今回は兄視点です
カーテンの隙間から差し込む光で目が覚めた。
(そうか昨日俺はあの夢を見てひまりに…)
隣を見るといつものように無防備なひまりが眠っていた。
いつも通りのこととはいえここまで警戒感のない様を見ていると、将来変な男に捕まるんじゃないかと心配になる。
(ん?)
その時確かに胸の奥が痛むのを感じた。
(待て待て待て、いくら可愛くて俺の唯一話せる女の子だからってひまりは妹なんだぞ…)
信頼を向けてくれているであろう妹にそんな目を向けてしまったことに対して罪悪感を感じているとひまりがもぞもぞと動き出した。
「うーん、お兄ちゃんおはよってきゃあああああ!」
寝起きで大きく欠伸をしたと思ったら突然悲鳴を上げた。何故かひまりのパジャマのボタンが外れていたのだ。
一方で、俺はついさっきまで自戒していたはずなのに突然の出来事に対して何も考えられず固まってしまっていた。
「き、着替えてくるね!」
慌てて体を隠しながらひまりが出ていくと、バタンと力強く閉められた扉の音が俺の意識を呼び戻した。
(やっぱりでかい…ってまた何を考えているんだ俺は!)
あの光景はしばらく忘れられないものになるだろうということは確信出来た。
「お兄ちゃん、入るね?」
しばらくの間、俺が再び自己嫌悪に襲われているとひまりが戻ってきた。
「さっきはすまん!」
「いやそれはこっちの台詞だよ!お兄ちゃんは何にも悪くないんだから頭を上げて?ね?」
これ以上謝ってもひまりが困るだけだと悟った俺は改めてひまりに向き直り
「その…これからは気を付けるんだぞ?俺だったからよかったものを」
「それは大丈夫だよ。お兄ちゃん以外の男の人と寝るなんてありえないもん!」
「そうはいっても俺もひまりもいずれ社会に出ていくんだぞ?職場が違えば一緒に暮らすこともできなくなるかもしれないだろ?」
「むむむ…そうなったらおにーちゃんに養ってもらうもん!お兄ちゃんこそ私なしで生活できるの?」
そんな問いかけに思わずぎくりとしてしまった。
「確かに今の俺はひまりに支えてもらってなんとか生活が出来ている状態だ。でもこのままひまりに迷惑をかけ続けるわけにもいかないからな。社会に出るまでには何としても自立してみせるよ」
こんな強がりを言いつつも、今の俺にはひまりのいない生活というものが俺にはまるで想像できなかった。
「気にしなくていいのに…」
不満そうに口を尖らせるひまりを撫でながら時計を見てみるとそれなりに時間が経ってしまっていた。
「さあ今日も学校だ。そろそろ準備しないと遅れるしそろそろ準備しようか」
「うん!そうだね!」
「というわけで着替えたいから少し部屋を出てってくれるか?」
「わ、分かった、すぐに出ていくね」
顔を真っ赤にしたひまりが言葉通りに急いで部屋を出て行った。こんな風に笑ったり恥ずかしがったり怒ったりとコロコロと表情を変えるひまりを見ていると本当に癒される。
(本当にひまりには感謝してもしきれないなぁ)
妹がどれほど俺を助けてくれているかを改めて実感しながら俺は着替え始めるのだった。
恥ずかしがらせるかお兄ちゃんなら平気だよ?とするかで迷いましたがヤンデレモードと妹モードの差を際立たせたかったので今回はこうなりました
更新頑張るので感想ください!何でもはしません!