機動戦士ガンダムDN   作:藤和木 士

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どうも、皆様。室内にいても暑い日が続いていますね。エアコン様様です、藤和木 士です。

ネイ「アシスタントのネイです」

グリーフィア「アシスタントのグリーフィアよぉ♪いよいよね、作者君」

そうですね。今回はEPISODE47、ヴァイスインフィニット対シュバルトゼロの再戦が今回から始まっていきます。いよいよ第3章のメインイベントですよ!(゚∀゚)

ネイ「一度はすれ違った2人、元さんとジャンヌさんが再び手を取り合って宿敵ヴァイスインフィニットに2人乗りで初めてのMS戦に臨むわけですね」

グリーフィア「今から興奮しちゃうわねぇ♪勝つのはどっちなの?ねぇ、教えなさいよ~」

ちょっ、ぐいぐい来すぎですって!?(゚Д゚;)

グリーフィア「ま、絡み合いはこの辺で……詳しい話は本編に入ってからってことで」

ネイ「そうだね、姉さん。作者さん、そろそろ……」

温度差が……(´・ω・`)まぁそうですね。それでは気になる方も多いと思うので、注意事項だけ言っていきましょうか。

注意、今さらですが、本作品には別作品の要素も入ってきます。特に今話には、あの有名作品の用語を入れているので、不快に思われた方は申し訳ありません。あとがきでもそれについては説明したいと思います。

それでは、本編へ!


EPISODE47 復活のゼロ、RE;MATCH1

 

 7月7日。ドラグディアの建国記念日に当たるこの日、聖トゥインクル学園は多くの学生と民間人でにぎわっていた。学校行事の1つ、詩竜双極祭を擁する祭りの正式名称は「ドラグディア建国祭」。祭りの字の通り民間人も参加可能なイベント寄りの行事である。1週間前に起こった事件を聞いて例年よりも民間人参加人数は少ないものの、小中高一貫校が誇る敷地内には多くの参加者が露店などに集まり、一番の見どころである「詩竜双極祭」の始まりを昼間の内から待っていた。

 既に今の時刻は夕刻。だが今年は夕刻からは学生と中継を行うテレビ局の人間以外は夕方から学校敷地内を追い出された。それに対し暴動も起きたが、ドラグディア軍動員での追い出しには、もちろん意味があった。ヴァイスインフィニットガンダムが、黒和元との再度の対決を指定したのはこの日この場所なのであった。学校自体にはドラグディア軍が「対策」を施したものの、校内すべてが戦場になる可能性を考慮すると被害は甚大である。そのため校舎内に収容できる人数を考え、観客を退避させたのである。テレビ中継も詩竜双極祭の模様を可能な限り伝え、混乱を収束させる狙いがあった。

 残る生徒達には少数を除いて今日ここで起こることは知らせていない。知っている生徒はグリューネとネア、それにファントム・ナーガことローレインだけである。特にローレインはガンダム出現後迅速に参加者達を校舎内に避難させるという大役があった。教師陣はもちろんこの事は周知であり、生徒を囮にするこのような作戦に多数の非難が寄せられたものの、ここで討ち取ることの重要性を何度も伝え、何とか了承するに至ったのである。

 対決への準備を整えつつ、しかし詩竜双極祭という場を作るためにこのようなこととなった建国祭。学校の全学部を繋ぐ中央広場からは既に詩竜双極祭の開始を告げる挨拶が行われていた。

 

 

 

 

「――――では、参加者みなさん、全力を以って歌い上げてください!これで開会式を終わります」

 

「では参加する詩巫女養成科生徒は準備をお願いします」

 

 開催を宣言した校長と詩巫女養成科の先生の声に従い、参加詩巫女候補生たちはステージへと上がっていく。上がろうとする生徒の中に、グリューネ・サランディーネもいた。ロード姓からサランディーネ姓へと変わった彼女が、初めて参加する学校行事である。ステージへと上がっていく姉を、妹であるネアが頑張れと声を掛ける。

