機動戦士ガンダムDN   作:藤和木 士

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どうも、皆様。前話から引き続きの方は改めまして。作者の藤和木 士です。

ジャンヌ「アシスタントのジャンヌです」

レイ「アシスタントのレイだよ。……レイアちゃんが次元空間に飛ばされたの何で!?」

ジャンヌ「そうですどういうことです作者?」(白い眼)

(´・ω・`)いや、だからね。これは色々とありまして……

レイ「じゃあちゃんとレイアちゃん救われるわけだ、期待だね~」

ん?(;´・ω・)

ジャンヌ「これは大作確定ですね」

待って、そこまで大きく出なくていいですから!?( ;∀;)

レイ「じゃあそろそろ本編紹介しよ?」

(;´・ω・)えぇ……。じゃあ、EPISODE52、ガンダムの対決終了後から始まります。どうぞ


EPISODE52 覚醒する機竜、戦いの果てに……3

 

 

 戦闘終了となり、校舎に張られていたDNウォール発生器が機能を停止する。扉の鍵も開錠され、生徒達が教師達の指示に従い、外に出る。一目散に元達の下に来たのは、元とジャンヌ、それぞれの友人であるレヴとリッド、それにネアとグリューネ達だ。

 勝利した元にレヴが歓喜する。

 

「やったな、ハジメ!」

 

「初めて見た……ガンダムの……それだけじゃない。MS同士の戦闘も……でも、これで終わったのよね」

 

 リッドも口数が少ないながらもガンダムの戦闘にため息を吐く。ホッと胸を撫で下ろす。おそらく校舎にいた多くの生徒・教師たちは、戦闘の終了に安堵しているだろう。

 だがネアとグリューネの顔は浮かない。加えてレヴとリッドも近づくにつれて表情を硬くする。それは無論、先程元が思っていたことについてだった。ジャンヌの涙声は未だに周囲に垂れ流されたままだ。ネアは泣き続ける主に言葉を掛ける。

 

「お嬢様……」

 

『っく……ひぐっ……レイアさん……レイアさぁん……!』

 

「…………ジャンヌ」

 

 2人は元のガンダムから響くジャンヌの声に同情する。この状態だと誤解が生まれそうなので、装依を解除する。解除直前にGワイバーンが分離し、元のドラゴン型に変形し直す。元の前に出たジャンヌの体が力なく前に倒れかけるのを後ろから支える。だが、そのままゆっくりと泣き崩れていく。

 この現状にレヴとリッドは互いに顔を見る。それどころか校舎から出てきた生徒達も、ジャンヌの状況にひそひそとあることないことを噂していく。何事かとレヴが訊く。

 

「な、なぁ……レイアって言ってるけど……レイアさんはどうしたんだ?ハジメ」

 

「それは……」

 

 元は言い渋る。しかし言わなければならないことだ。ジャンヌの方をネアに任せて離そうとするが、その役目を装依解除したローレインが掻っ攫う。

 

「残念だが、レイア・スターライトはあのガンダムに捕まったまま……」

 

「ローレイン……」

 

「え……?」

 

「嘘だろ……元!本当なのかよ!?」

 

 ローレインからの話を聞き、レヴは元の肩をゆする。認めたくはなかった。しかしそれが事実だ。元は重く圧し掛かる後悔の念と共に2人に真実を伝える。

 

「……あぁ、そうだ」

 

「あぁそうだって……なんでだよ!ガンダムの力じゃ、あそこから救い出すことは出来なかったのかよ!!」

 

 怒りをぶつけるレヴ。なぜ救えなかったのか。救世主と称されるほどのガンダムの性能なら、救えたのではという質問。無論元はその選択を取りたかった。だが出来なかった。その方法を取るわけにはいかなかった。ジャンヌに危機を及ぼすわけにはいかない。ジャンヌ自身とファーフニル家の者達、それにフリード家の者達が作り上げたここまでの道を崩すわけにはいかなかった。

