じゃあ今回は前置きなしでパパッと書いて、終わり!!
それではどうぞご覧ください。
なんとかここまでは追い詰めた。いや追い詰められたといっていいのか。
まなはこれまで幾多のメイズ達と戦ってきたが、どう考えても今回の相手はメイズの概念を破っているとしか思えない。
まず形状変化というもの自体が、アンチバイツの中でも数匹しかできないのである。ユニクがその1つであった。しかしメイズと呼ばれるアンチバイツが姿を現し、生き物を食らう彼らにとっては珍しい、いや気味が悪いといってよかった。物を食らう事で強くなる彼らを。アンチバイツを殺すためだけに作られた生き物を。
しかし今、目の前にいるこの触手のアンチバイツはどのメイズよりも異質を放っている。
まなはこのメイズからは何も感じられないことに気づいたのだ。まるで本当に殺す為だけにいる殺人マシンのような。とても冷たく底が知れないなにかが見えるような気がした。
「ハァッ!!」
迫り来る触手の群れを刀一本であしらう。もう片腕はチェーンソーに切り替え、ティーシルの隙を伺うことにする。ティーシルは全くと言っていいほどなにも考えていない。その証拠に触手は彼女を狙い続けてはいるもののデタラメに、そして不規則に暴れまわる。
一見、馬鹿の一つ覚えであるこれはまなにとって非常に厄介であり、いつどこから自分を狙ってくるのかがわからないのだ。
「…っ!!隙が全く見つからない…!!」
---困ったな。このままでは体力が持たんぞ。
「わかってるわ!」
チェーンソーを力任せに横へ振るうと、ほとんどの触手は弾き飛ばされ、一瞬ではあるがかなりの隙を生むことに成功した。
これを好機と刀だった腕を槍へと変化させ、残りの触手を払いのけて一直線にティーシルの懐へと向かう。
「悪いけどこれで終わりよ」
槍の先端はしっかりとティーシルの胸を刺し貫いた。完全にコアを捉えている。まなは勝利を確信した。
だが、様子がおかしい。元々このティーシルはなにを考えているのかわからないほど気持ちを表情に出さないが、この時は違った。まなは触手に生まれたティーシルの顔を見ると、ゾッとするほど満面の笑みでこちらを見ていた。
その顔を見てから、背中に激しい痛みが訪れる。
「かはっ…!」
---こいつコアを破壊したはずなのにどういうことだ。
余った触手が彼女の背後から何本も突き抜ける。間一髪のところでオルギンがコアをずらしてくれたおかげで命拾いしたが、確かにコアを捉えたはずであるにも関わらず何故このメイズは苦しみもがかないのか。
すぐさまティーシルを蹴飛ばしてまた更に距離を開こうと走り出す。
「一体…どういうことなの…」
「---……と、あのメイズ。コアを破壊されているのは確かだ。しかしあいつ苦しむどころか平然としているな」
「……まさかだと思うけど、その破壊されたコアが一瞬にして再生したとか」
「---それはありえないな。ヴァイザーでさえコアの再生はかなり難だったはずだ。たかがメイズだろうとそんな芸当できるとは思わんがな」
「……なら、コアがいくつも体内にあるってことは考えられない?」
「---可能性としては0に等しいぞ。コアを多く抱えて戦うなど体への負担が大きすぎる」
「それがあのビーケだとしたらやれるはずよ」
「---……なぜあいつならと言い切れる」
「勘よ」
「---ふっ。お前もだいぶ頭が緩くなってきたな」
「……なんかイラッとした」
やはりまなの方が格段と早い。大きく距離を空けることができた。
オルギンが言うことが確かであるなら、ティーシルはコアの負担で体が重くなっているのかも知れない。アンチバイツに感情はあるのかないのか。彼らはないと言っているが、今まで会ってきた中でもこのメイズは異常だ。
その姿を見ていると、同士ですら道具のように扱うまでになったビーケにイラつきを隠せない。
「アローで行くわよ」
「---あの触手に遠距離攻撃か?」
「やるだけやってみるの」
ティーシルは徐々にその距離を縮めてきている。触手の隙間からチラリと見える表情は、まなを傷つける度に快感を覚えていると言った顔だ。
背中の傷も再生しきっている。後は狙いを定めて、そのコアを撃ち抜くだけだ。
「---当たるのか?」
「当てるつもりでやる」
まなは不規則に動く触手の間をジッと観察する。
大木すら一刀両断するほど、鋭利な刃物がゆらりゆらりと近づいてくる。間合いに入だだその瞬間、わずがな隙間目掛けて矢を放つ。一直線に矢は間をすり抜け、矢は2つ目のコアへと突き刺さる。
「……よし!」
---しかしまぁ相手はまだまだコアがあると言ったところか。
予想通りコアが重みとなり動きが鈍くなっているようだったが、コアが2つ無くなると同時にティーシルの動きは見違えるほど俊敏になっているのがわかる。その証拠に触手の一本がまなの元へ伸びる。
すんでの所を躱すも、やはり動きは他のアンチバイツと同等レベルには変化しているようであった。
「あといくつくらいあるのかしら」
---さぁな。この分だとあと3つほどあるんじゃないか?