 

「頑張って、姉さん」

 

「フフッ、妹の声援に応えて頑張っちゃう♪」

 

 グリューネはウインクをしてステージを上がっていく。同時に周囲から歓声が沸き上がる。高等部生徒会長を仮にも務めるだけあって、ファンは多い。それらに応えていく気配りも忘れない。手を振ってステージを上がった先で並んでいく。するとその列の中に顔馴染みのある人物がいた。ノーヴェ・リントヴルンだ。

 妹であるディーナの事があったとはいえ、彼女もまた参加者だ。小さく手を振ると彼女は少し笑って手を向ける。しかしその笑みもやや力がない。まだ後悔が尾を引いている様子だ。妹のしたことを姉が必要以上に背負っていた。

 無論グリューネも完全にないものと出来ないことは分かっている。しかし、考え過ぎても仕方がない。彼女は妹が再びこの会場を襲うことを知らないが、グリューネはその時彼女が何かやらかさないかが心配であった。突然の事で狂ってしまわないことを切に願う。

 やがて参加者が出そろう。詩巫女養成科は全部で3クラス存在する。それぞれから5人が選ばれ、計15人でオベリスクへの反応を競う。ちなみに誰の反応かはオベリスクに繋がれた機械で測定され、モニターで表示される。とはいえ、詩巫女・観客側からは一切分からず、最後の結果を緊張しながら待つ形となっている。機械が正常に動作することが確認されると、斉唱の開始を告げる教師が前へと出た。その時である。

 

 

『すみませぇん。飛び入り参加で~す』

 

「っ!この声…………ディーナ!」

 

「来たわね……」

 

 

 突如響いた飛び入り参加と言う声。ステージ上だけではなく、観客席からも困惑の声が挙がる。状況を知らされていたグリューネはその到着を待っていた。彼女だけではない。会場の警備と避難を受け持つローレインも遠目で確認し、慎重に避難させるタイミングを見計らう。

 一方でガンダムに装依していたディーナは、揚々とした態度で当然のように校長に対し参加を告げる。

 

「ねぇ、いいですよね、校長?私歌いたいんですぅ」

 

「ディーナ・リントヴルンさん……この詩竜双極祭は選ばれた詩巫女養成科の生徒のみ参加可能なイベントです。貴女は選ばれていません。だから貴女の参加を認めるわけにはいきません」

 

 ディーナの申し出を校長は毅然とした態度で拒否する。MSを纏っているにも関わらず、これだけ落ち着いて対応できるのは、やはり教師の鏡と言えるだろう。伊達に校長は名乗っていない。

 軽くあしらわれる様な形になってしまったディーナ。しかし、彼女も引き下がるはずがない。少し困ったような動作をしてから、彼女はため息と共に言った。

 

「仕方ないですねぇ……じゃあ、こうしましょう。DNF」

 

「っ!」

 

「姉さん!」

 

 ステージ前の階段まで来ていたネアが、グリューネの前に出ようと駆けあがる。しかしその間にガンダムの必殺とも言える力が開放される。

 

『DNF サイレント・タイム』

 

 ガンダムから高純度DNで形成された光の膜、もしくは領域と言うべきものが展開される。それはたちまちに学校の中央広場を飲み込んでいき、その中に入った人々の動きを、時間を止めていく。グリューネも、ネアが前に出たところで時間を止められる。グリューネの体が半分ディーナのヴァイスインフィニット側から隠される形となる。

 

(動けない……わね)

 

 唯一止まらなかった思考の中で呟くグリューネ。分かっていたこととはいえ、これへの対処法はドラグディア軍も未だ対策出来ていない。高純度DNを用いて周辺空間に干渉するこのDNFは、まさに必殺の一撃。デメリットが果たして本当に機能するのか、生身相手にはオーバーキルと言えるほどの技だ。

