仮面ライダーヴィランズ   作:辰ノ命

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見たーい見たーいメイズ編の終わりが見たーい
まだまだもうちょっと待ってよ。

あと何話やるんやろな…よし1分追加しまーす。
毎度タイトル(察し)でそれではどうぞご覧ください。


EP12 進化の牙

---おい。睦生。

「なに?もう家帰る?」

---違う。後ろだ。

「え………っ!!!」

 

振り向きはしないが、背中から異様な気配がひしひしと伝わってくる。この前も感じられたこの気配を鮮明に覚えている。

気づかないフリでもしていようかと、前を見続ける。それに今ここでやり合ったら、公園に来ている人たちを、巻き込むことになってしまう。

 

「どうしよう…」

---ちっ。来てるぞ。

「うん……」

 

近づいてきている。睦生は頭の中でこの状況をどうするか、考えを張り巡らせた。心臓が弾けそうになる程、鼓動が激しくなる。

肩に手をかけられ、その一瞬で立ち上がり、裏拳を繰り出すが、隣にいた側近のメイズに片手で止められてしまう。

 

「会って早々、無礼だな。ヴァイザー」

 

「くっ…!」

 

「そういえば名乗っていなかったな。私はビーケ。お嬢の側近だ」

 

更に手を捻られ、近くにあった木へ押し付けられる。抵抗するも全く身動きが取れず、固定されたまま、あの女性が睦生の耳元まで近づいてくる。

 

「君は…」

 

「私は加奈井 まな……今日はあなたと話に来たの」

 

「まな…………」

 

「…なに?」

 

「い、いや……なんでもない。それより話ってなに」

 

「…………」

 

急に黙り始めた、まなの視線の先を見ると、周りに人が集まってきていた。それもそのはず、明らかに異様と思える光景だからだ。親子集まるこの公園で、木に押し付けられ、苦しい表情を浮かべる青年が、女性と背が高めの男に尋問のようなことをされていれば、誰だって気になってしまうだろう。

まなとビーケは顔を見合わせ頷くと、睦生を抱えて凄まじい速さでその場を離れる。集まった人たちはその異常な速さに驚愕し、人間でないことを知った。そらが何かわかった途端に逃げ出す人々が、抱えられながらも見えた。

 

「僕をどうする気?」

 

「あそこは人目につく。一旦場所を変えようと思ってね」

 

「…………」

 

「静かな場所の方が話しやすい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

-------------------

 

連れ込まれた場所は廃墟であった。元は学校だったのか、その頃の机や椅子、他にも黒板やロッカーがボロボロになりながらも置いてある。まなは近くにあった椅子に腰掛け、その隣にビーケが並ぶ。睦生は立ったまま、彼女と向かい合うようにして見つめ合う。

そんな一室に睦生と2人はとても嫌な雰囲気を醸し出していた。

 

「話って一体なに…?」

 

「あなたとヴァイザーについて」

 

「僕とヴァイザー?」

 

「そう…あなたとヴァイザーは私たちと同じ、人間の意思が表立って出ている種。つまり、アンチバイツの細胞に抵抗力があると考えられるのだけれど…どうやら、あなたは違うみたいね」

 

「ど、どういうこと?」

 

「…あなたとそのヴァイザーは、細胞から何まで適合してるってこと。だからどのアンチバイツよりも強く、成長の早さが違う」

 

「…なんで君はそんなに詳しいの…?僕の…何を知ってるの?」

 

「私の中のメイズに聞いたのよ」

 

「ん?ちょっと待って!!メイズって無機物しか食べられないんだよね?それなら、君の中のメイズはどうやって寄生を…?」

 

「…私のことは別にいいでしょ。それよりあなた、このままメイズと戦う気でいるの?」

 

「君たちが暴れる限り…戦うつもりだよ」

 

「そう…」

 

まなは椅子から立ち上がり、割れた窓の方に向かう。そこから外を眺め、再度睦生を見る。

 

「あなたでは絶対に勝てない」

 

「なんでそう言い切れるの?」

 

「実力以前にメイズの方が圧倒的に優れているわ。対アンチバイツ用に作られた人工生物とはいえ、あなた達より早く成長できる。ただ、そこらの石ころでも食べてればいいんだから……」

 

「……それでも…」

 

「…ん?」

 

「それでも僕はやるよ。もう誰も失いたくないから」

 

その言葉を聞き、一言「……バカみたい」と呟く。確かに今の実力では、圧倒的にメイズの方が、優っているのはわかっている。

しかしアンチバイツと戦えるのは、自分を含め正義しかいない。ここで諦めたら、まなとの約束、父との約束を破ってしまうこととなる。

 

「何を言われても、僕はやるつもりだから。それじゃ…」

 

立ち去ろうとする睦生の前を、遮るようにビーケが前へ出る。

粗方察しはつくが、まともに戦って勝つ自信がない。正攻法ではまず勝てないだろう。

怪人態へと変わり、片腕を鞭に変化させる。

 

