ネイ「今日の天皇即位の儀礼では台風の影響もあってやらなかった部分もあるそうですね。アシスタントのネイです」
グリーフィア「確かパレードみたいなものだったかしらぁ?アシスタントのグリーフィアよ~」
そうだね。正式名称忘れたけどお顔をみんなが見るっていうのは台風の影響も考慮して来月になったんじゃないかな。
さてやたらと時事ネタぶっこんでいますが、EPISODE67の公開です。
ネイ「前話であまりツッコんでいませんでしたが、カレーとカルボナーラはドラグディアにもあるんですね」
いや、まぁあるでしょ……ない世界もあるかもしれないけど(´・ω・`)
グリーフィア「けど食べ物描写って最初ってジャンヌのアップルパイだったかしら……最近アップルパイ出てないようだけど」
忘れてない……多分(´・ω・`)さて、食べ終わった2人がこの後どうなるのか。本編をどうぞ。
食事を終えてそれぞれの持ち場に戻ろうとしたジャンヌとハジメ。ハジメが通信の終わったゼロ・スターターを机の上から離し、食堂を出ようとしたところで食堂の入り口からアレクが声を掛けてくる。
「お、いたいた。ハジメ、ジャンヌ」
「アレク隊長」
「どうされたんですか?隊長さんも休憩ですか?」
何の用かと尋ねる2人。アレクは左手に色紙と便箋のようなもの、それに小型端末を持ってきていた。それを差し出しながら、アレクはその内容について話す。
「さっき基地の門の方にクリエさんとグリューネ達が来ていてな。伝言としてこれらをもらったんだ」
「え、お母様が?」
すぐにアレクの差し出したそれらをまとめて受け取る。母からの伝言と言うことで少しはやる気持ちを抑えきれなかった。伝言のそれらに注目するジャンヌの代わりに、ハジメがその詳細を代わって聞いた。
「クリエ様と……グリューネからの、ですか?」
「いや、それ以外にもネアやジャンヌの姉妹からの伝言、それにハジメ、お前のクラスメイト達からの色紙らしい。ここで見たい気持ちは分かるが、ここも必ずしも空いてるわけじゃない。会議室借りといたから、そっちで見てくれ」
ポケットから取り出された会議室の鍵。ハジメがそれを受け取り、手紙に視線を釘づけだったジャンヌに会議室への移動を勧める。
「お嬢様、場所を移しましょう。ゆっくり読みたいでしょう?」
「は、はい。わざわざありがとうございます、アレクさん」
「いやいや、俺もグリューネと戦争前にもう一度会いたかったからな。あいつの顔見たら、絶対に死ねねぇよ。じゃ、ごゆっくり」
片手を上げるアレクに見送られ、ジャンヌとハジメは会議室へと向かう。ジャンヌも知らず知らずのうちに足が速足となっていることにも気付かず、会議室を目指す。
数分で目的の会議室に着く。鍵を開けるとハジメが先に入って安全確認、その後からジャンヌを部屋へと招き入れる。ジャンヌが入った後は念のため鍵を閉め、部屋は密室空間となる。以前もハジメに密室空間に入れられたことがあったが、今はそれを気にするよりも伝言の方だ。
まず色紙の方を見る。色紙にはハジメのクラスメイト達による寄せ書きが掛かれていた。レヴの「生きて帰ってこいよっ!幸せ者!」という文字や、リッドの「ジャンヌさんと2人で元気な顔を見せて!!」といった2人の無事を祈る言葉や、応援の言葉が手向けられていた。しかしそれをハジメの方にぽいっと投げ捨て、自身は母親からの伝言を探す。放り捨てられそうになる色紙をキャッチしたハジメが、代わりにその内容を拝見していく。
「へぇ、これ半日で作ったんだ。流石だな、レヴ達」
「それよりも、お母様の伝言は……あ、この手紙ッ」
ようやく目的の物を見つける。すぐに手紙の封を切って、中に入っていた手紙を開く。ジャンヌの眼が母の書いた手紙の文字を見通していく。
母の手紙には、以下の様に書かれていた。
『ジャンヌへ
家に戻ったネアからの話を聞いて、忙しいだろうジャンヌのために今回こうして手紙に書きました。
象徴を無事解放することが出来たそうで、私もホッとしています。もしあなたが失敗したら、なんていう怖い想像もしたけれど、ハジメと一緒に乗り越えたという知らせに本当に良かった。
思えば、あの時……ハジメを保護した時からこうなることは決まっていたのかもしれない。彼が引き継いだガンダムが無かったら、きっとここまで来られなかった。でもそれは同時に、彼を家に引き入れるという当時からしてみれば勇気ある決断をしたジャンヌのおかげ。2人がいなかったらこうならなかったって思うの。