 誰も動くことは出来ない。しかし切り札はある。それが来るのをグリューネは全てが止まった空間の中で待った。

 

 

 

 

 すべてが止まった。ネアも姉と同じく、その感覚を理解していた。しかし視線は前で固定されており、後ろに庇う形となっているグリューネを果たして身を挺して庇えているのだろうか。

 後ろが気になるも、ネアはただ前を見渡すだけである。すべてが停止したこの空間で、ただ1人自由に動くことのできるヴァイスインフィニットガンダムの装依者。しかしその装依者であるディーナは、何を思ったのかその装依を解除した。解除と同時に機体から現実世界へと出たディーナから分裂する様に倒れ込む人影。その人影は見た目こそボロボロとなっていながらも、間違いなくネアの友人でジャンヌの想い人レイア・スターライトで間違いなかった。

ヴァイスインフィニットガンダムの取り込みからなぜ彼女が解除されたのか。真意は不明だが、思わず叫びそうになる。しかしその体はまだ動かぬまま。あの時もそうだった。装依を解除したにも関わらず、停止空間が持続したことを。

 停止した空間の中で、ディーナがレイアの顎をもたげる。

 

「ほらーレイアさーん。久しぶりの外ですよー」

 

「うぅ…………ぁ」

 

(レイア……!すぐそこにいるのにっ……!)

 

 親友がそこにいる。しかし彼女の想いに反して体は動かない。ジャンヌではないが今すぐ駆け寄りたい。早く彼女の手から解放してあげたい。しかし、ことはもっと重大だった。

 

「さて……レイアを出したのは、これから面白い事をするためなんだよね。……選ばれたってことは、枠は15枠絶対に必要ってことだよね。つまり……」

 

 腰のホルダーから軍用ナイフを取り出すと、巧みに手の上で動かしながら自身の考えを聞かせる。

 

「1人消せば、1枠空くよね?」

 

 猟奇的な発言がその口から出る。1人減れば1枠空くというその短絡的思考は時間停止状態の彼らにとっては恐ろしいものだ。何せこちらは動けない。1人消すのもこの状態なら赤子の手を捻るが如く簡単なことだろう。

 ディーナの手が参加者に対し誰にしようかと左右に動く。ナイフの先が右へ左へと動き、選別していた。そしてそれが、ネアの方に向けられて停止した。

 

「うん。やっぱり前逃げられた貴方達、消そうか。姉さんでもいいけど、貴方達を消せばまたシュバルトゼロのパイロットを追い詰められるしね♪」

 

(っっ!!そんなの……助けて、誰か!ハジメさん……っ)

 

 心の中で強く求めるネア。しかし、停止空間でその声は発することすらも叶わない。ディーナの凶行に衰弱状態のレイアが途切れ途切れの制止の声を上げる。

 

「だ……めぇ…………そん、な……の……」

 

 その声に反応も示さないディーナはナイフの投擲行動に入ろうとする。しかし、それを制止する声が、空間に響いた。

 

「――――――生憎だが、させない。俺達がお前を止める」

 

「何?」

 

 停止空間に響いた、男の声。それと共にDNFサイレント・タイムで造り出した停止領域が鏡の割れるような音と共に崩れ去る。ネアやグリューネの体が動く。他の人々の停止も解除される。時は動き出した。

 時が動き出したことに苛立ちを見せるディーナ。彼女が向けた視線の先で、人々の波が道を作っていた。声が響いたのがその方向からだったこと、そしてその人物達が向かおうとしていたことで自然と道を譲っていた。その人混みが作った道を通ってステージへと向かうのは、この学園の制服を着た1組の男女。1人はこの学園で知らぬものは居ない、ファーフニル家次女ジャンヌ・ファーフニル。そしてもう1人、声を出した張本人であり黒のガンダムを引き継ぐ、過去の呪縛を抜けた青年クロワ・ハジメ。その2人がこちらに向けて歩みを進めていた。

