遊戯王Incarnation   作:レルクス

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第四話

 遊月の前には、『デュエルモンスターズチップス』が三袋ある。

 

「……」

 

 ビリッ……ガサッ……『融合』

 

「……」

 

 ビリッ……ガサッ……『融合』

 

「……」

 

 ビリッ……ガサッ……『融合』

 

「英明、ポテチ一袋いるか?」

「ちょっと待て!まず突っ込ませろよ!」

 

 デュエルモンスターズは、デュエルディスクなどの後付けパーツなどもあるが、基本的に『カード』である。

 様々な要素とミックスして販売することが可能なのだ。

 結果としてポテチと合併するというのはなかなか予想外な展開だが、別に悪いわけではない。

 そして、新規カードがあればそれはそれなりに買う人は多いのだ。

 もともと食玩というのは売れるものなのだ。デュエリストはカードを手に入れるためには金を大放出するものなので、バク売れするだろう。

 多分そこら辺のゴミ箱を漁れば、カードだけ抜かれたポテチの袋が出て来るはずだ。デュエルの渦に巻きこまれて消えていったホームレスの主食になるだろう。多分。

 

「お前『融合』ばっかよく当たるなぁ……」

 

 結局一袋貰ってむしゃむしゃ食べる英明。

 

「これはあれか?『冥界龍 ドラゴネクロ』を三積みしろという暗示なのか?」

「入ってるのか?」

「『超融合』と一緒にピン差ししている」

「ああ、なるほど、そりゃ奇襲に使えるよなぁ」

「あまり手札に来ないがな……」

 

 とはいえ、基本的にはアンデット族の汎用パーツに頼るデッキである。

 『融合』を入れるとしても、それがメインになることはないだろう。

 

「さてと……」

 

 ちょっと食べる気が失せてきたチップスを輪ゴムで縛って立ち上がる遊月。

 

「あ、英明。私は思うことがある」

「なんだ?」

「攻撃反応罠に関してだ。『相手の攻撃を無効にするカード』と『相手の攻撃を無効にしないカード』に二種類に分けられるだろう」

「だな」

「一般的なビートダウンに入れるなら、強いといえるのは止めるほうだ。攻撃を止められない場合、こちらのモンスターは破壊されるパターンが多く、仮に相手モンスターが破壊されるとしても、それは確実に自爆特攻を狙ったものだからな」

「確かにな。確実にアドバンテージを取られる」

「代表的なのは?」

「攻撃を止めるって……『魔法の筒(マジック・シリンダー)』とか『炸裂装甲(リアクティブアーマー)』か?」

「代表的っていうか、教材に適しているカードだな」

「大体そんなもんだろ」

「ああ。ただ……『魔法の筒』は攻撃を無効にするが、『炸裂装甲』は無効にしないぞ」

「え、そうだっけ?」

 

 デュエルディスクを起動してテキストを確認する英明。

 

「あ、本当だ」

「ちなみにどっちも対象にとる」

「……みたいだな。そうか。『炸裂装甲』を使ったとき、相手モンスターが破壊されるから、実際に攻撃が来ないってだけの話なんだな」

「ぶっちゃけ、『炸裂装甲』と並べるのなら『次元幽閉』だ」

「なるほど。確かに」

 

 どちらもモンスターゾーンからモンスターを引っぺがすのだが、どちらも対象にとるし、攻撃を無効にするわけではない。

 

「多数破壊は?」

「ミラフォは確かに多数破壊だが、これは攻撃は無効にしない。攻撃表示モンスター専門で全体破壊が可能だがな」

「なるほど」

「ただ個人的には、エア・フォースのほうが嫌だがな」

「だよな。お前のデッキ、手札に戻されたらどうしようもないだろ」

「正直、『手札抹殺』を握ってないと悲惨だ。最近は展開のために罠を使うことも少なくないから、思ったより警戒する必要はないんだが、急に食らうとびっくりする」

 

