デュエルをして、そしていろいろ絡んだ後、黒江は帰っていった。
その時の目が『また仕事に戻るんだよなぁ……』というものを語っていたので、また彼女は地獄を見るのだろう。
ただし、それは彼女が成長してどうにかするしかないのだ。
アムネシアの理事長の娘。
何をどう考えても、彼女の周りには、他人の逃げ場を潰すのがうまい人間が多すぎる。
ちなみに、ヒナとバルブはレッドアイズを見かけると走っていったので、事情を聞く相手はブルームになった。
「そういえば、バルブ君って『グローアップ・バルブ』だよね」
『そうだよ。正真正銘ね』
精霊の赤ん坊。
それはそれでいいとしよう。
世の中には自分たちが知らないことがたくさんある。
だが、一つ気になることがあった。
「『グローアップ・バルブ』のカードって禁止カードになってるけど、大丈夫なの?」
そう、『黒竜の雛』はいいとしても、『グローアップ・バルブ』は禁止カードだ。
いても大丈夫なのか、刑務所が飛んできたりしないのか、そういう疑問はある。
『デュエルに混ざることはできないよ。でも、だからと言って刑務所に入らなくちゃいけないことにはならないよ。別に罪を背負って生きている訳じゃないしね。禁止が解除されればデッキに入ることが出来るし、精霊として特殊な能力を持っている場合、その存在を拘束するとメリットを自分から捨てるようなものだから』
要するに、『禁止カードの精霊だからと言っても、存在そのものを悪とみなすのは差別だ』ということだ。
精霊として成長することで特殊な能力を習得し、デュエル以外で活躍する精霊というのはそれなりにいて、リアルファイトにおいて活躍する場合もかなりある。
「なるほどね……確かに、禁止カードの精霊だからって捕まえても仕方ないし……」
『まあそもそも、『禁止カード』と言う概念が、デュエルという環境の調整でしかないというだけの話だからと言うのが一つの意見かな』
言いかえるなら、『参加できない』ということと『不必要』は違うのである。
「いろいろ事情があるんですね」
『そうだね。まあでも、昔は投獄されてたみたいだよ。マスターがそのあたりの法律を変えたみたいだけどね』
「「えぇ!?」」
法律を変える。
一体どれほどの労力を必要とするのだろうか。
『すごかったよ。その頃は世界中で『禁止カードの精霊は捕獲して刑務所にぶち込むべきだ』って言う意見が一般的だったからね。マスターが法律を変えたことで、世界中にいる禁止カードの精霊が日本に集まってきて、それをマスターが保護したことで、一気に力が増したんだ』
当時の禁止カードの精霊たちからすれば遊月は救世主のような存在だ。
日本に集まってきて、遊月の元で保護される。
先ほども言ったように、デュエルには参加できないがそれ以外では活躍させることが可能。
なおかつ、『規制緩和』によって表に出られるようになった者も当然存在するので、それが影響して遊月の発言力も高まったようだ。
とはいえ、遊月は昔からフィクサーなので表社会に名前は残らないのだが。
「……あれ?私が生まれた時から、禁止カードの精霊って捕縛されないよね。遊月君って一体何歳なの?」
『ん?……フフフ。それは僕が語ることじゃないなぁ』
ブルームはかなりいろいろなものを含んだような表情でそういった。
まだまだ秘密を抱えているらしい遊月。
その全てを知るには、綾羽たちはまた速い。
★
「……襲撃があっただと?」
遊月は日夏から電話で表情を変えた。
……目が腐っているところは変わらないが。
『襲撃があったのは二か所。悪霊瘴気の収集施設と、金成直哉の墓』
「……理由が分からないな」
『ただ、その場に残っていた痕跡から、同一人物による犯行だと判断している』
「なおさら理解できなくなったな……まあいい、報告ご苦労」
『はい』
通話終了。
