さぁ稽古の続きだ!!
タイトルでなんだこれはたまげたなぁ……
皆さんはこの小説に耐えきることができるでしょうか。それではどうぞご覧ください。
「てめぇ。これは一体どういうことだ!!」
喰われた右腕を抑え、睦生を睨みつける。
再生しない自分の腕。アンチバイツの再生力は異常である事は、誰しもが知っていることだ。再生しないなんて事はありえない。腕一本くらいなら数秒経てば再生し、元の筋肉量に戻り、完全なものとなる。
だが、今。目の前でそれが起こっている。ありえないことがインガイネ目の前で起こっている。
「フッ!!」
剣を勢いよく振り、上段から切りつける。インガイネはそれを加速させた蹴りで弾き飛ばし、距離を取る。
そして気づく。蹴った方の脚がビリビリと痛みがある事に。
「今のは避ける為の蹴り。威力はマジに蹴った時程のものじゃねーが、てめぇくらいの剣なら、でけーヒビが入るはずだ…!!」
明らかに違うのだ。睦生の剣が。その硬度が。
ヒビが入るどころか傷1つ付いていない。
「僕の半分はヴァイザーに渡してる」
「は…?」
「主導権は僕でもあるけどヴァイザーでもあるってことだ」
「な、なにがどうなってる…説明しろ!!」
「…僕がいくらアンチバイツになろうと、元は人間。限界がある。それにヴァイザーから力を貰っているだけのこの体が、借りただけの力が、君たちみたいな奴に勝てるはずない」
「なるほどな…てめぇの主導権を半分、ヴァイザーに渡す事によって、本来の力を引き出し、進化を促したというわけか…」
「そして新たな能力を身につけられた…。1つは喰った箇所の細胞を死滅させて、再生をできなくする。もう一つは…君たちメイズの能力を奪うことができる!!!」
筋肉倍加をし、腹にめがけて、更に強度を増した拳で殴りぬける。
インガイネは綺麗なくの字に曲がり、辺りの木々を巻き込み、ある程度吹き飛ばされた位置で地面に転がる。が、体勢を立て直そうとした瞬間、すでに彼は目の前にいた。
「ハァァァァァッッッ!!!!」
叩きつけるように殴ると、地面が大きな穴を開ける。
それからすかさずにコアのある胸に、牙を立てる。それをゴクリと喉を鳴らして飲み込む。睦生は食べ終わったあと、近くの岩に腰をかけ、何も言わずにしばらく空を仰いだ。
「…………」
---どうした?帰らないのか?
「いや、なんか彼女の事が気になって…」
---あのまなとかいう女のことか?
「……うん」
---名前が似ているだけだ。その他が似てるところはない。そんなに前の女が…
「大事だったよ。すごくね。でもそのことじゃないんだ」
---なに?
「あの子…何か抱えてそうだった」
---アンチバイツに寄生されて普通じゃなくなった。まぁ当然だろうな。それについて悩んでいるとかだろう?
「違う」
---…?
「もっと黒い何かがある。あの子の声じゃない…何かが…」
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「何か用?ビーケ」
「お嬢。インガイネがやられました」
「…誰?」
「私と共にあった者の名前です」
「…そう」
先程いた教室の窓から外を見ながら受け答えをする。その顔はとても悲しそうである。
「お嬢」
「…なに?」
「睦生という男は今、更なる進化を遂げ、インガイネを打ち破りました」
「それが?」
「申し訳にくいのですが…お嬢の力では及ばなくなるやもしれません」
「………」
「我々が優っていたのは、あくまで彼がメイズの力に及ぶ程の力を手に入れてなかったからです。しかし彼はメイズに対しての力…メイズの力を手に入れてしまった。
即ちそれは、我々の領域に足を踏み入れたということ。今はお嬢と私の力の前では非力でしょう…」
「でも時間が経てば、それ以上の物を手に入れる…」
「えぇ。ですから早急に始末した方が妥当だと思われます」
「……考えとく…」
そう答えると、ビーケの目がスッと光を失う。そしてまなに近づき、無表情のまま後ろに立つ。
「……後ろに立たないでくれる?」
「…お嬢。私は常々思うんです。あなたは甘過ぎると」
