転生軍艦は何をする?   作:しらぬり

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転生軍艦、職に就く

~大本営~

 

「これより緊急会議を始める。」

 

大本営で再び緊急会議が行われる。しかし、集まっている男たちの顔は前回よりも険しいものになっていた。

 

「事前に伝えてあると思うが不明艦は我々のもとに付くことに条件付きで同意した。」

 

「その条件は連絡されていないのだが?」

 

「それがこの緊急会議の議題だ。不明艦は提督として横須賀に近い鎮守府に着任すること。そこで行う行為を一切黙認すること。この二つを条件として提示してきた。そうでなければ応じないと。」

 

「そんな条件飲めるわけがないだろう。」

 

「兵器如きに譲歩する必要はない。」

 

「しかし、不明艦はそうでなければ応じないと言っているのだろう?」

 

「あの戦力が亜米利加に渡ってしまったら損するのは我々だ!」

 

という感じで会議が紛糾した。一方は応じる必要がないと言い、もう一方は応じなければ有力な戦力が亜米利加に渡ってしまうことを危惧し応じる必要があると言う。

どちらも一歩も引きさがらずに会議がしばらく続いた時だった。

 

「落ち着かんかっ!」

 

会議室に一つの怒声が響き渡った。その怒声は会議室内で言い合っていた者たちの動きを止めるのに十分だった。

そして怒声を放った『元帥』は重々しく口を開けた。

 

「...実は我々元帥の地位の者だけに不明艦と横須賀鎮守府提督から連絡が入っている。」

 

「...それは、どんな内容なんでしょうか。」

 

「横須賀鎮守府からは『彼は我々(人類)を守るために生まれたのではなく艦娘を守るために生まれた。』という旨の言葉だ。」

 

その元帥の言葉にざわつきが広がる。「どういうことだ?」「兵器を守るために?」「我々は対象ではないのか?」という疑問の声がところどころから発せられる。

 

「...なぜ横須賀鎮守府提督はそのような結論に至ったのでしょうか?」

 

「横須賀鎮守府からの報告だと不明艦は艦娘を擁護する言動が見受けられるらしい。それに対し艦娘を蔑ろにする者に対しては攻撃的な言動が見受けられるらしい。それで我々、大本営も目の敵の様に思っているらしい。」

 

「そんなことが...。しかし、それは横須賀鎮守府提督が噓の報告を行ったとは考えられませんでしょうか。」

 

「...私も最初はそう思ったよ。しかし、私の部下から来た連絡では不明艦は元帥の地位の者だけに『主導権はそちらにあると思うな』という伝言が届けられた。」

 

元帥の言葉でさらにざわつきが大きくなる。その中、元帥が口を開ける。

 

「私は...この条件を飲むことに賛同する。」

 

「元帥!正気ですか!」

 

「貴様!少将のくせに元帥に歯向かうか!」

 

 

 

 

 

 

 

 

大本営は緊急会議の結果条件を飲むことに決定。元帥達は心配していた条件拒否にならず、胸をなでおろしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~横須賀鎮守府 会議室~

 

「大本営からの連絡だ。」

 

連絡してから数時間後に山本から連絡があったと報告される。

何でもかなり紛糾したが元帥たちの鶴の一声によって終わったらしい。

 

「大本営としては条件を飲むことに決定した。」

 

「分かった。それで、俺はいつ着任するんだ?」

 

「明後日だ。」

 

んん?ちょっとよく聞こえなかった気がするが明後日といったのかな?早くない?出るの早くない?

 

「...決まるのが早いな。」

 

「ここら辺に戦果を全く出していない鎮守府があってな。そこの提督を今日中に追い出して明日中に準備を整えて明後日の朝に到着できるようにここを出る、というスケジュールだ。」

 

「...分かった。それじゃあ俺は艦に戻る。」

 

俺はそう言って会議室から出ようとした時だった。

 

「待てよアライ。せっかくだから一杯やらないか?」

 

そう言って少佐(村木)は杯をくいっと飲む動作をする。

酒は正直飲んだことがないから興味があるな。この体がどれくらい耐えれるかも気になるし。

 

「...そうだな、一杯やろうか。」

 

俺はそう言って提督に酒のある場所を聞くと鳳翔さんのお店が良いらしい。

流石鳳翔さん。二次創作でもよく営んでたけどこっちでもやってるのね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~居酒屋『鳳翔』~

 

「zzzZZZ」

 

「でさ~うちの上司はよぉ~。」

 

「その話はもう四回目だぞ。お前の連れは酒飲んで倒れてるし。」

 

「仕方ぇよぉ~だぁってこいつ全く食わねぇんだもんよぉ~。」

 

居酒屋『鳳翔』に来てから一時間程経った。大本営から来た奴は酒を浴びるように飲んで細い方は倒れてクリーク好きの某少佐は同じ話をさっきから何回かしている。

ちなみに今はまだ昼時である。こんな昼から軍人が酒におぼれていていいのだろうか...。

 

「おっさん、俺は少し散歩してくるよ。」

 

俺がそう言って立ち上がろうとすると酔ったおっさんは全く力が入ってない手で俺の袴の振りを掴む。

 

「あぁ~連れねぇなぁ~もう少し飲んでこうぜぇ~」

 

「それ何回目だよ。取り敢えず俺はもう行くよ。」

 

俺は愚図る酔っぱらいを無視して立ち上がる。...ん?よく考えたら金を一切持ってねぇや。

 

「鳳翔さん、代金はこちらのお二人さんに頼むよ。」

 

俺はそう言って居酒屋『鳳翔』から出る。

 

「取り敢えずこの後やることもないしそこら辺をぶらぶらするか。」


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