「……セキュリティのレベルが違いすぎるな。いや、低い方もそうそうに突破できるものじゃないんだが……」
ちなみにセキュリティレベルが高いのは金成直哉の墓の方である。
「セキュリティレベルを上げておくか」
遊月は『守る』ことと『助ける』ことと『救う』ことの三つの内、優先順位は『助ける』一択であり、他の二つもレベルは高水準だが、守ることは広範囲過ぎてすべてをまかなうのは不可能であり、そもそも助けることができなければ救うことは不可能なので、『助ける』と言う部分に重点をおいている。
だからこそ、セキュリティを突破してくるとなればそれ相応に何か知ら目的を感じるのだが、だからと言って情報が少なければどうしようもないうえに、そもそも裏で絶大な権力を握る遊月は誰かに不安そうにしている様子を見せるべきではない。
「直哉の墓を狙ったか……私のことを知らないようだな」
獰猛な笑みを浮かべて、遊月はそういった。
★
「やれやれ、隊長は人使いが荒いなぁ……」
英明はヤレヤレと言いたそうな表情でDホイールに乗っていた。
表では『デュエルモンスターズ格言研究会』で、裏では悪霊の討伐を行い、そしてその真の姿は『綾羽ちゃん
「最近は遊月と一緒にいて危険なことがほとんどないからな」
結果的に悪霊討伐にかり出されることになる。
それが悪いことではない。
『綾羽ちゃん
綾羽が遊月のそばにいることで、危険なこともなく生きているというのであれば、それに越したことはない。
「……ん?」
悪霊討伐をよくする英明。
彼にはなんとなく、悪霊の場所が分かるのだ。
「……何かいるのか」
Dホイールの方向を変えて、英明はそれを追った。
アムネシア周辺は、基本的に外周部に倉庫街が広がっている場合が多い。
上下ではなく左右に広かった時代の名残であり、現代では地下開発により倉庫が地下にある。
ものは壊すのにもコストがかかるものであり、再利用されることのないエリアとなっている。
「さて、このあたりなんだが……」
呟く英明だが、答えを返すものはいない。
遊月のそばにいるものとしては珍しく、精霊カードを所持していないのだ。
「……ん?」
英明は倉庫の角に目を向ける。
何か、瘴気のようなものがみえた。
「あれか」
Dホイールから降りて、デュエルディスクを外して左手に付けると、倉庫に向かって走る。
角に隠れて確認すると、二人の男が話している。
片方は白衣を着た軽薄そうな印象を持つ男。
もう片方は、襟の高いトレンチコートに、唾の広い帽子を被った高身長の男性。
最初に口を開いたのはトレンチコートの男だ。
英明が倉庫の角から見えた悪霊瘴気は、軽薄そうな男が持っているアタッシュケースに入っているようだ。
「襲撃は終わったのか?」
「もちろんですよん。収集施設と墓。必要なものは集めて、既に本部に送りつけました」
そのやり取りを聞いて、英明は表情を変える。
(遊月が言ってた襲撃の話か)
収集施設はついこの前に入った悪霊瘴気を収集するための場所だ。
そして、金成直哉。
遊月の『初代相棒』が寝ているという墓である。
「仕事が速いな」
「ボスに認められたエリート隊員ですからねん。で、次の命令は来てますのん?」
「いや、まだ来ていない。解析に時間がかかっているようだ」
「収集施設の方はともかく、墓はスカーレッド・ノヴァがいて苦労しましたよん。しかも、ノヴァには逃げられちゃって、こってり絞られましたねん」
英明は驚いた。
スカーレッド・ノヴァ・ドラゴン。
遊月が所有している精霊のなかでもかなり上位の精霊たちと同じレベルの『格』にいる精霊だ。
そんな精霊を相手にできる。
それが信じられなかった。
(だが、こってり絞られたと言うわりに、そこまでへこんでいる様子はない……金成直哉の墓を襲撃したのに、スカーレッド・ノヴァが目的じゃなかったのか?)
