聖王武闘伝Lヴィヴィオ   作:花水姫

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 強くなりたい。だから戦いを楽しいと思うヴィヴィオ。

 強くなりたい。だから自分は笑ってはいけないと思うアインハルト。

 アインハルトはどことなく似ているからこそ、ヴィヴィオに惹かれ、似ているからこそ離れようとする。

 そんなことは高町ヴィヴィオ(高町なのはの娘)は許さない。


 だから始めよう。ViVidな物語を。

聖王武闘伝Lヴィヴィオ第3話『鮮烈な物語の始まり』


――リリカルファイト、レディーゴー!





第3話『鮮烈な物語の始まり』

 

「アインハルトのこと、キチンと説明しなくて悪かったな」

 

 アインハルトとヴィヴィオがスパーリングをした翌日、日課になっている朝のランニングをしているヴィヴィオとレヴィに合流したノーヴェは、暫く走った後ヴィヴィオに向かってそう言った。

 

「ううん、ノーヴェにもなにか考えがあったんでしょ?」

「ああ」

 

 それだけ言葉を交わし、三人は走り続ける。

 

 

「ちょっと休憩しよう。飲み物買ってくるよ」

 

 レヴィが気を利かしたのか、そう言って離れると、ノーヴェはヴィヴィオに向かって話し始める。

 

 

 アインハルトの事。

 

 古代ベルカの戦乱時代に名を馳せた覇王と呼ばれる偉大な王、クラウス・G・S・イングヴァルトの直系である事。

 

 イングヴァルトの記憶を一部受け継いでいること。

 

 子孫の魂にまで受け継がれる、悲願という()()に苦しめられていること。

 

「薄々気づいてたよ」

 

 ノーヴェの話を聞いて、ヴィヴィオはそう答える。

 

「ノーヴェが急に古代ベルカの勉強をしたいって言い出したし、それにあの髪と瞳。生まれ付き()()()()()()()()()()()()()。今の時代に古代ベルカ式の、それも()()()()()使()()()()()()()()()()魔法。何となく、気づいてた」

「そっか、そうだよな。だけどな、別にお前にアインハルトのことを救ってあげて欲しいとか、そんなんじゃないんだ」

「わかってるよ。人とは違う生い立ち、明確な目的のために産み出された身体。その辛さと苦悩は、私もノーヴェも知ってるから。だから、アインハルトさんもどうにかしてあげたくなっちゃったんだよね」

 

 そう言って優しく微笑むヴィヴィオ。ばつが悪くなったのか、ヴィヴィオの顔が見れなくなったのか、ノーヴェは顔を逸らしながら頬をかく。

 

「まぁ、な。だけどアインハルトが満足するには、きっとお前が必要なんだ。私にとって姉貴(スバル)とぶつかるのが必要だったみたいに」

「うん。だから、私頑張るよ。何ができるかわからないけど、今の自分の精一杯を伝えてみる」

「わりぃな、頼っちまって」

「ううん、頼ってくれてうれしいよ。友達からの信頼と、コーチからの期待。その2つが合わさってるんだもん、頑張らないわけないよ!」

 

 そう言ってヴィヴィオはパンチをノーヴェへと繰り出す。

 威力もスピードもないその拳を掌で受け止めたノーヴェは、そこから伝わる想いを感じ取り笑みをこぼす。

 

 

 ちょうどその時、飲み物を調達してきたレヴィが少し離れた場所から声をかける。

 

「おまたせ、二人とも」

「わーい! 喉カラカラー」

 

 

 水を持って帰ってきたレヴィへと駆け出すヴィヴィオ。

 

「チビのくせに、相変わらず大きい奴だ」

 

 駆けていくヴィヴィオの背中を見て、ノーヴェはそう呟いた。

 

 

 ───

 

 

 そしてアインハルトとヴィヴィオが邂逅したちょうど一週間後。

 

 廃倉庫区画にて、ヴィヴィオはアインハルトの到着を待っていた。

 

