遊戯王Incarnation   作:レルクス

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コラボ回 第四話

 正直な話をしよう。

 いなくなっていたと思っていた人が走ってきた方向を見て、ドラゴンがいたらそりゃ驚く。

 

「おい、ブルーム。あのパラドクス・ドラゴンはなんだ」

『知らんよ。だって急に出てきたんだもん』

「ルシフィア。顔に鼻血を拭いた痕があるにゃ」

「気のせいです」

「そんなわけないにゃ……」

 

 確認なのが漫才タイムなのかわからないが、とりあえず合流したブルームとルシフィア。

 

「ねえ、遊月君。あれって……」

「ああ、どうやら、先ほど大きな爆発音があったが、その原因らしい」

「で、でもお兄ちゃん。『悪霊瘴気』が出ていませんよ?」

 

 綾羽が遊月に聞くと、遊月は簡潔に答える。

 だが、香苗の言うとおり、パラドクス・ドラゴンからは悪霊瘴気が漏れていなかった。

 

「あれは『悪霊』じゃなくて、『悪性の精霊』だな」

「悪性の精霊?」

 

 リフィルが初めて聞いた単語のようで、英明の言葉を反芻した。

 

「言葉から察するに……『精霊』という枠の中で、悪い心を持ってる人ってことですか?」

「そういうこった」

 

 ライズが英明に聞くと、英明はうなずく。

 

「なるほど、まあ要するに……人間と同じにゃね」

「『悪霊』は多くの場合、悪感情にとらわれたり、過剰にため込んでいる精霊が変異するもので、絶対的な破壊衝動を持っているから社会的な生活がほぼ不可能だ。だが、『悪性の精霊』は、精霊として存在できるほど自分の心を制御しながらも、悪事を働く」

「「?」」

 

 幼女二人がわかっていない。

 

「……簡単に言えば、『悪いことなのかどうかの判断もできずに物を壊す』のが悪霊で、『悪いことだとわかっていて悪いことをする』のが悪性の精霊だ」

「なんとなくわかった!」

 

 ヒュプノはなんとなくわかったようだが、セームにはちょっと難しいだろう。

 少なくとも十一歳には難しい話だ。

 ヒュプノは『うーん』と考えた後、ぽつりと言った。

 

「要するに、悪性の精霊は……ブルームさんみたいな精霊のことなんですね」

『ちゃうわ!』

「そうだな。ブルームはまだ善性側だ」

『ねえマスター。なんで『まだ』ってつけたの?』

「自分の胸に手を当てて考えろ」

『残念!僕に胸はないのさ!』

 

 確かに。

 

「まあとにかく、ああいった精霊は一定数いる、が、悪霊瘴気を漏らさないからセンサーに引っかからないんだ。まあでも……あの店には近づけないだろうけどな」

 

 遊月は黒猫亭の支店のほうを見る。

 

「支店のほうに近づけにゃくとも、メルトにいる精霊が悪性にある可能性はあるかにゃ?」

「精霊が善性から悪性に変わるのは、悪霊瘴気の有無だ。アムネシアは悪霊瘴気が多いほうだが、メルトのほうにほとんどないというのであれば、悪性になる可能性は限りなく0に近い」

「わかったにゃ」

 

 ウィズが頷く。

 

「で、あのパラドクス・ドラゴンを倒す方法なんだが、まず、一度デュエルに勝てばいいのかとなるとそうではない」

「そうなの?」

 

 綾羽が首をかしげる。

 

「ああ、悪霊ならば、一度デュエルして勝てばその存在を保てなくなる。だが、精霊の場合はデュエルして負けても存在が消えるわけじゃない」

『簡単に言うと、僕がデュエルして負けても簡単には消えないってことさ』

「ブルームさんはしぶとそうだもんね!」

「セーム。どこで覚えたんだその使い方……」

 

 げんなりしたライズ。

 遊月は咳をして再び話し始めた。

 

「で、いったいどうすればいいのかというと、まずはリアルファイトでボコるんだ。最終的にデュエルするのは変わらないが、そもそも、精霊はデュエルを強制されない存在だからな。だが、向こうがデュエルで決着をつけると判断すれば、こちらがそのルールに乗らざるを得ない。あいつらはデュエルモンスターズの精霊だからな」

