Bloodborne×このすば!   作:メスザウルス

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冒険者登録2

あれから数分後、めぐみんとイズは戻って来た。

イズの手にはギルドカードが握られており、どうやら無事冒険者登録を済ませることができたらしい。

 

なのに何故だろうか。その足取りは異様に重く見える。

 

「あー…」

 

「おかえり」と言おうと思っていたが、あいつらの姿を見た瞬間、喉の奥で言葉が止まった。気力が削がれたと言ってもいい。

幽鬼とも差し支えないような暗い顔をするめぐみんと、同等に落ち込んだ様子のイズの姿に、声をかける事を憚れたのだ。

イズやめぐみんの通った近くに座る冒険者たちは、その悪霊のようなカビ臭い雰囲気に一瞬目で追うも、直ぐに視線を外し、我関せずを決め込んだ。

 

(…めんどくせぇ)

 

カズマはそんな二人に顔を顰めた。

流れ来る不吉感。漂う邪悪。忍び寄る嫌な予感。

カズマの頰に、一滴の雫が流れる。

 

見ただけで理解した。

触るな危険と殴り書きされていた。

その尻に着く導火線が見えた。

 

だからお願い、来ないでくれ。どんな威力かは知らないが、爆弾なんて持ってこられてもどうしようもない。

厄介事と言う名の地雷と化した二人は、淀んだ足取りのまま止まること無く、こちらの願いに反してどんどん突き進んでくる。

地雷なのに向こうから突っ込んでくるとは一体どういう事なのか。

 

「……」

「……」

 

二人とも各々が席に戻り、しかしその間一言も話すことは無かった。視線は下げたままで、どんよりとした重い空気が辺りを包む。ギルドの広い席であるにも関わらず

閉鎖されたような息苦しい空間が出来上がっていた。

 

「…(クイクイ)」

「…(ピクン、ブンブンッ)」

 

凍てつき重くなっている空気を瓦解せんと、カズマは顎で「お前が行け」と即したが、ダクネスは一瞬驚いた後に首を横に振った。

なんでだよ。行けよ。お前盾になるとか言ってただろうが。危険な場所に喜んで突っこむドMだろ?今こそその無駄な性癖と筋肉を使う時だろうが。

 

「おいカズマ!筋肉は関係ないだろう!?それと私のアレは筋肉じゃない!」

「いやだって、前にカエルの群れから逃げようとした時、俺が全力で引っ張ってもビクともしなかったじゃん。アレってお前の筋肉が俺より発達────」

「してない!!鎧の重さだ!」

 

顔を赤らめて必死に怒鳴るダクネスに、カズマは冷めた視線を送っていた。彼の中では、彼女の筋肉などどうでもいいことなのだ。冷酷な視線に晒されダクネスは少し嬉しそうだったが───本題はずっと先にある。

カズマは心底気持ちを込めて溜息を吐き出すと、「ズーン」と擬音でも聞こえて来るほど落ち込む二人に声をかけた。

 

「何をそんなに落ち込んでるのかは知らんが、元気だせって。一体何を言われた?」

「……」

 

一拍置いた後に、めぐみんが声を詰まらせながら「実は…」と口を開いた。その表情はなにかに怯えるようで、いつもの厨二病を患わせている時ような元気はない。どうやら相当な緊急自体のようで、カズマも気を引き締めるようにゴクリと固唾を飲んだ。

 

「冒険者を辞めた方がいいと言われました」

「え、誰が?」

「イズが……受付の方に」

「───なんで!?」

 

カズマが驚きの余り上げた声はギルド内に響き、何事かと視線が集まる。晒された視線に居心地の悪さを感じたカズマは、誤魔化しの咳を一つ入れると、再びめぐみんに視線を戻した。

一体何の経緯があってそんな事を言われたのか。

意外にも聡明なカズマは、説明も無しに大体の理由を想像出来てしまった。ギルド職員に冒険者になる事を止められる理由など、ステータスが低いぐらいしかない。

しかし、長らく引きこもりを貫いて来た自分でも冒険者になれたのに、ギルド職員に止められるようなステータスとは、一体どのようなものなのだろうか?ダメだ、想像するだけで恐ろしい。