 しかしそれを言うべきか迷う。まだ作戦は始まっていない。ここで下手に口外して、どこから情報がバレるかどうかも分からない。バレてジャンヌを呪いで殺されたら終わりだ。元はレヴの問い詰めに口を閉ざす。それに対しレヴは怒りを露わにする。

 

「何とか言えよ!ジャンヌだって泣いてんのに……お前はまた!」

 

 レヴの怒声に、周囲の生徒達もそのひそひそ声を大きくしている。不信感が募る中、1人の声が黙らせた。

 

「―――――そこまでよ。レヴ君」

 

 レヴの言葉と生徒達の声を遮った声の主は、高等部生徒会長で、「作戦」の内容を知るグリューネだった。その一声で周囲の人々の声がぴたりと止む。ジャンヌも注視する中、グリューネは作戦の内容をぼかして語る。

 

「ハジメ君はね、今回の戦いで重要な任務を受けていたのよ。ジャンヌと共に生還するっていう、大事な任務がね」

 

「それはそうだろ!2人が死んだら、意味がないじゃないか!けどレイアさんも助けなかったら……」

 

「……2人の戦いは、まだこれで終わりじゃないのよ」

 

「え……」

 

 2人の安否が大事なのは当たり前だと逆に言い返そうとしたレヴを、その一言で言葉に詰まらせる。限られた者にしか明かされていない、元達の最後の仕事が残っている。このような終わりとはいえ、それをこなす必要が当然あった。

 とはいえ、それは本来なら元達が言うべきことだ。否、本来なら何も言わずにレイアを救出してなんの悔いもなく向かうべき場面なのだ。しかしそれが出来なかった。未だ立ち直れていないジャンヌとどうすべきか迷う元に代わり、グリューネが続けて言う。

 

「2人にはまだ戦うべき相手がいるわ。それには2人が揃っていなきゃ意味がない。だから……」

 

「だからレイアさんを……レイア・スターライトをあの白いガンダムにみすみす連れ去られたっていうのかよ!無理でも手を伸ばさなきゃ……」

 

「兄ぃ、もうその辺に……」

 

 リッドの制止も聞かずレヴから飛んでくる必死の訴え。だがグリューネは息を吸ってから、その声を張り上げて黙らせる。

 

「じゃあ、どうやってあの状態で助けに行くのよ!?ガンダムのどんな能力なら、どうやって助けに行くことが出来たって?ガンダムのどういう能力があるって分かるの!?ガンダムの装依者であるハジメ君が、それらを全力で考えなかったって貴方は言える!?」

 

「っっ!?それは……」

 

「………………」

 

 グリューネの言う通り、元もあの時必死にどうにかならないか考えていた。エラクスが使えるのならその出力でどうにかなるかもしれない、攻撃でヴァイスインフィニットをホールの吸引力から引き離すという方法、そして一か八か突っ込むことも、持てるすべての能力を合算し、スタートに提案しようとしていた。だが、それらの考えで実行できるものはなかった。エラクスの使用可能時間には達しなかったし、それに不安定な出力の状態で、動くことすらも困難な状況下で攻撃も高出力化させるのも危険すぎた。だからこそ、元はジャンヌの身の安全を優先するしかなかったのだ。

 その選択がどれほど重い物だったかを、グリューネも理解していた。だからこそ作戦を知る彼女は敢えてその選択の正しさを、泥をかぶる覚悟で語ったのだ。元の呼び方が普段と違ってしまうほどに彼女も悔しさを感じていた。グリューネの言葉を受けて気まずくなりながら元に顔を向けるレヴ。元も申し訳なく思いながらその顔に目線を合わせる。

 

「そう…………なのか?」

 

「…………あぁ。俺たち2人はまだやらなくちゃいけないことがある。ジャンヌを殺させるわけにはいかないから」

 

 元もそのように語る。他の生徒にはどういうことか分からないそれも、あの日元と病院で言葉を交わしたレヴとリッドにはその意味が分かる。詩竜の刻印をどうにかするために、いかなければならない。