「察しはついたようだな。だが、お前は私に勝てるか?いや無理だ。差があり過ぎる、実に無謀だ。大人しくここでくたばった方がいい」

 

「いやだ…ね!!」

 

鋭利な先端を、ビーケに向かって突き伸ばす。ガラ空きになった胴体に、すかさず入り込もうと、近づいてくるビーケを残った片腕で流す。

 

「鞭で狙ったのは、あなたじゃない」

 

「なに…?」

 

「逃げるためだ」

 

伸ばした鞭の先端は、木の幹を捉え、ゴムのように一気に元に戻る。

戻った反動を利用し、筋肉を倍加させ、木から木は飛び跳ねながら全速力で逃げる。正攻法で勝てないのなら、まともに相手をしなければいい。逃げて隙を作り、そこを突くしか勝てる見込みはない。

 

「…あの子…なんで急にあんなことを…」

---おい、よそ見するな。来てるぞ。

「…やっぱりね!!」

 

バイクに変化したビーケが、睦生の後を追ってきていた。筋肉を倍加させているはずなのだが、そのスピードは桁違いに速く、徐々にその差を埋めてきている。

わかってはいたが、ここまで速いとは思っていなかった。

 

「もう少し…」

 

脚を車輪のままに、他を元の姿に戻し、木を駆け上がってくる。

 

「今…!!!」

 

「…っ!!」

 

ギリギリの所を翼に変化させ、空中へと回避し後ろへ回り込む。剣に変化させた腕で、背中に一太刀入れ、怯んだ所を鞭を巻きつけ、振りかぶって地面に叩きつける。睦生は爪を木に突き立て、ゆっくりと地面に降りて行く。

 

「はぁ…はぁ…」

 

土煙が上がる中、恐る恐るビーケの様子を見に行く。何の音をしない。ただこれで倒せるはずがないのはわかっている。すると、バイクのエンジン音が聞こえる。やはり効いていなかったと構えるが、何やら様子がおかしい。

先程、バイクのエンジン音だと思っていたものが、聞いたことがないような音は変わる。エンジンではある事は確かであるそれは、煙の中から現れた。

ビーケではないメイズ。

 

「ヒャッハーーーッ!!!」

 

「これは…!!?」

 

ブロロロロッとエンジン音を鳴らし、急加速させた回し蹴りを、睦生の肋へと蹴り込む。メキメキと音を立て吹き飛ばされ、何本もの木をなぎ倒す。地面を殴り、爪を突き立て、体制が立て直せるよう減速する。

コアへの衝撃はかなりあったが、特に問題はなさそうだ。しかしこの状況が理解できない。ビーケはどこへ行ったのか。あのエンジン音を鳴らしたアンチバイツは一体どこから…。

 

---分離か?

「分離?」

---仕組みは分からないが、あのビーケとかいうやろう。自分の体からもう一体別のメイズを作り出しやがったんじゃないか?

「バイクだから…そうか。でもそうすると本体の方は…」

 

「本体の方は別に何もねーよ」

 

「っ…!!」

 

「ビーケはな。メイズを複数宿すことが出来るんだよ。他の奴らと違ってな。この俺、『インガイネ』もその1匹ってわけだぜ」

 

「あいつそんなことが出来るのか…」

 

「あいつにひっついてると、自分たちまで力をつけられるし、何よりメイズの中でも群を抜いて強いからなぁ?必然的に周りも寄せ付けなくなる、つまり一石二鳥ってわけだ」

 

「これは厄介…だよね…」

 

「そういうことよ!!!」

 

急加速させた拳を、睦生の顔面へ打つ。それを手で遮ろうとするも、あまりの速さに一発貰ってしまう。

体が宙に浮き、目の前がぐらつく。続け様に、腹を何発も殴り、宙に浮かせたままそれを永遠とやり続ける。

 

「あっ…がっ…!!!ガハッ……!!!!」

 

激しい苦しみが睦生を襲う。何も考えられず、ただ殴れるばかり。すると、攻撃をやめ、インガイネは睦生の腕を掴む。地面に叩きつけ、肩を足で踏みつけ固定し、両手で腕を握りしめる。

まさかと思ったその瞬間、両腕を急加速させ、ミリミリと音を立て、睦生の腕を引き千切った。斬られる痛みより、引きちぎられる痛みは訳が違う。

 

「アァアァァァァ……!!ァァァッッ!!!!!…ッゥゥッッ!!!」

 

「いてーか?痛いよな?」

 

今度は上顎と下顎を掴む。もう何をするかわかっていた。睦生は筋肉を倍加させ、インガイネの腕を渾身の力で引き離そうとする。だが、力でも奴の方が優っていた。鈍い音を立てながら、徐々に口が開いて行く。

 

「アァ…!!ガッ…!!アアァアァァァアァアアァ……ッッッ!!!!!