 展開のために手札を使うのが現代のデュエルモンスターズである。

 もちろん、攻撃反応で発動する罠も増えてきているので、無警戒はつらいのだが。

 

「なるほど、攻撃反応罠の違いか……とはいっても、『和睦の使者』とか『威嚇する咆哮』は強いのは間違いないだろ」

「間違いないが、同じ攻撃力のモンスターのバトルなら、『和睦の使者』で相手だけ破壊できる代わりに、戦闘で破壊されないだけで効果を受けなくするわけじゃないからカタストルで割られるし、『時戒神』だったら悲惨だ。で、『威嚇する咆哮』の場合、戦闘を介するほうが強いデッキの場合は投入しにくいからな」

 

 一長一短である。

 ただ、どのカードにも言えることは、『奇襲性がある』ということである。

 もちろん、『ロックバーン』のようなデッキの場合は両方入っていることもあるが。

 

「へぇ……遊月のデッキには『和睦の使者』が入っていたな」

「攻撃宣言後でも使えるからな」

 

 とまあ、そんな理由である。

 

「俺も考えてみるかなぁ……」

「バトルフェイズで発動か?英明は『ヒーローバリア』だろ」

「あれフリーチェーンだぞ」

「……そうだったか?」

「そうだよ!」

 

 英明は自分のデッキから『ヒーローバリア』を出して遊月に見せる。

 

「あ、本当だ。ていうか、お前デッキに入れてるのか……」

「まあ、いざという時に何となる時があるからな」

 

 といいつつ、遠い目をしている英明。

 本当に『いざという時』だったのだろう。

 

 そろそろ遊月はしゃべりつかれてきた。

 そして、それは英明も同様。

 

「さて……ん?あれは綾羽ちゃん!」

 

 英明が急に一点を見つめる。

 遊月は振り向いた。

 

「……どこだ?」

「あそこだ」

 

 英明は五百メートルくらい先にあるカードショップを指さす。

 だが、まだ遊月にはわからない。

 

「……わからんぞ」

「二階でショーケースに入ったカードを見てるぞ」

「え?」

 

 遊月は言われたところを見る。

 確かに、二階のショーケースを眺めている大束がいた。

 

「よく見えたな」

「俺の綾羽ちゃんセンサーは正確なのさ」

「誘拐された時しか使えないセンサーのために感覚神経のほとんどを使ってないかお前」

「当たり前だろ」

「当たり前なのか……」

 

 遊月は追及をやめた。

 いずれにせよ、自分の予想を超えた何かに話が進んでいくところが分かったからである。

 

「はぁ、可愛いなぁ」

「……アタックしないのか?」

「誰がするか。んなことしたら親衛隊(ファンクラブ)に殺されるわ」

「……何人いるんだ?」

「知らん」

 

 遊月は追及を放棄した。

 

「ていうか、遊月はどうなんだ?まさか可愛いとすら思ってないのか?」

「いや、まあそうなんだろうなって認識はあるが」

「お前性欲無いんじゃないか?」

「薄いだけでまだ残っている」

 

 というより、そこで『性欲』という言葉を出すということに対して突っ込みを入れたくなった遊月。

 

「……お前んち行ったとき、ベッドの下にもタンスの裏にもエロ本なかったもんな」

「お前の家にもなかったぞ」

「俺のおかずは決まってるからな」

「ファンクラブに殴られるんじゃないか?」

「フフフ。甘いな遊月。『綾羽ちゃん親衛隊(ファンクラブ)』には鉄の掟があるのさ」

「……そういえば英明」

「聞けよ!興味ないのか!?」

「ない」

「断言するなよ。そして驚くな。綾羽ちゃん親衛隊(ファンクラブ)の鉄の掟。それは『暴走せよ。しかし理性を保て』というものだ」

「言いたいことは分かった」

 

 遊月は『どこかに【拷問車輪】って売ってなかったかな』と二割くらい本気で考えたが、大束を見て幸せそうにする英明を見て放置することにした。

 生々しい話を続けていても遊月にとって幸せなことは何一つ存在しない。

 