珍しい状況だ。
圧倒的な力を持つ精霊がそれ相応にいる遊月。
当然、その精霊を捕獲しようとするものもいる。
ちなみに、ドーハスーラは一度捕まったことがあるそうだが。
「……む、誰かいるようだな」
(あ、ヤベッ)
トレンチコートの男は英明の存在に気が付いたようだ。
「え、全然気が付きませんでしたよ」
「それはお前がまだ新米なだけだ」
英明はこの時点で、隠れても無駄だと判断した。
跳びでて、デュエルディスクを構える。
軽薄そうな男が笑みを浮かべる。
「へぇ、こんなところに人が来るなんて思ってなかったよん。ひょっとして迷子かな?」
「
「ほう、わかりましたよん」
二人もデュエルディスクを構える。
いずれもパワービジョン型のデュエルディスクだった。
そして、智洋。と呼ばれた軽薄そうな男が、面白そうなことを思いついたとばかりに笑みを濃くする。
「ククク。これを使いましょうかねん」
智洋はアタッシュケースを開いた。
そして、その中に二本入っている円柱状のガラスケースをどちらもとりだして、片方をトレンチコートの男に渡す。
「
「……そうだな」
悟と呼ばれたトレンチコートの男と智洋は、円柱状のガラスケースをデュエルディスクに接続する。
「クックック。面白いデュエルをするとしましょうかねん」
「我々の密談を見られたからには返すわけにはいかない。覚悟しろ」
「上等だ!やってやるぜ!」
「「「デュエル!」」」
英明 LP8000
智洋 LP8000
悟 LP8000
(……ん?)
英明は疑問に思った。
なぜ、ライフが三人分表示されるのだろうか。と。
「私の先攻だ」
疑問に思っている間にも、悟がデュエルを始める。
「私は手札から、『ダイナレスラー・カポエラプトル』を通常召喚」
ダイナレスラー・カポエラプトル ATK1800 ☆4
「さらに、カードを二枚セットし、ターンエンドだ」
「俺のターン。ドロー!」
英明もドローする。
何が起こっているのかよくわからないが、デュエルであることに変わりはない。
「俺は手札から『増援』を発動し、デッキから『E・HERO ソリッドマン』を手札に加えて、召喚!手札から『V・HERO ヴァイオン』を特殊召喚だ!」
E・HERO ソリッドマン ATK1300 ☆4
V・HERO ヴァイオン ATK1000 ☆4
「ヴァイオンの効果で『E・HERO シャドー・ミスト』を墓地に送る」
英明は準備完了とばかりに表情を変えた。
「さあ、ヒーローショウの時間だ!手札から『マスク・チェンジ』を発動!対象は地属性のソリッドマンだ!」
ソリッドマンが仮面に手を当てる。
「変身召喚。レベル8『M・HERO ダイアン』!」
M・HERO ダイアン ATK2800 ☆8
「そして、ソリッドマンが魔法カードの効果で墓地に送られたことで、墓地のシャドー・ミストを特殊召喚だ。これにより、デッキから二枚目の『マスク・チェンジ』を手札に加える」
E・HERO シャドー・ミスト ATK1000 ☆4
「よし、バトルフェイズだ!まずはヴァイオンで……!?」
英明のデュエルディスクに、ブザーとともに『Error』の文字が表示された。
「な、どうなってんだ?……いや、そもそも、宣言したはずなのにバトルフェイズに入ってない……」
何が起こっているのかわからない。
相手を見ると、智洋の方はニヤニヤしている。
この状況の意味を理解しているようだが、説明する気はないようだ。
「ヴァイオンの効果でソリッドマンを除外することで『置換融合』を手札に……俺はカードを二枚セットして、ターンエンドだ」
「ククク。僕のターンだよん。ドロー!」
次は智洋のターンだ。
だが、このタイミングで悟が宣言する。
「私は『エネミー・コントローラー』を発動しよう。カポエラプトルを守備表示に変更し、カポエラプトルの効果を使い、デッキから二枚目のカポエラプトルを特殊召喚だ」
ダイナレスラー・カポエラプトル ATK1800→DFE0
