インフィニット・ストラトス タイトルなんて自分で考えなさいな 作:伊頭音
一夏と鈴が戦闘を始めてからどのくらいの時間が経っただろうか。二人は即席ながらも連携攻撃で応戦していた。鈴が注意を惹いてその隙を一夏が攻撃する。しかし中々当たらず白式のSEが残り三割を切っていた。一度二人は距離を取り、相手も様子を見ていると一夏がある事に気付いた。
「なぁ鈴。アイツの動きってなんだか機械みたいじゃないか?」
「何言ってんのよ。ISは機械に決まってんじゃない」
「いや、そうじゃなくてこう…決められた動きしかしないAIみたいな」
「じゃあ何?アイツが無人機だって言いたいの?」
「そう。そんな感じ」
「そんなのあり得ないわよ。第一ISは人が乗ってないと…」
「実は前に春斗がISの無人機みたいな装備を使ってる事があったんだ。もしそれと同じ、似たようなプログラムを使っていたら…」
「アイツなんてモン作ってんのよ」
一夏の話を聞いて鈴はその可能性を視野に入れ考えた。
「じゃあもしアレが無人機だったら勝算はあるの?」
「ああ、とっておきながな」
「ふーん、じゃあアレが無人機と仮定して攻撃を…」
「一夏ぁっ‼」
いきなり大きな声が聞こえ、声のした方を見るとピットの上に箒が立っていた。
「男なら、それぐらいの敵に勝てなくてどうする!!」
箒の呼び掛けに反応して敵のISは箒を見た。そのまま腕を上げ腕部のビーム砲のチャージを始めた。
「っ!?マズい、鈴‼俺の背中目掛けて全力の衝撃砲を撃て‼」
「はぁ!?アンタ何考えてるの!?そんなことしたら…」
「良いから撃て‼」
「ああもう‼どうなっても知らないわよ‼」
そうして鈴は一夏の背後に回り込み、一夏に言われたように衝撃砲を撃った。そして一夏は衝撃砲の威力を利用して
しかし少し遅かった。一夏が切るより先に敵ISのビームが箒に向け発射された。
「箒…っ‼」
一夏はは箒の名を叫んだが敵ISの残った腕で殴り飛ばされた。鈴も衝撃砲を撃ってすぐに移動していたが間に合わない。
「っ‼」
箒は逃げようとしたが体が思う様に動かなかった。そのまま両目を閉じ死を覚悟した箒だったが、何かが横を通り抜け正面にソレが割って入ってきた。
「力も持ってないのにしゃしゃり出るんじゃねぇっつーの‼」
声が聞こえると同時に爆音が鳴り響いた。だが箒は傷一つなくその場に立っていた。爆音による煙が晴れるとそこには大楯を構えた春斗が立っていた。
「春斗!?」
「今だ!オルコット!!」
「了解ですわ!!」
「セシリア!?」
春斗の声で上空で待機していたセシリアが敵ISを打ち抜き機能を停止した。
「ナイス狙撃」
「天城さんの予測が正確だったからですわ。一夏さんの一撃で相手のSEが大きく減った時を狙いつつ、弱点であろう部位を予め教えて下さいましたから」
そして春斗は一度回線を切ると箒を見た。
「どうだった?自分が死ぬかもしれないと思った瞬間は?」
箒は腰が抜けたのかその場に座り込んでいた。
「すまない天城…、お陰でたすかっt」
そこまで言いかけて箒は言葉を止めた。目の前で春斗が明らかな殺意を箒に向け、喉元にナイフを突きつけていたからである。
「な、なにをする…」
「今劣勢の思い人の力になりたくて身体を張って励ますという行動原理は理解できる。だがその過程でお前が死んだらアイツはどう思う?『自分のせいで死んだ』『自分が力不足だったから』と嘆きながら後の人生を後悔する事になるぞ」
「それは…」
春斗は突きつけていたナイフを降ろし殺意を消した。
「頼れば力を貸す奴がいるのに、それをつまらない意地を張って頼らないでいるのは愚者のやる事だと俺は思う。いや、つまらない意地というのは取り消そう。それをいつまで続けるかはお前の自由だ」
「…。」
春斗の言葉に箒は返す言葉が無かった。春斗の言う『力貸してくれる奴』が誰なのかは理解している。それを頼らないでいるのは春斗の言う所の自分の詰まらない意地であるのも分っている。あの人ならそんな事を気にないで力を貸してくれるのは分かってるのに。
「もし自分で言いづらいなら俺に言え。そん時は代理で頼んでやる」
「すまない、だがそれは私自身が決める事だ」
「そうか、だがその決断は早い方がいいぞ?悩んでる間に一夏を他の奴に盗られても知らないからな?」
「お、大きなお世話だ!!」
箒が茶化され大声で返した時だった。
『天城さん大変です!!先程のと同じISが上空から二機、こちらに向かってきてます!!』
セシリアから敵の増援の知らせが入ってきた。
「分かった。セシリアは鈴と一緒に一夏をここまで連れてきてくれ。多分今の一夏は身体が言う事を聞かないだろうからな」
そう返すと春斗は管制室にチャンネルを繋いだ。
「山田先生、今の避難状況は?」
『たった今クラックが成功して生徒の避難が始まりました。増援部隊ももうすぐそちらに向かい…』
「増援部隊を避難誘導に割いて代わりに救護班をこちらに回して下さい。多分一夏が無茶したせいで身体がボロボロです」
『貴様はどうする、天城』
千冬が割って会話に入ってきて質問してきた。
「織斑先生なら分かるでしょう?今から来るガラクタを全部ぶっ壊します」
『天城君一人でですか!?無茶です!!いくら何でも一人では…』
『分かった。出来れば一機は綺麗な状態で無力化しろ。そいつを調べたい』
「今の俺にそんな手加減できると思います?」
『出来たら報酬として一週間、私の授業中にIS関連のプログラミングをしていても注意しないと約束しよう』
「二週間の免除を希望します」
『それでは長すぎる。十日で我慢しろ』
「…分かりました。じゃあ十日間免除でその依頼を受けます。本当にいいですね?」
『ああ構わん』
「今の会話しっかり録音しときましたからね。それじゃあ通信切りますよ」
そういって通信を切ると同じタイミングでIS乗り三人が到着した。
「という訳だ。俺がガラクタを一体鹵獲して、もう片方をスクラップにするからここで救護班が来るまで待ってろ。それまでは鈴ちゃんとオルコットは二人をよろしく」
「わたくしも戦いますわ。二人だけならある程度の連携も…」
「待ったセシリア。春斗からコーヒーの匂いがする」
一夏がセシリアを止める様に小声で呟いた。
「セシリア、ここに来る前に春斗はコーヒーに何杯砂糖入れてた?」
「確か六杯程入れてましたが…」
「六杯!?よくそんなの飲めるわね」
「春斗がコーヒーに大量の砂糖を入れて飲む時は怒ってる合図なんだ。今は言う通りにした方がいい」
「わ、わかりました」
小声での会話を止めセシリアはやはり残ると春斗に伝えた。
「じゃあ行ってくる」
そう言って春斗はピットを後にした。
次回は春斗単体の戦闘になります