仮面ライダーヴィランズ   作:辰ノ命

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ついに始まったビーケ戦。睦生は勝てるのか……?

怒涛の急展開!!(についてこれ)ないです

メイズ編も残りわずか!!それではどうぞご覧ください。


EP21 絶望のレクイエム

僕はこの数ヶ月で多くのアンチバイツと戦いそして勝ってきた。

今まで普通の生活を送っていた僕が、あんな化け物と戦ってきてたなんて今更ながらすごく驚いている。だってそうじゃないか。あいつらは人間レベルの相手なら全く歯が立たない相手。仮面ライダーか同種でなければ絶対敵わない、そんな奴らに僕は誰かを守る為に、ヴァイザーと共に歩んできた。

 

 

「ビーケ。お前と僕の戦力差は遥かに大きい。でも、だからと言って逃げ出すつもりも負けるつもりもない。僕は僕の全てを使ってお前を倒す!!!」

 

 

形状変化させ剣に変えた腕で、頭を叩き割るかのように振り下ろす。

これで倒せるとは思ってない。これは様子見だ。

ビーケは首を横に振るうと、片腕で刃を受け止める。掴まれた腕は全く微動だにしない。

 

 

「……お前バカか。全てをかけたとしても、お前と私の力は埋まらない……というより意味がない。この攻撃が全く意味がないんだよ。このまま腕を掴まれたまま、お前が死ぬまで殴り続けてやってもいい」

 

「確かにバカだよ。お前を叩き斬ろうとした所で受け止められる事くらいわかってたよ……今の僕ならこの状況かなり不利だし瞬殺されるだろうね」

 

「…にも関わらず、私に真正面から挑み、結果殺されて終わる。なにがしたいんだ?気でも狂ったか?……まぁ私はお前をすぐに嬲り殺すのも不服だと思っ……」

 

「うん…僕もただでは死ぬつもりはないからね………ヴァイザァァァッッッ!!!」

 

 

ビーケは崩れるように倒れる。本人も突然の事に驚いたが、すぐに状況を把握し目を血走らせ、怒りを露わにする。

右脚が食われていた。しかしこれはありえない事なのだ。1つの能力の使用中は二つを併用する事は出来ない。睦生が使える能力はバイトとブレード。牙と剣のみ。

ただありえないと述べたが、実際まなは2つを併用して使うことが出来るようになった。だが、まなの場合は元々の力と相まって使用することができるのだろう。

けれど睦生は違う。コアの再生のよる代償で彼は弱体化を強いられた。何もかもができなくなった。今のようにヴァイザーを体の一部から外側へ出て、更には決まった部位にのみしか、本来は形状変化…能力は使用できないはずだ。これは制約を無視した牙の使用である。

 

 

「き、貴様…ッッ!!!」

 

 

睦生はすかさず間合いを取り呼吸を整える。

 

 

「ありえないって顔だよね…そうだよ。ありえない」

 

「なぜ能力の使用ができた……完全に制約を無視している…………ありえん。貴様なにをした!!!」

 

「僕もびっくりした。ヴァイザーが突然提案するんだから……」

「---ふん。俺も一か八かの勝負だったがな。お前のいう通り俺たちは全てにおいて弱体化をしている……が、この牙だけは別だ。こいつは睦生が手に入れた力であり、俺の18番ってやつだ。これなら多少は落ちてもそのもの自体は代わり映えはしないだろうと踏んだまでだ」

「能力を2つ使えるのはなぜかは分からないけど……なんにせよ。僕はヴァイザーを信じる。例えそれが命をかけたものだとしても!!!」

 

 

意味がわからない……私の想像を遥かに超えている。前は確かに、確かに私の方が格上だった。この男は私の足元にも及ばない……そう思っていた。だがどうだ?こいつは雑魚となって、私よりも…いや、下手をすればそこらにいる小物と同じぐらいの戦闘能力しか持たないまでになったというのに…………なぜだ。なぜだ!!なぜだ!!!!!!