憂鬱になり落ち込むカズマを見てか見ざるか、めぐみんがギルドカードを渡すように伝え、イズはおずおずといった感じでカズマに差し出した。

 

渋い顔をしながら、カードを受け取る。

一体どんなステータスなのかと、返却されたテストの如く覚悟を決めて目を通せば、そこには思ったほど悪くない数字が並んでいた。

 

「あれ? 大して悪くないじゃん」

 

むしろ総合的なステータスは、ここに居る誰よりも高い。筋力は俺より少ないが、素早さと器用さが群を抜いて高い。見た限り俺なら声を上げて喜ぶようなステータスだ。これで一体何が────

 

「ンン!?」

 

カズマが目を見開く。瞼をぱちぱちと瞬かせ、現実を許容出来ないのか袖で何度も擦った。そうして改めて目を通すが、記される文字は当たり前のように変化はない。カズマが見るのは防御力の欄。その隣に位置する数値がとんでもないものだった。

 

「気付きましたか…」

 

めぐみんの暗い声が、カズマの耳を劈く。

ポツリと呟いた声なのに、無駄に透き通って聞こえた。

 

「イズの防御力が、有り得ないぐらい低い事に」

「なに?」

 

めぐみんの一言にダクネスが反応を示し、イズに閲覧の許可を取ると、俺の横から覗き込むように

冒険者カードを見た。

 

「───! 本当だ…これは…っ」

 

ダクネスでさえ息を詰まらせるイズの紙装甲に、カズマは涙が出そうになった。

カズマはイズの数値がこの世界でどれ程のものなのか理解していないが、それでも己のステータスの100分の1しかない防御力は相当な低さであると理解出来る。

 

「…なぁ、ダクネス」

「何だカズマ」

「イズのこれって、簡単に例えたら、どれくらい?」

「……」

「頼む、はっきり言ってくれ」

「…いいのか?」

「、───ああ」

 

了承の返事は蚊が鳴くように小さかったが、それでもカズマの固い意志を見たダクネスは申し訳なさそうにイズを一瞥すると、少しだけ息を吐き出した。

 

「赤子だ」

「……えぇ?」

「首が座らない赤子の、首と同等か、それ以上だ」

「────ウッソだろお前!?」

 

血を吐くような勢いで、カズマは信じられんとダクネスに振り返った。

 

赤子って────しかも首ってお前!?

 

予想外のイズの脆弱さに、カズマは叫ばずには居られなかった。もしもその話が本当なら、一体今までどうやって生きてきたというのだろうか。

 

急いでいる人にぶつかれば死に、石が飛んできたら死に、階段から落下しただけで死ぬ。

本当に何気ない何かが、この騎士にとっては致死量の攻撃となってしまう。

 

「これって…お前にかけられている呪いのせいなんだよな?」

 

幾分かの期待と希望を込めてカズマは尋ねた。

「これは後天的なものなんだよな?」と。

有無を言わさず、四の五の言わさず、嘘は許さんと覇気を出すカズマを見て、イズは静かに視線を外し、何も無い虚空を仰いだ。この事から既にイズの答えは決まったようなものだが、絶望の淵に立たされた男の目には映らなかった。否、映っていたが現実を直視出来ずに脳が見て見ぬふりをしたのだ。

 

人間がこんなにも紙装甲なわけが無い。素が赤子の首と同じ防御力とか絶対ありえない。もしもそれが事実ならイズはとっくの昔に死んでるはずだ。イズの顔を見ていないから分からないが、恐らく背丈から俺やダクネスと同等かそれ以上の年齢だろう。ギルドカードにも年齢の欄に18と書かれているし、まさかそれまで一度も転けたことがないとか、誰かと喧嘩した事が無いわけが無い。それに大人になってこのステータスであるならば、幼少期の防御力はこれより下ということになる。無力な子供が、こんな体で生活なんてできないだろう。特に出産の際、確実に肉体が耐えきれず死んでしまう。だから、これはきっと呪いのせいに違いない。 そうであって欲しい。頼むからそうであってくれ。

 

カズマの推理は大まかで根拠のないものであるが、それでも自信があった。消去法で導いたものだが、こうでもないと辻褄が合わない。いや、合わせたいのだ。

 

