オリジン・アンチバイツで、全ての元凶ジーエンズ。この相手に睦生たちはどう戦うのか。
張り切って参りましょう。
それではご覧ください。
EP23 始祖の目覚め
「……すみません、正義さん。わざわざ家に来てもらって……」
「いや別に構わない」
睦生達は3人で暮らしていたアパートに集まっていた。
しかしそれは昔の話。今は睦生1人だけである。家族と共に過ごした楽しかった日々、それが全て夢であったかのように消え、残されたのは静寂のみだった。
「… まなに寄生していたのが、最初のアンチバイツ……ジーエンズだったなんて……」
「--- あの女、とんでもない野郎を寄生させてやがったな」
オリジンについては亡き母…ビーレンズに聞いた。本来ならこの地球は崩壊してた、という事なのか? 自分にはよく分からない。突然、言われた自分とアンチバイツの関係。
まさか2番目に生まれたアンチバイツの息子だったなんて思いも、いや普通ありえない事なんだけど、今となっては色々辻褄が合う気がする。
最初にヴァイザーに寄生された時、あの時点で俺は死んでるも同然だったんだ。だけど俺はこうして共に共存できている。寧ろ最初なんて自分に主導権があった。
だからこそ知りたい。アンチバイツについて。自分について。
「ねぇ、ヴァイザー。そろそろ教えてくれてもいいんじゃない? アンチバイツの事を……」
「--- …なに?」
「だってさ。俺はオリジンの息子なんだろ? ……ならアンチバイツと関係がない訳がない。少なくとも半分人間だろうけど… だから聞きたい。ヴァイザーの事も全部」
「--- 確かに… もう隠す必要もないな」
正義と睦生は黙ってヴァイザーの方を向く。
そんな彼の顔は今迄見た事がない表情だった。どことなく悲しげな顔をしている。
「--- 俺達アンチバイツは宇宙から来た…ってのはもう知ってるか。俺達の目的はただ一つ。その惑星の生物を喰らうこと。食べ終われば次の場所へ転々する…その命令を下したのもオリジン、ジーエンズだ」
「ヴァイザーもジーエンズについては知ってたんだね」
「---まぁな。あいつは簡単に言えば王だ。その下で支えてるのが俺達ユニクって訳だ……だが、そのユニクの中でも、俺は最底辺の奴だった……」
「え …?」
「---俺達も一応生物だ。生きてりゃ個性だって、その強さの具合だってそれぞれ違う。他の奴らは戦闘向けで、俺のこの牙はデメリットしかない。射程距離は短いし、コアを喰らわなきゃ能力だって取れやしない。身体的力だって他の奴らには程遠かった…」
「ヴァイザー …」
「--- …… そんな俺はある日お前に寄生した。するとどうだ? お前は俺を使いこなし、みるみるうちに成長しちまった。乗っ取ろうとしていたはずが、逆に利用されるなんて夢にも思わなかった… だけど俺はこれでいいと思ってる。感情のないはずのアンチバイツに、いつしか情が芽生えて、こうしてお前と強く成長できているからな」
「…… そっか。俺も嬉しいよ。まぁ、最初は嫌だったけどさ。今じゃ… 俺にとってヴァイザーはかけがえない存在… 俺に唯一残された家族さ……」
それを黙って聞く正義は静かに微笑む。
自分がこうして変われたのは睦生達と出会ってからだ。アンチバイツに襲われ、家族を失い、全てを憎み戦ってきた。しかし今は正義の為に、1人の仮面ライダーとして戦う事を決めた。
「ふっ… 感謝してるぞ」
「…… え?正義さん。急にどうしました?」
「いや、ただの独り言だ」
「そ、そうですか …?」
「…… さて、ジーエンズの動きが未だに把握できてない状態だが…… 睦生。あいつの居場所はここからわかるか?」
「はい。試してみます」
睦生は目を閉じ、感覚を研ぎ澄ませる。あらゆる方向から声、気配、鼓動を感じ取りながら隅々まで、まなとジーエンズを探す。
すると微かではあるがジーエンズの気配を感じ取った。しかしその瞬間、彼の圧が荒波ように睦生に押し寄せ、冷や汗をかきながら床に手を着く。
「どうした!? 大丈夫か!?」
「… ハァ… ハァ… なんとか。見つけましたけど、ただ奴はこちらの気配に気づいてるようです」
「… やはり只者じゃない。予想はしていたが、これから一戦交えるとすると、かなり厳しいかもしれないな。ただ負ける前提で行くより勝つことを前提にした方が後々、後悔しなくて済みそうだ」