「急に声色変えてどうしたの?」
「本当は同類の睦生のことを気にしているだけなんでしょう?」
その瞬間振り返り、片腕を刀に変え、ビーケの首元に突き立てる。少し力を入れれば突き刺さるほど、刃先を押し当てながら睨みつける。
「あいつは同類じゃない……さっきから私に対してなんのつもり?」
「あのですね……」
ビーケは刀を思いっきり掴むと、まなを睨み、その手に力を込めて行く。
「私が従っていたのは、あなたのその力です。が、あなたはそれを使おうとはしない。そんな人にもう従ってはいられない」
「ただで済むと思ってるの…?」
「それはお前も同じことだ」
刀を力に任せ砕き、腹に向かって蹴りを入れる。それをすかさず斧に切り替え防ぎ、槍に変え、そこらにある物を巻き込みながら突き刺す。
それを軽々と躱し、バイク音を響かせながら、重い蹴りをまなの脇腹へ入れる。
「かはっ…!!」
「吹き飛べ…ッッッ」
教室の壁を突き破り、外へと投げ出される。ビーケはバイクの様な姿へと変化し、その後を追う。
外では苦しそうにしながらも、次の攻撃に備え片腕を弓に変化させ、ビーケの追撃を待つ。バイク音が聞こえ始めると、手から出現させた矢を弓を引いて放つ。
矢は風を切り、ビーケを捉えたがスピードは緩まず、そのまま激突する。
「あっ…!!」
体に走る激痛に耐え、今度は両腕をクロスさせ、ハサミの形状へと変わる。ビーケが向かってくると、周りの木々を切り倒し、目の前を塞いで行く。
「こんな物で私は止められない」
勢いそのままにバイクから元に戻ると、硬く握り締めた拳で、目の前に置かれた木々を殴り飛ばす。
すると、彼女の姿はなく、そこには大きな岩があるだけだった。
「逃げたか………まぁいいだろう。お嬢が居られる場所なんか、この世のどこにもない。せいぜい足掻くがいい」
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外はすでに日は落ち、辺りは暗くなっている。
睦生は食べ終わった食器を洗いながら、今日の出来事を思い出していた。ヴァイザーの力を引き出し、新しい能力を手に入れ、より一層強くなった自分。
しかし逆に言えば怪人としての力が、更に高まったということだ。人ではない何かに変わってきているのだ。
「母さん」
「ん?」
「母さんは…父さんのどこを好きになったの?………っあ!ご、ごめん…」
暫く父さんの話をしない様に心がけているつもりであったが、無意識にただ自然と口から溢れる。
それを聞いた母は悲しい顔をするどころか、吹き出して笑った。久しぶりに見た母の笑顔に、睦生も釣られて笑顔になる。
「なに言い出すかと思ったら……さては」
「さては?」
「彼女できたでしょ?」
「ないない。全然ない」
「嘘ばっか。隠したって無駄よ」
「ほ、ほんとだよ…」
「ふーん……まぁでも気になる子くらいいるでしょ?」
「気になる子かぁ…」
一瞬だが、まなの顔が脳裏に浮かんだ。メイズの方…。
「…って、僕の方じゃなくて母さんの事を聞かせてよ」
「あーそうだったわね…。私と睦吾郎さんの馴れ初めは…人がほとんど訪れない神社で、1人お参りに来ていた睦吾郎さんが、たまたま私と出会ってね」
「うん」
「2人とも一目惚れして、そこから恋に発展して、それからすぐに結婚して、それから…」
「あーありがとう…。そう言えば昔、母さんは巫女さんやってたんだっけ」
「えぇ。でも人が全然来ないの。まぁ睦吾郎さんはそれから毎日来てくれたけど」
「ふーん…ラブラブだったんだね」
「そうよ。……ほんと楽しかったわよ…アンチバイツに出会っていなきゃ、あんなことにはならなかったのにね……」
「………母さ……」
「だけど、あの人は私に光くれた。あの日に睦吾郎さんに会ってなかったら私……今頃何してたのかな……」
「…………」
すると、突然インターホンが鳴る。こんな時間から一体誰なんだろうか。
母は「はーい」と返事をしつつ、玄関へ向かう。ドアが開かれると背筋がゾッとする。今日は特に冷えるわけではないが、それとは違う。
