機動戦士ガンダムDN   作:藤和木 士

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どうも、皆様。引き続きご覧の方は改めまして、魔法科高校の劣等生の第2期発表に対して、第1期がもう4年前なのか(゚Д゚;)という感想を抱きました、作者の藤和木 士です。

レイ「アシスタントのレイだよー。4年前っていうと、私達が来る少し前かな?」

ジャンヌ「アシスタントのジャンヌです。確かにそうですね。わたくし達が2016年の戦乱魂歌で初登場ですので、その近くで藤和木が採用~と言ってましたので」

そこまでヒャッハーしてなかったと思うんだけど(´・ω・`)

レイ「嘘嘘、紹介の時に凄いヒャッハーしてたよ?何なら旧作の私達初登場の黒の館見直せば分かるよっ!」

あからさまな宣伝ですどうもありがとうございます(´・ω・`)さて引き続きEPISODE64の公開です。

ジャンヌ「象徴との絆、残っているといいんですが……」

レイ「いきなり吠えられていたのは聞かなかったことにしたいね……」

それでは本編をどうぞ。


EPISODE64 超克の儀2

 

「行きます。鍵の方をお願いできますか?」

 

「うむ。すぐに」

 

 ジャンヌの要請にすぐにグランツが護衛に付いていた男性に命じて、目の前に広がる檻への入り口を開くように指示する。男性はすぐさま鍵を取り出して2人を招く。元はジャンヌの後ろに付いて、その男性の後を追う。

 たどり着いた檻の入り口。その檻の周辺に目が行く。周囲の檻の棒にはいくつもの爪痕や歯型と思われる跡が散見出来た。猛獣が暴れたのだと理解できる光景に、これからこのような強大な存在とジャンヌが心を通わせるのだと思うと警戒が強くなる。ジャンヌを見ると爪痕を見てそれに視線が集中していた。

 

「お嬢様、大丈夫ですか?」

 

「…………う、うん、大丈夫……」

 

 こちらに視線を少し向けて、そう言い切った彼女だが少し表情が硬くなっているのが分かる。これまで短い間ながらも激戦を潜り抜けて来た自分が恐れを抱いているのだ。ジャンヌのような少女がそうでないはずがない。元は彼女の右手を握り、横に立つ。

 

「お嬢様、自分がいます。だから胸を張って」

 

「ハジメ……」

 

「開きます。お二方、ご武運を」

 

 鍵のロックを解除した男性の声を受けて、2人は件の咆哮の主が待つ檻の中へと入っていく。檻の中に入ると2人の体が震えた。檻の外よりも身の毛のよだつような寒さが伝わったのと、後方から響いた檻の閉まる音に驚いてしまったからだ。檻の音に驚きすぎてジャンヌは元の腕に抱き付いてしまう。

 この形は閉じ込められたというものだが、これには当然理由がある。過去に詩竜超克の儀を行った際、契約を行おうとした詩巫女の行いに怒り狂った象徴が襲い掛かったことがあったのだという。その詩巫女本人は無事だったものの檻の入り口をこじ開けられそうになり、以来対面する際には檻を完全に締め切って臨むのだという。外ですれば、とも考えたが、詩竜相克の儀を良く知る現政府の人間によれば、契約は対等でなければいけないことから代々生身で触れ合える距離でなければ結べないようになっているのだという。本来なら中でも詩巫女が不用意に怒らせないよう監督者も中に入るのだが、今回はガンダムを操る元が担当することとなった。グランツも、

 

『私のような老人が説明するよりも、事変を終わらせた2人だけで報告した方がいい』

 

とこれまでのドラグディア政府のやり方を壊すような意を込めて2人を送り出していた。

 確かに大人数で見かけない顔の者達ばかりが入っても、ただでさえ政府の者を遠ざけていた象徴に余計に不信感を煽らせるだけかもしれない。現に伝わってくるこの檻の中の空気は非常に冷たく、まるで全身を睨み付けられているかのような視線を感じていた。

 頼れるのは自分だけ。そう改めて自身の役目を認識するとジャンヌの手を握って、腕に抱き付いてきているジャンヌと共に象徴の目の前にあたる檻の手前まで狭い歩幅で向かう。

 グランツらからあらかじめ知らされていた通り、天井からのライトで一直線に照らされたバッテンの印が施された場所までたどり着く。すると、正面の暗闇からドラゴンの唸り声と共に何者かの声が頭の中に響いてくる。

 

『お前が、今年の超克をもくろむ者、か』

 

「っ!?」

 

「……テレパシー?」

 