「そうだよな? 呪いのせいだよな??だってお前、生まれた時からこんな防御力って、有り得ないもんな?」

 

茶色いブラウンの瞳を濁らせ、そう尋ねる男にイズは気まずさを感じた。

哀れな男。ただ視線を逸らし、目に浮かぶ答えを見ようとしない愚鈍な男。本来ならば、この様な目をした者と対峙した時、相手にすること無くどこかに走り出して逃げるのだが、カズマが万札でケツを拭いた後、丸めてトイレに流したような目をしている根源が自分にある以上、信念と覚悟を持って真実を伝えねばならない。

 

────イズは左右に首を振った。

 

「…え、ウソだろ?素でこの防御力?」

「死すべし」

「呪いのせいとか、そういう可能性は…?」

「死すべし、死すべし」

「──────ちッッくしょおおおお!!!」

 

カズマが泣き叫ぶように声を上げ、テーブルを叩いた。

ガシャンと皿が鳴り、人が少なくなってきているギルドに大きな音が響く。

またもや他の冒険者達から怪訝の目を向けられるが、そんなもの最早どうでもいい。

より大きな問題が目の前にぶら下がり大車輪を決めて存在主張しているのだから、今更人の目などという些細な事は気ならなかった。カズマの精神が正常ではなくなっているのだろう。SAN値チェックである。

 

「連れて行けねえじゃん!!こんなの冒険できないじゃん!!」

 

頭を掻きむしりながら発狂するように叫ぶカズマ。どうやらSAN値チェックに失敗したようだ。

運だけは良い男だとアクアから聞いていたが、本当はそうでもないのかもしれない。

 

別段、この身体の脆さに対して悲観も嘆きもした事は無いが、確かに不自由さを感じる時がある。

メルゴーの乳母には一撃で殺されるし、アメンドーズの光線には掠っただけで蒸発した。

ローレンスの炎には新聞紙のように燃えたし、ルドウイークやマリアやゲールマンに何度真っ二つに切り裂かれたか分からない。

そういう時には使い勝手の悪い、脆い身体だと思うのだが、それでも別段何ともない。むしろこの身体の脆さのお陰で、敵の動きを読み、躱す技術が特段に上がった。銃が使えないこともあってか、受け流すという狩人の戦い方には無い技術も習得した。

それにどんな一撃を受けても一瞬で逝けるから痛みも感じないし、そもそも全て躱せばいいだけの話なので防御力など必要ないと思うのだが、狩人ではないカズマたちにはマジェスティックでぶっ飛んだイズの思考回路など理解する事はできないだろう。

 

「ちくしょう…っなんで俺のいるパーティーばっかりこんなゲテモノステータスが…」

 

とうとうカズマがその瞳から涙を流し、恥も外聞も無視し、思いっきり泣きじゃくった。イズの驚異的なステータスが彼の中の"泣きそう"の域を出てしまったのだ。

……望んでこの身体に成ったとはいえ、ここまで他人に嘆かれてはどうにも変な気分になる。

 

実を言えば、イズはあの獣の夜に目覚めた時よりの記憶が、『生まれるべきではなかった』ということ以外、一切合切無くなっている。上位者となり、世界の理や真理を理解し、発狂し、血肉をぶちまけてなお、過去を刻んだ己の脳は何も映し出すことは無かったのだ。

故に、出生を問われれば分からないと答えるしかないし、夢への目覚めが己の出産みたいなもの。

カズマの聞く内容とは少し違うが、目覚めを己の生まれだとすれば"生まれたとき"からこの身体であるというイズの答えは、全く嘘ではないのだ。

 

「……」

 

未だ尚鼻をすすりながら双眼より塩水を流し続けるカズマに無言でダクネスは近寄り、カズマが持つイズのギルドカードを拝借した。どうやら机にうつ伏せて無残に泣く男を慰めるつもりは無いらしい。

 

ダクネスは暫くイズのステータスを凝視すると、トントンとカズマの肩を叩く。

 