「というわけで遊月。俺は綾羽ちゃんリサーチをしてくるから、ここまでだ。アディオス!」

 

 元気よくカードショップに走っていく英明。

 そんな英明を見て、遊月は呟いた。

 

「……日本は平和だな」

 

 ちょっと自分でも何を言っているのかと思ったものだが、要するにそういうことなのだと思うことにした。

 間違いないのは、ボケもツッコミも両方できるものが二人揃うと双方が疲れる。ということである。

 

「……ふむ、今日の放課後にはデュエルディスクのメンテナンスは終わってるはずだったな。取りに行くとしよう」

 

 遊月も歩き出した。

 

 デュエルディスクの販売店は、校舎の敷地からかなり近いところにある。

 カードもそうだがディスクは何かあった時に専門家しか見れないほど精密だからだ。

 そのため、英明とは進行方向は逆である。

 

「……この路地を通ったほうが近いな」

 

 裏にもいろいろと店があったりするのがデュエルスクール周辺である。

 というより、あえて『裏』を作っているといっていいだろう。

 そういった裏路地が多数存在する。

 

「――!」

 

 暗躍している雰囲気、というものは、なんとなく察してしまう時がある。

 失礼なものだが、『明らかに怪しい』と思う時はもうそのイメージが抜けないものだ。

 そういったものを見かけたらどうなるか。

 簡単に言えば、足は止まる。

 

「ふむ、現在判明しているのは、永石圭吾。仮澤英明。大束綾羽の三人……できる限り交渉しておきたいものですが、永石圭吾との接触を一度失敗している以上、間を開けたほうがよさそうですね。仮澤英明と大束綾羽に的を絞りましょうか……」

 

 紫の長髪で、サングラスとスーツを身に着けた男性が、タブレットを見ながらブツブツ言っている。

 なかなかの雰囲気の持ち主である。

 

「ふむ、この学校の生徒会長が帰ってくるまでに何とかしておきたいのですがね。ボスがあちこちで引っ張りまわしている間にどうにか……」

 

 どうやら企んでいるということは明白だろう。

 そして、そのメンバーを読み上げた時点で、遊月はどういうことなのか分かった。

 

 それと同時に、どうにかして聞き出しておきたい部分があった。

 そうなれば遊月は、自分から仕掛けに行くタイプである。

 

「何をたくらんでいるのかしらんが、多分あんた。勘違いしてるぞ」

「――っ!誰です!」

 

 男性がこちらを向いた。

 どうやら見つかるとは微塵も考えていなかったようだが、遊月にはそれほど隠れているとは思わなかった。

 

「『ISD』に対して交渉。ということか?どうやら自分の陣地に引きこんでおきたいと考えているようだが、勘違いしてるぞ」

「どういうことですか?」

「英明と大束はそうさ。だが、永石は違う」

「ば、馬鹿な……そんなはずはない!確かに、彼はあのカード(・・・・・)を持っている!」

「お前が知ってるルールなんぞ知るか。それと、危害を加えるつもりだっていうのなら、私にも考えがあるぞ」

「フンッ。これだから若造は困りますね。私たちは危害を加えようと考えているのではありません。新しい力を与えようとしただけのことですよ」

 

 遊月はそれを聞いて納得した。

 

「なるほど、永石との交渉が決裂した理由はそれか。それにしても、私が若造か……あんた何歳?」

「私は三十二ですが?」

「三十二か……」

「そうです。高等部一年生であるあなたの倍生きているのですよ。もう少し敬ったらどうです?」

「まあもともと、年齢でごちゃごちゃと考えているなんて古すぎてやってられないが、別にあんたの言うことに従う必要は私にはない。それと……これ以上の情報は有料だ」

 

 遊月はデュエルディスクを構える。

 男性もデュエルディスクを構えた。

 