 そこにはあの日アインハルトとヴィヴィオのスパーを見学した面々が再度集結しており、それに加えヴィヴィオの師匠であるレヴィも来ていた。

 

「すんませんレヴィさん。お忙しいところ」

 

 そんなレヴィにノーヴェは頭を下げる。

 

「いやいや、気にしないでよ。一人娘の我が儘のアフターサービスだから。今回御神の技を使うことを許したけど、本来ならまだ禁止していたんだ。()()()()()ね。

 未熟なまま技を使って、運悪く綺麗に決まったら、相手は勿論ヴィヴィオだって大怪我をするかも知れない。下手したら、命も危ないかも知れない。武術ってのは突き詰めれば突き詰めるほど、命を奪うことに行き着くから」

「はい。だけどアイツなら、ヴィヴィオなら大丈夫だって、信じてくれたんですよね」

「娘を信じない親はいないさ」

 

 レヴィとノーヴェがそう話していると、こちらへ近づく足音が廃倉庫区画に響く。

 

「お待たせしました」

 

 本日の主役のもう一人、アインハルト・ストラトスである。

 

「アインハルト・ストラトス、参りました」

「アインハルトさん、来ていただきありがとうございます」

 

 やってきたアインハルトに向かってヴィヴィオは深々と頭を下げる。

 

 そのヴィヴィオの姿をアインハルトは形容しがたい気持ちで見つめていた。

 

 

「ここは廃倉庫区画だし、壊しても良いって許可も取ってある。思う存分全力を出してかまわないぞ」

「うん」

「はい」

 

 ノーヴェの言葉にヴィヴィオもアインハルトも頷き、ヴィヴィオは自分の愛機(デバイス)、セイクリッド・ハートをその手に掴む。

 

「アインハルトさん、先に謝らなければならないことがあります」

「何でしょう」

 

 クリスを胸に抱えながら、ヴィヴィオはアインハルトへと話しかける。

 

「今回、私は本気で戦います。それでも、全力では戦えません」

「理由を、伺っても?」

 

 本気で戦えないという言葉が少しだけ癪に障りつつも、アインハルトは冷静に先を促す。

 

「実は、私はまだ御神流、実家の流派としては他流試合を禁じられている身です。これは偏に私が未熟だからに他なりません。それでも、技を使う許可だけは貰ってきました。

 危険なので武器の使用までは許可されませんでしたので、徒手空拳だけとなってしまいますが、それでも今の私の全力で、本気で戦わせていただきます」

 

 アインハルトはヴィヴィオの真摯な言葉と共に、力強い眼差しを受け止めると、少しだけ頷く。

 

「事情は、わかりました。問題ありませんので、早速始めましょう」

「はい!」

 

 アインハルトの言葉にヴィヴィオが頷き、胸に抱えたクリスを頭上へと高く掲げる。

 

「セックリッド・ハート、セット・アーップ!」

 

 その言葉と共にヴィヴィオの身体が光に包まれる。

 

 その小さな身体はメリハリのついた大人の身体へと変わり、手足もスラリと伸びる。

 

 大きくなった身体にはピッチリとしたボディスーツを纏い、その上から動作を阻害しない程度に装甲やジャケットを装着する。

 

 光が収まったときには、10代後半程度にまで成長したヴィヴィオの姿があった。

 

「武装」

 

 対するアインハルトも一言呟くと光に包まれる。

 

 ヴィヴィオと同様に10代後半程度にまで成長した身体に白を基調とした戦闘衣服を纏う。

 

 

 ヴィヴィオと同様に大人の姿へと変わったアインハルトに、周囲の観客から驚きの声があがる。

 

 

 戦闘態勢をとった二人を確認し、ノーヴェがレフェリーとして間に立つ。

 

「今回も魔法は無しの格闘オンリー。5分間の1本勝負だ」

 

 ノーヴェの言葉に対し、言葉はなく頷く二人。

 そんな二人にノーヴェも頷き返すと、右手を高く上げ──

 

