彼女、セシリア・オルコットは人間の大人というものに絶望していた。子供が反抗期においてするものではなく、人間の最も黒い部分を知ってしまったが故だ。
毎回自分の元に来るのは遺産目当ての人間ばかり、セシリアの心は支柱が無くなって徐々に殺されていった。
「もう・・・人としては生きていたくありませんわ・・・」
そう言って彼女は誰もいない場所で毒物を飲み、自殺しようとした。吐血し、毒が全身に回っていく、そんな時、和装をした同年代の男性が声をかけてきた。
「人としての生を捨ててまで、己を消したいか?だが、母を奪った者、その元凶たる者達に復讐したくはないか?」
「あ・・・な・・・・た・・は・・・?」
「我は深遠伴親(しんえん ともちか)そなたが望めば、魔界へ導き、家族を奪った権力者への復讐の手助けをするが、如何かな?」
「お・・・ね・・・が・・・」
懇願する前にセシリアは息絶えた。口元に残った吐血の跡が生々しいまま倒れている。
伴親は動かぬ骸となったセシリアに近づくと血が付いたままの唇へ口づけし、静かに横たわらせると転生の儀式へと移った。
「古き骸を捨て、蛇はここに蘇るべし・・・我はかくも求め訴えたり」
印を結び、己が身に宿らせたISのコアの怨念にセシリアが持っている専用機の意思を取り込ませ、セシリアの身体へと宿らせる。
御霊となったコアの意志はセシリアの意思と融合し、死んだはずのセシリアの瞼が再び開いた。
「伴親・・・さん。私は・・・蘇ったのですか?」
「仰せの通り」
「復讐の機会を得たのですね?」
「偽りではなく事実だ。だが、今はまだ決起の時ではない。まだ、人手が足りぬ」
「では、わたくしが学園に残り、転生に最適な人材を見つけましょう」
セシリアの瞳は全てが真っ赤に染まりきっている。笑みを浮かべているがそれは怨念に染まった生き人を嘲るようなそんな笑みだ。
「骸の名はセシリア・オルコット、忌名をあたえよう。そなたの忌名はエーリヴァーガル、一見射殺、ブルー・ティアーズ・エーリヴァーガル」
「忌名ですか・・・ふふ、なんだか面白くて笑ってしまいますわ」
「今は殺戮を犯すな、生きた人間の匂いがキツイだろうが」
「承知していますわ、それでは」
セシリアは姿を消し、学園へと戻っていった。魔界転生した身ではあるが、全く人間と何一つ変わらない。
変わるとすれば、それはセシリア本人の魂がないということ。魔界転生で蘇った者は生前の記憶とISの意思と怨念が身体の中で渦巻いているため、どんな説得にも応じないはずだが、弱点もある。
それは意思が全て殺戮へと向っていってしまう事、伴親からすれば制御のきかない人形を操っているようなものだ。
「手始めは学園の代表候補生のみを集めるとしよう・・・。しかし復讐の炎のは確実にお前達へと向かっていくぞ!IS委員会よ!」
セシリアの経緯でした。
次回は誰になるかな。