかった……見抜こうとすらしなかった……」

 

「お嬢様……?」

 

 闇と言う単語に、もしやと思った元。元は知る由もなかったが、ジャンヌもまた元の過去を知った者だ。元が幼馴染を最悪の形で失ったことも、それ以来の元の考え方が今までの行動原理にあったことも。

 しかし元がそれを指摘しようとしたその前に、ジャンヌは更に踏み込んでいく。割座の形で元の下半身、特に股間から太ももに掛けて布越しに触れ合う。逃げられない体勢に持ち込まれ、元も唾を呑みこむ。

 

「お嬢……!?」

 

「…………ごめんね……」

 

 謝罪と共に、彼女はその頭を元の胸元に付ける。何が何だか分からない。しかし今物凄くやばい状況であることは分かる。フォーンに見られていれば確実に殺される。学校の者に見られても変な噂になる上に病院の周回に来た人に見られてもアウトだろう。

 しかしジャンヌを無理にどかすわけにもいかない。どうしようと迷っているうちにジャンヌの頭が離れていく。安心したのもつかの間、ジャンヌは元を真っすぐ見て言う。

 

「本当はもっと言いたいことがある。けど今言わなきゃいけないことがあるから……」

 

「えぇと……」

 

「あなたの力になりたい。主として、ガンダムのエンゲージシステムのパートナーにして」

 

「!?それは……」

 

 先に言われてしまった、本来元が言うべき台詞。それを以って、元はジャンヌが自分の事を知っていることを知る。どのタイミングかは分からない。だがジャンヌはエンゲージシステムの事も知って、そしてそのうえでパートナーとなると言ってきているのだ。

 予想外の展開に元は迷う。こんな形でいいのだろうか。本来自分から謝りに行き、その場で言うべきはずの会話。しかし今は彼女が言いに来ている。元の知る限りでは、こういった場面では先にこちら側が言うべきだというのに。

 とはいえ、これは待ち望んでいたものでもある。彼女がその気でいるというのならむしろ好都合だ。それでもやはり気になったのは、こんな形で了承してしまっていいものだろうかという疑問だった。

 しかし、それを振り払えとジャンヌの斜め後ろの布団の中から声が響いた。

 

『お取込み中のところ悪いが、ちゃっちゃと決めろよ、元』

 

「!?……」

 

 スタートの声だった。この夜這い未遂が一体誰が仕掛けた物なのか、理解が通る。計画立案者に静かに恨みを感じながらも、その言葉通りジャンヌの言葉に返答する。

 

「…………本当に、いいんですか?」

 

「主としてなら、いいから……でもまだ好きとかの関係ではないから……レイアさんを助けたいの」

 

 顔を俯かせる。言った意味の恥ずかしさからだった。元もそれは理解している。ジャンヌにも伝える。

 

「…………もちろんですよ。敬愛の対象ですから。レイアも助けます、絶対に」

 

「…………うん」

 

 そして2人は夜遅くからにも関わらず、スタートからの指示でエンゲージシステムの認証作業に入った。

 

 

 ゼロ・スターターを装着した状態で互いの手を掴む元とジャンヌ。2人をスターターから映し出された魔法陣のようなものが包む。スタート曰くこの魔法陣は記録媒体の役割を果たしており、元に触れていれば認証もとい「契約」は果たされるらしい。

 エンゲージという単語の時点で色々深読みしそうな単語と違って、至って変わった様子のない契約方法は2人にとっても簡単だった。これでもし、深いことをしろなんて言われた日には間違いなくスタートをスクラップにしていただろう。これも全てリム・クリスタルの例があったからだ。リム・クリスタルの時も最悪彼女と大人の階段を登らなければならなかったかもしれない事態に遭った。もっともそれも偶然の行動で済んだわけだが……被害がなかったわけではない。

 過去を思い返していたところで突如ジャンヌの様子がおかしくなる。

 

「……っぅ!」

 

「お嬢様!?どうしました」

 

 苦悶の表情をするジャンヌに咄嗟に駆け寄る元。エンゲージシステムの認証もあり、手をつないだままもう片方を彼女の肩に置く。エンゲージシステムの認証で何か異変が起こったのか。しかし元の予測は外れる。

 

「……だい、じょうぶ……呪いのせいで…………こうなることが、あって……くぅ……っ!」

 

 元は忘れていた。ガンドの死亡直後に発動したジャンヌの呪い。詩竜の刻印による呪殺効果がジャンヌを蝕んでいたのだ。これまでそんな素振りをまったく見せなかったため、耐えきれているのかと思ってしまっていたのだ。

 どうする、お嬢様が痛いと言っているのならやめた方が良いんじゃないのか?けどここでやめてもこの痛みが止む保証はない。そもそも契約の影響で痛みが来たとは限らないじゃないか。でも、どうすれば……どうすれば彼女の痛みを和らげられる?

 突然の事で混乱してしまう元。だが昼間のやり取りが元の中で思い起こされる。レヴの言っていたこと、それに幼少期の頃の記憶が蘇る。その時の自分の光景を思い出し、元はそれを実行した。

 

「………………っ」

 

「!?ハジメ……?」

 

 その手を引いてジャンヌの体を抱き寄せる。いきなりの事でジャンヌも戸惑ってしまう。いきなりそんなことをされては不安になるのも当然だろう。だから元はその首筋を擦って言う。

 

「大丈夫です、自分がいますから」

 

「………………」

 

 傍にいる。それが元の出した答えである。もっともそれは本来当たり前の事であり、何を今さらと思われるだろう。

 だがこれまで離れていたことも踏まえれば、その痛みもまぎれるだろう。それに当たり前の事は必ずしも出来るわけでもないこともある。改めて護ると誓った元は今までの暴走も含めてこうするのがベストだと考えたのだった。

 無論ジャンヌが抵抗することも予想できた。しかしジャンヌは痛みからか、それとも彼に気を許したのか最初の戸惑い以外は抵抗する素振りは見せなかった。静寂が部屋を支配する。ただ一言、ジャンヌの声が響いた。

 

 

 

 

「…………バカ」

 

 

 貶す言葉とは裏腹に、手を握る力は強くなった。月夜の光が2人を照らす。そうして夜は明け方へと向かっていった。

 

 

NEXT EPISODE

 




今回もお読みいただきありがとうございます。

グリーフィア「ねぇ、作者さん。この作品SFよりも恋愛要素多めじゃない?ラブコメに変更したら?(笑)」

それしたらガンダムなくなっちゃうよ!?(゚Д゚;)

ネイ「でも、前作に比べて恋愛要素は多いですよね、これ」

あー……それは前作が完結出来なかったことが大きく要因(´・ω・`)前作でも恋愛要素出せなかったから……反動

グリーフィア「けど前作よりやけにペース良いわよね?大丈夫?」

まぁ、今のところは。うん最初の頃にも言ってたけど、やっぱり元となるものが固定されてないと進むの速いよ。前作は台詞ほぼ原作の半固定してたからそれに沿って考えなきゃいけなかったし。

ネイ「また前作が作者さん自らにディスられていく……」

いや、でも前作があってこそ今作があるからね。ただ外伝は記憶諸共消したい( ゚Д゚)月光蝶誰か持ってきて!

グリーフィア「月光蝶よぉ♪」

ネイ「いや、それネットどころか人工物消しますから……」

それでは今回はここまで。

ネイ「じ、次回もよろしくお願いします」
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