「いいでしょう。どうせあなたも、彼のように交渉は通じないでしょうからね」

「よくわかってるな」

「その余裕ぶった顔。すぐに絶望に変えてあげますよ。何を知っているのか知りませんが、無理やり聞きだせばいいだけのことです」

「やってみろ」

 

 お互いにカードを五枚引いた。

 

「私の名前は……ギル。と名乗っておきましょう。さて、始めましょうか」

「不死原遊月だ。死後の世界の広さを教えてやる」

「「デュエル!」」

 

 遊月 LP8000

 ギル LP8000

 

 ターンランプがついたのはギルのほうだ。

 

「私の先行。『強欲で金満な壺』を使い、六枚除外して二枚ドロー。手札から『サイバー・ダーク・カノン』と『サイバー・ダーク・クロー』を捨てることで、効果発動。デッキから『サイバー・ダーク・エッジ』と『サイバーダーク・インフェルノ』を手札に加えます」

「……【サイバー・ダーク】か」

「そうです。手札から『サイバーダーク・インフェルノ』を発動し、『サイバー・ダーク・エッジ』を召喚。効果を発動し、墓地の『サイバー・ダーク・カノン』を装備しましょう」

 

 サイバー・ダーク・エッジ ATK800→2400

 

「私はカードを一枚セット、ターンエンドです」

「私のターンだ。ドロー」

 

 遊月は手札を見る。

 そして、ふむ、と頷いた。

 

「私は『融合』を発動。手札から『屍界のバンシー』と『グローアップ・ブルーム』を墓地に送り、融合召喚を行う」

「!……なるほど、【アンデットワールド】ということですか」

「その通りだ。妖精よ、花よ、屍界の底で力を束ね、冥界より響く咆哮を示せ!」

 

 混じりあい。そして地中深くから聞こえてくる咆哮が、冥界の天蓋を突き破り。降臨する。

 

「融合召喚。レベル8『冥界龍 ドラゴネクロ』!」

 

 冥界龍 ドラゴネクロ ATK3000 ☆8

 

「ぐ……なるほど、そのモンスターですか」

「当然だ。そしてこの瞬間、墓地に送られた『グローアップ・ブルーム』を除外することで効果発動」

 

 デッキからレベル5以上のアンデット族モンスターを手札に加え、『アンデットワールド』があれば特殊召喚できる。

 だが、まだ『アンデットワールド』は存在しない。

 しかし。

 

「『グローアップ・ブルーム』の効果で手札に加えるか特殊召喚するかを決める処理は効果処理時だ。『屍界のバンシー』の効果をチェーンして発動。墓地から除外することで、デッキから『アンデットワールド』を発動する」

 

 広がり始める屍界。

 それを感じとったギルは、表情をゆがめる。

 

「フィールドと墓地のモンスターをアンデット族に……なかなか忌々しい効果ですね」

「だろ?」

 

 フィールドのモンスターは当然重要で、『墓地は第二の手札』と呼ばれるほど重要なものだ。

 だが、そんな中でアンデットワールドは、『名称指定ではないコンボパーツ』のほとんどを封殺する。

 しかし、『同じ種族』と言うものが重要であるならそれはそれで使いこなせるわけだ。『元々の種族』を指定する『一族の結束』は使う際に注意が必要だが。

 

「この雰囲気……あなたも『ISD』なのですか?」

「答える義務はない。間違いないと思っていることをいちいち人に聞くな。デュエル続行だ。デッキからレベル5以上のアンデット族モンスターを特殊召喚する」

 

 遊月のデッキから闇が溢れる。

 

「終わりも始まりもない蛇の王(ウロボロス)よ。怨霊渦巻く大地に降り立ち、死の魔眼を開け!『死霊王 ドーハスーラ』!」

 

 死霊王 ドーハスーラ ATK2800→2300 ☆8

 

「こ、この雰囲気……尋常ではありませんね」

「さらに、手札から『牛頭鬼』を召喚」

 

 牛頭鬼 ATK1700 ☆4

 