「不穏な言わないでくださいよ… ホントに何があるかわからないのは事実ですけど、必ず勝ちましょう!! … そして、まなを助ける… !!」
「なら、準備が出来次第さっさと行くか。この地球をあいつの好きにさせてたまるかよ」
「はい!」
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周りは既に暗くなっていた。かなりの長距離を移動しながら、睦生と正義はある古びた洋館に辿り着く。
館自体大きいのだが、それ以前に庭が広い。一目見て分かるが、かつての大金持ちが住んでいたことは間違いない、その証拠に所々に生える木々は綺麗に整えられている。
しかし妙なのは古びているのは確かで、今は人がいないはずにも関わらず、庭は片付けられているのだ。
「… ジーエンズは庭師にでもなる気なんですかね」
「その方がよっぽど平和的で助かるんだがな」
「確かにそうです」
洋館の扉まで近づくとより一層気配が強く感じ取れる。睦生は扉に手をかけようとすると、何かを踏みつける感触を覚える。
見ると、なにやら苗字が書かれているプレートのようだ。
「… !? これって ……」
「どうした?」
「あぁ、これ …… 『加奈井』って書かれてて」
「加奈井 …… まさか、ここはまなの」
「…… かも知れないですね」
まながジーエンズに寄生された時の話を聞いていない。それに過去のことも。
それよりも今は彼女を助けることが先決だ。
睦生は両手で扉を開くと、外もそうだが、中も真っ暗だ。月の光が全くと言っていいほど入り込んでいない。その暗闇の奥からただならぬ気配を感じ取れる。
「…… 行きましょう。正義さん」
「あぁ… 気をつけろ」
奥へと進むと、大きな扉が立ちふさがっており、それを開き、更に進むと広間へと出た。
真っ暗だった広間に突然明かりがつき始める。異様な空気の中、周りに多くの気配を感じとった。2人に緊張が走る。
「アンチバイツの数が多い……」
「ビーケの時と同じくらいか? それともそれ以上か、それ以下か?」
「… 以下ですね。あの時とは全然、数が少ないです」
「なら余裕だな。やるぞ…… 変身ッ!!」
「はぁぁぁ……ァァァ」
それぞれ装甲を身に纏い、2人は背中合わせになると、アンチバイツを待ち構える。
そして周りのアンチバイツたちは、絶叫とともに飛びかかってきた。
「来たぞ睦生…!!」
「はい!!」
睦生は剣に変えた腕を伸ばし、2周ほど回すとアンチバイツは次々と斬られて行く。
一方で、正義はジャスティカリバーを巧みに操り、仕留めきれなかったアンチバイツを的確に切り裂いて行く。
数は多いが、2人の今の力であるなら、この程度の相手がいくら飛びかかってこようがなにしようが、全く意味がないのだ。みるみるうちに敵はその数を減らしていく。
「そろそろ出てきたらどうだ!? ジーエンズ!! 俺たちをこいつらで止めるのは無理だぞ!!」
「親玉ならさっさと出てきて、俺たちのことを潰してみろ。まぁ出た所で返り討ちにしてやるがな!!」
そういうと突然アンチバイツたちは動き止め、数歩下がる。
その間を抜けるように女性が現れた。まな、ではあるが違う。アンチバイツの王ジーエンズである。
ジーエンズはこちらが来たことを歓迎するかのように、腕を広げ、ニタリと笑う。まなの顔だが、その不気味さは異様な程だ。
「やっと出てきたな…… まなは…… まなは無事なんだろうな?」
「---あぁ… 無事だ。寄生はしているが、完全に体を乗っ取っているわけではない」
「そうか。それを聞いて安心したよ… これからどうするつもりだ」
「--- …… クククッ… もちろん欲のままに喰らう。全てをな…… ただ、今の力ではそれは叶わん。この女は未熟すぎる」
「どういうことだ…?」
「--- あの日、この女の住んでいた場所。それがここだ。我はまだまだ子の女に寄生した。そして我は…… ここにいる者たちを1匹残らず喰らった」
「なに……ッッ!?」
「--- この女からしたら、我は仇とでも言うべきだろうな。上手く騙し、今に至るが、これほどまで未熟だと思わなかったがな…… 」
「お前… まなの家族を殺して、まなを利用して…… ふざけるなよ!!」