「それじゃあ、試合──開始!」

 

 ──振り下ろした。

 

 

 試合開始後、廃倉庫区画は静かな様子だった。

 

 ヴィヴィオもアインハルトも構えたまま動かず、お互いの様子を伺っているためか静かな時が流れる。

 

 ヴィヴィオの構えを見てアインハルトは思考していた。

 

 腰を深く落とし、上体は前傾姿勢。

 右腕は左腰に据えられ、その右手を押さえるように左手が添えられている。

 

──先日とは全く違う構え。

 

 前回スパーをしたとき、ヴィヴィオの構えはごく一般的なストライクアーツの構えだった。

 

──()()にない、不思議な構え。

 

 戦乱を駆け抜けた覇王の記憶にも無い、独特な構え。

 

 言うならばそれは、抜刀術。

 ミッドチルダにも天瞳流という抜刀を主とした剣術を扱う流派があるが、『刀』と呼ばれる特殊な形態の剣が必要など、あまりにもマイナーだった。

 

 ゆえにアインハルトが予想できないのも不思議では無く、ほんの一瞬気を取られたその隙とも言えないような間を、ヴィヴィオは捉えていた。

 

 

「──っ」

 

 

 ヴィヴィオが息を飲むと共に一瞬で加速し突撃(チャージ)を敢行する。

 

 そして刀を振り抜くように、右手刀を逆袈裟に振り抜く。

 

 ヴィヴィオの手刀が風を切る音が大きく響く、その鋭い()()をアインハルトは身体を少し後ろに下げるだけでかわす。

 

 避けられる事は百も承知だったのか、ヴィヴィオは間髪入れずに左拳の直突きを放つ。

 

 アインハルトもまた、当然のようにその拳を受け止める。

 

 ヴィヴィオが間断なく拳を手刀を放つ。

 

 アインハルトは落ち着いて拳を受け止め、手刀を受け流す。

 

 

──素直な技。手刀や拳、変幻自在な戦い方でも、基礎に裏打ちされた綺麗な型を感じる。きっと真っ直ぐに育てられて、素直に育ってきている。

 

 ヴィヴィオの怒涛の連撃を捌きながらアインハルトは黙考する。

 

──良い師匠や、心配してくれる仲間に囲まれ、この子は強くなることを、格闘技そのものを楽しんでいる。

 

──私とは何もかもが違う。私の(おもい)を向けて良い相手じゃない。

 

 だから、突き放すように拳を放つ。

 

 一週間前とは違い、打ち倒すための打撃。

 

「くっ」

 

 アインハルトの拳を辛うじて受け止め、それでも踏ん張ったヴィヴィオは反撃を繰り出す。

 

──なぜ、なぜまだ戦う? かなりの強さで打ったのに、苦しむ必要も、痛みを堪える必要も、この子には無いはずなのに。

 

 その様子にアインハルトの胸は複雑な感情に締め付けられる。

 

──歯を食いしばるこの子を見ると、なぜこんなにも胸が苦しくなる!

 

 

 アインハルトが理解不能な感情に悩む中、ヴィヴィオの胸中は逆に一直線だった。

 

 

──強い。体格は殆ど同じなのに一撃の重さが、ガードの堅さが全然違う。生まれつきの強者。戦うために育まれた肉体。私より、圧倒的に戦う才能に恵まれた存在。

 

──相手が私より圧倒的に強くても、私が戦うことに向いていなくても。それでも私は勝ちたい、強くなりたい!

 

──憧れた人達(家族)がいる。助けてくれた()がいる。守ってくれた()がいる。

 

──もう二度と私のせいで皆を悲しませないように、いつか私があの人たち(父と母)を守れるように!