「このまま効果を発動し、それにチェーンしてドーハスーラの効果発動。サイバー・ダーク・エッジを除外!」

 

 ドーハスーラの杖から放たれる波動が、エッジを消し去る。

 

「装備されていたカノンの効果で一枚ドロー。『対象を取らない除外』ですか。なかなか欲張りですね」

「王だからな。チェーン1の牛頭鬼の効果で『妖刀-不知火』を墓地に送る。バトルフェイズ。牛頭鬼でダイレクトアタック!」

「うぐ……」

 

 ギル LP8000→6300

 

「ドーハスーラでダイレクトアタック」

「ぐはっ」

 

 ギル LP6300→3500

 

「ドラゴネクロでダイレクトアタック!」

「さすがにそれは通せませんね。罠カード『ガード・ブロック』を発動!ダメージを0にして、一枚ドローします」

「……」

 

 サイバー・ダークの星四機械族は、破壊と肩代わりする効果を持っている。

 そう考えるなら、悪いカードではないのだろうか。

 

「……なら、『アドバンスドロー』を使って、ドーハスーラをリリースして二枚ドロー。カードを一枚セットして、ターンエンドだ」

「私のターン。ドロー」

「スタンバイフェイズ。ドーハスーラは特殊召喚される」

 

 死霊王 ドーハスーラ DFE2000 ☆8

 

「……厄介なカードですね。ですが、止まるわけではありませんよ。私は『強欲で貪欲な壺』を使い、十枚除外して二枚ドロー。手札から『サイクロン』を使い、『アンデットワールド』を破壊!」

「……」

 

 屍界から元の裏路地に戻った。

 

「さて、私は『竜の霊廟』を発動。デッキから『青眼の白龍』と『光と闇の竜』を墓地に」

 

 一枚使えばなんだかんだ言ってアドバンテージを稼いで来るカードだ。

 しかし、『青眼の白龍』……通常モンスターサポートも入っている可能性は考えられる。

 一応注意しておいて損はない。『復活の福音』一枚で跳んでくるからだ。

 

「手札にあるそれぞれ二枚目の『サイバー・ダーク・カノン』と『サイバー・ダーク・クロー』を捨てることで、効果発動。デッキから『サイバー・ダーク・エッジ』と『サイバーダーク・インフェルノ』を手札に加えます。そして、手札から『サイバー・ダーク・エッジ』を召喚」

 

 サイバー・ダーク・エッジ ATK800 ☆4

 

「効果は発動しません。これを使用するためにね。私の最強のカード。『オーバーロード・フュージョン』!」

「そのカードは……」

 

 発動によってフィールドに出現する『オーバーロード・フュージョン』

 だが、そのカードから発せられる威圧感は、通常のそれをはるかに凌駕する。

 

「私はフィールドのエッジと、墓地に存在する『クロー』『カノン』を二枚ずつ除外。闇を纏う機械よ、竜よ、五つの力を束ね。万物を壊せ!」

 

 混じりあうのは、五体のサイバー・ダーク。

 

「融合召喚!レベル10。『鎧獄竜-サイバー・ダークネス・ドラゴン』!」

 

 鎧獄竜-サイバー・ダークネス・ドラゴン ATK2000 ☆10

 

「……普通と比べるといきなりだな……」

 

 サイバー・ダークとはいえ、もう少しこのモンスターには時間をかけると思っていた。

 

「ククク。私の、私自身の力である『オーバーロード・フュージョン』から繰り出す最強のモンスター。それがこのサイバー・ダークネス・ドラゴン。その力を思い知らせてあげましょう。特殊召喚に成功した時、墓地に存在するドラゴン族か機械族モンスターを装備し、その攻撃力を得る!」

 

 墓地から何かが出て来る。

 

「私が装備させるのは、『光と闇の竜』」

 

 鎧獄竜-サイバー・ダークネス・ドラゴン ATK2000→4800

 