「おいカズマ」

「……何だよ。今とてつもなく忙しいのだが?オレの傷ついたガラスハートを涙で優しく撫で続ける事に忙しいのだが? もしも、お前が今から話す事がくだらん内容だったら、スティールでパンツを剥ぎ取った上で水で濡らして、それを履かせた上で朝まで外に立たせるからな」

「っ…!? なっ、なんというハレンチなっ…!しかし、そんな事で私が屈すると思っているのか!甘い、甘いぞカズマ! わたしを満足させたいならこれの10倍は持ってこいっ!!」

「うるせーよほんと!!マジでうるせーよどうにかしろよこの変態をっ!!誰かどうにかしてくれよおおおおおお!!」

 

ダクネスの発言にカズマは再び悲鳴を上げ、嗚咽を漏らした。顔を赤面させ、何やら息を荒らげるダクネスに、イズは一人戦慄する。今初めてダクネスの変態性を見たイズは、彼女が己が啓蒙の理解を超える超人であると知ったのだ。

びしょびしょのパンツのまま野外で一夜立たせるなど、最早人のできる諸行では無い。

それを思いつくカズマもカズマだが、喜ぶようなダクネスは真の人外ではないだろうか。

 

────それに比べて自分はどうだろう。

 

腕力で勝て無いから技術に逃げた。

防御力が無いから回避に逃げた。

銃が扱えないからナイフに逃げた。

数で負けているから戦術に逃げた。

 

ダクネスの在り方は、私とは間逆。

誰もが嫌がることを喜んでその身で受け立つ。誰も行かぬ茨の道。そんなダクネスの生き方に、イズは心から尊敬した。

 

嫌なものから逃げ続けた自分には無い、一つの才能だと思った。

 

「おい、イズがダクネスを神聖な目で見てるんだが。頭ひっぱたいてやったほうがいいか?」

「止めてください、もげたらどうするんですか!?」

 

カズマの呟いた一言に、めぐみんが怒った。

『引っぱたけば首がもげる』

言葉にすれば妄言に聞こえるが、それでもイズなら本当に飛んでいくかもしれない。物理的に。

いや、実際は精神的にも飛んでいるのかもしれない。

一体どうやったらあの変態をあんな風に見れるのかさっぱり分からない。イズという男は、そのステータスと同じく思考もゲテモノの可能性が出てきた。

カズマは今後やって行く新たな仲間に、憂鬱な感情しか抱けなかった。

 

 

 

 

「よっしゃああああ!! やったあああああ!!」

 

時が経った数刻後。

 

先程の憂鬱な姿とはうって変わり、歓喜により雄叫びを挙げるカズマがいた。

己の内より迸る歓喜に絶叫し、荒れ狂う激情のまま席を立って腕を掲げ、拳を握っていた。

イズを除くパーティーメンバーから湿った視線を投げられるが、全く持って気にならない。寧ろそんな視線ですら、今は心地よくある。

 

彼が歓喜に震えている理由は、イズのステータスにあった。

 

イズのステータスにより絶望に暮れていたカズマであったが、彼女のギルドカードを隅々まで見ていたダクネスは、注目されていた防御力ではなく、スキルに目を通していた。

 

そこに記されるは未知のスキル。

 

今まで見た事も聞いたことも無い異形のスキルが、イズのスキル欄を埋め尽くしていた。

ダクネスはそれをカズマに伝え、確認を取らせた後に、カズマはギルド職員や冒険者たちに聞き回った。

こんなスキルを聞いたことはあるか。このスキルは知らないか。しかし、帰ってくる返事は全てが"NO"。

聞き回って分かったことは、これら全てがイズの固有スキルであると言う事だった。

 

その結果にカズマの顔は憂鬱から喜色に変わり、快哉を叫んでいる今に至っている。

 

「イズ、お前ならやってくれると思ってたよ。これだけ固有スキルが有れば、魔物討伐なんて楽勝だな。これからよろしく。このパーティーのリーダーとして、お前を歓迎する。頼りにしてるぞ…!」

 

かつて無いほど綺麗な瞳で、イズの肩に手を置くカズマ。いきなり触られたことでビクリと少しだけ肩を震わせたイズであったが、特に払う必要も無いかと考え濁りの取れた男の目を見つめ返した。

カズマは先程抱えていた感情を霧散させ、快くイズを受け入れた。否、取り込みにかかった。

 