「で、とりあえずそのデュエルに勝てば、あいつはその本性が出てくる。そこを、『圧倒的な戦闘ダメージ』を叩き込むことで消滅させることができる」

「なるほど」

 

 要するに

1 まずはリアルファイトでボコる。

2 デュエルをして、とりあえず勝つ。

3 二回目のデュエルで、圧倒的な戦闘ダメージを叩き込む。

 という手順だ。

 

「まあ、弱らせるのは私と英明で十分だ。というより、あのレベルの精霊とリアルファイトするとなれば、私が出る必要があるからな」

「私と香苗ちゃんは?」

「綾羽は余波や流れ弾からみんなを守ってくれ」

「わかった」

「お兄ちゃん。私はどうするんですか?」

「ルシフィアとハグっててくれ」

「えっ!?」

 

 さすがに驚く香苗。

 

「二回目のデュエルはルシフィアに任せることになるが、その際、全力を出してもらう必要がある。メルトのほうはわからないが、アムネシアでのデュエルで運命力を発揮する場合、精霊力を消費する必要がある。さっき香苗とデュエルをしてかなり消費されているはずだ」

「なるほど、でも、なんでハグ?」

 

 リフィルとしては疑問だ。

 ルシフィアはちょっとやばい表情になっているが。

 

「香苗は私を除けば、この中で一番保有している精霊力が多い。『精霊力制御疾患』で、常に限界に近い状態で精霊力を保有しているからな。で、その伝達方法なんだが、限りなく密着しているほうがいい。特殊な機材があればその必要はないが近くにないからな。精霊力はつねに、『均等に保ちたがる』性質を持っているから、実はふれあっているだけで伝達が行われる」

「なるほど」

「……ブルーム、お前は写真に集中するんじゃなくて、綾羽と一緒にみんなを守れ」

『……わかった』

 

 ブルームは構えていたカメラをしまった。

 

「ウフフ。香苗ちゃん。やさしくギュッとしてあげますからねグフフフフ」

「……(脅)」

 

 壁際に追い込まれたチワワみたいな顔になる香苗。

 それではルシフィアの嗜虐心がそそられるだけである。

 その時、近くのビルが崩れて、その奥からパラドクスが出てきた。

 

「とまあ、そんなわけで、英明。行くぞ」

「おう!」

 

 遊月と英明が前に出る。

 英明はデュエルディスクに『マスク・チェンジ』のカードを入れて、ベルトの金具に接続して固定する。

 そして、もう一つのデュエルディスクのコアを取り出すと、ベルトに固定されたデュエルディスクに装着した。

 遊月は『超融合』のカードを取り出す。

 

「行くぞ。レッドアイズ。ドーハスーラ」

『『了解した』』

「変身!」

『ミラクル・フュージョン カオス』

 

 遊月のそばにレッドアイズとドーハスーラが出現。

 英明の背中にオネストの翼が出現し、胸から黒い霧が出現する。

 遊月はレッドアイズとドーハスーラとまじりあう。

 翼と霧はそれぞれ粒子となって、英明を包み込む。

 

 遊月は『真紅眼の死霊竜王ネクロ・バロール・ザ・ワールド』となり。

 英明は『C・HERO カオス』になった。

 

「んにゃ!あんなモンスター。見たことないにゃ!」

「あはは……まあ、実際には存在しないもんね。行くよ。ルイン」

『わかった』

 

 綾羽が『エンド・オブ・ザ・ワールド』のカードを使うと、ルインになった。

 

「むふふ、いい匂いがしますねぇ」

「んー……」

 

 言った通り、ギュッとやさしく抱きしめているルシフィア。

 その顔は彷彿としており、なかなかアレな感じである。

 

 

 遊月と英明のほうもパラドクスとの戦闘だ。

 

『ククク。矮小な人間どもよ。この俺に勝てると思うなよ!』

「さすが、悪霊じゃなくて精霊なだけあって、普通に言葉が通じるな」

「まあ、そういうものだ」

 

 そういったとき、パラドクスがブレスを放出してくる。

 遊月が左手の杖を振ると、障壁が出現。

 ブレスは障壁に当たると霧散していった。

 