これまでもあなたに苦労を掛けてしまって、今度の戦争にも出てもらわないといけないことに私はとても心苦しいです。でも、今のあなた達なら乗り越えられるって信じています。あまり勝手なことは言えないけど、そう思うの。
だから、お願い。戦争が終わったら私のもとに、お母さんの前にあなたの元気な顔を見せて。本当はあなたに戦争に出て欲しくはないけれど、でもやるべきことだからせめて無事だけは祈らせてください。
最後にこの言葉を贈ります。「生き残ることは戦うということ。死ぬことを前提としたものに決して命を賭けない」です。これは私達の祖先、丁度オルレリアン・ファーフニルが掲げた家訓です。自分が陥った状況を、先の未来で子孫たちが屈しないよう彼女が標榜したそうです。本当はこの言葉を糧に希望を取り戻してほしかったのですが……やはり人の出会いには敵わないみたい。
でもこの言葉の様に、生きることを考えて戦ってください。それさえ出来れば、あなたは立派なファーフニル家の、私達の最愛の娘だから。もちろん、それはフォーンやハジメ君にも言えることだけれど。頑張ってね。私達のジャンヌ。
母より
P.S. ハジメ君へ、フォーンの非礼を謝るわ。ごめんなさい。あの人の言葉を変な方向で捉えちゃったみたいで。でもフォーンに勝っちゃうのは流石ね。いよいよ筆頭護衛人の座は交代かしらねぇ♪
それから私も象徴の顔をもう一度拝みたいわっ。前は超克の儀の試しでしか会ったことがなかったから、試したら帰れって言われちゃったけど、会いたいから。』
「………………フフッ」
口元から笑みがこぼれる。微笑みといったような笑い方であったが、その瞳には涙が浮かんでいた。こぼれそうになる涙に気づき、それを服の袖……は夏服なのでないので腕で拭う。ハジメも気付いたが、声を掛けてくる前にジャンヌが口を開く。
「あれ……なんでだろう……。母親の手紙を受け取って、何で泣いているんだろう。おかしいな。もっとこういう時って、泣いたりしないのに……いつも会ってるっていうのに、どうして……」
そう、母とはいつも顔を合わせている。生まれた時からずっと育ててもらってきた。今更感動したりすることなどなかったはずなのに。先程までも母の伝言ということで、受け取ってきたはずだ。きっと象徴の復活の事についてで、いつも通りの砕けた言い方でおめでとうって言ってくれるのかと思っていた。
だけど違った。それは至って真面目で、礼儀正しくて、でも暖かくて。今まで色々迷惑を掛けたり、我儘を言ってきたりしたのに、こんな自分をここまで愛してくれている。ただ、自分の娘だからと、当たり前の理由でこんなにも見てくれて。不意打ちすぎる、こんなにも重く、そして愛のある言葉を送ってきてくれたことが。
涙の止まらないジャンヌに、ハジメが言った。
「それはきっと、お嬢様がクリエ様を……自分のお母様の事をとても大好きだからですよ」
「私が……お母様を……?」
どうして?今まで詩巫女の使命を押し付けたと思い込んで、もう嫌だって思っていたくらいなのに。ジャンヌの言葉に出ない考えを、ハジメが見透かすように返す。
「詩巫女の事と合わせて嫌いだって思っていても、それ以前の時は嫌いでしたか?思い出は好きなものであれ、嫌いなものであれ心に残りやすいものです。俺が柚羽の事を忘れられずにいたように。だから詩巫女の事で嫌いになっていても、お嬢様の中にはきっと嫌いになる前の好きっていう気持ちがあったんじゃないですか?きっと今、嫌いだった時の思い出と混ざり合ってせめぎ合っているんだと思いますよ」
ハジメの言葉を聞いて、思い返す。詩巫女の使命を背負う前、自分はとても好奇心旺盛な子供だった。注意するように言われても構わずはしゃいで、止めると駄々をこねた。でもその度にお互いに笑顔で抱き合っていた。両親の事が、家族の事が大好きだった。自分の事を見ていてほしかった。そしてそれに応えてくれるのが嬉しかった。
そんな事は詩巫女の使命を背負うことになってからも同じだった。でも嫌いになったのはきっと、思うように成績が出なかったのも原因だったのだろう。他のクラスメイトに妬まれ、それを言えずに自分の中でため込み、避けるようになっていつの間にか自分の為に両親が言ってくれる言葉も避けるようになっていった。そんな中でレイアと出会い、いつしか輝きを放つレイアに惹かれて彼女に憧れるようになっていった。