 レヴとリッドは何も言わず、だが頷いて状況を理解してくれる。ところがそこでジャンヌを慰めていたネアが疑問を露わにして元達を呼ぶ。

 

「……?あれ……は、元さん、姉さん!ちょっとこれ!」

 

「ネアさん?」

 

「どうしたの、ネア?」

 

 その声に従い元とグリューネはジャンヌとネアの傍に座り込む。レヴとリッドもその後ろから何事かと覗き込む。

 2人が来たのを確認して、ネアはジャンヌにとある確認を取った。

 

「お嬢様、少しだけ制服のリボンを緩めてもよろしいですか?」

 

「ひぐっ……なんで?」

 

 ネアにそう聞かれ、ジャンヌは溢れる涙を堪えて聞き返す。リボンとは制服の襟を閉めるスクールリボンの事。外すという発言に元は肌の露出と言う観点から若干警戒してしまう。

 

「リボン緩めるって……これ俺見ない方が良いんじゃ」

 

「それは少し思ったけど、確認してもいい範囲なんでしょ?ネア」

 

「うん。というより、ローレインさんにも確認してもらった方がいい案件かもしれません。これは」

 

「俺が?」

 

 ローレインも巻き込むほどの事態に、何かただ事ではないことを察する一同。再び周囲のギャラリーの声も大きくなってきたので手短に済ませるように、ネアはジャンヌの首元を締めるスクールリボンの帯を緩める。そしてジャンヌの背中を見せるようにして、制服の背の上部分を少しだけめくって、見せた。

 女性の首元から背中を覗くという光景に、羞恥を覚えて顔を背けそうになる元。しかし見て欲しいということであれば仕方ないと、元は余計なものを見てしまう前にササッと目を向けた。が、その視線は釘づけとなる。見惚れてしまったというわけではない。その凝視は困惑と衝撃によるものだった。

 

「……どういう、ことです?」

 

「え…………えぇ!?」

 

「……これは……まさか!?」

 

 各々に反応する元達。どうしてこうなっているのか、理由が誰にも分からなかった。ただ一つ言えるのは、()()()()()()()()()()()()()()()ということだ。その事実は特に元達にとって衝撃が大きかった。

 ネアの腕の中で泣き崩れていたジャンヌも、流石に反応と首元から背中に掛けて覗き込まれているのに羞恥を覚え始め、もういいかと訴える。

 

「ねぇ……もういい?」

 

「え、あ……いいですけどお嬢様、もう何ともないのですか?」

 

 口調を元に戻し、ジャンヌに確認を行う。刻印が消えているのなら痛みも消えているかもしれない。そしてジャンヌも違和感に気づいた。

 

「へ……あ、痛く、ない。というか途中首元から何かが出ていくように感じたけれど……どうしたの、みんな」

 

 ジャンヌはその時の事を話す。首元から抜けていくという表現を受けて、元達の中で1つの結論が生まれた。それはもちろん、呪いの排除というものだった。

 

「やっぱりこれって……」

 

「あぁ。解呪法とかまったく分からないが……多分呪いが解けた、あるいは別の誰かに移ったってことだろう」

 

「でも、一体どうやって?何がトリガーとなって、そんなことが起こったのよ」

 

 呪いの解除は想定外だった。むしろ元達の隠していた「作戦」の1つの目的はジャンヌの呪いの完全な解呪法を探ることもあったのだ。目的達成とはいえ、いかんせん何が引き金になったのか予想がつかない。

 そこでネアがジャンヌにどういった時に呪いが離れるのを感じたのかを尋ねる。そこでようやくその理由の一端にたどり着いた。

 

「お嬢様、それはいつ感じられたんですか?」

 

「…………確か、ガンダムがピンチになって…………その、色々考えていたら、光と一緒にGワイバーンが出現した、その時に」

 

 Gワイバーンの出現時、周囲に光が溢れ出ていた。当然シュバルトゼロはその光を多量に受けていた。もしあの光が呪いの解呪法、あるいは呪いを打ち消す力を持っていたのだとすれば、話は通るだろう。ローレイン達の間でもそれに言及する。

 

