遊戯王Incarnation   作:レルクス

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第六話

「ぐぬぬ……綾羽ちゃんのピンチであんなミスをしてしまうとは……」

(ミスと言うレベルなのか?)

 

 通学時。

 遊月と英明はよく一緒になる。

 起きる時間が一緒なのかどうかはともかく、寄り道がほとんど同じなのだ。

 そのため、ばったり会うことも多く、こうしてしゃべることも当然ある。

 

「だが、まだあの醜態を見られてはいない。まだチャンスはある!」

 

 そういって拳を握りしめる英明。

 

「……まあ、お前のそれは正直どうでもいいがな」

「にゃにおう!」

「ところで英明。大束に関しては一つ置いておくとして、彼女の実家の方はどうなんだ?」

「ん?実家の方か」

「ああ。何か知ってるか?」

「もちろん」

 

 聞いておいてなんだがそれはそれで問題があるような……。

 

「大束家は最近名が知られてきてるけど……綾羽ちゃんだけがすごいって感じなんだが……裏に何かすごいのがいる感じがするんだよな」

「裏?」

「ああ。大束家……っていうより、綾羽ちゃんだけ門限がすごく早いんだが、綾羽ちゃん以外はゆるゆるなんだ。兄弟も親戚も、ほとんど強制はされていないらしい」

「ほう……」

「で、どんなところに住んでるのかなって思ってDホイールで追いかけてみたんだ」

「……お前Dホイール持ってたのか?」

「ライセンスも持ってるぞ」

 

 遊月は意外と思うよりも、こんなことを考えていた。

 

(M・HERO使いで、バイクに乗ってるって……なんかアレだな)

 

 とりあえず思考を放棄。

 

「で、見つかったのか?」

「ああ。ただ、敷地内なのに、めちゃくちゃ厳重に管理されてる施設があってな。授業サボって三日間張り込んだんだが、大束家の中では綾羽ちゃんしか入ってないんだよ。それ以外入っていた人たちは、白衣を着たりファイルを持ってたり、そんな感じの学者とか研究者みたいな風貌だったからな」

「……」

 

 徹底してるな。と遊月は思った。

 

「お前、そこまでするのに告白とかしないんだな」

「当たり前だ。俺たちは『ファンクラブ』ではあるが、『親衛隊』でもある。決して、交際だとか結婚だとか、そういう踏み込んだ関係を目指しているわけではない。一歩引いたところから綾羽ちゃんの幸せを望むのが目的だ」

「……」

 

 そこだけ聞くとかっこいいのだが、遊月が見たあのダブル弁慶の激突のインパクトが強すぎて全然かっこよくない。

 

「それ、もしも大束が彼氏作ったらどうするんだ?」

「それが綾羽ちゃんが考えて選んだ結果なら構わねえさ。だって、しっかり考えて選んだ相手なら、そいつと一緒に生きていくのは幸せなことだろ?」

「喧嘩くらいはすると思うが」

「何言ってんだ。『幸せ』じゃなかったら『喧嘩』なんてしないさ。もっとひどいものになる。それによく言うだろ?『喧嘩するほど仲がいい』って。あれはそういうことだって親衛隊長(ファンクラブ・マスター)が言ってた」

「お前の言葉じゃないのかよ……」

 

 あとその無駄にわけわからないルビはなんだ。

 

 とはいえ、本当にその通りの理念で動いているのなら、本人の迷惑にならない限り尊い組織である。

 だが、遊月は言わせてもらいたい。

 

「親衛隊ならちゃんと護れるようになれよ」

「……」

 

 明後日の方向を見る英明。

 流石にこういわれると分が悪いようだった。

 

「わかってら」

 

 英明はそういうと、もう何も言わなくなった。

 遊月としても聞いておきたいことは聞いたので、もう何も聞かなかった。

 ただ、あの黒服が現れた時の大束の表情。

 少なくとも、恐れている何かがあるのは間違いないだろう。と遊月は思った。

 

 ★

 

「チッ。しけてんな。雑魚どもが」

 

 永石は財布の中身を見て舌打ちする。

 そのそばでは、なぜそこまで鍛える必要があったのかわからないくらいムキムキの男がぐったりしている。

 デュエルディスクには『LP0』と表示されているので、今までデュエルをしていたのだろう。

 

