大体9分位経つと遠方からいくつかの影が見えてくる。
「間もなく艦隊と合流します。」
「分かった、そろそろ発光信号の準備を頼む。」
そうやって発光信号を送ろうとした時だった。
「...艦長、無線が届いています。座標から恐らく艦娘からだと思われます。」
「なに?艦娘は無線ではなく発光信号でやり取りしているんじゃないのか?」
「分かりませんが応答しますか?」
「...そうだな、艦娘だとしたら応答しない理由もないからな。」
ザザっという音と同時に無線が繋がり、向うのエンジン音が聞こえてくる。
『...こちらは横須賀鎮守府所属第一艦隊旗艦の榛名です。そちらの所属を問います。』
「...こちらは漂流艦<アライ>だ。」
『どのような目的で我々と接触したのかを教えていただけますか。』
「...私は艦娘...なのかどうかは分からないが、似た存在だ。同族が襲われていたら助けるだろう?」
俺がそう聞くが向こうから帰ってくるのはザザっというノイズだけだった。
「...副長、俺なんか不味いこと言った?(ぼそぼそ)」
「いえ、特に問題は無いように感じましたが...。(ぼそぼそ)」
副長と話していると無線に大きいノイズが走る。
『ザザッ...アライさん、私たちについてきてくださいますか?』
「...何故だ?」
『我々の提督が会いたがっています。【話がしたい。】と。』
「...了解した。そちらの艦隊の隷下に入ろう。」
どうやら向こうの提督さんが俺に興味を持ったらしい。
確か横須賀は女性の提督がいたからブラックではないはずだ。
~横須賀鎮守府~
「...もう間もなく艦隊が到着します。」
和服を着たメガネの女性が白い軍服『海軍服』を着た女性に報告する。
「...そう。」
軍服の女性はチラッと手元にある書類に目をやる。
そこには『不明艦捕獲作戦』と書かれている。
「...まさか向こう側から来るなんてね...。」
彼女はそう呟き席を立ちそのまま執務室を後にする。
不明艦と"話し合い"をするために。
~横須賀鎮守府近海~
しばらく航行していると赤煉瓦の建物『鎮守府』が見えてきた。
「今日からあそこが俺たちの家か~。」
「艦長、そうとは限りませんからね。」
「わかってるよ、どうにかして
恐らく大本営は俺の力を欲しがるだろう。どんな手を使ってでも。
それに対して自分たちの意思をはっきり示さなければならない。
中途半端な態度を取れば必ず横須賀のこれからお世話になるだろう人たちに害が及ぶ。
「しかし、政治関係には巻き込まれたくはないんだけどなぁ...。」
「艦長、諦めてください。艦長もそれぐらいのことは予想していたでしょう。」
「そうだけどさぁ~。めんどいじゃ~ん。」
港に入り艦から降りると白い軍服を着た女性が待っていた。恐らくここの『提督』だろう。
「初めまして、私は日本海軍中佐の
「私は艦長のアライだ。よろしく頼む。」
俺は花村さんと握手をするとそのまま会議室のような場所に連れていかれた。
「...さてと、ごめんね突然こんな所に連れてきて。」
「いや、問題ない。...ところでこの部屋に連れてきた目的はなんだ?」
「それはね..."これ"を見てほしいから。」
そう言って花村さんは『不明艦捕獲作戦』と書かれた書類を渡してきた。
「...この不明艦というのは?」
「あなたの艦隊のことよ。」
「艦隊...?」
「この鎮守府の近海に出現した『超巨大戦艦』をはじめ『大和型戦艦』『イージス艦』そして『空母』の4隻までが確認されているの。」
どうやら俺が変形した軍艦全て察知されているようだ。しかし、この四隻ともすべて俺がやったことだと知ったらどんな反応するんだろうな。
「...友好的ならば大本営で管理、敵対的ならば大規模作戦を決行し何としてでも沈める必要がある...ね。これを俺に渡した事がバレたら軍法会議にかけられるなんて生易しいものじゃすまないんじゃないか?」
「あなたの怒りを買って本土が焼け野原になるよりはまだましよ。私はあなたを捕まえる気はさらさら無いということを知ってほしいから渡したの。」
「...話が変わるがお偉いさんには『艦娘は兵器』という考え方が蔓延っているのか?」
俺がそう聞くと花村さんの纏うオーラが変化した気がした。
「...えぇ、あの
「そうか、通りで『捕獲』とか『管理』とか『沈める』とか書いてあるわけか。」
全く、まさかとは思っていたが...。
「全く反吐が出る。」
おっと、ついつい本音が出てしまった。まぁそれよりもやる事があるな。
「なぁ、一つ頼んでいいか。」
「...何ですか。」
「大本営に『不明艦を捕獲した』と連絡を入れてくれ。」
「...何故?」
「何故?そりゃ同族が軽視されているなら一発かましてやらないとな。」
花村さんに後から聞いた話だと結構悪い顔していたらしい。