それでも根本にあったのは自分を見て欲しいという自己顕示欲からだった。両親から認められたいという気持ちは昔から変わっていないのだ。だから今こうして言ってくれたことが嬉しかった。でもずっと母は自分の事を見てくれていた。父も同じだっただろう。それにようやく気付いたことが悲しい。そう、後悔だった。ハジメの言葉に頷いた。
「そうね……私、お母様の事が好きだった。いろんなことに付き合ってくれて、昔はとっても楽しかった。でも詩巫女の使命に押しつぶされて、忘れていた」
忘れていた過去。その時間はもう戻らないかもしれない。だが今すぐに言いたいことがあった。それはこんな状況でも言いたいことで、かつお願いしても無茶だと言われるようなもの。だからハジメに嘆願した。
「ハジメ……お願いがあります。今すぐお母さんに会いたい。会って言わなくちゃいけない、今までごめんなさいって!でも、それは無理だから……だから約束して!絶対に生き残るって!私を護り切るって!!」
「……なら、言い方は違うのでは?約束じゃない。本来あなたが言うべき言葉があるはずです。俺を……私を言い聞かせるための」
ハジメの返答は一見して断っているように見えた。だが違う。約束よりももっと束縛を意味する言い方を求めて来ていた。自分に対しもっと強く願いを聞かせるための言葉を自ら要求している。それを必ず果たせるように。
ここ最近はそういったことはほとんどなかった。あってもハジメが断っていたためだ。ジャンヌもそれに気づく。そして顔を引き締めて正面からハジメに望む言い方で強く命じた。
「ハジメ、わたくしを護りぬきなさい。お母様と会わせるために!」
「了解」
ジャンヌの言葉に跪いて承諾したハジメ。密閉空間状態の会議室のためか、やや浮いたやり取りだったが2人の間ではそんなことは関係ない。2人の中で命令と覚悟を受け取り、顔を合わせて確かめ合う。もうジャンヌの顔に涙はない。ハジメに全てを賭け、自分の力を余すことなく発揮しようとする表情だった。
そんな2人のやり取りの後、ハジメからの勧めで再度伝言の方を確認していく。残っていた端末にはメッセージビデオが残されていた。内容はネアとグリューネ、それにジャンヌの姉であるジーナと妹のエターナからのメッセージである。ネアとグリューネからは生きて帰ってくることの切望と激励、ジーナからは夫であるテュートもこの戦争に参加することと、象徴解放のお祝いの言葉などが贈られた。
そしてエターナからの言葉。これが一番癖のある内容だと思う。エターナは未だにハジメの事を認められずにいて、ジャンヌ達へのメッセージというのにハジメへの不満を漏らしていた。だが、それでもビデオの撮影者である同級生からの言葉で「絶対に妹のエターナの前に元気な顔をお見せください!」と強く言ってメッセージは途切れた。一切ハジメに対しての応援などはなかったが、ハジメは「これもまた彼女らしい」と言って許した。
やがて2人はそれらの言葉を胸に作業へと戻った。自分達に出来ることを果たすために。そして夜は深くなり、明けていく。戦いの嵐はもうそこまで迫っていた。
◆
M.D.1428年7月9日。遂にその時が訪れた。マキナス皇帝ギルフォード・F・マキナリアスの宣言により勃発したマキナスとドラグディアによる大戦「機竜大戦」。全戦力を投入した戦争は過去に6度あった。両象徴が戦場から姿を消して300年の間は起こらなかった総力戦に、各国の歴史家はこう予想した。「今回が、最後の戦争になるかもしれない」と。
政権交代、皇帝の再来、象徴達の参戦、そしてガンダムの登場……。様々要素が揃っていたこの大戦で、勝った側がこの星の命運を握るとさえ言われた。機械の絶対なる繁栄か、竜の調和か。それを決めるのは―――――。
『将軍殿、全部隊準備が整ったようです。激励のお言葉を』
「あぁ。行こうか」
ブリッジのオペレーターからの指示を受け、グランツは椅子から立ち上がる。グランツが居るのは最新鋭の機動強襲艦「トロイ」の出撃カタパルト。既に何人かがMSで外に出ており、グランツが来るのを待っていた。
彼らの役目を果たさせるべく、グランツも動く。付き人に支えられながら、自身の腰に装着されたスターターの装依ボタンを押し込むとグランツの体がアクセスゲートに挟み込まれ、1機のMSへと変貌を遂げた。ドラグディアの最高司令官専用機「グラン・ドラグ・フリーディア」である。彼専用に構築された機体で、歴代ドラグディア最高司令官達は同じ名前の各時代最新鋭機を乗りこなしてきた。もっとも今のグランツにとってはほぼ無用の長物であった。