「で、あれか」

 

 永石はワゴン車を見る。

 それなりに人を詰め込めそうなくらいの大きさだ。

 永石が中を見ると、目隠しされてガムテープで口をふさがれた女子生徒が二人と、男子生徒が三人いる。

 全員が身じろぎしているところを見ると、起きているようだ。

 クラスメイトではないが、制服は『デュエルスクール・アムネシア』のものだ。

 

「男子が多いな。強制労働施設にでも放り込む気だったのか?……まあ、俺には関係ねえか」

「ククク。デュエルが強かろうと、その鍵をこじ開けることは――」

「キラー。奪え」

 

 永石がデュエルディスクに『アポクリフォート・キラー』のカードを置くと、実際に出現。

 ムキムキの男が驚愕した様子でジャケットの右ポケットを抑える。

 それではどこに隠しているのかを教えているようなもの。

 そして、攻撃力3000のキラーは、なんだかんだ言って力も強い。

 鍵を奪って、永石に手渡してきた。

 永石は鍵を使ってドアを開けると、中にいた全員の拘束を解いた。

 

「あ、ありがとうございます」

 

 中等部三年。永石よりも年下の男子生徒が礼を言ってきた。

 

「別に構わねえよ。狩りのついでだ」

 

 チンピラは彼に取って獲物らしい。

 

「暴行されてねえみてえだな……なら問題ねえな。で、後はアイツか」

 

 キラーがチンピラを抑えている。

 どうやらチンピラの攻撃力は3000未満のようだが、そんなことは永石には関係ない。

 永石は電話をかける。

 

「おい、現行犯逮捕だ。隊員よこせ」

 

 何様のつもりだろうか。

 ただ、永石は警察では有名なのか、電話の受付も慣れたものである。

 

 すぐにデュエルスクール専門部隊のセキュリティ隊員が来た。

 ちなみに、感謝状だとかいろいろ発生すると面倒なので、謝礼金として金一封をもらうというのが、時間的にお互いにとって一番コストパフォーマンスが高いやり取りである。

 そういうわけで、もらった永石も当然中身は確認しない。

 金一封の意味はよくわかっているからである。

 

「お前らも用事がねえんなら事情聴取のためにセキュリティについていけ。カウンセラーの姉ちゃんのおっぱいでけえから」

 

 そういうと今まで意気消沈していた男子たちが顔を上げるのだから世の中と言うのは性欲である。

 そしてそんな男子たちを見て白い目を女子が向けるまでがお約束である。

 こういう事情があるので、不謹慎な話だが被害者に男がいるとやりやすい。

 

「……身も蓋もないですね」

「世の中そんなもんだろ。ていうか。ここはデュエルスクールエリアの範囲内だろうが。まだぐるっと一周囲んだ隔離壁があるはずだろ。こんなチンピラ入れてるお前らが悪いんだよ」

「ぐうの音も出ませんね。それでは、後はこちらで対応しますので」

「おー。よろしく」

 

 永石はそういうと、後ろからかけられる感謝の言葉に対して、右手を上げるだけで答えてその場を後にした。

 そして、近くの広場を通る。

 

「糞が。こんな安物(チャチ)な力じゃなくて、もっと大きな力がほしいってのに」

 

 永石は『アポクリフォート・キラー』のカードをとりだす。

 

「お前が精霊だってことは分かってる。だが、お前から何も言うことができねえんじゃ意味がねえ」

 

 もちろん、捨てようとは思わない。

 精霊。

 デュエルモンスターズでは、一部、存在を認めないものがいるものの、いるとなればそれ相応にデュエリストに影響を与えるカードだ。

 

「もっと強くなれば、もっと上のものを利用できる。それができれば、アイツを……」

 

 そこまで考えた時だった。

 広場のベンチで、見知った顔を発見した。

 

「……不死原遊月」

 

 どうやら本を読みながらベンチに座っている。

 相変わらず腐った目で、ドクロのネックレスを付けていて、いつも通りだ。

 

