ネイ「アシスタントのネイです。初戦から手札事故と判断ミスで負けていましたね」
グリーフィア「アシスタントのグリーフィアよ。初っ端からバースト伏せていないのに突撃とかお花でも咲いていたんじゃないの?」
(´・ω・`)言うな、手札が酷すぎて正常な判断が出来なかったんじゃ……。さて、今回はEPISODE63と64の公開です。
グリーフィア「あら、久しぶりに2話連続投稿なのね」
ネイ「それくらいストックが回復したってことだね」
メタいこと言うとそうですね。さて、それでは本編へ参りましょう。まずはEPISODE63からどうぞ。
戦闘が終わると、総合ブリーフィングルームは様々な声で沸き立っていた。2人の戦いに感動する者、ガンダムの戦いに驚きを表す者、予想と外れて落胆する者……そして、ガンダムの力に脅威を感じる者も当然いた。
ガンダムが自分達では到底及ばない性能を持っていることは、無論グランツは理解していた。新たに加わったガンダムの力であるGワイバーン、そしてハジメ軍曹自身の力……。そこにクリムゾン・ドラゴニアスまで加えれば、もう止める者はいないのではないかというのは当然だ。
それでもグランツは信じている。彼らはきっと正しい道を歩んでくれると。それを信じて、グランツは声の収まらないブリーフィングルームの者達を制する。
『静粛に。これで作戦の方針は決まった。ガンダム、および詩巫女が先陣を切ってマキナス軍に突入。その後マキナス皇帝ギルフォード・F・マキナリアスの身柄を制圧する作戦を採る』
「ま、待ってください!いくら勝ったとはいえ、あのような得体のしれない者に任せるというのですか!?」
決定に反対を唱える者達の声が、1人の発言から更に伝播していく。ところがそれを遮ったのは、ガンダムと縁深いアレクの言葉だった。
「それだったら、あんたらがやるかい?」
「なっ……アレク少佐、何を……」
アレクの言葉に物怖じを見せる各部隊の隊長達。真っ先に否定したにも関わらず、自分達がその役目を担うというのは考えていなかったようだ。その姿にため息を吐いて、アレクは失望の言葉と共に彼らへの信用を求めた。
「自分達の領域が侵されると思うと威勢よく喚いて、いざ自分達がやれと言われれば黙ってよ。何だよその身勝手な言い分は。自分はアイツらを見てきたが、ちゃんと自分達の意志に従って困難を乗り越えて来た。自分のプライドだけで行動していない。自分達で考えて、行動してる。そいつらの覚悟を、あんた達の身勝手なプライドで台無しにするんじゃない!控えめに言って、今のあんたらのそれは、俺の元上司と同じだぜ?」
「ぐっ……ぬぅぅぅ……」
自身の過去を皮肉としたアレクの発言に、反対を示した隊長クラスの者達は口を噤む。レドリックの犯した罪は軍内部でも話題となっていた。自分達の行動がそれと同じと言われてしまえば、反論したくても余計に墓穴を掘ることになりかねない。しかもそれをレドリックの隊の部下であったアレクに言われている。それが余計に彼らの反論を塞いでいた。
そんな彼の言葉に、ハジメ軍曹を良く知る人物達は頷く。それは彼らと違う、ハジメの戦果を正当に評価する者達の共感も得ていた。
「確かに。彼は一度、しくじりはしたが二度目の作戦は完璧にこなしてくれた。向上心が認められる」
「その資料については私も確認しているよ、バイル中佐。それに私の兄妹の中で一番出来るフォーンが本気を出して敗れたんだ。認めないわけがない」
「し、シン・フリード中将まで……!」
メレト遺跡奪還作戦の指揮官、更にグランツの子どもの中で一番上の兄も認めている。この状況に、誰も反論は出なかった。それを確認して自身、並びに参謀を務める三男の言葉で作戦概要説明を終わらせる。
『反論がないのであれば、これにて作戦概要の説明を終了する。時間がないので諸君らには迅速なる作戦通達、配置をお願いしたい。』