「--- ふざけてなどいない。我は欲のままに動いているだけ。人間もそうだろう? 何かを手にいれるためには、何かを犠牲にしなくてはならない。我は自然の摂理に従っているまでだ」
「だからって生物を無差別に殺す事も違う。お前たちは喰らっているだけじゃない。ただ命を絶っているだけだ……!!」
「--- 必要のないものは捨てる。我は人間と同じことをやっているだけだ。文句を言うのであれば人間にいうことだな…… さて」
腕を振り上げると、アンチバイツ達は身を低くし、構え始めた。
「どこへ行く気だ!!」
「--- 始まりだ。お前たちの世は、我の手によって終わる」
腕を振り下ろすと、アンチバイツ達が一斉に飛びかかってくる。
それらを斬り裂いて、ジーエンズの元へ向かおうとするも数が増えたのか、睦生達をこれ以上進ませないと、目の前に次々と並び立つ。
「待て!!ジーエンズッッッ!!!!」
「--- お前達がこの館から出た時…… 我の計画は実行されている」
ジーエンズはその群れの中に静かに消えて行く。
怒りのままに、力任せでアンチバイツ達を退けていき、追いかけようとするが、彼の姿はどこにも見当たらない。
「くそッ!!!」
「これは時間稼ぎだ!! あの野郎、外で何かするつもりだ… こいつら片付けてさっさと追うぞ!!」
「はい!! … 絶対助ける……!!」
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あれから1時間もかかり、ようやく館の外へと出られた。
しかし目の前の光景がまるで嘘のように変わっていた。
「なんだよ…… これ……」
「あいつ…… 俺たちに何もしてこなかったのも、あの中に留めておいたのも、こいつの為だったのか……!!」
2人はこの世の終わりを見ていた。
街はアンチバイツが溢れており、人々の悲鳴がこだまする。
「ジッ……………ッ!!! ジーエンズゥゥゥゥゥゥッッッ!!!!」
睦生達は急いでアンチバイツを倒し、襲われている人たち、まだ息がある人たちを助ける。
街は血の海だ。死体が無残に転がっている。どこもかしこも止まらない悲鳴。圧倒的数に全く減る様子がない。
暫くして、生き残っている人たちを避難させることができた。全て正義さんに任せてしまったが、こうでもしなければ睦生のことを誰しもが良しと思わないだろう。完全に守る側に徹していた。
それを繰り返しすることによって、落ち着いてはいないが、アンチバイツ達は大人しくなっていた。
あのジーエンズのことだから、また数を増やして再開するだろう。
それにこのアンチバイツ。他とは違う。人間を取り込んでいないのだ。後々調べてわかったが、どうやらメイズのような人工生物に寄生しているらしい。
だからこそこの短期間で多くのアンチバイツを量産できたようだ。
「すみません… お任せしてしまって」
「いや、いい…… 俺のせいでもあるからな」
「正義さんは何もしてないですよ」
「今までずっと否定して続けてきたからな……お前のような人間みたいなアンチバイツがい、あ、すまん逆だったな……」
「どちらと言っても否定はできませんが、俺は別に気にしてませんよ…… 怖がられるより、誰かを失う方が嫌なんです……」
「…… ついに恐れていたことが起きたな」
「そうですね…… 今は感じ取れませんが、これからまだ被害が増え続けるかもしれません……」
「そうだな… 迂闊に奴の場所へ行けないのか……」
「…… いや、来ますよ。俺たちが暴れ続ければ」
「なに…?」
「あいつがこの数時間でここまで増やせたのは、奴が身を潜めてた期間、アンチバイツの量産とその器を量産していたからだと思います。まなの体を未熟と言っていたので、まだ完全じゃないはずです。つまり、このまま俺たちが奴よりも早く倒し続ければ……」
「なるほどな。完全じゃない分、量も作れない。嫌でも潰しに出てくるってことか」
「…… やりましょう正義さん。あいつの好きにはさせない…!!」
「勿論だ。やるぞ睦生」
2人は握手を交わすと、明日に備え、一時の休息を取ることにする……
工事完了です……
やべーよやべーよ…… 敵が増えてきたから……
次回、戦います (いつもの)
残すは後…… 4話…!!!