「……ん?永石か」

「こんなところで何やってんだ?」

「私は日光が当たっているところが好きなんだ。だから、屋上か、こうした広場によくいる。それに、こうして本を読んでいれば、待ち合わせだと思って誰も不思議に思わないからな」

「単純にベストポジションってことか。腐った目をしてるわりに日光が好きとか変わってるぜ」

「よく言われる。まあ、今日に関して言えば、ちょっと面倒になって逃げてきただけだが」

「……どういうことだ?」

「理由があってここに退避しているということだ」

 

 そこで、会話がいったん止まった。

 永石としても溜息を吐きたくなったからである。

 

「……なあ、お前、俺が今持っているもので新しく強くなるとしたら、どんな力だと思う?」

 

 永石が聞いた時、遊月は本に栞を閉じて、永石の方を見た。

 

「力と言うのは二種類ある」

「ん?」

「『小さなものを成長させたもの』と、『身に余るものを制御したもの』だ」

「ああ。まあ納得はできるぜ」

「今持っている。と言っている以上、君が言っているのは前者だろう。だが、君が持っている『アポクリフォート・キラー』のことではないと言われたのか?」

 

 永石の表情が変わる。

 

「何で知ってんだ」

「私が持つドーハスーラに目を向けた君だ。精霊カードと言う存在がどれほどの影響力を持っているのか、そこに鍵があると思っていたことは間違いない。だが、君の中でその考えが揺らいでいるようだ」

「……そうだな。俺が持っている唯一の精霊カードだ。その力ではないっていわれたからだろうな」

「もっとも、本当にそれで君が強くなれないのかどうかはともかく、他にもあるというのなら……それは『機殻の要塞』だろう」

「……」

 

 永石は答えない。何も返答しない。

 

「その反応を見ると、どうやら少しは考えていたようだな。で、あのカード、誰かからもらったものか?」

「……ああ、そうだ」

「そうか。誰からもらったのか知らんが、迷惑をかけないようにしていたようだな」

「なんで分かる」

「そういうカードだと知っているからだ」

 

 遊月は立ち上がった。

 

「もう少し、頼りにしてみるといい。迷惑をかけてみるといい。君が持っている『機殻の要塞』のカードは、たぶんそれを望んでいるからな」

「……おい、本当に、このカードを――」

 

 遊月が左手を前に出したことで、その雰囲気を察したのか、永石の声が止まる。

 

「もう少し、良いツラになって私に食って掛かるようになったら、ここから先のことを話そう」

 

 遊月はそう言うと、背を向けて歩いていった。

 永石は『機殻の要塞』のカードをとりだす。

 

「本当に、これを頼ればいいってことか?」

 

 それはまだ、彼にはわからない。

 

 ★

 

「……どこに行ったんだろう」

 

 綾羽は放課後、遊月に話しかけようと思ったのだが、そのころにはすでに、遊月はいなくなっていた。

 

「完全に逃げられた。そんなに話せないことだってことなのかな」

 

 もちろん、綾羽にだって話せないことくらいはある。

 だが、どれほどなのか。ということはともかく、その質が大きく違うと感じた。

 しかし、綾羽にだって気になることはある。

 

「はぁ……あ、圭吾君」

 

 広場に通りかかったとき、永石圭吾を見つけた。

 すこし、何かを考えているような顔つきである。

 

「……綾羽か。何してんだこんなところで」

「ちょっと探してる人がいて……」

 

 その言葉に、圭吾は頬を動かした。

 

「不死原か?」

「え?……あ、うん。そうだけど、なんでわかったの?」

「なんか『退避してきた』とか言って、さっきまで本を読んでたぞ」

「そうなんだ。どっちに行ったか分かる?」

「あっちだ」

 

 一つの路地のほうを指さす圭吾。

 

「わかった。ありがとう」

 

 綾羽は走り出す。

 路地に入って行って、どんどん進んでいった。

 

「……この街って、こんなところがあったんだ……」

 

 普段は路地裏などを通らないので初めてだった綾羽。

 とはいえ、そういう場所があることはもちろん知っていたが、少し、異質な感じがする。

 

「本当にこっちに、遊月君が……」

 

 そうつぶやいた時だった。

 

「どうやって罠にはめようかと考えていたが、まさか自分から路地裏に入ってくるとはな」

「――っ!誰!?」

 