イズはかつてモンスターを狩る職業についていたと言うが、あんな防御力でモンスターを"狩る"など不可能であり、初心者用のモンスターでさえ討伐が難しいという事を身をもって知っているカズマは、他の理由があると考えていた。

弱いステータスを補うための手段は数多にあるが、その中でも1番多いのは上等な装備か強力なスキルだろう。

あんなステータスでモンスターを"狩る"と言えほど余裕を持っているのなら、それなりに良いスキルが有るはずだ。

 

ギルドカードにはスキル名だけで効果や内容などの詳細は書かれていなかったが、あんなに持っているのなら一つぐらい使えるスキルもあるだろう。

 

笑顔になったカズマに、イズは胸をなで下ろした。そして同時に、こんな血塗れナメクジな自分を歓迎してくれるパーティーに出会えた事と、殺す事しか出来なかった自分が他人を笑顔に出来たことに喜びを感じた。

今まで人と接することが少なかった彼女にとって、こんな雑多な出来事であろうとも、全てが幸福に感じるのだ。

 

「イズちゃん!? あなた利用されようとしてるのよ!?そんな事で喜んじゃダメ、目を覚まして!!」

「シャラップ駄女神!!イズはもうオレたちのパーティーに入ったんだ!今更変更は認められなーい!」

 

いきなり180度意見を変えたカズマを見ていためぐみんとダクネスは、あまりのクズマっぷりに溜息を漏らした。大切な信者(なる予定)が悪の手に堕ちるのを食い止めようと、アクアは惚けるイズの肩を必死に揺らし、めぐみんとダクネスはもの言いたげな視線を送ったのだった。

 

 

 




イズさん、ギルドカードをつくる際、記入欄を自分で書いた訳ではなくめぐみんに書いてもらったので、性別の欄は女ではなく男となっています。

このすばのギルドカードの仕組みをよく分からないまま書いたので、間違っていたらご指摘して下さい。


イズ 人間形態 スキル名

【血の継承(ブラッドボーン)】

《派生スキル》

『震え』
 忌まわしき悪夢に囚われた、蟲に刻まれる烙印の一つ。長きに渡り宿らせた血の意志は、己が意思により真の姿へと形を変える。
 いつか貪り喰われる恐怖に怯えながら、蟲は血を這いずり燃え上がった。ただ、その欲に命じられるがままに。

彼女の血もまた、この血のように燃えていた。


『吸啜(リゲイン)』
 月香の狩人の基本技能の一つ。上位者となることで本来のリゲインが変質し、その効果を高めた。
 輸血はおろか、敵を切り付けた際の返り血すら糧とし、瀕死の重傷ですら復帰できる。
 他者の血を啜り立ち上がる。それは負け続けた全てを無駄にしないための、揺るがぬ意志であった。


『狩り』
 人ならぬ声の表音となるカレル文字の1つ。赤く滲んだそれには「狩り」の意味が与えられ、狩人狩りの契約に用いられた。

 狩人狩りの敵は、血に酔い、不吉な鐘に共鳴する狩人である。
 あるいは「狩り」の契約者に敵対するならば
何者であれ、すなわち血に酔った証しなのだ。


『獣性』
 人の穢れの一端。それは破滅に導く呪いであり、全ての人が等しく持つ凶暴性の具現である。
 奴らは肉を裂き血を浴びる快楽を求めるため、身を棄て己の力を高めた。たとえその先に、滅びしか無いと理解していても。
 だが、知性ある優秀な狩人はこれを利用した。獣の本能すら、己が力と変えるために。

 恐れることなかれ。苦痛とて我らの愉悦にならん。


『啓蒙』
 上位者と呼ばれる諸々の存在、その失われた智慧の断片によって得た啓蒙。
 超次元の宇宙悪夢的なものを含む、凡そあらゆる存在、魔術的な欺瞞や偽装など、限りなく正解に近い答えを見抜く力を得る。
 ただし、見えることが幸福であるとは限らない。
 それは天啓にも似て、だが決して理解できぬものだ。


※ここにはスキル説明を記入しましたが、ギルドカードには【⠀】と『 』の部分しか書かれておりません。
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