 遂に来た2人。ネア達も待ち望んでいた登場である。しかし、どうやってディーナの、ヴァイスインフィニットガンダムのDNFを打ち破ったのか。そんな疑問が浮かぶまま、2人の歩みを見ていた。

 

 

 

 

「まったく……遅いじゃないの、ハジメさん?ジャンヌが出るの遅かった?」

 

「そんなんじゃないですよ、グリューネ・サランディーネ。ネアさんも遅れてしまい申し訳ないです」

 

「ハジメさん……いえ、大丈夫です」

 

 元はグリューネとネアと言葉を交わしながら、ジャンヌと共にステージに上がる手前の階段の前で立ち止まる。ステージにいるディーナに対しその視線を向ける。以前会った時と同じように、その顔には余裕の笑みが現れている。そしてその隣には1週間ぶりの再会となるレイアがいる。制服は既にボロボロとなり、彼女自身も至る所が傷だらけとなっていた。思わずジャンヌがレイアに呼びかける。

 

「レイアさん……っ!」

 

「ジャンヌ……ちゃん……ハジメ……君」

 

 レイアの弱々しい声がかすかに聞こえてくる。一方後方では既にローレインと教師が避難指示を飛ばし、生徒達が移動を開始していた。ステージに上がっていたグリューネ達詩竜双極祭参加メンバー・サポーターも、次々とステージを降りてその場を離れる。

 ステージ上の参加者が降りていくのを見て、ディーナは芝居じみた笑いと共に喋る。

 

「あらあら……参加者がどんどんいなくなってきますねぇ。これは私の1人舞台?」

 

「観客のいない舞台にどれだけ意味があるのか、疑問なところだがそうかもしれないな。お前のその高く伸びた鼻を叩き折る舞台のな」

 

「ふぅーん……なかなか生意気だね。私のサイレント・タイムをどうやって打ち消したのかも気になるけど」

 

 元が言った言葉に冷たく苛立ちを募らせるディーナ。彼女の疑問はもっともである。彼女だけではない。ネアや他の観客はもちろんのこと、作戦を良く知るであろうグリューネやローレインすらも知らない方法で破っている。

 その種明かしを彼女の「正体」と共に、「自身の口」から語る「元」。

 

「簡単さ。高純度DNをスターターから通して弾かせたんだよ。もっともそれをやったのは「黒和元」じゃなく「俺」だけどな」

 

「何……?」

 

「お前と同じさ。ディーナ・リントヴルンの皮を被った、いや、身体を、口を借りた私の同類……そうだろう、「エンド」!」

 

 「ディーナ」を指さして、そのように語る「黒和元」。傍から見れば分からない会話だ。しかし、その意味を理解したのか「ディーナ」は腹を抱え、しこりが取れたように笑いその正体に頷いた。

 

「……ふっ。アーッハッハッハ!まさかもうそこに気づいていたとは……しかもエンドとまで名付けるとは……いいね。その名前、頂くよ「スタート」?」

 

 呼ばれたのは、元のガンダムのOSである元英雄の一部、スタートの名。そう、今までディーナと話していたのは、元の体を借りていたスタートだったのである。

 スタートからこの話を聞いた時は元も驚いていた。ディーナが本人ではない、自身と同じ元英雄の一部と称される者に操られていることに。しかし、スタートはガンダムに保存されていたヴァイスインフィニットガンダムとの戦闘時の映像を見せて、それを確信したことを元やジャンヌ、それにヴェールとグランツに証明した。それは、シュバルトゼロが2度目のDNFを撃ちこみに襲い掛かった時の映像だった。口調を荒げたディーナの発言がスタートに疑問を抱かせた。更にガンドヴァルから回収された映像とも合わせての検証で、外観データから判断したディーナの予想肉体負荷許容量を判断し、そのような結論に至ったのである。