 元は呟く。SF作品でしか知らない精神感応の類のそれは、確かに彼らに起こっている事だった。話の内容からして、それが象徴によるものだということを察する。なのだがドラゴンということで荒々しい乱暴者の声と予想していたが、その声は意外にも和らげな女性の声を彷彿させるもので少し驚く。

 だが黙っているわけにもいかず、元の腕から手を離したジャンヌは声を大にして暗闇に身を隠す象徴に語り掛ける。

 

「少し違いますっ。わたくしはジャンヌ・ファーフニル。ファーフニル家の末裔です。あなたを縛り続けてきたドラグディア政府はわたくしと、ここにいるクロワ・ハジメがフリード家の使命を帯びた人達とそれに協力してくれた人達によって打ち果たしました。今、またこの国に危機が迫っています……わたくしと、契約を!」

 

 ここに来るまでの間にグランツから渡され、暗記したお願いを伝えるジャンヌ。詩巫女というだけあってとても澄んだ声に聞こえる。大丈夫だと、その願いが届くことを願う元。

 ところが、象徴が返した返事はあまりにそっけないものだった。

 

『フン。政府はとうとう自らの罪を解決した体で、我の力を引きずり出そうとまでしてきたか……よりにもよってファーフニルの娘を使って……!』

 

「え……」

 

『我はお前達政府に力は貸さん!奇妙な細工をして、我を騙せると思ったか!』

 

「おい、どういうことだ。どうしてそうなる!」

 

 納得がいかなかった。こちらは解決したのだと伝えているのに、詳しい話も聞かずして政府がどうだの、力を引きずり出そうとだの、挙句の果てに自分をだましていると語る象徴に怒りが沸き上がる。ちゃんと事実を伝えたというのになぜジャンヌがそんな事を言われなければならないのだ。

 だが可能性としてはありえた。象徴は政府どころか竜人族、というより人という知的生命体を嫌っているという可能性が。象徴は全体を現さないまま語る。

 

『……確かに、そのファーフニルの少女からは我に伝えたいという健気さは伝わる。だが、反対にその言葉には、自身が伝えたい思いがない。他人の作り物だ』

 

「っ!……」

 

 ジャンヌの顔が下を向く。図星だ。その言葉は正確に言えば確かにジャンヌの言葉ではない。考えたのはグランツら大人達だった。暗記したことが裏目に出てしまったのだ。

 だからといってジャンヌがそれを思っていないわけではない。ジャンヌは顔を上げて意見する。

 

「……確かに、先程の言葉はあなたに失礼がないよう、他の方に作ってもらったものです。だけど、わたくしの意志が入っていないわけでは……!」

 

『黙れ小娘!』

 

「ひゃう!?」

 

 だが咆哮と共に響いた声に、後ずさりしてしまうジャンヌ。元は咄嗟に後退するジャンヌの体を支えた。戸惑う2人の脳裏に、象徴の諦めに似た言葉が響く。

 

『外で何度か大きな力を感じたが……どうやら、見当はずれだったようだ。ジードとオルレリアンの想いは踏みにじられ、ファーフニル家の末裔は政府に取り込まれた』

 

「っ!……言わせておけば……勝手な妄想ばかりして、この分からず屋が!」

 

 思わず象徴に向けてそのような言葉が漏れ出てしまう。が、それが本当に取り返しのつかない引き金となる。その言葉を聞いたであろう象徴は唸り声を一層強くして怒声を上げる。

 

『分からず屋……だと?思い上がるな!小童!!』

 

 咆哮が檻を震わせる。怒りは真っ直ぐ元とジャンヌに向けられていた。殺意が体に突き刺さり、恐怖が襲ってくる。ジャンヌは完全に恐怖に竦み、怯えながら元の後ろに隠れてしまう。怒らせた張本人である元に謝罪を嘆願する。

 

「は、ハジメッ!は、は、早く謝って!!」

 

「…………残念ですが、そうはいきません。主の言葉を聞こうともしない輩に、このまま引き下がると?」

 

「だ、だから今現在進行形であなたがやっていることが怒らせている原因で……!」

 

 ジャンヌが指摘する最中、象徴が行動に出る。光る眼光の直下で光を集中させる。電気が帯びるそれは、DNを集中させてビームを形成するそれと似ている……いや、それそのものであると直感する。攻撃態勢に入っていた。

 あからさまな危険、耳に装着したインカムからも護衛やアレクの退避指示が来る。

 

『ハジメ様、ジャンヌ様!退避を!』

 

『馬鹿野郎!何挑発して……!』

 

「いや、退きませんよ。それより総司令、あれ、使いますよ」

 