ダイナレスラー・カポエラプトル DFE0
「さて、僕のターンの続きだ。僕は手札から、『レディ・デバッカー』を通常召喚だよん!」
レディ・デバッカー ATK1700 ☆4
「効果により、デッキから『マイクロ・コーダー』を手札に加えるねん。そして現れろ。未知なる次元のサーキット!」
アローヘッドが出現。
「僕はフィールドのレディ・デバッカーと、手札の『マイクロ・コーダー』をリンクマーカーにセット、リンク召喚!リンク2『コード・トーカー』!」
コード・トーカー ATK1300 LINK2
「マイクロ・コーダーの効果でデッキから『サイバネット・コンフリクト』を手札に、そして現れろ。未知なる次元のサーキット!僕はフィールドのコード・トーカーと、手札の『コード・ラジエーター』をリンクマーカーのセット、リンク召喚!『デコード・トーカー』!」
現れるリンク3モンスター。
攻撃力上昇に加えて、無効効果も持っているので、それ相応に汎用性が高く、最近は専用強化カードも登場したことで強くなっている。
デコード・トーカー ATK2300→3300 LINK3
カポエラプトルがリンク先にいることで攻撃力が上昇している。
「さらに、コード・ラジエーターの効果により、ダイアンの攻撃力を0にするよん!」
M・HERO ダイアン ATK2800→0
「チッ……」
「ま、これだけじゃないけどねん」
智洋の手札は、サーチを繰り返したことで、まだコンフリクトを含めて五枚。
サイバース族ならば、まだまだ展開できるだろう。
「手札の『デフコンバード』は、サイバースを捨てることで特殊召喚できる。『ドット・スケーパー』を捨てることで特殊召喚し、墓地に送られたドット・スケーパーは特殊召喚できる!」
デフコンバード ATK100
ドット・スケーパー ATK 0
「モンスターが並んだか……」
来るとすれば、リンク4。
最近出てきたリンク4の大型サイバースがいたはず。
あとでX・ドラゴンにつなげる時に有利になるカードである。
「ククク……現れろ。未知なる次元のサーキット!」
智洋が手を掲げる。
「召喚条件は……サイバース族二体!」
「何だと!?」
「僕はデフコンバードとドット・スケーパーの二体をリンクマーカーにセット、リンク召喚!『フレイム・アドミニスター』!」
フレイム・アドミニスター ATK1200 LINK2
「ば……バカな……」
「さてと、永続効果を処理しておこうか」
智洋が指を鳴らすと、攻撃力がそれぞれ上がっていく。
デコード・トーカー ATK3300→3800→4600
フレイム・アドミニスター ATK1200→2000
「な……何が起こってるんだ……」
「おまえの目は節穴だねん」
召喚演出を終えたフレイム・アドミニスターがフィールドに降りてくる。
その場所は……。
「か……カポエラプトルの上?」
カポエラプトルの上に薄い透明の板が出現し、その上にフレイム・アドミニスターが立っている。
「まさか」
英明は自分のデュエルディスクを操作して、普段している『サーチカード選択画面』を、『フィールド上のカード一斉表示』に変更する。
「な、なんだこれは……」
デュエルフィールドは普通、線を引いて区切ったようなものである。
だが、今英明のデュエルディスクに表示されているデュエルフィールドは、『キューブ』で区切られていた。
そして、フレイム・アドミニスターは、カポエラプトルの『上』
言いかえれば、『二段目』のデュエルフィールドに存在している。
「気が付いたみたいだねん。そう、これが僕たちのデュエル……『次元拡張デュエル』だよん!」
「次元……拡張?」
「そう。このフィールドでは、フィールドは『多重構造』になる」
「い、意味が分からねえ……」
呟きながらも英明は観察する。
エクストラモンスターゾーンが二つであることに変わりはない。
片方にはダイアンがいて、もう片方にはデコード・トーカーがいる。