 元もそれを聞いて納得した。男である自分もこれまでの特訓で何とか耐えられるようになったというのに、ヴァイスインフィニットの装依者であるディーナはその自分と互角以上の戦闘を展開した。普通なら男女という持久力の差があるはずの戦闘で、息も切らすことなく戦えたのはあまりにも不自然だ。そして今それが本当であることが分かった。

 しかし、今回は元もまたスタートに操られる形となっている。これはスタートの独断ではなく、元自身とも話しての判断だ。もしディーナがあのDNF「サイレント・タイム」を発動させたのだとすれば、スタートの方が対処しやすい。それにスタートもまた実際に自身の手で確かめたいという。その思いに元が了承し、この形に至ったのである。

 エンドとして喋るディーナに、元であるスタートが言葉を借りる。

 

「やはりか……そんなに自身が救世主であると言いたいか?」

 

「もちろんとも。救世主ガンダムとは、この俺のことなのだからな」

 

 ディーナの口で「俺」と称するエンド。そこでまだ避難していなかったノーヴェが妹の体を使うエンドに呆然とした様子で問う。

 

「……そんなことの、ために?そんな自分勝手な理由で、私の妹の体を!」

 

 ディーナの双子の姉であるノーヴェはそんな衝動的な怒りの気持ちをぶつける。ノーヴェの気持ちは当然である。しかし、ここで返ってきたのは思いもよらない言葉だった。

 

「ん?あぁ……言い忘れていたな。俺は確かにこいつの体を使って好き勝手したが、俺を受け入れ、ジャンヌ・ファーフニルやレイア・スターライトを襲うことを決めたのは、全部こいつの考えだよ」

 

「なんだと……?」

 

「……どういう、こと?」

 

 元達の間に動揺が走る。ジャンヌはその声に怒りがこもる。受け入れたことまでは頑なにいくらでも想像できるが、何がどうしてノーヴェの妹がジャンヌやレイア、ネア、それにグリューネを襲わなければいけないのか。あの襲撃は全て彼女の思惑を尊重したというのか。

 様々な憶測が巡る中、エンドはディーナの口でそれをすべて明かす。

 

「ディーナは夜中遅くに俺の封印されていたスターターを手に入れた。何でスターターがこいつの手に届くところに現れたかと言えば、スターターが封印されていた遺跡でたまたま起こった超次元現象が関係してる。拾ったディーナは好奇心で俺の力を色々使った。それであいつは色々と知った、ドラグディア・マキナス両軍部の情報を」

 

「……ハッキングか」

 

「その通り。その中にジャンヌ・ファーフニルの家が詩竜の刻印によって呪われた家だってことも知ったわけだ。最初は知ったことを後悔していたこいつだったが、同時にジャンヌ・ファーフニルが国の指示で参加を要請された詩竜双極祭を辞退したことを知った。こいつは今まで詩竜双極祭の参加を熱望していたが、参加者から外されていた。姉よりも観客を沸かせるだけの会話力がなかったからな。参加できないことも知ってこいつの劣等感が刺激された。そして俺に、仕返しと称した八つ当たりを要求した。ついでに外部入学者で、唯一詩竜双極祭への参加を決めたっていうレイア・スターライトも同じように仕返ししろって言われたな。そこで俺はレイア・スターライトを俺のガンダムの強化のためにこいつの体を使うことにしたってわけだ」

 

「……つまり、今あなたが操っているディーナが……全部やれと……!?」

 

 ジャンヌの声が怒りに震える。自分への嫉妬はともかく、レイアは巻き添えにされたのだ。エンドはそれを利用してレイアを自身のガンダムの強化素材として扱っている。レイアを想うジャンヌに対し、あまりに残酷な仕打ち。しかもそのきっかけは他ならぬディーナであったのだ。加えてジャンヌは父親も亡くしている。ジャンヌの逆鱗に触れ、ノーヴェの精神に大きくダメージを負わせる。

 

「嘘……でしょ?ディーナぁ!?」

 

「よくも……よくもレイアさんを!お父様を!!」

 