『ぐぬっ、小癪な!』

「ブレスを防いだ程度で何言ってんだ。第一、痛めつけるのが優先で大した出力じゃなかっただろ」

『うるさい!』

「あと、視野が狭い」

『何?』

 

 遊月がしゃべっている間に、英明が接近していた。

 

「おらっ!」

 

 そして、その腹に思いっきりこぶしを叩き込んだ。

 

『オグフッ!』

 

 とんでもない衝撃だったようで、ちょっと浮いているパラドクス。

 だが、すぐに英明めがけて腕を振り下ろした。

 英明は距離を取って、その腕を回避する。

 そのころには、遊月が黒竜剣を振り下ろしていた。

 青い霊的な炎をまとった斬撃がパラドクスに直撃する。

 

『ぐおっ!な、なんだこの力は』

「単なる格の差だ」

『チッ、ならば、奥にいるやつを……』

 

 パラドクスは、エネルギー弾を何発にも分けて発射。

 綾羽たちのほうに飛んでいく。

 

「無駄だよ!」

『そーだね』

 

 綾羽が槍を振って、ブルームは根っこを触手のようにふるう。

 それだけで、エネルギー弾はすべて消滅した。

 

『ぐっ……うおお!』

 

 かなりのエネルギーが口の中に集中する。

 

「なるほど、そろそろ決めてくるわけか」

『カオス エンディング』

 

 英明がデュエルディスクのスイッチを押すと、足にエネルギーが集中する。

 

『消えろ!』

 

 パラドクスがブレスを放出する。

 

「そりゃ無理な話だ」

 

 英明は『オネスト』のカードをデュエルディスクに入れる。

 

『英明君。朝ごはん食べた?』

「ごめん、なんでそれ、今聞いてくるの?」

 

 げんなりしながらも、背中に翼が出現するので、それを使って飛び上がり、ブレスに向かって蹴りをぶちかます。

 ブレスとキックが衝突して、そのまま双方のエネルギーが消えた。

 

『馬鹿な……!』

 

 そして、遊月が剣と杖を合わせて、エネルギーを集中させている。

 遊月とパラドクスの距離は、ほぼゼロ距離。

 

「そらっ!」

 

 剣と杖を叩き込む。

 

『ぐおおおおお!』

 

 耐えられなかったのか、パラドクスは勢いよく飛んで行った。

 

『ぐっ、な、ならば、デュエルだ!』

 

 パラドクスがカードを五枚出現させる。

 

「やっとそれを取り出したか」

 

 遊月も合体を解除して、デュエルディスクを構える。

 

「なら、私も混ざるにゃ!」

 

 遊月が構えたのに合わせて、ウィズが出てきてデュエルディスクを構える。

 

「一緒にやるか?」

「当然にゃ。悪霊に対しては良いとしても、悪性の精霊に関してはデータが少ないにゃ。私も混ざるにゃよ」

 

 というわけで……。

 

『ふざけるな。貴様らまとめて、叩き潰してやる!』

「死後の広さを教えてやる」

「さあ、始めるにゃ!」

「「『デュエル(にゃ)!」」』

 

 遊月&ウィズ LP8000

 パラドクス  LP8000

 

『俺の先攻!』

 

 パラドクスの先攻だ。

 

『俺は手札から、永続魔法『Sin Territory』を発動!発動時の処理として、デッキからフィールド魔法『Sin World』を発動!』

 

 世界が、紫色の世界に塗り替わる。

 

「な、なんだかすごいことになってるにゃ」

『ククク。俺はエクストラデッキの『サイバー・エンド・ドラゴン』を除外することで、手札から『Sin サイバー・エンド・ドラゴン』を、デッキから『究極宝玉神 レインボー・ドラゴン』を除外することで、『Sin レインボー・ドラゴン』を特殊召喚する!』

 

 Sin サイバー・エンド・ドラゴン ATK4000 ☆10

 Sin レインボー・ドラゴン    ATK4000 ☆10

 

 出現する二体の大型モンスター。

 

「その『Sin Territory』……さすがにうざいな」

『フフフ。このカードは、本来ならフィールドに一体しか存在できない『Sin』モンスターを、一種類につき一体に変更する効果を持っている。よって、今まで持っていなかった展開力を手に入れたのだ!俺はターンエンド!』