 綾羽は振り向いた。

 するとそこには、黒いシャツの上に金色のロングコートというなかなか前衛的なファッションの少年がいた。

 そして、感じ取れる雰囲気からヤバいと感じた綾羽は、デュエルディスクを構える。

 

「ほう、逃げるのではなく応戦してこようとするのか」

 

 少年はデュエルディスクを構える。

 

「まあいずれにせよ。逃がすつもりは毛頭ない」

「一体、何が目的なの?」

「お前には理解できないだろうが、『本部からの新技術の提供で、奪う方向にシフトする』というものだ」

 

 少年はカードを五枚引いた。

 

「……なら、ここで倒して、どうにかすればいいだけのことだよ」

 

 綾羽もカードを五枚引く。

 

「俺はレイエス・アドベント。さて、任務開始だ。容赦はしないぞ」

「容赦をしないっていうのは、私のセリフだよ」

「「デュエル!」」

 

 綾羽   LP8000

 レイエス LP8000

 

「先行はくれてやる」

「なら、私のターンからだね」

 

 綾羽は五枚の手札を見て、何をするかを一瞬で決めた。

 

「私は手札から『ヘカテリス』を捨てて、効果発動。デッキから『神の居城-ヴァルハラ』を手札に加える。そして発動。手札から『幻奏の音姫プロディジー・モーツァルト』を特殊召喚!」

 

 幻奏の音姫プロディジー・モーツァルト ATK2600 ☆8

 

「そして『トレード・イン』を使って、『The splendid VENUS』を捨てて二枚ドロー。このまま、『死者蘇生』を使って特殊召喚!」

 

 The splendid VENUS ATK2800 ☆8

 

「さらに、モーツァルトの効果発動。手札の『大天使クリスティア』を特殊召喚する!」

 

 大天使クリスティア ATK2800 ☆8

 

「私はこれで、ターンエンドだよ」

「俺のターンだ。ドロー」

 

 VENUSとクリスティアという布陣を見ても、レイエスは淡々と進める。

 

「……俺は、お前のモンスター三体をリリース」

「え……」

 

 モーツァルトも、VENUSも、クリスティアも。

 いっそ、無情と言えるほどあっさり、消えていった。

 

「お前のフィールドに、『ラーの翼神竜-球体形』を召喚する」

 

 ラーの翼神竜-球体形 ATK0 ☆10

 

「ま……まさか……」

「『所有者の刻印』を発動。こちらに移動してもらおうか。そしてリリース」

 

 リリース。とは言うものの、消える訳ではない。

 ただ、そんな感じのエフェクトが見えたと思ったら、球体が開きだす。

 

「現れろ。『ラーの翼神竜』」

 

 ラーの翼神竜 ATK4000 ☆10

 

「さ、三幻神……」

「驚いている暇はない。俺は『手札抹殺』を使う」

「私は一枚捨てて、一枚ドロー」

「俺は三枚捨てて三枚ドロー」

 

 手札交換は十分に済ませたようだ。

 

「俺は墓地から『グローアップ・バルブ』の効果。デッキトップを一枚墓地に送ることで、このモンスターを特殊召喚する」

 

 グローアップ・バルブ ATK100 ☆1

 

「さらに、手札一枚をコストに、『ジェット・シンクロン』を特殊召喚」

 

 ジェット・シンクロン ATK500 ☆1

 

「現れろ。神罰を刻むサーキット」

 

 出現するアローヘッド。

 

「バルブとジェット・シンクロンをリンクマーカーにセット、チューナーを含むモンスター二体、『水晶機巧-ハリファイバー』だ」

 

 水晶機巧-ハリファイバー ATK1500 LINK2

 

「リンク召喚成功時の効果はあるが……使っても意味はないか」

「え?」

「再び現れろ、神罰を刻むサーキット」

 

 再度出現するアローヘッド。

 

「俺は、ハリファイバーと、ラーの翼神竜をリンクマーカーにセット」

「三幻神を素材に……」

「リンク召喚。リンク3『アークロード・パラディオン』!」

 

 アークロード・パラディオン ATK2000 LINK3

 