「お嬢様!落ち着いてください!」

 

「ハジメっ!……うぅ……うううーー!!」

 

 飛び出しかけたジャンヌを制する元。元の制止にジャンヌは反発しようとしたが、その瞳の訴えで溢れ出しそうな怒りと哀しみを押し留める。今じゃない。スタートのコントロールから戻った元は主の怒りを抑えさせる。

 全てを話したエンドに、元は言う。

 

「結局のところ、お前はディーナ・リントヴルンの行動に乗じて俺のガンダムとの決着を付けようとしたわけか?」

 

「そうだな。だがお前みたいなやつに、俺と同じ機体を操ってもらうのは虫唾が走る!」

 

 要するに自身の機体に風評被害を付けられるのが嫌だと語るエンド。ディーナの言葉に従ったと言っても、結局のところは先程も言ったように自らの思惑を叶えさせただけであった。そこに独善的な考えがあることに変わりはない。元は自らの口で、自らの意志をエンドに対し言い放つ。

 

「エンド、お前が救世主かどうかはどうだっていい。でも、だからって他人を利用したり、陥れたり、傷つけるやつが救世主だなんて思わない」

 

「ふん、なんとでも言え。それが俺だ!エンドという救世主なのさ!」

 

「だからなぁ……お前は俺が潰す!黒のガンダムの「継承者」としてじゃない、ジャンヌ・ファーフニルの「従者」だからってわけでもない……黒和元という、「人間」として、俺自身の意志で、ヴァイスインフィニット……お前を討つ!」

 

「いいだろう……ガンダムの正義というものを、ここで証明する!」

 

 ゼロ・スターターをその手に構える。エンドも応える形でインフィニット・スターターを再始動させる。そのままボタンを叩くと、再びその体がヴァイスインフィニットガンダムへと姿を変える。装依の過程でレイアを再び取り込む。装依が完了すると、更にそこからディーナの体が実体化、ガンダムから分離する。

 分離したディーナは、頭を振って意識を覚ます。しかしその様子は現状を理解しきれていないものだ。ディーナに対し、ヴァイスインフィニットからエンドの声が響く。

 

『ディーナ・リントヴルン……お前はいいやつだったよ。けど、俺の体にはふさわしくない。今すぐ俺の前から失せろ!』

 

「ひっ!……は、はいぃぃ!」

 

「ディ、ディーナ!待って!」

 

 今までとうって変わった臆病さを感じさせる悲鳴を上げてステージから飛び降りるディーナ。ノーヴェがすぐにその後を追って飛び降りる。おそらくローレイン達が2人も無事に校舎内へ入れてくれるだろう。一方元も装依の準備を行う。ゼロ・スターターにロック・リリーサーを装填し、カードを入れる。カードが入ると、ゼロ・スターターからはこれまでと違った音声が発せられる。

 

ZERO ZWEI(ゼロ ツヴァイ)

 

『……ほう?』

 

 変化した音声にエンドもまた反応する。セレクトスーツカードの保存データの変更と共に、その音声も変わっていたのだ。

 装依に必要なパーツをすべて投入したスターターを自身の腰へと当てる。スターターからベルトパーツが射出され、スターターの反対側と合体して腰に巻き付く。スターター名が鳴り、元はその手をジャンヌに向ける。

 

「…………よろしいでしょうか、お嬢様?」

 

 元はジャンヌの準備を確かめる。了承してもらえたとはいえ、元としては今一度彼女の覚悟を確かめたかった。もしここで嫌だ、怖いというのならそれに従おうと考えていたのだ。

 だが、今の彼女に後退の2文字はなかった。彼女は元に挑発的な態度で返答する。

 

「冗談でしょう?レイアさんが未だに捕まっているのに、ここで行かないわけがないじゃない!……いつでも行けるわ」

 

 差し出された手をしっかりと掴むジャンヌ。表情も怒りこそあれど、覚悟のあるものだった。それに答えないわけにいかない。元はその手を握ったまま、前を向く。空いた右手を拳にして、スターターの装依ボタンを叩いた。