「なら、私のターン。ドロー」

 

 遊月はカードを引く。

 

「『Sin』か……フィールド魔法を重視するカテゴリだったな」

『その通り。この世界がある限り、俺に敗北はない!』

「あながちそうでもないがな。フィールド魔法があるとうれしいのはお前だけではないぞ。私は『手札断殺』を発動し、お互いに手札を二枚交換だ」

『ぬぅ……』

「そしてスタンバイフェイズ」

 

 遊月の墓地から闇があふれ出す。

 

「フィールド魔法が存在することで、効果発動だ。終わりも始まりもない蛇の王(ウロボロス)よ。怨霊渦巻く大地に降り立ち、死の魔眼を開け!『死霊王 ドーハスーラ』!」 

 

わりも始まりもない蛇の王ウロボロスよ。怨霊渦巻く大地に降り立ち、死の魔眼を開け!『死霊王 ドーハスーラ』!」 

 

 死霊王 ドーハスーラ DFE2000 ☆8

 

『フフフ。そのフィールド魔法がある限り敗北はないか。我が主の前で、よくそんなことを言えたものだ』

 

 大型モンスターが二体いても、さほど心配した様子のないドーハスーラ。

 

「私は手札から、『不知火の隠者』を通常召喚し、リリースして『ユニゾンビ』を特殊召喚、デッキから『馬頭鬼』を墓地に落として、ドーハスーラのレベルを一つ上げる。馬頭鬼を墓地から除外し、墓地から隠者を特殊召喚」

 

 不知火の隠者 ATK 500 ☆4

 ユニゾンビ  ATK1300 ☆3

 死霊王 ドーハスーラ   ☆8→9

 

「そして、レベル4の隠者に、レベル3のユニゾンビをチューニング。死した紅き眼の黒竜よ、屍界で湧き上がる怨念を宿し、君臨せよ。シンクロ召喚。レベル7。『真紅眼の不屍竜』!」

 

 真紅眼の不屍竜 ATK2400 ☆7

 

『私とドーハスーラが並ぶとはな』

『まあ、敵は精霊としての格だけでいえば高いのだからいいではないか』

『……そういうことにしておこう』

 

 レッドアイズとドーハスーラが並んだ。

 

「不屍竜の攻撃力は、お互いのフィールド、墓地のアンデット族モンスター一体につき、100ポイントアップする」

 

 真紅眼の不屍竜 ATK2400→2900

 

『ククク。そのような矮小な攻撃力で、俺のSinモンスターをどうやって倒すつもりだ!』

「私は墓地から、『屍界のバンシー』の効果を発動。このカードを除外することで……『アンデットワールド』を発動する。そして、これに対してドーハスーラの効果を発動。Sin サイバー・エンド・ドラゴンを除外!」

『フハハハ!消え去るがいい!』

 

 発動されるアンデットワールド。

 その世界は……遊月たちのところまで広がっていた紫の世界を、逆に覆い尽くしていく。

 

『な……なんだ!?』

 

 パラドクスとしても想定外だったのか、驚愕しているようだ。

 

「これにより、お互いにフィールド、墓地のモンスターはアンデット族になる」

 

 真紅眼の不屍竜 ATK2900→3100

 

『だ、だが、まだ俺のSin レインボー・ドラゴンには及ばない!』

「手札から速攻魔法『アンデット・ストラグル』を発動。レッドアイズの攻撃力を、ターン終了時まで1000アップする!」

 

 真紅眼の不屍竜 ATK3100→4100

 

『んなっ……』

「バトルフェイズ!不屍竜で、Sin レインボー・ドラゴンに攻撃!」

 

 不屍竜がレインボー・ドラゴンを焼き尽くす。

 

 パラドクス LP8000→7900

 

『グッ……だが、この程度のダメージなど……』

「不屍竜の効果により、アンデット族モンスターが戦闘で破壊された場合、お互いの墓地から、アンデット族モンスター一体を選択して特殊召喚できる。私はユニゾンビを特殊召喚!」

 

 ユニゾンビ ATK1300 ☆3

 

