インフィニット・ストラトス タイトルなんて自分で考えなさいな   作:伊頭音

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お久し振りです。夏休みシーズンが終わり仕事で身体がボドボドな作者の伊頭音です。
今回は一夏との試合前のちょっとした閑話になります。



「それなんてスパイ映画?」

結論から言うと一夏とセシリアの試合は一夏の負けだった。

 

だが試合内容自体は決して悪くはないものだった。春斗との特訓の成果もあり、遠距離タイプを相手に近接武器だけでよく喰らいついていた。白式の一次移行(ファーストシフト)が完了すると、セシリアのSEを約六割は削っていた。だが雪片弐型のワンオフアビリティーのせいで白式のSEが尽き、一夏の負けという結果になった。

 

「武器の使い方を理解してなかったのが原因で負けたが、それ以外のところは及第点だな。初心者にしてはよくやった。ご褒美に飴ちゃんを一個やろう」

 

そう言って春斗は飴玉を一つ一夏に渡した。

 

「「「お前は大阪のおばちゃんか」」」

 

一夏と千冬と箒のツッコミがハモった。姉弟・幼馴染仲がよろしいことで。

 

「それじゃあ時間も時間だし、俺は反対側のピットに移動しますか」

 

形式上同じピットから出ていくのはアレなのでとちらかが反対のピットに行く必要がある。一夏の白式は先程の試合でSEが空の為、補充する必要がある。なら補充している間に春斗が移動すれば移動後少し待つだけで試合が開始されるからである。

 

「今のうち白式のスペック確認しとけよ?さっきと同じ試合結果だとつまらん。少しでも俺に噛み付ける様にしておけ?」

 

一夏にそう告げ手を振りながらピットを出ていく春斗。それに答える様に一夏も「ああ」とだけ返事を返しコンソールを開き機体のスペックを再確認し始めた。

 

ピットを出て反対側のピットとの中間程の場所で春斗の携帯に着信が入った。番号を見ると相手は駄兎(たばね)からだった。前回からアドレスと番号は変えてなかった事を今思い出し面倒臭いと思いながら電話に出る春斗。

 

「なんだこの駄兎。今取り込み中だから用件は手身近に言え」

 

『うんじゃあハル君の要望に答えて手短に言うよ?今すぐハル君の自動機巧武装(オートマトン)の稼働データちょうだい?』

 

束にしては珍しく素直かつ面倒臭い事を言ってきた。自動機巧武装(オートマトン)のデータを渡す事態は別に問題は無い。ただどうやって渡すかだ。データは要領が大きく、この携帯では遅れない。いつも企業宛に送るときに使うパソコンも今手元には無い。

 

「今すぐって、今手元に送る手段が無いんだが。それにただではやらんぞ」

 

『それなら大丈夫。受け取りには今学園にくーちゃんが行ってるから』

 

そう言うと近くにあった消化扉が勝手に空き、中からクロエが出てきた。

 

「お久し振りです春斗様。束様からの使いでデータをいただきに参りました」

 

「それなんてスパイ映画?」

 

あまりの手際の良さに驚きを通り越してなんとも間抜けな質問をしてしまう春斗。

 

『そんでもって、データの見返りとしてはハル君の『空間湾曲』のアップデートデータをくーちゃんに持たせてあるから』

 

するとクロエが一本のUSBメモリを出していた。

 

「アップデート?具体的にはどんな内容だ?」

 

春斗が質問する。

 

『今のハル君の『空間湾曲』は空間を「伸ばす」「縮める」「曲げる」のどれかを一つしか出来なかったでしょ?今回束さんが作ったアップデートにはこの三項目を同時に二種類使える様にするデータが入ってるんだよ』

 

「はぁ⁉」

 

『その代わりデータ容量が大きいから多分自動機巧武装(オートマトン)が一機しか使えなくなるかもしれないけどね』

 

この野郎やりやがった。春斗(自分)がどんなにプログラミングしても同時に二種類の空間湾曲の操作ができなかったのにそれを完成させやがった。

 

「はぁ、で?このデータを何に使うつもりだ?」

 

『ヒ・ミ・ツ♡』

 

イラっときて通話を切りクロエに顔を向けた。

 

「クロエはあの駄兎(バカ)がデータを何に使うか知ってるか?」

 

「いいえ、私も知りません。今日いきなり春斗様にこれを届けてほしいと言われたので」

 

さっきのUSBメモリに視線を落としながら答えたクロエ。『やれやれ』と言いながらメモリを受け取り、ISの待機状態であるベルトのバックルに差した。数十秒でデータの交換は終わり、春斗は束からのデータに目を通した。確かにこれなら同時に二種類の『空間湾曲』を使えそうだ。そして束の言った通り自動機巧武装(オートマトン)は一機しか使えない。

春斗はメモリをクロエに返すと短く別れの挨拶をして消化扉の中に戻っていった。試しに扉を開いてみるとホースの陰に隠し扉がついていた。今度使ってみるかと考え、春斗は投影型ディスプレイを展開しながらピットに向け歩き出した。

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