「じゃあ、Gワイバーンの出現時のあの光……」

 

「あれが詩竜の刻印の解呪条件になったのは、間違いないわね」

 

「え、てことはジャンヌさんは……」

 

「あぁ。ジャンヌはもう呪いに苦しまなくて済む……」

 

「やったじゃんか!これでもう痛みに苦しまなくて済むわけだ」

 

 レヴとリッドの二人が手放しで喜ぶ。ローレインとグリューネも想定外のこととはいえ安堵した様子を見せた。これで1つ目の上のたんこぶが取れたわけである。

 しかし、まだ終わったわけではない。危機が去っても、やらなくてはいけないことを成すために、最後の仕上げの場所へと向かわなければならない。終わっていないことを口にしながら元はネアに泣きつくジャンヌに手を伸ばす。

 

「だけど、まだ終わりじゃない。まだ俺達には行かなきゃいけないところがある。……でも、もし無理だったら、そう言ってくれ。俺が1人で……作戦を締めるから」

 

「は、ハジメ、それは……うーん」

 

 今のジャンヌには荷が重すぎるとそのように提案する元。ローレインも止めるが、同時にその判断もある意味必要性があるのではと考え込む。ジャンヌがいなければ意味がないが、それでもジャンヌに無理をさせたくはない。答えをゆだねられたジャンヌはその手に触れ、弾いた。

 

「……ジャンヌ……」

 

「1人で……?また私を置いていく気なの?ふざけないで。貴方はもう離さないと言ったんじゃないの!?」

 

 涙を拭い見せたのは怒りの表情。ジャンヌの言う通り、元はもう二度と離さないと誓っていた。ジャンヌの前で改めてその宣言はしており、周知の事であった。その宣言を引き合いに出したジャンヌは元へ自身の気持ちをぶつけた。

 

「確かにレイアさんは消えてしまった……私だってまだ信じられてない。でも!だからって作戦に参加しないわけない!お父さんやお母さんが、ここまで繋いできたすべての人達が繋いできたバトンをこぼしなんかしない。お父さんが最後に託してくれたものだから……だから絶対に、何があっても投げ出す気なんてない!」

 

涙交じりに叫んだ決意。これほどまでに両親の事を誇りに思っているジャンヌを、元は見たことがない。しかしその決意は立派であり、また当然と言うべきものだった。

 少しばかりジャンヌの事を馬鹿にしていたのかもしれない。心の隅でそう反省の気持ちを浮かべた元は、ジャンヌへと歩み寄りその体を抱き寄せて謝罪する。

 

「……申し訳ありませんでした、お嬢様。どうやら自分は少し過保護になっていたようです……軽率な判断をお許しください」

 

「は、ハジメっ!?……その……いい、ですよ?貴方もわたくしのことを考えての事だと思うから……」

 

 元の謝罪にジャンヌは顔を赤くする。今のジャンヌはああ言ったとはいえ傷心状態。傷を癒させるためと、誠意を込めるのならこれくらいは必要だと思ったため、その体を抱き寄せたのであった。

 ただそれが主従を超えた行為であることは事実であり、ネアとグリューネ、そして周囲からの声で聞こえてくる。

 

「……ハジメさん?あんまり目立つことはやめましょうね?」

 

「んー、真面目さはウリだけどたまに暴走するわよねハジメ君。悪い意味で」

 

「……え、2人そんな関係!?」

 

「グリューネさん姉妹がそう言ってるから、確定っぽい?」

 

「くっそぉ……見せつけやがって……使用人だからって生意気だぞ……!」

 

「今まで澄ましたような顔くらいしか男に見せてなかったジャンヌさんが……これもガンダムの力なのか……どうして神は平等じゃないんだ!」

 

 最後の方に哀れみを感じる。そしてきっかけとも言えるレヴとリッド、特にレヴは自身のミスを必要以上に感じていた。

 

「あわわ……やっぱみんな驚くよね……」

 

「ここで俺がその発端って言ったら……やばい寒気がしてきた」

 