『それから部隊に帰還後、各部隊に作戦資料を別途お渡しします。ここで申し上げていない、作戦で重要な説明があるので、確認を怠らないよう。それでは解散!』
解散の号令で、次々と部屋を出ていく各部隊の隊長達。その中にいたアレクを呼び止める。
「アレク少佐、すまないね色々と言わせてしまって」
「構いませんよ。自分の部隊の隊員が好き勝手に言われているんです。隊長の自分がそれを掃わないと」
「本当に、いい隊長になった。アレク少佐」
アレクの言葉に自然とそう言葉が出る。ガンダムの手綱を握るのが彼で本当に良かったと思う。グランツも安堵しつつ彼にこの後の事について話す。
「それで、この後だが……アレク君、君も来るんだったね」
来る、というのはジャンヌがこの後行うこと、象徴との契約の儀に対しての参加についてだ。アレクは縦に頷く。
「無論です。あの2人の隊長ですから、象徴の事はしっかりと見ておかないと。……まぁ、今はグリューネの事も気になるので、それもありますが」
「ははっ、しっかりとこの目で無事を確かめなければな。では行こう、アレク少佐、リリー准将。バァン少将とゼント大佐はそれぞれの持ち場への速やかな移動を」
『了解』
バァンとゼントは答えると部屋を足早に去っていく。彼らの戦地はそれぞれ北と南。それに協力してくれる隣国セントリルとギルンの部隊への挨拶もある。早く行ってもらって作戦内容を共有しておく必要がある。もっとも南の最終的な指揮官はゼントではないのだが。
2人が持ち場へと向かったのを見て、続いてグランツは残っていたもう2人の者達にも声を掛ける。
「2人はどうするかね?」
声を掛けたのは、グランツの親族であった。参謀で三男のハッター、そしてフォーンとガンドが青年時代にとても世話になった自身の息子たちの頭であるシン・フリードだ。
弟であるハッターと共に軽く敬礼を行うとシンは父親の質問に答える。
「そうですね、私達は負けた側のフォローに回りますかな。久々にこの立場で話してみたいものですし……」
シンは制服に施されたエンブレムを示す。フォーンの話も聞こえていたからこそ、そうしたいのだろうとすぐに分かった。ハッターも頷いて後頭部を掻く仕草を見せる。グランツはその発言に笑って返すと、2人の申し出を了承する。
「分かった。フォーンを元気づけてやってくれ、2人とも」
「そうだね、兄さんが負けるとは思わなかったからね」
「本当にそうだと思うか?ハッター。私はハジメ軍曹の素質は高いと思ったよ。本気の彼、いや、彼等なら、フォーンはどれだけ持っただろうか」
2人の話はとても興味を感じさせられるものだ。しかしこちらもハジメ軍曹達を迎えて、「あの場所」へと向かわねばならない。名残惜しさはあったが、それは夜に聞くことにしてグランツも部屋を出て、彼らの待つシミュレータールームへと向かう。
「ははっ、その話はあとで訊かせてもらうよ」
「えぇ、後でじっくりと。アレク少佐、ガンダムのパイロット達をしっかりと守ってやるんだぞ?」
「ハッ!」
向かう途中で、それぞれの話の花が咲いていく。しかしまだ本番はこれからだ。
◆
シミュレーションポッドでの戦闘から30分ほど経った後、フォーンは基地の屋上に来ていた。手すりに体をもたれさせて、空を見ている。
本当に強くなった。あの戦闘を見て、そう思う。最初の頃は戦闘の型などなっていない、一歩間違えば危機を招いていたかもしれなかった男が、本気を出した自分にこうまで喰らい付いて来て、その上を行った。
途中の戦闘では、まだ自身が押し込んでいる感覚があった。大勢の流れが決したというべき展開だったとあの時なら自負できる。だが、それもハジメが迷っていた、いや、あの差は手を抜いていたというべきだろう。それほどの隠していた実力を解放してからは違った。こちらの通常攻撃は一切当たっていなかった。偶然当たったDNFも、避けようと思えば避けられるものではなかったのかと、思っていた。