「そして、ユニゾンビでダイレクトアタック」

『ぬおっ!』

 

 パラドクス LP7900→6600

 

「メインフェイズ2。あらわれろ。屍界に満ちる未来回路!」

 

 サーキットが出現。

 

「召喚条件は、カード名が異なるモンスター三体。私は不屍竜、ドーハスーラ、ユニゾンビの三体をリンクマーカーにセット。混沌より来たる戦士よ。死した世界でその剣を掲げよ。リンク召喚!リンク3『混沌の戦士 カオス・ソルジャー』!」

 

 混沌の戦士 カオス・ソルジャー ATK3000 LINK3

 

「か、カオス・ソルジャーまで入ってるのか」

 

 リフィルが驚愕。

 だいたい、『アドヴェンデット・セイヴァー』か『ヴァンパイア・サッカー』くらいだと思っていたのだろう。

 

「カードを一枚セットして、ターンエンドだ」

『俺のターン。ドローの代わりに、Sin Worldの効果で、『Sin Selector』三枚を見せる』

「だろうな。まあ、真ん中と一応言っておこうか」

『フン』

「スタンバイフェイズ。フィールド魔法が存在することで、ドーハスーラの効果発動。戻ってこい!」

『ふむ、だいたい工場送りになってからの蘇生だったから久しぶりだな』

 

 死霊王 ドーハスーラ DFE2000 ☆8

 

『俺は、『Sin Selector』を発動!墓地の『Sin レインボー・ドラゴン』と『Sin サイバー・エンド・ドラゴン』を除外し、デッキから『Sin Cross』と『Sin スターダスト・ドラゴン』を手札に加える』

 

 ここで、セームが首をかしげた。

 

「あれれ?あのサイバー・エンド・ドラゴンって、除外されてなかった?」

「あ、本当だ!なんで?」

「多分、『手札断殺』のときじゃないかな。『Sin Territory』は一種類につき一体だから、同じモンスターを並べることはできないし、多分、『Sin サイバー・エンド・ドラゴン』が最初から手札に二枚あったんだよ」

「あ、そっか!」

「お兄ちゃん頭いい!」

 

 納得しているようで何より。

 

『俺は、『Sin パラレルギア』を召喚!』

 

 Sin パラレルギア ATK0 ☆2

 

『俺は手札のレベル8『Sin スターダスト・ドラゴン』に、レベル2の『Sin パラレルギア』をチューニング。矛盾した真実よ。今、我が分身たる竜の力となりて、顕現せよ!シンクロ召喚!『Sin パラドクス・ドラゴン』!』

 

 Sin パラドクス・ドラゴン ATK4000 ☆10

 

『Sin パラドクス・ドラゴンの効果!シンクロ召喚に成功したとき、お互いの墓地の中から、シンクロモンスター一体を俺のフィールドに特殊召喚する』

「私の墓地の不屍竜が狙いか?だが無駄だ。アンデット族モンスターの効果発動にチェーンして、ドーハスーラの効果発動。その効果を無効にする」

『そんなことは百も承知だ。だが、無効効果を使ったのなら、除外効果は使えない!お前の墓地に、私のターンに発動できるアンデット族モンスターは存在しないからな。バトルフェイズだ!俺は――』

「手札から『儚無みずき』の効果を発動。にチェーンして、ドーハスーラの効果を発動だ」

 

『出番がキタアアアアアアアアア!』

 

 儚無みずき。絶叫。

 

『なっ……』

「ドーハスーラの効果により、Sin パラドクス・ドラゴンを除外する」

『くそっ……俺は『神秘の中華なべ』を発動!パラドクス・ドラゴンをリリースして、攻撃力分のライフを回復!』

 

 パラドクス LP6600→10600

 

「知っていると思うが、ドーハスーラの効果は対象にとらない。除外する場合、選ぶタイミングは効果処理時だ。墓地のSin パラドクス・ドラゴンを除外する」

『フフフ。フハハハ!我から逃げることはできんよ!』

『ぐっ……』

 

 Sin パラドクス・ドラゴンが除外された。

 

『だが……『Sin Cross』を発動。墓地から『Sin レインボー・ドラゴン』を特殊召喚!』

 