 

ビーケの脚は再生しようと肉が蠢いているが、まるで見えない壁があるかのようにそれ以上先に進もうとしない。

 

 

「お前なら片脚だけでもまだやれるだろ?……僕は……お前を絶対許さない」

 

「このッ……ッ!!ガキがッッッ!!!」

 

 

拳を地面に突き立てると、ビーケの体はみるみる姿を変えバイクに変化する。彼の怒りを表すかのようなエンジン音が鳴り響く。それを見つめる睦生。

2人は互いに正面に向かい合い、その間に緊張が走る。

先に行動したのはビーケだった。睦生の周りを回り始め、徐々にその距離を縮めながら走行する。かなりのスピードであり残像が見えるほどである。

 

 

「いいか睦生!!人間なんぞアンチバイツに遠く及ばない下等な生物だ!!いや…この世はアンチバイツではなく!!メイズこそいればいい!!私たちがふさわしい!!」

 

「なにがふさわしいだ……お前達がやっていることはただ殺すだけで何も変わってないじゃないか!!そんな事に意味なんてない!!」

 

「意味があるから言っている!!私が世界を統べる!!そして私が生物の頂点へと君臨する!!」

 

「1人の想いだけでこの世を変えるなんて間違ってる!!お前が頂点だって?お前なんて………力でしか解決しようとしない哀れな生物だ!!」

 

「黙れェェェェェェェェェッッッ!!!!!」

 

 

残り数センチという所で突然タイヤに何かが突き刺さり、ビーケは勢いよく跳ねて壁に激突する。

そこへ空から華麗に着地をし、睦生の隣へと立つ。肩腕を槍に変えたまなの姿があった。

 

 

「まな……ッ!!」

 

 

ビーケは立ち上がりドリフトをかましながら再びバイクの体制を立て直す。

 

 

「ごめん…遅れた」

 

「…………大丈夫。助かったよ」

 

「あんまり無理しないで……もう嫌だから」

 

「わかってるつもりだよ…ありがとう」

 

「それじゃ……一気に仕留める」

 

「なら、まなは攻撃に徹してほしい。僕は隙を見てあいつを喰らう……再生能力を奪って畳み掛けよう」

 

「…使えるのね。わかったわ……極力無茶はダメだから」

 

「あぁ…」

 

 

そして向き直る。ビーケは更に怒りを見せる。だが、もう勝てる事は出来ないようだ。なぜなら目の前には既にビーケの想像を超える2人が立ち並んでいるのだから。

 

 

「キサマラァァァァァアァァアァァッッッッッッ!!!!!」

 

 

怒りに身を任せた突進が彼らに迫る。あのビーケともあろうメイズが我を忘れ、単純に殺意だけで動いている。いや、元々この性格だったのかもしれない。

まなはヒラリとそれをかわすと、後ろのタイヤの回転軸に槍を突き刺し動きを封じると、すかさず睦生があらゆる箇所を噛みつく。喰らうたびにビーケは苦痛の声をあげいつしか元の形状へと戻ると、所々が欠損してしまった哀れな姿と化してしまったのだ。

もう立つことすらできないだろう。

 

 

「クッ……!!!こんな……!!こんなことが……ッッ!!」

 

「終わりだ…ビーケ」

 

「終わりだと…?ククッ…………そうか。終わりだな」

 

「何がおかしい?」

 

「ハァ……ハァ…………さて、私はお前に負けるのは想定外だった。驚いた。まさか睦生ィ……お前がここまで成長しているなんて」

 

「だからなんだ…?」

 

「負けてしまった……ククッ……そうだ負けた…………ハァァァ…この…………戦い“だけ”はな」

 

「なにをするつもりだ?もう…お前に勝ち目なんか……」

 

 

ビーケは残った指を3本前は突き出すと、まるで数えるかのように1本、そしてまた1本と折って行く。

全ての指が折られた時、突然地震が起こる。

 

 

「な、なんだ!?」

 

「睦生!!あそこ!!」

 

「…ッッッ!!?