だがいずれにせよ、その本気を受けてフォーンは負けた。かつてのように決闘に負けたことに、フォーンの中で昔の事が思い起こされる。ところがその途中で響いた声に意識が向けられる。
「フォーン!」
「…………兄さん。それにハッターも」
その視線の先にいたのは、弟のハッター。それに自分がかつてとてもお世話になった長兄のシンであった。2人はフォーンを挟むように同じく手すりにもたれると、先程の勝負について話し出す。
「負けちゃったね、兄さん」
「そうだな。フリード家の名前に、また泥を付けた。やっぱり俺はフリード家の人間に相応しくはない」
負けたことに声の調子が落ちる。かつてはフリード家の誇りを一番に持ってクリエと結ばれようとしていたフォーンも、あれ以来フリード家の誇りを背負うのにふさわしくないと、候補から外されていなくとも諦めていた。あの程度の事で揺れ動き、自滅した自分では家は継げないと自覚した。
気の沈むフォーンに、ハッターが、そしてシンが励ましを送る。
「そんなことないよ。兄さんはいつだって僕の憧れさ」
「そうだ。俺がどれだけ若い頃手塩にかけて、合間の時間にお前を育てたと思っている?その成果を十分お前は引き出した。その度合いを比べる相手が一枚上手だったのさ」
「ハッター……シン兄さん……」
2人の励ましを、フォーンは申し訳ない気持ちで受け止める。2度も決闘で負けたにも関わらず、変わらず接してくれる2人に。2人だけではない。家族の皆が、決闘に負けた自分を認めてくれた。
シンが口を開く。
「それに、昔負けた時よりも冷静だ。昔のお前はガンドに負けてからアイツの執事になるまでの間、相当落ち込んでいたからな」
「そうだね。結局軍を辞めちゃったけど、最初は軍の活躍を抹消するって呟いてたくらいだし!」
「そんなこともあったな……あの時は落ち込み過ぎていたって思う。けど、今は不思議と軽い気持ちだ」
フォーンは顔を上げる。その顔には自然と笑いがこみ上げる。フォーンの横顔にシンが静かに笑うと、顎に手を当てて言った。
「それで、ガンドの約束は果たせたのか?負けたとはいえ、負けが認めるわけでもないだろう?」
シンの言葉はもっともだ。フォーンは決闘前にグランツに「負けたとしても相応しくなければ認めない」と言ってはいた。無論そうなった場合に批判は少なからずあっただろうが、これもジャンヌというファーフニル家の希望を護るためでもあった。力を使うことに迷っていたことに対しては、マイナスを付けたかった。だが、そうは出来なかった。
「……そう。俺も認めなかっただろうな。でも、シミュレーターポッドから出た後のアイツの姿を見て、言えるわけがないだろう?」
自嘲気味に話すフォーン。彼が見たのは、ポッドから出たハジメにジャンヌが駆け寄る姿だった。むせび泣きながらも勝利を喜ぶ姿、彼が執事を務めてから最近まで見ることのなかったものだ。子の親となった自分ならまだ考えたかもしれないが、それを今の止めるのは無粋だった。それにガンドはフォーン自身の目で確かめて欲しいと言っていた。ならばこれで良かったのだろう。
フォーンがため息交じりに呟いたそれを、弟を見守るような笑みでシンは理解する。
「ふっ……変わったな、お前も。ガンドが亡くなってしまったのは俺もとても残念だ。だが、ガンドは大きなものを遺していってくれた。ガンダムとそのパートナー、そしてフォーン……お前はもう立派な戦士だよ」
「戦士……か」
兵士ではなく、戦士と称した兄の言葉に頬が緩む。2人の会話を邪魔することなく聞いていたハッターも口から安堵を漏らす。
「よかったよかった、兄さんが元気出してくれて。そういえば、父さん達もそろそろ着くころかな?」
「そうだな。まだ準備だというのに、不安が募るよ」
ハッターの言葉を聞いて、フォーンは基地の北東を見る。その先にあるのは、ドラグディアの街。だがその一角に政府の重要施設がある。表向きは貴重竜種の保護施設とされるそれだが、その地下24階の大部屋。そこに彼らは向かったのだ。そこにいるのは、ファーフニル家、そしてフリード家が呪いに縛られる遠縁ともなった、かの竜。幽閉状態にあるその竜が今回の作戦を握る。