 

「強くなる! そう決めたんだ!!」

「!!」

 

 感情が高ぶり叫ぶヴィヴィオ。

 その叫び声に気を取られたのか、アインハルトの注意が一瞬だけ散漫になる。

 

 その隙をヴィヴィオは見逃さない、御神の剣士(高町の娘)は見落とさない。

 

「るぁっ!」

 

 雄叫びと共に渾身の打撃をアインハルトの胸部へと放つ。

 

「くぅっ」

 

 咄嗟に腕を差し込み防ぐが、完全な防御とは言えず、衝撃のまま後ろへ吹き飛ばす。

 

 直撃を受けたアインハルトのプロテクターは罅が入り、ところどころ砕け落ちる。

 

 ここが勝負の決め所と感じたのか、アインハルトを吹き飛ばしたヴィヴィオは必殺の構えをとる。

 

 左足を大きく踏み出して腰を深く落とす。

 

 右腕は身体の後ろに隠れるような形で、弓のように引き絞る。

 

 左手は右手の先の虚空に添えられる。

 

 

龍勁気功(りゅうけいきこう)!」

 

 

 その構えを一瞬でとると、ヴィヴィオは叫ぶと同時に右足を踏み出す。

 

 震脚。

 

 コンクリートの地面を陥没させるほどの圧力を持った踏み込み。

 

 それによって生まれた力を、足から腰、胸、肩、そして腕へと伝える。筋肉を支配することで隙間無く間断無く力を伝達させ、全ての細胞の意志を支配することで、細胞単位で散らばる力を束ねて増幅させる。

 

 その一瞬の神がかった術理を目の当たりにし、アインハルトは驚愕のあまり目を見開く。

 

 

──この技は、『断空』!?

 

 

 あらゆる武術は最終的にどれだけ少ない力を大きくし、どれだけ無駄なく打ち込むかが終点となる。それを突き詰めていくと、人間用の技である限り、どうしても似通った技術へと行き着く。

 

 つまり、踏み込みや回転によって生まれた力を拳足から解き放つ技術。

 

 覇王流の『断空』がそうであるし、ヴィヴィオの使った御神流の『龍勁気功』がそうである。

 

 

──ならば、こちらも『断空』で迎え撃つまで!

 

「覇王──」

 

 

 そしてアインハルトも迎撃の体制をとる。

 脚を捻ると共に魔力を込み上げ、身体の動きと共に拳から打ち出す。

 

 

 

穿牙(せんが)!!」

 

断空拳!!」

 

 

 ヴィヴィオの貫手による刺突がアインハルトへと迫る。

 

 アインハルトの拳による直突きがヴィヴィオへと迫る。

 

 

 ほぼ同時、お互いに必殺の一撃。

 

 

 

 勝敗を分けたのは、戦闘経験の差。そして才能の差。

 

 

 他流試合が初めてのヴィヴィオと、覇王の記憶により戦場の経験を間接的に得ているアインハルト。

 

 その経験の差が。

 

 人並み以上には丈夫だが、けして近接格闘に適した身体ではないヴィヴィオと、イングヴァルトの直系ゆえに恵まれた身体資質を持つアインハルト。

 

 その近接格闘における才能(センス)の差が、勝敗を分けた。

 

 

 アインハルトは覇王断空拳を放ちながらも、無意識のうちに左腕をヴィヴィオの刺突にあわせ、軸をずらした。

 

 その結果ヴィヴィオの貫手はアインハルトの左肩に当たり、アインハルトのような無意識下の防御ができなかったヴィヴィオは、ノーガードで覇王断空拳を受けた。

 

 その結果、アインハルトは地面に足を着け立っており、ヴィヴィオは吹き飛び倉庫の壁に激突し気を失っていた。

 

 

「ヴィヴィオ!」

 

 ノーヴェが試合終了を告げるまもなく、観客が吹き飛んだヴィヴィオへと駆け寄る。

 

「はぁっ、はぁっ」

 

 そして皆がヴィヴィオの周りに集まり、様子をうかがう伺う光景を見ながら、アインハルトは大きく呼吸をする。

 

