「提督、これを。」
眼鏡をかけた黒髪の女性が軍服を着た女性にタブレット端末を渡す。そのタブレット端末には袴の上に黒いジャケットという摩訶不思議な格好をした男性が海中から現れた漁船に乗り込み海中に再び消える映像だった。
「...これは?」
「昨夜隣りの港の防犯カメラに捉えられていた映像です。念の為住民データとこの映像の顔を照合しましたが一致する人物はいませんでした。」
「ということは新型の深海棲艦か第三勢力か...。」
「分かりませんが一応覚えておいてください。」
「あぁ、分かった。」
「ところで提督、今日出撃した第一艦隊のことですが...。」
「どうした?」
「その出撃した海域では新型の深海棲艦が出現しているという噂が。」
「そうか...。まぁあいつらなら危ないと感じたら帰ってくるはずさ。」
「そう...ならいいんですが。」
「しかしこの海域の深海棲艦は弱っちいわねぇ。」
「こら曙、慢心しちゃダメよ。赤城さんだっていつも言ってるじゃない。」
「そうよ曙。雷の言う通りよ。」
「ぐっ...」
曙と言われた人物は他の二人から注意されている。残りの三人はその光景を見ながら微笑んでいる。
「やっぱり暁ちゃんたちの会話は微笑ましいですね。」
「でも本当ですね榛名さん。ここら辺ならもう少し強いのが出て来ても可笑しくはありませんけどね。」
「...確かにそうね。翔鶴さん、瑞鶴さん気を付けてくださいね。」
「分かったわ。でも気を付けるのは榛名さんもよ。」
そう言っている時だった。
「前方から敵機接近!」
「迎撃準備!」
「「「了解!」」」
俺はいつも通りに海を潜航していた時のことだった。
「ん?」
レーダー上にいくつかの反応が表示された。
「深海棲艦と思わしき艦影6隻と艦娘と思わしき艦影も6隻。...一応見てみますかね。」
ちょうど暇だったし危なくなったら参戦すればいい。
「ふぅーん?」
開幕は制空権が深海棲艦側に渡った。
「制空権を失ったか...。よく知らないが結構ヤバいんじゃね?」
俺は艦これをあまりプレイしていないためよくわからないが航空支援は大切と誰かが言っていた気が...。
「念の為『大和』さん装備で行きますか。」
海中で漁船から大和を模した戦艦に変形する。ついでに切り発生装置も作動させますか。これ霧が濃くなるまで少しだけ時間がかかるからな。
取り敢えず映像が表示できる位置まで浮上しようかな~っと。
迂闊だった。戦っている途中で弾薬がほぼないことに気が付いた。まさか"これ"を狙っていたなんて...。さらに霧も出てきたことで艦載機が発艦できなくなっていた。
「全員撤退!私が囮をするから全員...!」
しかし言い終わる前に悲劇が起こった。
『こちら曙...被弾したわ。艤装は大丈夫だけど機関部がやられたわ...。囮にするなら私を使って。』
「そんな事できません!ならせめて私が囮になっている間に...。」
『そんな事していたら全員を危険にさらすことになる!だから置いて行って!』
「そんな...!」
私は曙ちゃんを説得することに頭がいっぱいですっかり失念してしまっていた。
奴らにとってこの中で一番"邪魔な艦"はどれかが。
映像が見られる深度まで浮上。幸い戦闘中なため多少の揺れは感知できないだろう。...多分。
「おっ映像が映..!?」
映像が映った時思わず絶句した。駆逐艦が一隻集中攻撃を受けていた。それも機関部を。動けなくなればただの的。更にその後は戦艦を集中狙いでほぼ中破状態になっている。
「クソッ、浮上!」
異常な速度で俺の船体は海上に浮上していく。
「電磁障壁作動準備!」
そして海面に浮上した。
「電磁障壁作動!全砲塔九一式徹甲弾装填!装填終了次第発射!」
まずは周りの奴らを殲滅する。後のことは後で考えるか。