空門side
都市から抜け出した俺は部下を連れて主君であるメガトロンの元へ向かっていた
片手には果物が入った篭を持っている
空門「レーザービーク、お前は先に行きメガトロン様に待ち合わせ場所を知らせろ。この篭も渡してくれ」
レ「・・・」
何故か返事がない部下に疑問を抱き足を止めた
空門「どうしたレーザービーク、返事が「決めたぜ空門!俺達は改名することにした!」…なに?」
突然叫ぶように宣言したレーザービーク
レ「俺、ラヴィッジと話し合ったんだ。一度死んで、サウンドウェーブは生まれ変わった。メガトロン様も生まれ変わった。
空門「・・・」
レ「だから俺達も改名して生まれ変わろうって思ったんだ」
生まれ変わる…か。
確かにそうだ、俺達は戦いに敗れ死んだ。本来我々はオールスパークに還る筈だった。しかし気が付けば宇宙にいた
そこで現れたマトリクスに触れた途端異変が起こり俺は三味線の付喪神として異世界に転生し、一人の人間との出会いによって俺は変わった
長年続く戦い全てが嘘のように一変し、戦士からただの音楽家となり、今の俺が存在している
だからといって
自由を得ている今、俺は
あの
空門「そうだな、いいじゃないか。その様子だと名前は決めているようだな」
レ「おう!そんじゃ発表するぜ!まずはラヴィッジからだ!!」
部下達に新たな生き甲斐を得たと知り心の底から安心した
レ「デレレレレレレレレレレレレレレレレレレレレレレレレレレレレレ…………デン!」
口で言うのか
レ「・・・ジャガーだ!!!」
ジャガー「ガオーーーーン!!!」
レ「そしてこの俺、レーザービークはァ!!」
ジ「グルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルル…………ガウ!」
ジャガー、それドラムロールのつもりか?
コンドル「その名も…………コンドルだ!!!」
空門「コンドルにジャガーか……そのままだな」
コ「それでいいんだよ、俺達にはピッタリだと思わねぇか?」
空門「確かにその方がしっくりくる…何故かな」
コ「決まりだな…あ、そうだ空門」
空門「なんだ?」
コ「お前、メガトロン様に会った後どうするんだ?月に移住するんだろ?」
空門「いや、そのつもりはない」
コ「あれ?てっきり音楽家を続けるのかと思ったんだけど」
空門「もちろん、音楽家は続ける。俺の居場所はあの御方の側にいることだ。ディセプティコンが滅んでもそれは変わることはない」
コ「…そうかい、分かった。じゃあ行ってくるぜ」
空門sideout
源道「うますぎるっ!!!?」
曇り一つない星空の下、源道はとある木に寄りかかり先程コンドルから貰った果物を頬張っていた
木の表面にはかつて空門が残したサイバトロン語のメッセージが刻まれている
メッセージの通りに待機している源道一人満月を見上げこれから合う忠臣について考えていた
源道(都市の人間は50年後月に移住する計画を立てている。サウンドウェーブはそれまで同じディセプティコンと合流する為今も捜索していると言っていた。そして見つけたのが俺か…)
もし仲間を発見しなかった場合サウンドウェーブは人間と共に月へ去って行く。結果、彼は前世と同じような戦いの日々から離れ豊かな生活を送れる
しかし彼は主君であるメガトロンの存在を知ってしまった
迷い無くメガトロン、またの名を源道と共に生きる選択をする。
音楽以外無欲なサウンドウェーブはメガトロンに忠実である。それは誰よりもだ
ディセプティコンもオートボットも存在しない
源道はそう願っていた
数分後、源道の前に現れたのはジャガー
その後ろには赤いバイザーサングラスを着用し青いロングコートを羽織り三味線を背負った男が源道へ近づき片膝をついて頭を垂れた
空門「ディセプティコン情報参謀サウンドウェーブ、ただいま参上致しました」
源道「ああ、久しいな我が
空門「ハイ、私もまさか会える日が来るとは思いませんでした。しかし貴方が此方にいるということはディセプティコンは…」
源道「そうだ、我々ディセプティコンは壊滅したのだ。オートボットと人間共の勝利に終わった」