 あの一瞬、本気になった一瞬の攻防で、急激に体力を消費したためである。

 

「っ」

 

 武装を解除したアインハルトの左肩に激痛が走る。

 

「おい、どうした。大丈夫か?」

 

 その様子にノーヴェが気づき、

 

「ちょっと見せて」

 

 いつの間にか近寄っていた水色髪の長身の女性、レヴィがアインハルトの腕をとる。

 

「ごめん、服を脱がせるよ」

 

 レヴィはそう言うと瞬く間にブラウスのボタンを外し、アインハルトの左肩を露出させる。

 

「アインハルト、お前っ」

「アインハルトさん肩が!」

 

 現れたアインハルトの左肩を見て、驚くノーヴェとリオ。

 

 外気にさらされたアインハルトの左肩は赤黒く変色していた。

 

「ごめんね、かなり痛いかも」

 

 そう言うとレヴィはアインハルトの肩を触診していく。

 

「大丈夫、骨は折れてない。多分内出血だね」

 

 レヴィが診断結果を伝えると、救急箱を用意していたディードが近寄り応急処置を始める。

 

「ありがとうございます、それより、あの子の様子は」

 

 ディードにお礼を言いつつ、ヴィヴィオの様子を伺うアインハルト。

 

「大丈夫、怪我はないよ。アインハルトが手加減してくれたみたいだからね」

 

 ヴィヴィオの側にいたスバルが答えると、アインハルトは安心したように息をつく。

 

──良かった。それにしても肩に怪我とは。

 

 未熟である、と己を諫めると共に、ヴィヴィオの予想以上の強さに驚嘆する。

 

 一瞬でも反応が遅ければ、もしヴィヴィオがアインハルトのとっさの防御を物ともしない筋力があれば、もしヴィヴィオが武器を持っていたら。

 

──もし、あの子が今より少しだけ強かったら、床に沈んでいたのは私でした。

 

 それどころか胸を、心臓を破壊され絶命していたかもしれない。

 

 流石のミッドチルダの医療技術でも、心臓を破壊された怪我人を治療するのは一筋縄ではいかないだろう。もし、治療できたとしても、人工心臓か、はたまた他の何かか。後遺症無しで全快というわけにはいかないだろう。

 

 

──不思議な子だった。

 

 

 自分と同じ、()()への終着を持ち。

 

 自分とは違う、気持ちで()()を求め。

 

 自分を追い詰めた、不思議な少女。

 

 

──戦う姿は、オリヴィエとは似ても似着かない。

 

 確かに外見や雰囲気は似ている。

 聖王教会に飾られている肖像画とは他人の空似程度であるだろうが、オリヴィエの姿を誰よりも見て、それこそ魂に刻み込んでいる覇王(アインハルト)だからこそ、その姿を幻視してしまうほどには良く似ている。

 だけどオリヴィエは、アインハルト(覇王)の記憶にあるオリヴィエは、あそこまで闘争心を剥き出しにはしなかった。彼女にとって武術は、コミュニケーションの一つであったのだから。

 

──彼女は、覇王(わたし)の求めた聖王女(オリヴィエ)じゃない。

 

 

 それでも、

 

──それでも私は、彼女ともう一度戦いたいと、彼女の目指す()()の先が見たいと思っている。

 

 今はまだ、ヴィヴィオは手加減する余裕が無く、アインハルトには余裕がある。

 それほどまでには離れている実力差だが、一年後、三年後はわからない。

 

 そんなヴィヴィオの先が、覇王(自分)と同じ位に()()に焦がれるヴィヴィオがどうなるのか見届けたいと、アインハルトはそう思った。

 

「応急処置は終わりました。でも今日一日は左腕で物を持たないで下さいね」

「ありがとうございます」

 

 思考していると応急処置が終了したらしく、アインハルトは治療してくれたディードへと礼を言うとヴィヴィオの元へと歩む。

 