 

 

ここから数10メートル先に5本の柱が現れる。その真ん中の柱に弥生が血だらけで括り付けられており、それを囲むように4本の柱が連なっている。

 

 

「…ッビ……!!!ビィィィケェェェェッッッ!!!!!」

 

 

睦生はビーケに馬乗りになり殴りまくる。何度もその拳を叩きつける。だが、ビーケにはまるで効いていない。それでも尚、怒りに任せて殴り続ける。

 

 

「フッ…安心しろォ……みためはあぁだがあの女は無事だ。ただし………………お前の目の前で死ぬがな」

 

「……なッ……に……ッッッ!?」

 

「言っただろ……第1試合には負けたが……第2試合…私の……私の勝ちだァァァァァァアッッッッッッ!!!!!」

 

「や……やめろォォォォォォッッッッッッ!!!!!!!」

 

 

4本の柱はビーケの合図と共に大爆発を引き起こし、辺り一帯を火の海と化したのだった。その威力もあり、メイズ達も巻き添えを喰らい、半分以上が消し飛んでしまった。

嘘だろ?嘘だ。待ってくれ。嫌だ嫌だ嫌だ!!!

 

 

「母さんッッ!!!!!」

 

「睦生…ッ!!」

 

 

まなはビーケを掴むと目玉に槍の先端を捻り込む。最初は苦痛の声を上げたビーケであったが次第に笑顔が溢れ出した。気味が悪いほどに、とても嬉しそうに。

 

 

「終わりはお前らだ………本来であるならば私が貴様らを殺した後、残りのメイズ達を存分に暴れさせてから…融合しようと思っていたが…………仕方がない…来いッッッ!!!」

 

「こ、これは…!?」

 

 

残りのメイズがビーケの体に喰らいついて行くと、徐々に融合し始める。まなは思わず飛び跳ね、腕を弓に変え矢を放つ。しかしそれは止まることなく急激な速さで取り込んで行く。

 

 

「な、なに……これ…………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

------------------

 

「母さんッッッ!!!どこッ!?いたら…いたら返事してくれ!!頼む!!生きててくれ!!お願い……お願いだから……頼むから……!!!!!」

 

 

睦生は必死に耳を澄ませ、辺りを探索する。無我夢中で探した。顔がぐしゃぐしゃになるほど泣きながら。

すると、微かだが声が聞こえる。聞いたことがある。間違いない。

 

 

「母さん!!!!」

 

 

母の元へ駆け寄る睦生だったが、その姿を見た時、言葉にならないほどの声を上げ、泣き始めたのだ。

弥生は確かに生きている。しかしこれは生きているというには余りにも酷い姿だった。

右腕と下半身は吹き飛んでおり、顔半分は焼けただれている。

 

 

「か…あ………………ぐっ…………!!!なんで…ッッ!!…………なんでだよ…ッッッ!!!!!後少しだったじゃんか…………また僕は……………家族を……殺し……ッッッ!!!」

 

「睦……生……」

 

「……ッ!!母さん…?母さん!!!」

 

「あな…たは…………誰も……殺してなんか……ないわ…………」

 

「…………え…?」

 

「いい…?……睦生…………?」

 

「うん…」

 

「私…は…………死んじゃうわ…この…………傷じゃ……助からない…………」

 

「母さん……やだよ………俺もう誰かを失うのはやだ…………頼むから死なないで……お願いだから……」

 

「あなたが……アンチ……バイツだったの…………知っ……てたわ…………あなたが…………あの日…………帰って来た時……から……」

 

「ど…どういうこと…?」

 

「睦生………アンチバイツは…………2匹の原初の……アンチバイツから…………始まったの…………その1匹が……【ジーエンズ】という名で……今は……どこにいるかはわからない…………そしてもう1匹が私……【ビーレンズ】…………」

 

「え……?なに言ってるの…?」

 

「私は……原初のアンチバイツ…………この……地球に来て…………睦吾郎さんを…………愛してしまったの…………本来の目的は……この地球…を……喰らい尽くすこと……だった…………でも……あなたや色んな人に……囲まれて……そんな事…次第に忘れていった…………けど…元はと言えば私たちが……元凶……なの…………」

 

「なんで…!!なんでそんなッッッ…!!」

 