「2つなくなったら……かなり苦労するかも」
---そうなる前に最後の1つを潰せばいいこと
「簡単にできればいいわね」
これが並のアンチバイツの状態だとすると、残り3つのコアがあるとして1つ潰す毎により素早く、より強くなるということである。
まなはティーシルの攻撃を捌きながら隙を伺う。
「手数…っ!!足りない…!!!」
並であったとしても、数で言えば格段に相手の方が有利である。こちらがいくら他のアンチバイツよりも優れているからと言って、数の多さが極端にその実力差を埋めている。
次第にまなは遅れを取り始め、何本もの触手によって切り裂かれて行く。そして最後に捌こうとした触手が彼女の胸を引き裂いたのだ。
「うっ……っぐ!!!」
---まなっ…!!
そのまま吹き飛ばされ近場にあった川に勢いよく着水する。飛沫が飛び散り、周りの木々にピシピシと降りかかる。
「はぁ…はぁ……これじゃ…2つなんてとても…」
「---……仕方がない。我はまだ死ぬ訳には行かないから」
「なに?…オルギン……」
「---我に主導権を寄越せ。こいつらを片付けてやろう」
「え…?」
「---どうした?ここで2人一緒に死ぬか?我はごめんだぞ?」
「……やれるの?」
「---見ておけ……少々我の養分になってもらうだけだ……」
そういうとまなは力が抜けたように水に浮かび続ける。ティーシルがゆっくりと近づいて、射程距離内へと入るとまなは浮かぶのをや目立ち上がる。ポタポタ水を垂らしながら、ティーシルを睨みつけるその目は、彼女の眼とは思えぬほど釣り上がり、まるで獰猛な獣のように恐ろしいものへと変わっていた。
「さぁ……---我の力をその身をもって味わってもらおう」
触手の先端が一斉に彼女の元へと向かう。
この場合は避けるか防ぐかの二択だ。だが、今の彼女……オルギンにとってはそのどちらでもない。
片腕をチェーンソーへと変化させると、触手を退かすように横へと薙ぎ払う。すると向かってきた触手はバッサリと切られ、無残にもあちこちに散らばってしまったのだ。
ティーシルはそれを見て笑顔が消えた。いや笑ってはいたが、状況が受け入れられないという間の話であり、自分の身に起こった事柄を理解すると、こちらを見ながらゆっくり後ろへ下がり始める。
「---なんだ?なにがあったかわからないという顔だな」
「…!!……!!!!」
「---我はな。腹が減って仕方がない。喰っても喰っても我のこの空腹を満たせるものがない。無機物と我と同種族のお前達メイズ以外が食えないから……そういうことでもない。ただ我はなにかを食いたいという欲求がふつふつと湧いてくるのだよ。特に理由などない。ただその欲のまま我は喰らうのだ」
オルガンの表情はとても穏やかである。しかしその顔からはただならぬ恐怖すら感じるのだ。
ティーシルは野生の直感でそれを理解した。だからこそ今やるべきことはなんだ、と自分の頭の中で考えた。今までやらなかった事を、ここに来て初めてやった。これからこの女から逃げなければならない。
戦ったら確実に殺されてしまう。
一歩踏み始める毎に、一歩下がり。また一歩踏み出せば、一歩下がる。
そしてもう一歩踏み出た時、ティーシルは敵前で振り返って走った。初めての逃亡。初めての恐怖。色々な感情が体中を、頭の中を駆け巡る。ただ今は逃げなければならないとティーシルの脳が判断したのだ。
「---どうしたティーシル。どこへ行こうという?我を殺さないのか?……ならば今、楽にしてやろう」