デコード・トーカーは現在、カポエラプトル二体と、フレイム・アドミニスターの三体がリンク先にいる状態であり、さらにフレイム・アドミニスターの効果を受けていることで、今のような攻撃力になっているのだろう。
というより、メインモンスターゾーンは確かに『キューブ』のような感じなのだが、エクストラモンスターゾーンは、一段目、二段目のデュエルフィールドを貫く『柱』のような形だ。
「……なるほど、なんとなく分かって来た」
「ククク。ここまで見せたらわかる部分も多いだろうねん。ならバトルフェイズだ!デコード・トーカーでダイアンを攻撃!」
デコード・トーカーに攻撃宣言をする智洋。
そして……彼が付けているデュエルディスクのガラスケースから黒い液体が噴出し、デコード・トーカーを纏った。
すると、デコード・トーカーからは悪霊瘴気が漏れ始める。
「(悪霊を……この場で作った!?……いや、今は置いておくか)罠カード『星遺物からの目醒め』を発動。俺は、フィールドのダイアンとシャドー・ミストでリンク召喚を行う!」
二体がアローヘッドに飛び込む。
「英雄は今混じりて、驚異の爆走者となる。リンク召喚!リンク2『X・HERO ワンダー・ドライバー』!」
X・HERO ワンダー・ドライバー ATK1900 LINK2
「チッ、かわしたか」
「シャドー・ミストの効果で、『E・HERO オネスティ・ネオス』を手札に加える」
「そう来たか……なら、デコード・トーカーでヴァイオンを……」
「まだだ!ヒーローショウの時間だぜ!『マスク・チェンジ』を発動し、闇属性のヴァイオンで変身召喚!『M・HERO 闇鬼』」
M・HERO 闇鬼 ATK2800 ☆8
「な……クソ」
「ワンダー・ドライバーの効果で、マスク・チェンジをセットする!」
「チッ、だが、2500アップさせても、まだワンダー・ドライバーよりもデコード・トーカーの方が上だ。やれ!デコード・トーカー!」
「オネスティ・ネオスは使わない!」
英明 LP8000→5300
「僕はカードを一枚セットして、ターンエンド」
伏せたカードは確実にコンフリクトだろう。
「俺のターン。ドロー!」
「スタンバイフェイズ。カポエラプトルの効果発動だ」
ダイナレスラー・カポエラプトル DFE0
「構わない。まずは手札から『フォーム・チェンジ』だ!対象は闇属性の闇鬼!」4→3
「通すわけないよん!『サイバネット・コンフリクト』を発動だ!除外して、次のターン終了時まで同名カードの発動を――」
「ライフを半分払って『レッド・リブート』を手札から発動!サイバネット・コンフリクトを無効にする!」3→2
英明 LP5300→2650
「バカな……『サイバネット・リグレッション』をセットするよん」
「そしてフォーム・チェンジだ!闇鬼を水属性の『M・HERO アシッド』に変身!」
M・HERO アシッド ATK2800 ☆8
「魔法・罠を全て破壊して、相手モンスター全ての攻撃力を300下げる!」
「な……」
デコード・トーカー ATK4600→4300
フレイム・アドミニスター ATK2000→1700
ついでに、悟が伏せていた『次元幽閉』も破壊された。
「『死者蘇生』を使って墓地のシャドー・ミストを特殊召喚して、デッキから『フォーム・チェンジ』を手札に加える。さらに、『置換融合』を発動。シャドー・ミストとアシッド、HEROと水属性で融合召喚。『E・HERO アブソルートZero』!」
E・HERO アブソルートZero ATK2500 ☆8
「『置換融合』を除外し、ダイアンをエクストラデッキに戻して一枚ドロー。そして『フォーム・チェンジ』を発動だ。水属性のアブソルートZeroを変身!『M・HERO 光牙』!」
M・HERO 光牙 ATK2500 ☆8
「そして、Zeroの効果で、モンスターを全て破壊する!」
「くそがあああ!」
カポエラプトル三体、デコード・トーカー、フレイム・アドミニスター。
全て消え去った。