「攻撃力。4800」

「さあ、バトルフェイズ!サイバー・ダークネス・ドラゴンで、牛頭鬼を攻撃!」

「……」

 

 遊月 LP8000→4900

 

「ククク。牛頭鬼は確かに、墓地で発動する効果がある。しかし、その発動のためには他のアンデット族を除外する必要がある。その顔ですと、手札にアンデット族はいないようですね」

「……」

「私はカードを一枚セットして、ターンエンドですよ」

「私のターンだ。ドロー!」

 

 いろいろと言ってくるギルを完全に無視して、デュエルを続ける遊月。

 

「一応言っておきますが、『光の闇の竜』は破壊され墓地に送られた場合。自分のフィールドのカードを破壊しますが、墓地のモンスター一体を蘇生することが可能です」

 

 要するに、特殊召喚された時の誘発効果で装備出来るモンスターにとっては、疑似的な破壊耐性になるということだ。

 

「なるほど、私は二枚目の『アドバンスドロー』を発動。ドラゴネクロをリリースして二枚ドローする」

「おや?なんども蘇生できるドーハスーラではないのですか?」

「違うんだなこれが」

 

 二枚ドローする遊月。

 

「二枚目の『屍界のバンシー』を通常召喚し、除外することで『アンデットワールド』を発動」

 

 再び屍界が広がり始める。

 

「む……またこれですか」

「こいつの力を最大限に発揮するためだ。『妖刀-不知火』の効果発動。墓地のこのカードと『牛頭鬼』を除外し、『デスカイザー・ドラゴン』を特殊召喚」

 

 デスカイザー・ドラゴン ATK2400 ☆6

 

「デスカイザー・ドラゴン……」

「効果発動。お前の墓地の『青眼の白龍』を、私のフィールドに特殊召喚する」

 

 青眼の白龍 ATK3000 ☆8

 

 遊月は自分のフィールドに移動してきた『青眼の白龍』を見る。

 

(……このカード。コピーカードだな)

 

 遊月はそう思った。

 確かに、公式デュエルならばまず使えないようなカードだが、デュエルディスクを改造することで使用可能にしている。

 

「フフフ。その程度のモンスターでは、私のサイバー・ダークネス・ドラゴンを倒すことはできない!」

 

 『サイバーダーク・インフェルノ』があることで、『光と闇の竜』を装備しているサイバー・ダークネス・ドラゴンは対象に取れない。

 とはいえ、まあ、やりようはある。

 

「私はレベル6のデスカイザー・ドラゴンと、奪ったモンスターである『青眼の白龍』をレベル6として扱い、オーバーレイ!」

「何!?」

 

 デスカイザー・ドラゴンと青眼の白龍が渦の中に飛び込んで行く。

 

「黒き六つの星々よ。赤い月が惑わす異なる星と共鳴し、高潔なる存在として現れろ。エクシーズ召喚!ランク6『交血鬼-ヴァンパイア・シェリダン』!」

 

 交血鬼-ヴァンパイア・シェリダン ATK2600 ★6

 

「ヴァ……ヴァンパイア・シェリダンだと」

「効果発動。エクシーズ素材を一つ使い、相手フィールドのカード一枚を対象にして、墓地に送る。私が選択するのは、『光と闇の竜』!」

 

 ヴァンパイア・シェリダンが指をパチンと鳴らすと、サイバー・ダークネス・ドラゴンに装備されていた『光と闇の竜』が墓地に送られる。

 

 鎧獄竜-サイバー・ダークネス・ドラゴン ATK4800→2000

 

「そして、破壊されることなく墓地に遅られた『光と闇の竜』は、その効果を発動出来ない。ドーハスーラを攻撃表示に変更する」

 

 死霊王 ドーハスーラ DFE2000→ATK2800

 

「バトルフェイズ。ヴァンパイア・シェリダンで、サイバー・ダークネス・ドラゴンを攻撃!」

 