片腕を鎖鎌へと変化させると、鎌を振り回しティーシル狙いを定める。そして思いっきり加速した状態で投げつけると、鎌は逃げるティーシルを追い抜き、刃先は彼の喉元に当たる高さで一旦止まる。
察したのか触手で自分の前側を覆うように絡ませるが、オルギンは力任せにそれを引き戻すと、触手の盾は全く意味をなさず真っ二つに両断されてしまう。
すかざすオルギンはコアを3つ抜き取ると、メイズ一体をものの数秒で食い尽くしてしまった。
「---…こんなところか……さっきからコソコソと我を監視しているようだが、一体我に何の用だ。仮面ライダー」
そういって茂みの方を見ると、正義が仮面ライダージャスティスに変身した状態で姿を現した。
「---覗き見か?いい趣味をしているな」
「悪いが冗談が通じるほど、俺はお前達と親しくするつもりはない」
「---ならば、要件を聞こう」
「……アンチバイツ。どこから来たのか、目的も不明の謎の生命体……だったが、最近ある一体を実験に使わせてもらってな。色々わかった」
「---………」
「突拍子もないが、アンチバイツはこの地球の生き物ではない。その証拠にDNA鑑定を通しても、地球のものとみられないものが多く検出された……俺がライダーになる前からもこの世界にはアンチバイツが蔓延っていたそうだな?」
「---……らしいな」
「…………しらばっくれるのもいい加減にしろ」
「---なにを言いたいのかわからないが」
「…そのDNA鑑定でもう一つ、これに関しては俺も驚きを隠せなかった……だから俺はお前らを泳がせた……そう、加奈井 まなのDNAが僅かながら検知された」
「---だからなんだという?」
「なぜ彼女のDNAが検知されたのか。単純に考えれば彼女がアンチバイツを生み出している可能性が少なくても0ではないと推測がたてられる」
「---…………」
「だが、俺はそうは思わない。何故ならこの実験は彼女が生まれる前からやっていることだ……ライダーシステム。俺の父親が開発した代物だ。その技術力の高さは俺が生まれる前からもあったって事だ……その時のDNA鑑定はどのアンチバイツにも共通して出てくる遺伝子があった。そうそれは加奈井 まなと近いものが、しかしまぁ彼女じゃないことは確かだよな。お前というアンチバイツがいるんだからな」
「---…………」
「そろそろ吐いたらどうだ?メイズ・アンチバイツ……いや【オリジン・アンチバイツ】。オルギン」
「---……………………くくくっ……」
「……なにがおかしい」
「---オリジンか。我に種族名を付けてくれるとは感激だ」
「隠さないんだな……なにが目的だ」
「---目的だと?強いて言うならば我はこの欲を満たしたい。この空腹と別れを告げたい。だからこそ喰らうのだ。我が子たちも欲のままこの世界を喰らう。非常に素晴らしいとは思わないか?我はそれを尊くも感じる」
「……くだらん…これからなにをする気だ」
「---言っただろう。我々は喰らい続ける。この欲求を満たす為に永遠とな」
「……なるほどな。よくわかった」
「---なんだ?我と戦おうと言うのか?」
「いや、まだその時じゃない。今の力で戦った所で俺はお前に勝てる保証がない」
「---賢明な判断だ…………………………ん……?オルギン?勝ったの?…!?ジャスティス……」
「……ふん」
「……?」
そして場面は移り、睦生の戦いが始まろうとしていた。
というわけでこんな風に終わりました。急展開お兄さん許して
後ろの穴にまで入っちゃってる……(後半戦
次回も何かがある…!!お楽しみに……!!!