「そしてバトルフェイズ!光牙で智洋。お前にダイレクトアタックだ!」
「ぐうう……」
智洋 LP8000→5500
「ターンエンド!」
「私のターンだ。ドロー」
「く……悟。どうにかしろ!このままだと、僕は――」
「なるほど。流石にフィールドが別って訳か。次のターン。俺がお前にダイレクトアタック出来るのは確実みたいだな!」
「ぐっ……」
智洋は表情をゆがませる。
本来のバトルロイヤルルールであれば、悟の次のターンは智洋かもしれない。
だが、今回のこのデュエル。どうやら『バトルロイヤルルール』ではなく『タッグデュエルの延長ルール』のようだ。
リンク先が拡張させることでデコード・トーカーの攻撃力を爆上げする作戦だったようで、それは成功しているが、HEROが持つ爆発力に及ばなかったということだろう。
「私は『ダイナレスラー・コエロフィシラット』を特殊召喚し、さらに、『ダイナレスラー・エスクリマメンチ』をリリースなしで召喚。二体でシンクロ召喚を行う。現れろ。『ダイナレスラー・ギガ・スピノサバット』!」
ダイナレスラー・ギガ・スピノサバット ATK3000 ☆8
「効果発動。光牙を破壊する!」
「なら、光牙の効果発動だ。墓地からZeroを除外することで、ターン終了時まで攻撃力を下げる!」
ダイナレスラー・ギガ・スピノサバット ATK3000→500
「く……ダイレクトアタックだ」
「屁でもないぜ!」
ギガ・スピノサバットに悪霊瘴気がまとわりつくが、とても弱弱しい。
英明 LP2650→2150
「……ターンエンドだ」
ダイナレスラー・ギガ・スピノサバット ATK500→3000
「よし、ダイナレスラー・ギガ・スピノサバットがいれば、他のモンスターに攻撃できない。これで僕は……」
「俺のターン。ドロー!『ミラクル・フュージョン』を発動し、アシッドと光牙を除外して融合召喚!『C・HERO カオス』!」
C・HERO カオス ATK3000 ☆9
「カオスは、フリーチェーンでモンスターの効果を無効にできる。ギガ・スピノサバットの効果は無効だ!」
「な……」
「そしてバトルフェイズ!カオスで智洋にダイレクトアタック!ついでにオネスティ・ネオスだ!」
C・HERO カオス ATK3000→5500
智洋 LP5500→0
智洋は吹っ飛んで気絶した。
「カードを一枚セットして、ターンエンド!」
C・HERO カオス ATK5500→3000
「私のターンだ。ドロー。まずはギガ・スピノサバットの効果で、カオスを破壊!」
「『神の通告』を発動だ!」
英明 LP2150→650
「ぐ……私は『ダイナレスラー・システゴ』を召喚し、ターンエンドだ」
「俺のターン。ドロー!『E・HERO エアーマン』を召喚して、オネスティ・ネオスをサーチ。まずはカオスでシステゴを攻撃!」
悟 LP8000→6900
「そして、エアーマンでダイレクトアタック!」
悟 LP6900→5100
「ぐっ……」
「ターンエンドだ」
「私のターン。ドロー!……『ダイナレスラー・カパプテラ』を召喚」
ダイナレスラー・カパプテラ ATK1600 ☆3
「そして効果発動。カオスを墓地に送る」
「当然、それは無効だ!」
表情をゆがめる悟。
だが、サレンダーはしないようだ。
あるいはできない事情があるのか……。
「……ターンエンドだ」
「俺のターン。ドロー。エアーマンで攻撃して、カオスで攻撃するときにオネスティ・ネオスの効果を発動。これで終わりだ!」
悟 LP5100→4900→0
カオスの攻撃で尽きるライフ。
しかし次の瞬間、悟たちを膨大な悪霊瘴気が覆った。
「あ……」
瘴気がはれると、既に二人はいなくなっていた。
「……どうなってんだ一体」
聞きたいことはいろいろあったのだが、逃げられては仕方がない。
とりあえず、遊月に報告しておくことにした英明である。
……超難産だった。新しいルールはもうちょっと考えてから書こうとするべきでしたね……。