「アインハルト、うちのチビが怪我させちまって、わりいな」

「いえ、私も謝らなければなりません。『一週間前は失礼な発言をしました』と」

「そうしてやってくれ」

 

 怪我をさせたことにばつが悪そうな顔をしていたノーヴェだったが、アインハルトの言葉を聞き顔をほころばせる。

 

 

 アインハルトは気絶しているヴィヴィオへと近寄ってしゃがむと、動かせる右腕でヴィヴィオの左手をとると──

 

 

「はじめまして……ヴィヴィオさん。アインハルト・ストラトスです」

 

 

 ──出会いの挨拶をした。

 

 

 

「おいおい、それは起きてるときに言ってやれよ」

「……恥ずかしいので嫌です」

 

 苦笑しながら茶化すノーヴェに、顔を紅潮させそっぽを向くアインハルト。

 

 

 始まりの剣呑な雰囲気とは打って変わり、和やかな空気が廃倉庫区画を満たす。

 

 

 

 

 ──新暦79年、春

 

 

 高町ヴィヴィオとアインハルト・ストラトス。

 

 

 二人の出会いから始まる物語は──

 

 

 ──鮮烈(ViVid)な色に、彩られている。

 

 





というわけでなのはViVidの1巻がこれにて終了。

私は原作とはあまり変わらない部分は極力省くスタイルですので、ヴィヴィオが出ない限り原作1冊に対する文量は少ないと思います。


────
『聖王武闘伝』固有設定解説


「ヴィヴィオの流派」
 ヴィヴィオの流派は『永全不動八門一派御神亜流 総合魔法戦闘術』。
 これは父《レヴィ》が(なのは)の実家の武術をパク……リスペクトして作ったもの。
 理念は『ねんでもあり』。拳も剣も槍も弓も暗器も魔法も、戦いに使えるものはなんでも使う。
 レヴィがエルトリアにいた長い時間の中で、自身の記憶にある戦闘術のすべてを詰め込んで『完成』させた武術。いわゆるアニメ・漫画・ゲームの技も使う。
 すべての習得には才能あふれる超人でも一生かけても習得しきれないほどの膨大な数の技や術理が存在しているが、レヴィ的にはヴィヴィオにそんな事は求めてないので、『拳』と『武器一種』の基礎を習得したうえで「神速」に至れれば免許皆伝をあたえようと思っている。
 レヴィの悪い癖(カッコいいからという理由)により、『拳』の基礎課程が必修となっており、『拳』の課程を修了しないと『武器』の課程には進めない。
 ヴィヴィオは現在『拳』の応用課程と『長剣二刀流』の基礎課程を履修している最中。
 また、技名を叫ぶことを推奨されている。


「御神流『龍勁気功』」
 端的に言うと覇王流の断空や、ルーフェン武術の(チェン)と呼ばれる技術。
 断空が練り上げた力を魔力に乗せて放つ技術なら、龍勁気功は魔力を用いず練り上げた力を増幅する技術。
 原作でパワー不足と言われるヴィヴィオの攻撃力を補うレヴィ渾身の一手。
 これをすべての動作、あらゆる技に適応できて御神流『拳』の応用課程が修了となる。

「御神流『穿牙』」
 端的に言うと漫画「るろうに剣心」にでてきた斎藤一が用いる刺突剣技「牙突」。
 刀剣を用いた刺突の動作は、手刀による刺突の動作に応用が効きやすいため、刺突関連の技はヴィヴィオが好んで良く使う。
 本来は突進しながらその勢いを威力にのせた突きを放つのが穿牙であるが、今回用いたのはその場で龍勁気功により威力を発現させた穿牙である。ぶっちゃけると牙突・零式。


────



次回なんちゃって予告

 ついにアインハルトとヴィヴィオは本当の出会いをし、ついに鮮烈なる物語は動き出す。

 ならば行かねばなるまい、これが魔法少女リリカルなのはViVidの宿命なのだから。


 『みんな大好き強化合宿』


 ――レディー、ゴー!

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