見直してみると、デュエル描写がひどかったです。
フィールドに一体しか存在できない『ジェスター・コンフィ』が三体並ぶ。
カード名が別でなければならないスカルデットで、ラベノスが被った。
そもそも使っているカードが六十枚を超えている。
『コンセントレイト』も二枚しか使っておらず、『リミッター解除』もない。
というわけで、HRT様の許可は取った上で、上記の四点をそろえたデュエルに再編しました。
この話の後半でも再編後の数値は出てきますが、もしも『デュエルでその数値が見たい』という方は、前話からどうぞ。
なお、コラボ回最終話と、再編で力尽きてしまったので、この話は短いです。
『ムッフッフ。これはいい。これはいいぞ!』
『どうした?ブルーム』
ブルームが歓喜している様子だったので、ドラゴネクロが聞いてきた。
『美少女が百合っている写真までゲットしたのさ!これで歓喜の舞を踊らずしてどうする!』
『俺に言われても困るわ!』
遊月の家の地下。
精霊たちにとっても集まりやすい環境が整えられているので、遊月の中でなくともかなり自由に活動している。
そして、特に遊月が直接デッキに入れるような精霊たちは、それぞれ個室を持っているのだ。
当然、セキュリティは抜群である。
……ただ、遊月の中のほうが当然セキュリティがあるので、遊月のところに戻れないときの一時的なバックアップデータを置いておくくらいしか使い道がない。言い方を変えれば倉庫扱いである。
ただこういうのは、称号そのものに意味があるので一概に良い悪いといえないのだが。
『あ、そういえば、ドーハスーラとみずきも歓喜してたぞ』
『そうなの?』
『ドーハスーラは『我がコストにされることなく、活躍することができたぞ!』と言っていて、みずきは『出番が来たあああああ!』とはしゃいでいた』
『本人たちらしいな。ていうか、もともとドーハスーラとみずきって効果の相性いいもんね』
アンデットが効果を発動すると効果を発動できるドーハスーラと、手札誘発でしかもフリーチェーンで効果を使えるみずき。
確かに相性はいい。
問題なのは、そんなことをごちゃごちゃいう前にドーハスーラが退場することだ。
『そういえば……』
『どしたの?』
『いや、レッドアイズとドーハスーラは単体でも戦えるし、マスターと融合することで進化を発揮するだろう。ブルームにはそういうものはないのか?』
ドラゴネクロはそう思った。
レッドアイズはその力を使って、遊月を『ロード・オブ・ザ・レッド』にしたうえで、『真紅眼の黒竜剣』になることができるし、さらにそこにドーハスーラも混ざれば言わずもがなである。
だが、ブルームの場合はデュエルしている描写はあるものの、基本的には根っこを職種のように動かしているだけである。
『……僕にも強化手段がないわけじゃないよ?ただ、デュエルに使えないってだけでね。しかも、それはドーハスーラもレッドアイズも同じさ。ネクロ・バロール・ザ・ワールドはね。まだ『切っていい切り札』なんだよ』
『まだあれより上があるのか?』
『あるよ。ただ……マスター以外の全員が束になっても、マスターには勝てないっていう力関係があるからなぁ……』
遊月だけが飛びぬけて格が違う精霊たちの力関係である。
『ふむ……俺も鍛えるべきか』
『君は早くドラゴキュートスになるべきだね』
『グハッ!』
ドラゴネクロは吐血した。
まだ長いことドラゴネクロのままなのだが、そもそも、『遊月と一緒にいるだけで質が上がる』という性質上、ドラゴネクロとして質が上がってしまったため、そこからドラゴキュートスになるためには相当な鍛錬が必要である。
かわいそうな話だが、それでも、ドラゴネクロよりもブルームが断然格上なのは間違いない。
『……あ、そうだ、ブルーム。お前はあのデュエルを見て、どう思った?』
『そうだねぇ……』
ブルームはデュエルを思い出して、そのコンセプトを理解したうえで言った。
『あのデュエルは、『エンシェント・ホーリー・ワイバーン』の、最後の晴れ舞台じゃないかな』
★
何か大きなことがあったとき、その影響力を調べるのは重要である。
「で、何か報告することはあるか?時雨」
『衛星軌道で待機していた『ラボ』で、膨大なエネルギーの回収に成功したわ』
「……ああ、あったな」
衛星軌道に研究所を置いている。
まあ、何とも言えないレベルの話だが、リアル・ソリッド・ビジョンを使うことで、疑似的にそれを可能とする。
「『ダメージ・コンデンサー』か」
『そうよ。みんな、急ピッチで機材と設備を準備して、超特急で移動してかまえてたんだから。見ていて面白かったわ』
「さようですか」
『しかし、恐ろしいダメージね』
「ああ、四十兆のダメージだからな」
『フフフ。本当にとんでもないダメージよ?世界中のデュエリストが相手だったとしても、あの一撃で五十億人が吹き飛ぶんだから』
「怖いな」
そういえば、そういう数値か。
「で、時雨のやりたいこそは済ませたのか?」
『そうね。フフフ。アムネシアは精力が強い人がいっぱいいていいわね♪』
「……そうか」
もう何も言うまい。
「で、時雨のほうから急にかけてきたわけだが、何かあるのか?」
『まあ、とりあえず報告をしたということと……最近、アムネシアで暗躍してる人たちがいるけど、あの収集施設以外でも、悪霊瘴気を集めてるそうよ』
「そうか……」
悪霊瘴気というのは基本的に操作するだけのものであり、何かにとどまっておくためには核が必要となる。
だからこそ、集まるようにしておくことで、あとはそれを片付ければいいと思っていた。
『……どうおもう?』
「さあな。ただ、それができる保存媒体を開発したか、それとも、私たちが何か常識にとらわれているか、そのどちらかだろう」
『……それもそうね』
圧倒的な年月を生きている遊月と時雨。
当然ながら、常識など常に作られ、そして動いているものだということは知っている。
いちいちとらわれていると、前に進めない。
前に進めないのは……とてもつまらない。
『まあ、遊月のことだから何か考えがあるんでしょうね』
「ああ、アムネシアにいるというのであれば、最終的には私がつぶすさ。学校にいる三年間は私にとっては休みのはずなんだがな」
『世の中そういうものよ』
ふと、時雨が聞いてきた。
『遊月。もしも、あの数値をたたき出したあの子が、本気で敵になったらどうするの?』
「時雨、知っているはずだ。私は……才能も、努力も、常識も、運も、すべて叩き潰せるものを持っている」
『……それもそうね』
時雨は納得した様子。
『まあ、これからは事後処理で忙しいでしょうから、そっちに集中しなさい』
「そうだな。そうするとしよう」
通話終了。
スマホをポケットに入れて、遊月はつぶやく。
「切らないほうがいい切り札なんだが、使う日は来るか?」
答えは、出ない。
出てほしいとも、思わない。