 だがそれらの声を跳ね除けて、元は淡々とグランツにとある指示を仰いだ。それはここに来る前にあらかじめ打ち合わせてギリギリまで使用できるようにしてもらっていた、「あれ」である。象徴とのハプニングが起きた場合に、それを使って解決する。時間がなかったとはいえ、それはただ1機のみだったため、象徴との心の通わせを優先してヴェール達整備員達に修理を待ってもらっていたのだ。もっとも本来ならこうなる前に使うべきものであったのだが。

 グランツはインカムに向けため息を吐く。それから元に対し言った。

 

『まったく……忠誠心は見事だ。いや、それを超えた範疇のものかな、それは。既にその判断は君に任せている。ここまで事を大事にするのだ、ジャンヌ君をやらせるなよ?』

 

「無論です!」

 

 そう言って制服の内側から、ゼロ・スターターを取り出す。スターターを腰に当て、流れるようにロックリリーサーを装填する。その姿を見て、象徴の落胆したような言葉を聞く。

 

『MSか……。並大抵のMSで、この象徴たる私を従えると?』

 

「あぁ、思い知らせてやるさ!」

 

『ZERO ZWEI』

 

『……?』

 

 セレクトスーツカードを装填し装依ボタンを押し込む。それを訝しむ様子をする象徴だったが、構わず装依する。

 アクセスゲートが2人の体を包み込む。ゲートを通り、2人の体は傷だらけの1機のMS、シュバルトゼロガンダムへと装依を完了させた。白のガンダムを退け、革命を成した最強のMS。それが象徴と相対した。

 シールドなどはない。Gワイバーンもここに呼ぶまで時間が掛かる。だが、それでもガンダムならば、今の元なら象徴とも渡り合えると判断されてここにいる。そう思われた。

 だがそれは象徴の思わぬ行動で無に帰された。光を集めて球体を形取っていたビームが圧縮される様に縮んでいく。見えなくなるくらいに縮まっていって、象徴が声を発した。

 

 

 

 

『ま、まさか……主殿!?』

 

「……え?」

 

 

 

 

 思わぬ呼びかけだった。先程まで敵意を、殺意を向けていたはずの者から出たのは、忠義を慕う者が発する単語だったのだから。その言葉に一瞬だけ元達に隙が生まれた。

 不味いとも思って素早く構えるが、攻撃は来ない。それどころか動揺した声で何やら象徴は独り言を呟いていた。

 

『その姿……形こそ変わっているが、やはりシュバルトゼロガンダム……我が主の機体……。まさか、継承者……?』

 

『えっ何?何が起こっているの?』

 

「さ、さぁ……?」

 

 続く独り言が脳内で響き続け、どうするべきか判断に迷う2人。とりあえず警戒だけは強めておくが、その甲斐も必要なくなった。独り言を終えた象徴がこちらに微動してから先程とは違った印象を持って話しかけてきた。

 

『本当に……政府を打ち果たしたのか?世界は変わったのか?』

 

 落ち着きを取り戻した様子で話しかけてくる象徴。未だに姿は見えないが、どこか気まずさを感じさせる象徴に、ジャンヌがその問いに答えた。

 

『はい。ハジメが手にした、この力で……ハジメのおかげで、わたくしの詩竜の呪印も消えて……』

 

『………………そうか。ガンダムが……我が本来の主殿が……』

 

『………………』

 

 本来の主という単語に、元は少なからずスタートを意識した。元よりも前にガンダムを操った者のなれの果て。もしかするとスタートは象徴を知っている、あるいは象徴が彼を知っているのかもしれない。

 スタートも沈黙を守っていたが、先に象徴が動く。視界が突如光に包まれる。いや、照明に電気が通ったのだ。それは象徴の意志によってであった。

 

「っ!」

 

『まぶしっ!?………………こ、これは……』

 

 一気に明るくなった視界に対応できない2人。だがやがて目が慣れてくると、目の前に映った光景に息を飲む。

 目の前に現れたのは、紅の装甲を輝かせる1匹の機械のドラゴンだった。宝石のように輝くその体はまるで兵器とは思えぬ輝きを放っていた。深紅(クリムゾン)の名の通りのドラゴンである。だがその体は紛れもなく機械であり、装甲の隙間や翼のブースター、排気口など、特に頭部の作りは紛れもなく機械であると認識させる。

 政府関係者と契約する詩巫女以外には見せてこなかった機械の竜の姿。檻の外側で見ていたグランツ達の間でも驚きが生まれていた。目の前で衝撃を受ける元達に、象徴、クリムゾン・ドラゴニアスが首を下げて先程の行動を謝罪する。

 

『先程は申し訳なかった……私がクリムゾン・ドラゴニアス。ここに来た君達が知る様に、かつては生身の体を持ったドラゴン。今はこのような姿で生かされ続けてきたが、君達が来るのを待っていた』