「まぁ、レヴのおかげで留まれたから俺からは礼しかないけどな。……お嬢様。それではもう一度お願いできますか?」

 

「もちろん」

 

 レヴに元なりのフォローを入れてから、再度ジャンヌと装依の準備に入る。だがそこで群衆の中から「彼女達」が行ってしまう2人に対し声を挙げた。

 

「ハジメさん……」

 

「ノーヴェさん。……それに」

 

「っ!…………」

 

「貴女は……!」

 

 ノーヴェ・リントヴルン、それに今回の事件の発端とも呼べる「元」ヴァイスインフィニット装依者、ディーナ・リントヴルンの2人だ。元の声が自然と敵意のあるものへと変わる。ディーナの姿を確認したジャンヌは今に駆けだしそうになったが、元自身の腕でそれを抑える。

 なぜ今のタイミングで、と思うがノーヴェから話しかけようとしたことからその理由は容易く予想出来る。無論それはしてもらわなければならない立場だろう。だがそれは今ではないと判断する。元はジャンヌの体を回れ右させてノーヴェに対し何も言わずに作業に戻ろうとする。しかしノーヴェの声が響く。

 

「待って!……ディーナのしたことは許されないことよ。でもこの子も悪いことだって反省してる。ガンドさんまで殺して、怖くなったけど、もうエンドを止められなくなったって……。もう戻すことなんてできない……だけど!」

 

「……だけど?戻らないからこそ、簡単に済ませたらいけないんじゃないか?」

 

 ノーヴェの謝罪の申し入れを、元は本来の口調で返した。今までノーヴェに対しては使っていなかった言葉遣いはノーヴェを威圧する。だが元は今の忙しい中で流れのまま謝ってもらってもジャンヌが受け止めきれないことと、それだけで済む問題ではないことからもっとちゃんとした場所で謝る必要があると考えた。だからこそ場所を改めて謝罪することを遠回しに言ったのである。

 続けてノーヴェに告げる。

 

「俺だって言いたいことがある。言ってもらいたいことも。だけど、それは今じゃない。また改めて、互いに言おう」

 

「…………分かった。ごめんなさい」

 

 発言を飲み、引き下がるノーヴェ達。そのままジャンヌを横に立たせてから再び装依を行う。

 

「……装依」

 

 一瞬ジャンヌが身構えたが、流石にいつも毎回変身とは言えない。改めてあれがフィクション、作品の世界だからこそ言えるものなのだろうと納得する。それに本当の戦いに、そんなものは持ち込めない。あれは作品の中でこその言葉だ。現実に持ち出していい言葉じゃない。再び横から2人の体を挟み込んで認証が行われる。2人の体が今一度1機のMS、中破状態のシュバルトゼロガンダム[リペアⅡ ファーフニル]へと変換された。

 ガンダムへの装依が行われると同時にGワイバーンが吠える。咆哮と共に機体がイグナイトモードへと自動移行する。拡張された機体各部に分離したGワイバーンがドッキング、大柄な竜騎士シュバルトゼロガンダム・イグナイトへと変形が完了した。

 ウイング部を開き、飛行体勢を取る。飛び立つ前にローレインに後の事を頼む。

 

「じゃあ、後は頼む」

 

「任せろって。先生たちと一緒に生徒はちゃんと帰す。そっちもしくじんなよ?」

 

「分かってる。……レヴ達も離れて」

 

 元の声に慌てて距離を取るレヴ達。ローレインも十分な距離を取ったところで、元は宣言する。

 

「行くッ!」

 

 飛翔したガンダムは上空へと移動すると、一直線に空を飛翔する。目的地はただ1つ。呪いの元凶のいる場所だ。すべての決着を、そこで付ける。目的地はドラグディア政府のある議事堂、「龍の籠」。

 空を翔ける中、元は思い出す。今日の訓練終了後の休憩時間、ジャンヌに言おうとしていたことを。もしも、レイアを救出できなかったら、どうするのか。奇しくもその未来を辿ってしまった今回の激突。しかしジャンヌは心に深い傷を負いながらも共に行くことを選んでくれた。だからこそ元は強く願った。彼女のこれからに幸ある様に、その結末を見届けたいと。その決意に呼応するように、ガンダムの蒼く光るフレーム、ユグドラシルフレームが瞬いた。