空門「そう…ですか。申し訳ございません。あの時私が捕虜を取り逃がした挙げ句敗北してしまわなければディセプティコンの勝利は」
源道「もうよい、それだけで我々の敗因とは限らん。今更過ぎたことだ」
空門の言うあの時とはシカゴの決戦での出来事
まだサウンドウェーブだった彼はオートボット戦士バンブルビーを含む捕虜達を戦利品として処刑する最中、上空に待機させているディセプティコンの戦艦の中から戦闘機が落下したのだ
結果仕留め損ねたバンブルビーに返り討ちに遭い破壊されたのがサウンドウェーブの死因だった
戦闘機の落下はかつてオートボットに鞍替えした小型のトランスフォーマー、ホィーリーとブレインズによる破壊工作によるものだったということを彼は知る由もないだろう
源道「この話は終わりだ。それよりこの世界の生活はどうなんだ?音楽家になっていると聞いたが?」
空門「はい、付喪神として転生してから様々なものに出会いました。それに…変わった奴もいましたが」
脳裏に浮かぶのはやたらと桃を食わせに来る女の姿
空門「何がともあれ、おかげで心躍る毎日です。それで、ある日気が付きました…」
空門は掛けていたサングラスを外す
空門「生きる道が変わるだけでこんなにも違うんだなと」
源道は目を丸くした
空門の表情は笑顔に満ち溢れていたのだ
ディセプティコンの中では普段寡黙で誰にも見せることのなかった笑顔
彼に居場所が出来ていると源道は確信する
やはり彼は人間と共に月へ旅立つ方が間違いなく幸せだろうと
源道「変わったなぁ、サウンドウェーブ」
空門「貴方の方こそ変わられましたな、メガトロン様」
ルーミアside
ここ数日の記憶がない、なんでだろ?
たしか源道と一緒に都市から逃げた後大きな鳥を見付けて食べようとしてそれから……駄目だ、思い出せない
源道に聞いたら「知らん」って言いながら見たことない木の実食べてたし、大きな鳥からは「俺のことはコンドルって呼べ」って言われた
ル「ねぇコンドル、なんか知らない?あと食べていい?」
コ「…し、知らねぇな。あと喰おうとすんな」
今日の食料を探してるけど中々見付からない
ル「…もうさ、アンタが食料でいいんじゃない?」
コ「ふざけんじゃねぇよ!!俺を絶対に食うなって
ル「あ~そういえば言ってたなそんなこと。すっかり忘れてた」
コ「忘れてたってお前…」
よくよく考えたらこの鳥食べちゃったら拳骨じゃ済まされないかもしれない
あ~お腹すいたなぁ、なんかいないかなぁ
?「探したぞ闇妖怪」
突然一体の妖怪が姿を現した
その妖怪はフードを被り顔を隠していた
コ「なんだこいつ」
ル「アンタ、まさか私の食料になってくれるのかしら?」
?「違う、殺し合いに来たんじゃない。お前に話があって来た」
話ねぇ、一体なんなのかしら
?「五十年後、人間共が月へ移住する」
ル「・・・は?」
コ「・・・」
月へ移住する!?それって…
?「今我々は幾多の妖怪を集め軍を作り総攻撃を仕掛ける準備をしている。あの忌々しい都市の人間共を喰らうまたとない好機なのだ!!」
ル「…へぇ…」
?「お前が俺と、いや…我々と手を組めば良い戦力が手に入る。どうだ?」
ル「そうねぇ…まあ、考えておくわ。アンタ名前は?」
?「すまん、紹介が遅れた」
「我が名は鑞貮《ろうじ》、五十年後にまた会おう」
ルーミアsideout
コンドルside
なんでアイツが移住計画の事知ってるんだ?
さっき我々と言っていたが他の妖怪もこの事を知っているってことになるな
…これは空門や源道様に報告しなきゃな
ル「…ねぇ、なんか上の空だけどどうしたの?」
コ「いや、なんでもねぇよ」
ルーミアもなに考えてるのか分からねぇ
警戒した方がいいな
どーも、米握りでーす!!
明けましておめでとうございます!!!!
…本当は年末に更新したかった
コ「あ~あしまらねぇな」
ヤバい、すげぇ悔しい
コ「挙げ句の果てに表現力の無さは変わらねぇしな~」
源道「ハハハハハ!よかったではないか。毎日桃食い放題なのだろう?」
空門「流石に毎日は勘弁願いたいですがね」
…こっちはなんか盛り上がってるな