「そのモンスターは……」

「そして、ラーの翼神竜が墓地に送られたことで……現れろ。『ラーの翼神竜-不死鳥』!」

 

 ラーの翼神竜-不死鳥 ATK4000 ☆10

 

「ご、ゴッドフェニックスって……」

「アークロード・パラディオンは、リンク先のモンスターの元々の攻撃力分、その攻撃力をアップさせる」

 

 アークロード・パラディオン ATK2000→6000

 

「こ……攻撃力6000」

「その代わり、リンク先のモンスターは攻撃できなくなる。だが、不死鳥に効果は通用しない。攻撃が可能だ」

「――!」

 

 攻撃力4000の不死鳥と、攻撃力6000の騎士。

 いや、そんな数値的なものではない。

 

 赤々と燃え上がる不死鳥。

 そこからは、感じとってしまう。

 

 原始的で

 

 単純で

 

 濃密で

 

 絶望的で

 

 自分の中で、何かが終わってしまうのではないか。

 そんな恐怖が、綾羽の心と体を駆け巡って来る。

 

「バトルフェイズ。アークロード・パラディオンで、ダイレクトアタック」

「――!」

 

 両腕を交差させる綾羽。

 そんな綾羽など意に介さず、アークロード・パラディオンは剣を振りおろす。

 発生した斬撃は、そのまま綾羽の方まで飛んでくる。

 デュエルディスクに発生した衝撃。

 だが、そんなもので受け止められるようなものではなかった。

 そのまま吹っ飛んでいき、近くの壁に激突する。

 

「あぐっ!」

 

 そのまま地面に落ちて、フラフラになりながら立ち上がった。

 

 綾羽 LP8000→2000

 

「ラーの翼神竜。やれ、ゴッドフェニックス」

「――!」

 

 不死鳥が燃え上がり、綾羽に向かって突撃してくる。

 綾羽の体を貫き、内側から焼かれるかのような感覚が、綾羽を襲った。

 

「いやああああああ!」

 

 不死鳥はそのまま舞い上がる。

 そして、綾羽の中から、とても大事なものを奪っていく。

 綾羽はそのまま膝から崩れ落ちて、意識を失った。

 

 綾羽 LP2000→0

 

 不死鳥はレイエスのそばに戻ってきて、口の中からあるものを出して彼に渡す。

 それは、三枚の『神の居城-ヴァルハラ』だった。

 

「ふーん……さすが、俺と同世代(・・・)だな。まあいい……?」

 

 レイエスは、倒れている綾羽のデッキから、あるものを感じる。

 近づいていって、それを確認した。

 

「なるほど、『灰流うらら』の精霊カード。しかもかなりのレアだな。俺の相性は悪そうだが……」

 

 そう言った後、レイエスはポケットからあるものをとりだす。

 言ってしまえば、手錠のようなもの。

 

「さて、後はこいつをあの研究所に……!」

 

 レイエスは上から何かを感じる。

 見上げると、『死霊王 ドーハスーラ』が、その杖に暗黒の波動を集約させている。

 レイエスは『ラーの翼神竜-不死鳥』をデュエルディスクにセットした。

 ドーハスーラの前に不死鳥が出現。

 暗黒の波動は、不死鳥の阻まれた。

 

「フン。そんな雑魚モンスターで、俺に勝てるわけが……!」

 

 圧倒的と言えるステータスと、完全耐性を持つ不死鳥。

 だが、そんな不死鳥を素通りして、そのままレイエスに斬りかかって来る何かがいた。

 デュエルディスクで受け止めるが、衝撃を受け流すことはできずにそのまま下がる。

 綾羽との距離が開いてしまった。

 

「チッ……『No.23 冥界の霊騎士ランスロット』か」

 

 直接攻撃モンスターだが、まさかデュエル以外でもその効果を発揮するとは思わなかった。

 その時、サイレンが聞こえてくる。

 

「……これ以上、大ごとになると、この学校の生徒会長が帰ってくる可能性があるな」

 

 レイエスは手に持った四枚のカードを見る。

 『神の居城-ヴァルハラ』三枚と、『灰流うらら』だ。

 

「まあ。今回はこれくらいでいいとしよう」

 

 レイエスはその場を後にした。

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