 Sin レインボー・ドラゴン ATK4000 ☆10

 

「Sin Selectorの効果で除外されたはず……いや、まさか……」

 

 さきほどのサイバー・エンド・ドラゴンの話から察するに……。

 

「このタイミングのデュエルでツーペアだったってことにゃ。なかなか不憫にゃね」

「まあそれはともかく、バトルフェイズ中の特殊召喚だ。みずきの効果が適用される」

 

 遊月&ウィズ LP8000→12000

 

『俺は、Sin レインボー・ドラゴンで、混沌の戦士 カオス・ソルジャーを攻撃!』

 

 遊月&ウィズ LP12000→11000

 

『これでターンエンドだ。Sin レインボー・ドラゴンは……除外される』

 

 フィールドからモンスターがいなくなった。

 

「なるほど、私が7800の攻撃力を用意できない可能性に賭けたってことにゃね」

 

 パラドクスのライフは10600で、ドーハスーラの攻撃力は2800だ。

 その差は7800である。

 

『そうだ』

「まあ、言いたいことは分かったにゃ。私のターン。ドローにゃ!」

 

 ウィズはドローしたカードを見る。

 

「ペンデュラムゾーンにアストログラフ・マジシャンとクロノグラフ・マジシャンをセッティング!そしてペンデュラム効果発動にゃ!自身を破壊し、デッキからアストロは星読みを、クロノは時読みを選択し、ペンデュラムゾーンにセットにゃ!」

 

『『出てきて即座に変☆身!』』

 

 ウィズおなじみのペンデュラムである。

 

 ……なお、キマシタワー系(要するに百合を好む)のクロノは、一応着替えてはいるがデュエルなど関係なくルシフィアと香苗がハグっているところを見ている。

 

「ペンデュラム召喚にゃ!手札とエクストラデッキから、ブラマジ、アストロを特殊召喚にゃ!」

 

 ブラック・マジシャン    ATK2500 ☆7

 アストログラフ・マジシャン ATK2500 ☆7

 

『呼ばれたからには即参上!』

『再び参上!』

 

「そして、手札から『師弟の絆』を発動するにゃ。デッキからガールを特殊召喚して、さらに、デッキから『黒・魔・導・連・弾』をセットするにゃ」

 

 ブラック・マジシャン・ガール ATK2000 ☆6

 

『参ります!』

「そして、『黒・魔・導・連・弾』を発動するにゃ!ブラマジの攻撃力を、フィールド・墓地のガールの攻撃力の合計分アップさせるにゃ!」

 

 ブラック・マジシャン ATK2500→4500

 

『んなっ……』

「そもそも黒猫亭にとって、支店は要石の機能を持つ重要なものにゃ。本店のオーナーである私が弱いわけないにゃよ?ドーハスーラを攻撃表示に変更してバトルフェイズにゃ!」

 

 死霊王 ドーハスーラ DFE2000→ATK2800

 

「まずはドーハスーラで攻撃にゃ!」

『さて、決めにかかるとしよう』

 

 パラドクス LP10600→7800

 

「次はアストログラフ・マジシャンにゃ!」

『参る!』

 

 パラドクス LP7800→5300

 

「次はガールにゃ!」

『いきます!』

 

 パラドクス LP5300→3300

 

『グフッ……ば、バカな。この俺が……』

「ブラマジ。決めるにゃ!」

『いくぞ!』

『はい!』

『『黒・魔・導・連・弾!』』

『ぐ……うおおおおおおお!』

 

 パラドクス LP3300→0

 

 デュエルに敗北したパラドクス。

 しかし、まだ、彼が倒れる様子はない。

 

 それどころか、内側から、何か大きな力があふれている。

 

「さーて、向こうが覚醒するまでに準備を整えないとな」

 

 遊月はめんどくさそうな表情でそういった。




ブラマジも脳筋になったもんだ。『黒・魔・導・連・弾』を使って、ガールが三枚墓地にあったら攻撃力8500だもんな。しかも、これはもともとの攻撃力も、もともとのカード名も参照にしない。フィールドにガールを並べて全体強化するのもよし、カード名をコピーできるカードを使って、ガール以外をガールとして使っても構わない。すごい時代になったもんだよ。
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