フォーンは心の中で静かに祈る。
(ハジメ、お嬢様を護れよ……)
それは抱きたくはない、象徴の恨みの矛先が向かないことを願う祈りだった。
◆
「せ、狭い……」
「まぁ、これだけの人数ですからね……アレク隊長はともかく、何でレヴ達も……」
ジャンヌとハジメは息苦しそうに呟く。2人がいるのはエレベーターの箱の中。その中にはグランツを中心に護衛の軍人4人とリリー、アレク、アレクの側にネアとグリューネの2人、そして反対のリリーの側にレヴとリッドがすし詰めのように入っていた。
2人のエレベーターの狭さを訴える声はグランツやレヴ達にも届く。
「ハジメ、邪魔って言いたいんだろうが……俺も来なくてよかったんじゃとは思ってるぜ……っ」
「すまないねぇ。なにぶん昔の作りのままで……地震などの災害対策で改装してはいるんだが、それでも300年くらい前の設計がベースだから……それにしても暑い」
グランツの発言通り、中は内装など比較的新しいが、造りは大分昔の物だとジャンヌでも推察できた。なぜ思い切って立て直しが出来ないのかと言えば、それは無論政府が象徴の事実を隠したかったからに他ならない。
出来ることならあまりこんなところに何度も来たくはない。それでも、今日は重要な1日となる日だ。我慢して到着を待つ。それぞれの体に押されて2分。エレベーターが止まり、ドアが開かれると、涼しい空気を求めて外へと出ていく。
「はぁ……暑かった……って寒ッ!?」
「……対照的に中は涼しいですね。夏とは思えないです」
目の前に広がる巨大な檻。周囲は非常灯の光くらいしかなく、薄暗い。しかしそれよりも部屋の寒さが彼らに襲い掛かった。先に外に出て真っ先に寒さを訴えるジャンヌ。遅れてネアや他の者達も到着した大部屋の気温の低さと視界の悪さに驚きの声を挙げる。
「避暑地に来たくらいの涼しさだよな……」
「兄ぃ私達避暑地なんて行ったことないでしょ。なんていうか、学園の見学で行った極凍部体験ルームより少し暖かいかなっていう寒さかなって思いますけど……」
「グリューネ、足元は平気かい?」
「大丈夫~、まだ非常灯のおかげで見える見える。ありがとアレ君♪」
各々寒さや暗さに多様な反応を見せる。が、それらを律するかのような爆音が、突如として響き渡ることとなる。
「―――――グシャァァァアアアアアァァァァァン!!!!」
「っ!!?」
「きゃあ!?な、何!?」
響く爆音にハジメが耳を抑えた。ジャンヌも予想だにしていない高音量のそれに、思わず声が高くなって何事かと聞いてしまう。アレクやグリューネ、ネア、それにリリーもその爆音に耳をやられたように表情を苦痛で歪ませていた。
しかし、その轟音の答えは1つしかなかった。元々彼らは「それ」を迎えに行くためにこの場所に来ていた。ならば、その轟音は必然と「そうなる」のである。爆音……否、咆哮の響いた方向を護衛に護られた状態のグランツが、耳から手を離して宙に語り掛けるように話す。
「……ふぅ、このような出迎えをされるとは……だが、出会ったことこそなくとも、この感じは……」
この場所にいるのは、自分達以外に除けばただ1匹しか存在しない。ハジメがジャンヌの後方で構える。
「お嬢様……」
「えぇ……」
ジャンヌも理解していた。それが、これから契約を結ぶ者の叫び声であったことを。薄暗い檻の奥をじっと見つめる。そこに彼の者の眼光が闇に浮かんで輝いていた。
NEXT EPISODE
EPISODE63はここまでとなります。
ネイ「いよいよ、ですね」
グリーフィア「象徴とのご対面~。相当怒ってるみたいだけど、元さん達どうするのかしらねぇ~」
それはまぁ、次の話で明らかになりますよ(´・ω・`)失敗か、成功か?
ネイ「それでは次のお話に続きます」