「睦吾郎…さんも…知ってたわ…………それなのに…………私は…………私達は…………とんでもない過ち…を…犯していたの…………すでに……私には力がなかった……なにもできなかった…………忘れてた……全てを…………私は…………あなたにこんな……こんな…辛い思いをさせて…………最低よ…………私は…………これは私への…罰なんだわ…………」

 

「母さん…………」

 

「母親として……人間として……アンチバイツとして…………本当に最低…………失格よ…………」

 

「…………確かに母さんは最低だよ……だけど、例え母さんがどんな人だったとしても……僕は……母さんの息子だから…ッッッ!!!」

 

「………………あり…がと……ごめん……ね…………強く生きて……む……つき…………あなたなら…きっと………………世界を…………救え……る…………か………………………………」

 

「母さん……?…………ねぇ?母さん…?…………母さん…ッッッ!!!!!……うっ…………!!!ぐぅぅぅぅ…ッ!!!!!!…………くそっ……クソクソクソクソクソッ……ッッッ!!!!!!」

 

 

雨が降り始めた。睦生は血のような涙を流す。悲しみと怒り。両方が混ざり合うようにして彼の体を覆い始める。

そして、睦生は手を出した。母のコアを喰らった。人の心臓ではない、アンチバイツのコアを。

 

 

「ヴァイザー………………」

 

---…………なんだ。

 

「あいつを………………」

 

---…………

 

「喰らい殺すッッッッッッ!!!!!!!!!」

 

---…あぁ。

 

 

睦生に血管のような赤黒いものが全身を覆った。そして彼は天に向かい、全てに知らせるかのように咆哮する。

彼の怒りを。悲しみを。

 

 

「アァァァァァァァァァァァァァァアアァァァァァァァァアァァァァァァァァァアアァァアァァァァァァァァッッッッッッッッ!!!!!!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

------------------

 

まなはもう限界であった。メイズを取り込んだビーケ相手にはどうすることもできなかったのだ。

途中駆けつけた正義であったが、新たな力の反動が著しく、通常形態でギリギリ戦っているという状態である。

しかし今のビーケにとって2人は赤子同然なのだ。

 

 

「ここ……までか……ッ!?」

 

「睦生……大丈夫かな……」

 

「あいつの心配もそうだが……今は目の前の奴をどうにかしねーと……死ぬぞ」

 

 

ビーケは笑っていた。目の中は真っ白であり、なにも見えていないだろう。意識はあるのだが、まるでその力を制御できていないのだ。

 

 

「---ハハハハハハハハハッッッ!!!いい…!!実にいい…!!この体……最高だ…………ハハハハハハハハハッッ!!!!」

 

「化け物が……!!」

 

「---だぁれが?化け物だってェェェ!!!!?????」

 

「カハッ…………!!!!」

 

 

正義は吹き飛ばされ壁に激突する。変身が解けると何処か折れたのか、全く身動きが取れていない。

勝てない。と、まなは悟った。そして殺される。逃げる事は可能かもしれない。だが、この怪我では正義を担ぐことができない。何より正義を見捨てて行くことができないのだ。

 

 

「---お前は…まなか……?なら殺す……殺す殺す……ハハハハハハハハハッッッ!!!!」

 

「……ッ!!」

 

 

目を伏せた。心の中で助けを呼びながら。

 

 

「---死…ッッッ!!!」

 

 

まなは声が途切れたのを聞いた。目を開けるとビーケの右半分がバッサリと切られ、地面に半身が大きな音を立てて倒れた。

 

 

「え……」

 

 

まなの前には何かが立っていた。見た目はアンチバイツと似ているが、それとは全く違う。まるでその身に鎧を纏っているかのように、右腕を剣ではあるが、より禍々しく大きく、全身に赤黒い筋が通ったその姿。

 

 

「---……なんだ…!?なにが起こった……!?」

 

 

「ビーケ……俺はお前を喰らい殺す」

 

 

睦生……覚醒!!




次回、メイズ編ラスト!!
睦生の怒りと悲しみが爆発する!!


仮面ライダーヴィランズ 完結まで残り6話……!!
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