「睦生ーあなたにお客さんよ〜」
「……うん」
---睦生…わかってるな
「わかってる」
玄関へ行くと、そこには彼女がいた。メイズ・アンチバイツに寄生された彼女が…。
「やっと来た。待たせちゃってごめんね」
「か、母さん!!」
「なによ、声張り上げて…」
「い、いや…」
「あ、もしかして…ほら上がって上がって名前は?」
弥生はそう聞くと、彼女は「加奈井 まな」と答えた。
母は勘違いをしているのはわかる。この時間に訪問。さらには女の子。更に更に先程の話が加わったことにより、信憑性が上がってしまっている。
「……こっちに来て」
「えぇ」
まなを自分の部屋へ連れて行く。それを母はニヤニヤしながら、後からついてくる。とりあえず絶対に入って来ないでね、と疑われる可能性を大にしつつ、念を押して扉を閉める。
睦生はベッドに腰掛けると、その隣にまなは自然に座ってくる。何か言おうとしたがやめておいた。
「…………よし、それで何しに来たの…?どうしてこの場所が…?」
「…前にビーケから教えてもらった」
「なっ…!!?じゃああいつは僕の家を知っているって事なの!!?」
「…えぇ」
「そんな…!!それならあいつは……くそ!!」
拳を強く握りしめ、イラつきを見せる。まなはそれを見ると、ボソリと何か呟いた。
「今なんて…?」
「……ごめんなさい……」
「…………いや、いいよもう。対処法は…また考えるよ。それよりなんでここに来たの?」
「…………裏切られた……」
「裏切…られた?ビーケにって事?」
「そう…」
その理由に驚きが隠せなかった。あのお嬢と慕っていたビーケが裏切ったなどと思えなかったのだ。
その訳を聞こうと、少し距離を詰めようとしたその時…
「---てめぇ!!さっきから聞いてれば訳がわからんなーこと抜かしやがって!!おい睦生!!こいつ喰うぞ!!」
「な、え、えぇ!!!!???」
左腕が怪人体の時のように変わったかと思うと、そこから頭が現れ、まなに噛み付こうとしていた。
その顔はヴァイザー。前に鏡越しにみた怪人体と同じ顔。
「ヴァ、ヴァイザー!?な、なんで!?ってちょっと待ってよ!!落ち着いてって!!」
「---睦生、これが三つ目の能力だ。俺はお前から主導権を半分譲渡されて、少しの距離なら離れる事が出来るようになった。だからこいつを今ここで喰う!!」
「へー…じゃなくて、なんでよ!!まなにも色々理由あるだろうし、まず話を聞こうよ!!」
「---聞いてられるか!!こいつは俺たちを狩ろうとした女だ!!そんな奴が信用できるか!!?」
必死に制止しようと格闘していると、まながまた話し始めた。
「あいつは、私の中のメイズが怖くて逆らえないでいたの。だけど……」
「だ、だけど?」
「いつまでもその片鱗すら見せない私に、愛想を尽かしたのか…それとも、私の力が解放されることはないと判断したからなのか……」
「………」
「……ねぇ」
「なに?」
「今日1日だけでいいの……泊めてくれないかしら」
その言葉を聞いて、怒り狂うヴァイザーであったが、睦生は違った。
確かに変なことを言うようだが、まなは他のアンチバイツとは違う。いや彼女は元々人間だったのだ。過去に何かあったに違いない。
今日はいつにも増して自分が変である。そして彼女の目を見て、こう告げた。
「泊まっていっていいよ」
「!!…ほ、ほんと…?」
「---やめろ!!お前、寝首を掻かれたいのか!?」
「だけど……君になにがあったか。話してもらうよ。それが条件だ」
「………」
「---ちっ……勝手にしろ……」
舌打ちをしながら、ヴァイザーは引っ込んでいった。それから再び彼女に視線を戻す。
「…さて、その事については明日、聞かせてもらうから。いい?」
「えぇ…」
「じゃあ今日はもう寝ようか」
「…………」
「ん?どうしたの?」
「どこで寝ればいい…?」
「あ」
とりあえず僕は床で寝た。
よし(満足
今日で一気に詰め込みましたねぇ…
伏線とか貼ろう何かこうさらっと…こうね?(語彙力崩壊
次回もよろしくお願いさしすせそ。