 再び指を鳴らすシェリダン。

 すると、黒い球が出現して、それが超高速でサイバー・ダークネス・ドラゴンを貫いた。

 

「ぐうう……」

 

 ギル LP3500→2900

 

「この瞬間。ヴァンパイア・シェリダンの効果発動。エクシーズ素材を一つ使い、サイバー・ダークネス・ドラゴンを私のフィールドに守備表示で特殊召喚する。それにチェーンして、ドーハスーラの効果。『光と闇の竜』を除外」

 

 なんとも踏んだり蹴ったりなタクティクスである。

 

 鎧獄竜-サイバー・ダークネス・ドラゴン DFE2000 ☆10

 

「そして、ドーハスーラでダイレクトアタック」

「させませんよ。罠カード『パワー・ウォール』を発動。デッキからカードを六枚墓地に送る」

「……カードを一枚セットして、ターンエンド」

「私のターン。ドロー!」

 

 若干起こったような表情でカードを引くギル。

 

「……ククク、わたしをここまでコケにするような相手は君が初めてですよ」

「そうか。で?」

「本来なら使うのはためらいたいところですが……仕方がないですね。私にボスより与えられた圧倒的な強さを教えてあげますよ。『強欲で貪欲な壺』で十枚除外して二枚ドロー。墓地の『ギャラクシー・サイクロン』で『アンデットワールド』を破壊!」

 

 また破壊された。

 

「私は『グローアップ・バルブ』を通常召喚!」

 

 グローアップ・バルブ ATk100 ☆1

 

「そして、グローアップ・バルブ一体でリンク召喚。リンク1『リンクリボー』!」

 

 リンクリボー ATK300 LINK1

 

「私は墓地のグローアップ・バルブの効果。デッキトップを墓地に送ることで、特殊召喚!」

 

 グローアップ・バルブ ATK100 ☆1

 

「さて、私はこの二体のモンスターでリンク召喚。チューナーを含むモンスター二体、『水晶機巧-ハリファイバー』」

 

 水晶機巧-ハリファイバー ATK1500 LINK2

 

「ハリファイバーのリンク召喚成功時、デッキからレベル3以下のチューナーモンスターを出すことが出来る……フフフ。フハハハハハハ!私はデッキから、『オルフェゴール・カノーネ』を特殊召喚!」

 

 オルフェゴール・カノーネ DFE1900 ☆1

 

「な……『サイバー・ダーク』に『オルフェゴール』だと!?」

「フフフ……私はオルフェゴール・カノーネと、ハリファイバーを、リンクマーカーにセット、リンク召喚!リンク3『オルフェゴール・ガラテア』!」

 

 オルフェゴール・ガラテア ATK1800 LINK2

 

「チッ……」

 

 現在のモンスターの位置。

 

 遊月

 

 □□ドサ□

  ヴ オ 

 □□□□□

 

 ギル

 

 ド→ 死霊王 ドーハスーラ

 サ→ 鎧獄竜-サイバー・ダークネス・ドラゴン

 ヴ→ 交血鬼-ヴァンパイア・シェリダン

 オ→ オルフェゴール・ガラテア

 

「墓地の『オルフェゴール・スケルツォン』の効果、このカードを墓地から除外し、墓地の『オルフェゴール・カノーネ』を特殊召喚!そして『機械複製術』を使い、攻撃力500のカノーネを三体に増やす!」

 

 オルフェゴール・カノーネ DFE1900 ☆1

 オルフェゴール・カノーネ DFE1900 ☆1

 オルフェゴール・カノーネ DFE1900 ☆1

 

 かなり増えてきた。

 

「そして、オルフェゴール・カノーネ三体をリンクマーカーにセット。リンク召喚!『オルフェゴール・ロンギルス』!」

 

 オルフェゴール・ロンギルス ATK2500 LINK3

 

 ガラテアのリンク先に出て来るロンギルス。

 

「そして、ロンギルスの効果発動。除外されているカノン二体をデッキに戻すことで、リンク先にいるシェリダンを墓地に送る」

 