ゆっくりとカタパルトを歩いて行き、端の方まで行ったところで機体のスラスターを噴射、空へと浮遊する。昔ならカタパルトで射出されて大空へと繰り出していたがそれも過去の話。今ではゆっくりと出撃することが求められる。一応昔のような動きも短時間なら可能だが、やはり負担が掛かる。戦うのが若者達であることには胸を痛めるが、自分は後方で構えていることが役割なのだ。
そして今出撃する理由も、その役割の為だった。何機かのMSに護衛されながらグランツはトロイの艦橋前方に浮遊する。周りに自立稼働カメラも滞空する中、グランツは前方を向いた状態で呼びかけた。
「全ドラグディア兵士諸君!この戦いは国……いや、この世界の命運をかけた戦いである!マキナス皇帝ギルフォードは竜人族の殲滅を目論んでいる。この国はもちろん、他国の竜人族・機人族の同盟国家も危険にさらされかねない。そんなことは断じてあってはならない!これ以上の悲劇を生まないために、何としても今日この場で皇帝を討たなければならない。諸君らには、作戦成功のための奮起と健闘に期待する!全員、生き残れ!以上だ」
グランツの言葉に、オープン回線から兵士達の血気盛んな声が響いてくる。士気高揚は充分。得られた結果を見て、すぐさま艦内へと戻る。艦内格納庫に戻ると、既に戦闘準備した兵士達が発進する準備が進められている。グランツの座乗艦「トロイ」は後方にて指揮を執る。そのため搭載モビルスーツのほとんどはこの艦の防衛が大半となっており、機動強襲艦の性能も生かし切れるとは言えない。だが、そこはもう1つのトロイ級、「ダンドリアス」に任せてある。
ダンドリアスとはトロイ級のネームシップ「トロイ」の2番艦だ。その艦はとある部隊によって運用させている。部隊の名はケルツァート隊。アレク・ケルツァート少佐を隊長とするMS部隊。その部隊は今回の任務にて2つの役目を帯びていた。1つは突撃の支援。この戦局を左右するMSの突撃の支援にあたっていた。この戦争はいかにそのMSが戦線を突破できるかに掛かっている。そしてもう1つは、象徴の護衛。近年全く戦場に姿を見せなかったというこの国の象徴、生ける機械のドラゴン「クリムゾン・ドラゴニアス」を護衛すること。それもまたこの部隊の仕事の1つであった。無論1つの部隊だけでは人手が足りず、この護衛にはリリー・バレナー准将が率いる「ナイツ・オブ・ヴィーナス」とフォーン・フリードが率いる「フォーン隊」も防衛しつつ前進することとなっていた。
作戦はダンドリアス周辺の部隊に掛かっている。グランツはブリッジまで戻ると、艦長席の隣の席に座り、通信回線から呼び出す。通信相手はダンドリアスの艦長、ディオン・バルトレー大佐。彼の部隊の準備状況について尋ねる。
「ディオン大佐、そちらはどうなっている?」
『現在象徴との連携待機と突撃部隊の順次出撃、そして「ノヴァ」の発進スタンバイ状態となっています』
返ってくる返答。準備はほぼ完了しているようだ。「ノヴァ」の準備が間に合わないのではと危惧していたが、どうやら「フルアーマメント」と合わせて間に合わせてくれたようだ。専任整備士の彼女には感謝しないといけないだろう。
グランツも返答に了解を示し、作戦開始の再確認を行う。
「うむ。そちらの準備完了と共に作戦を開始する手筈だ。「彼」の声に合わせて戦闘を開始する」
『了解。「彼ら」にも再通達します』
戦端を開くまで、もう時間はあと少しだ。グランツは根回しして作り上げたもう1つの「打開策」の成功も祈って、戦闘開始を慎重に、かつ冷静に待った。
NEXT EPISODE
今回もお読みいただきありがとうございます。さぁ前半は決意を新たに、後半は遂に戦争開始直前の描写となりました。
グリーフィア「グランツおじいちゃん大変ねぇ。MSに乗らなきゃいけないって」
ネイ「MSの操縦は大丈夫なんですか?」
描写はしていないけどグランツのMSは艦からの遠隔アシストも含めて操縦しているから、安定はしてるよ。戦闘になったら危ないけれど、そうならないように作戦も展開していくはずです。
ネイ「はずって」
グリーフィア「無責任ねぇ。ジャンヌさんに言葉を送ったクリエさんは自分が背負えないことを悔やんでいるっていうのに」
まぁ、それはこの章の最後辺りで分かりますよ(;・∀・)さて、今回はここまでです。
ネイ「次回もよろしくお願いします」