 

 

 

 

 元とジャンヌがクリムゾン・ドラゴニアスと相対した頃、マキナスの政府官邸地下でも動きがあった。マキナス皇帝ギルフォードは従者と1組の男女と共にその場所を訪れていた。とても大きな部屋に掛かる、1つの橋。機械で造られたそこを歩いていく彼らは、丁度橋の真ん中にある、台座のある広い足場部分に入り、立ち止まる。皇帝の前に鎮座する機械の端末が埋め込まれた台座。それに対し、ギルフォードはその手をかざした。

 

「300年……我らが象徴「マギア・マキナス」が謎の機能停止を起こして、300年が経った」

 

 マギア・マキナス。この国の象徴。かつては皇帝が戦場で指揮を執るための座乗艦としても用いられた生ける機械の艦の名前だ。彼らが訪れたのは、その機械の艦が眠る専用ドッグの中だった。

 今でも眠り続ける象徴に語りかけるように、台座を触る皇帝。しかし彼は少女を手招きすると、すぐその場を離れる。付き従う1組の男女の内少女はそれに従って台座の前に立つ。台座の前で少女は手をかざすと、歌うように話す。

 

「我らが希望、我らが御柱、我らが象徴よ 今奏女官(シアル)たる継承者メル・オンが、皇帝の復活と共に、貴方を求めん」

 

 少女の言葉に、ドッグ内に光が灯り始める。わずかな鳴動も聞こえる。男女の片割れの青年も少女の補助に入れるようにスタンバイしていた。

 ここまでは300年以後も同じだった。そう記録にもあった。やがて、少女は叫ぶ。

 

「――――――目覚めよ、マギア・マキナス!」

 

 その一声と共に金属の衝突音のような音が響く。その直後、彼女の周囲をウインドウが表示し始める。これは300年の間、見られなかった現象だった。もしや、と思った時には、待望のそれが聞こえてくる。

 

『……300年以来となるな、この景色も』

 

「…………目覚めた、マギア・マキナスが!」

 

 マギア・マキナスの起動。その事実にギルフォードは体から湧き上がる衝動を必死に抑え込んでいた。切り札が目覚めた。約300年前から誰一人起動させることが出来なかった機動戦艦。その原因は長らく不明とされてきたが、ギルフォードの両親から続く調べで、その原因は若干ながら掴んでいた。同時期にドラグディアの機竜クリムゾン・ドラゴニアスが戦場から姿を消したこと、それが関わっていたことに。

 それぞれの象徴は鏡合わせの存在。一方が消えれば、片側の象徴もまた同じように姿を隠す習性があるという。機械でありながら生き物の特性を持つ戦艦、それがマギア・マキナス。少女から場所の移動を告げられる。

 

「皇帝陛下、どうぞ」

 

「あぁ、君は下がっていていい。君の妹に手間を掛けさせてしまい、すまないね機械騎士ランド」

 

「いえ、妹共々、恐縮です」

 

 敬礼をして妹と下がる青年。それを横目にギルフォードは目の前のモニターに向けて話す。

 

「300年の長い休暇だな、マギア・マキナス。目覚めたということは、私に力を貸してくれるな?」

 

『……私が目覚めた、ということなら、そういうことなのだろうな。300年か敵は果たしてどういったものか』

 

「昔と変わらないさ。我らが憎き竜人族。だがそこに我らに楯突く、創世記の遺物がいる」

 

『……ほう、創世記の遺物……』

 

 ギルフォードの言葉に興味を抱いたように反応を見せる。ギルフォードの顔が緩む。そしてマギア・マキナスからの返答が来る。

 

『いいだろう……此度の戦、誠興味がある。私も、参加させてもらう』

 

「ふっ、ありがとう……では、国民へ伝えよう……マギア・マキナスの復活を、祝うのだ!」

 

 振り返ったギルフォードはそう高らかに宣言する。それに対し従者たちは「ジーク・マキナス!」と叫ぶ。戦争の足音は既に目の前だ。

 

 

NEXT EPISODE

 




今回もお読みいただきありがとうございます。

ジャンヌ「どうなることかと思いましたが、ガンダムのおかげで事なきを得ましたね……」

レイ「だねー。でも主とか気になることは多く出て来たけど」

ジャンヌ「そうですね……あとは、マキナスもまた切り札を投入してきそうです……」

レイ「象徴対象徴って……これって正に300年前の再現ってことなんだろうね~どうなっちゃうんだろ?」

もう世界大戦起こりそうだよね(^ω^)この戦い、果たしてどう転がるのでしょう!さて今回はここまでです。

ジャンヌ「次回もよろしくお願いします」
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