 やられた……。

 

「私は墓地の『オルフェゴール・ディヴェル』の効果を使い、デッキから『オルフェゴール・スケルツォン』を特殊召喚!」

 

 オルフェゴール・スケルツォン ATK1200 ☆3

 

「墓地から『星遺物-『星杖』』を除外することで、除外されているスケルツォンを特殊召喚」

 

 オルフェゴール・スケルツォン ATK1200 ☆3

 

「私はガラテアとスケルツォン二体をリンクマーカーにセット、現れなさい。殲滅の旋律を奏でる最終兵器『オルフェゴール・オーケストリオン』!」

 

 オルフェゴール・オーケストリオン ATK3000 LINK4

 

 ……。

 

(なんていうか……あまりオルフェゴールを触ってないのかね?見えているカードを使っているだけと言うか……かなり必至と言うか……汎用ドロソ使いまくってるわりに展開がそうでもないな。人のこと言えないが)

 

 遊月はギルのタクティクスを見てそう思った。

 とはいえ、こればかりは『汎用ドロソを使いまくらないとどうにもならない』というより、『ドーハスーラの威圧感が半端ない』と言う方が正確だろう。

 

「私はオーケストリオンの効果発動。除外されているクロー二枚とエッジをデッキに戻し、リンク先にいるドーハスーラとサイバー・ダークネス・ドラゴンの攻撃力と守備力を0にして、効果を無効にする!」

 

 死霊王 ドーハスーラ          ATK2800→0

 鎧獄竜-サイバー・ダークネス・ドラゴン DFE2000→0

 

「バトルフェイズ。ロンギルスでサイバー・ダークネス・ドラゴンを攻撃!」

 

 当然だが、なすすべもない。

 

「そして、オルフェゴール・オーケストリオンで、死霊王 ドーハスーラを攻撃!」

 

 遊月 LP4900→1900

 

「私はこれでターンエンドです」

「私のターン。ドロー」

 

 まあまずはこれだ。

 

「スタンバイフェイズ。ドーハスーラは特殊召喚される」

 

 死霊王 ドーハスーラ DFE2000 ☆8

 

「む……ですが、そのカードだけでは……」

「三枚目の『アドバンスドロー』だ。ドーハスーラをリリースして二枚ドロー」

 

 無視する遊月。

 

「なるほどな。『デーモンとの駆け引き』を発動。『バーサーク・デッド・ドラゴン』を特殊召喚」

 

 バーサーク・デッド・ドラゴン ATK3500 ☆8

 

「何?」

「そして、『一騎加勢』を発動。攻撃力を1500上げる」

 

 バーサーク・デッド・ドラゴン ATK3500→5000

 

「な……攻撃力5000だと!?」

「バトルフェイズ。全体攻撃だ。やれ、バーサーク・デッド・ドラゴン」

 

 ギル LP2900→900→0

 

「ぐはっ!……ば、ばかな……この私が……」

「というより、オルフェゴールなんて混ぜるからだと思うけどな……」

 

 正直なところ、慣れていない感じがする。

 そもそも、『サイバー・ダーク』と言うデッキはあまり考える必要がないのだ。

 ソリティアするやつは着地点を明確にしているから強いのである。

 だが、このギルと言う男はそう言うものではなさそうだ。

 

「ぐ……こうなったら一時的に撤退して……」

「逃がすと思うか」

 

 秀星の影から『真紅眼の不屍竜』が出現する。

 

「ぐ……!」

「――!?」

 

 遊月は、ギルの後ろから飛んでくる塊に気が付いた。

 それを察知した不屍竜が、青の黒炎弾を放つことで爆散させる。

 だが、それを対応した時、既にそこにギルはいなかった。

 

「……この塊。見た感じの材質的に『星冠』か?」

 

 そんなことを考えた遊月だが、もう追うことはできない。

 本来の目的である自分のデュエルディスクを取りに行くのだった。

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