 

 

 

 

 ガンダム同士の戦闘終結から30分。ドラグディア政府の官僚が集まる議事堂では議論が白熱していた。国の建国記念日であるこの日にドラグディア軍が政府にも知らせない作戦を展開している件、それに伴う聖トゥインクル学園の封鎖、テレビ中継によるガンダムの激突など……逐一入る情報で議会の場は大いに混乱を招いていた。

 国の一大イベントの中でなぜそんなことが起こっているのか、ドラグディア軍を動かしているのは誰だ、2機のガンダムがなぜ戦っているのか……情報量が多すぎて既に終結した議題であるガンダムのパイロットの問題までも湧き上がり、混沌を極めていた。

 騒ぎの収まらない議場。議長を務めるバロム・バハウ大統領も次々舞い込んでくる情報に頭を抱える。まさかドラグディア軍が勝手な行動をするとは思ってもいなかった。ガンダムの情報は聞いていたが、それがなぜ今日、しかもドラグディア建国の地である聖トゥインクル学園で激突したのか。未確認情報ではファーフニル家の現呪殺刻印の持ち主である次女がガンダムと合体したという話もある。にわかに信じがたい情報。同時に不安が心を支配する。

 

(さっき入った情報ではガンダムはこちらに向かって飛行していたという。……まさかここに?何の為に?……もしや、呪殺刻印を解けと言ってくるのか?しかし私は解き方など知らぬ。それに……もし「事実」を公表しようものなら、歴代大統領に伝わる呪殺刻印の起動でたちまちジャンヌ・ファーフニルは死ぬ。簡単に国家を転覆などさせぬわ)

 

 襲撃されても切り札がある。呪殺刻印を解けるのは最初に掛けた最初の大統領のみ。今となっては解けるものなどいない。それだけ国最大の失態を国民に伝えたくない歴代の大統領の意地があった。もっとも彼自身のそれは、地位に固執したものであったが。

 またそれだけではなく、大統領には伏兵がいた。護衛隊とは別に、ファーフニル、そしてフリードの家が反旗を翻した時の為の大統領お抱えの暗殺特化部隊がいるのだ。もしここにやってきても隙を突くことなど容易だ。

 だが騒々しい議場の扉が勢いよく開かれる。喧騒の起こっていた議場は静まり返る。彼らの視線の先に見えたのは、ドラグディア軍の制服を纏った老人と同じく制服に身を包む兵士達、そして老人の横を固めるのは報告に上がっていた、漆黒のガンダムであった。突然のMS襲来にパニックに陥る議場。だがそれを制する形で老人が声を挙げた。

 

 

 

 

「さて、舞台の幕引き、と行こうじゃないか。なぁ、ドラグディア大統領?」

 

 

 

 

 グランツの声が議場を震わせる。その血に宿ったジード・フリードの怒りが開放される時であった。

 

 

NEXT EPISODE

 




今回もお読みいただきありがとうございます。さぁいよいよもう1つの作戦開始です。革命が始まる!(´-ω-`)(予告)

レイ「詩竜の刻印消えたとはいえ、それを許したままってわけにはいかないもんねー」

ジャンヌ「とはいえそれを刻印した張本人ではないんですがね……相手は」

それでも今回の場合、それを「続けている政府」に対する革命ですからね。軍事クーデターになってるけども。でもここら辺完成度低いと思うんですよね( ;∀;)

レイ「いつの間にやらストックも作れてるっていうね」

ジャンヌ「なんか作っている時「クワトロ大佐の演説には届かないなぁ(;´・ω・)」というのを聞いた覚えが」

ネタバレ止めよう?( ;∀;)悲しくなる。では今回はここまで。

ジャンヌ「次回はドラグディア政府とガンダムが正面衝突するみたいですっ、お楽しみに」

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