 

「ぱかっとね」

 

バキッと音を立て、180度に口を裂かれた。手を離すと、力無く倒れ伏せる。ピクリとも動かなくなった所を、インガイネは不敵な笑みをこぼしながら、睦生の胸部分を乱暴にこじ開ける。そしてコアを見つけ、更に笑い出す。

 

「あっけないな人間……お前よく頑張ったよ。だけどな。所詮メイズには足元にも及ばなかった。対アンチバイツように作り出された俺らに、まさかの人間様が滅ぼされる。皮肉な話だな」

 

「…………」

 

「あばよ。ヴァイザー────────」

 

 

 

──────このままだと死んでしまう。しかし、体が動かない。いつもなら片腕がもがれようが、足を折られようが、関係なく相手に挑むはずだった。

諦めたくはない。だが、指一本動かすことができない。

 

ヴァイザーは何を思っているだろうか。きっと自分と同じで死にたくないと思っているに違いない。だけど無理だ。

メイズは強過ぎる。あれは異常だ。ユニクよりも格段に強い。

 

 

どうすればいいんだろう…今、戦ったとして希望はあるのかな…

---どうする?ここで死ぬか?

 

こんなところで死にたくないよ……もちろん……

 

---なら立て。全て喰うんじゃないのか?

 

だけどどうすればいいの…?本気で戦ってもこの実力差だよ?……もうどうすることもできないじゃないか……

 

---約束云々言っといてこのざまか…所詮この程度だったかお前も。

 

え?

 

---もうお前の好きにしろ。俺はお前に使われるだけの存在だ。死のうが何しようがお前の自由だ。

 

……ねぇヴァイザー…

 

---…なんだ。

 

ごめん。力を貸して……ヴァイザー…僕は思い上がってたのかもしれない。この力が自分の力だって……約束守る以前に人として……最低だったよ……

 

---…………

 

だからお願い。君の力を…僕が最大限に使ってみせる。ヴァイザー……約束を守るために、人を守るために…そして…君と共に生きるために……

 

---…勝てるか?

 

ヴァイザーとなら

 

---なら喰うぞ…お前の体を俺に委ねろ…その後は…お前の仕事だ。

 

うん…行くよ…ヴァイザー!!!!──────。

 

 

 

 

 

 

 

「 ───────ん?なんだ!?」

 

睦生の体が脅威的なスピードで再生していく。元通りになると、呆気に取られるインガイネを蹴り飛ばし、立ち上がる。

 

「な、何があった!?」

 

「………」

 

口元が裂けて行き、牙が現れる。前と大して変わらない見た目ではあるが、より鋭くより強固と化していた。そして…

 

「ガアァァァァァァッッッッ!!!!」

 

「ぐっ…!!」

 

インガイネに飛びかかり、腕に噛み付く。それから骨ごと腕を噛みちぎる。

何が起こったのか把握できず、ただ自分の噛みちぎられた腕を見続けた。骨を噛み砕き、肉を食い、飲み込む。

 

「こいつ……バカか!!メイズは喰えない!!無機物と大して変わらない俺らを喰うことは、すでに人間どもが対策済みだ!!」

 

「そうか…対策済みか…」

 

 

 

生物はやがて変化する。その場の環境に適応しようとする。

だから彼も変わった。今の状況を打開する為に、それに適応する為に。

 

進化する────。

 

 

 

「…っな!!?く、喰われた、う、腕が再生しない…だと!!?」

 

---俺は喰った奴の能力を得ることができる。だが、それは生物だけに限る話…。しかしな。睦生と俺が組む事で、その輪は広がる。確かに無機物単体でなら無理だが、命を作られた生物としてのこいつだったら話は別だ。

「…つまり…こいつが生物である以上」

---あぁ。例え、そうであっても…喰える。…………喰うぞ、睦生!!

「うん!!」

 

「あんまり調子に乗るなよ…状況は大して変わってない!!!」

 

目にも留まらぬ速さで拳が迫る。すんでの所を盾で防ぎ、押し返すようにして前方へ飛び込む。

 

「ハァッ!!!」

 

顔面に蹴りを浴びせ、その勢いで高く飛び、銃に変え銃弾を放つ。顔の前で腕をクロスさせ、本能的に身を守ろうとするも、弾の威力には勝てず吹き飛ばされてしまう。

腹を抑え、苦しみながらゆっくり立ち上がる。目の前には既に、睦生が片腕を剣に変化させ立っている。

 

「クソ…!!こんなはずじゃ…なかったはずだ…!!」

 

「行くぞ。インガイネ」

 

剣先を向け、腰を落とし、構える。

 

「喰ってやるよ」




進化した牙の詳しい話は、また次回に持ち越しです。
そして新たな展開が…?

それではまた次回!!フラッシュ!!!!!アエッ…
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