 

『Standby OK?』

 

 スターターから装依準備が整ったかを聞く音声が発せられる。その時元の脳裏にとある記憶が呼び起こされる。それは昔憧れたヒーローの出る特撮作品のシーンだった。その特撮作品のシリーズの1つでは変身に使用するベルトが作中の時々で使用者の覚悟を問うような意味合いに取られていた。

 柚羽が死んでから、封印し続けていた特撮作品。そのシリーズで必ず言われ続けた「言葉」。覚悟に対する返答を、今元も借りることにした。ジャンヌを護りぬくために、自身の力になってくれることを信じて。願掛けを願って、ヒーロー達の微力を借りるように右手を顔の横で開くような仕草を行い、宣言する。

 

「あぁ……今、やっとな。…………変身!」

 

 その掛け声と共に手の構えを横に振るう。アクセスゲートが2人を横から挟み込む。2人分の身体をデータ化したアクセスゲートは2人の体を1機のMSへと変貌させる。漆黒のガンダムは一度敗れて地に落ちた。だがその機体は、新たな翼と共に再び空へと舞い戻る。かつてのシュバルトゼロガンダムType0に似たウイングに、両肩の大型シールド2枚を備えたガンダム。その名は……

 

『ガンダム ザ ネクストジェネレーション!シュバルトゼロガンダム[Repair-ⅡFafnir]!』

 

 シュバルトゼロガンダム[リペアツヴァイ ファーフニル]、それが元とジャンヌ、2人のガンダムの新たな姿であった。緑色のツインアイとプロジェクションクリスタルが、蒼へと変化していく。2人の変化が反映されていくように。

 

 

NEXT EPISODE

 




今回もお読みいただきありがとうございます。……え、変身はガンダムUCでも言ってますよ?(´・ω・`)商標はありますが、別作品で使っても……

ネイ「作者さん予防線張り過ぎです」

グリーフィア「けど、これ元君言っているの「仮面○イダービ○ド」よね?」

はいそうです。というか今更黒の館の設定の抜け落ちに気づいたのですが、元君昔は特撮ファンだったんですよ。元君の世界では「マスクライダー」という名前になっていますが、私達の世界でいう所の仮面○イダーです。ちなみに元君の世界ではガンダムの代わりにバーチャ○ンみたいなロボットがアニメ化されてシリーズ化しているという設定です。今更の説明に鳴りますが(´・ω・`)

グリーフィア「ピー音君が仕事サボっているわねぇ」

ネイ「それで、なんでこの場面で変身と……」

それは彼がヒーローとなったからですよ……まぁそんなわけでは当然なく、もっと現実的なこと言うと、力を手に入れた時のハイテンションが今、出て来たって感じです。
そもそもガンダムはヒーローものではないので、はい。この演出も彼がまだ成長途中というのを表していたりします。憧れ、ではありますがね。

グリーフィア「でも英雄(ヒーロー)、ではあるんじゃない?」

なんであなたそこで私の隠したいこと言ってくるんですかねぇ……(´・ω・`)

ネイ「なんか、イタイです」

( ;∀;)ストレートな感想どうもありがとうございます。だけど、本編でも言ってる通り、空想でも物語の主人公として戦った者達の力を借りたいという、元君の願掛けとしてなので、今後は一切使わないつもりですね。それを言い続けたらガンダムという作品の趣旨から外れるので。戦争はヒーローごっこではなく、またガンダムは兵器だ(´Д`)使い手の心も現れることもあるけどね

グリーフィア「え、何だって、ライ……システムは兵器じゃ……何だったかしらぁ?」

だからそれはあっちの話だから(;・∀・)

ネイ「はいはい、その辺にして……今回はここまでですか?」

そうですね。次回は2話分の投稿になります。

ネイ「次回もよろしくお願いします」
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