仮面ライダーヴィランズ   作:辰ノ命

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あー…… 悲しいかな。

最終回一歩手前となりました。
色々と感謝の言葉を述べたいのは山々なのですが、シメで言わせてください。お願いします。なんでもしますから
ん?

皆さんは私の小説に耐えきることができるでしょうか? それではどうぞご覧ください。


EP26 最後の牙

あれから1週間、外を見れば火の手が上がっている。

睦生は何もしないとは言ったものの、裏で人の救助を行っていた。

事あるごとに罵声や暴力なんかを振られたけど、当然のことだろう。けど、それは自分がアンチバイツだから仕方がない、というのとは違う。

俺は戦えるにも関わらず、逃げている。最低な化け物だ。

 

 

「…… ただいま」

 

「おかえり。睦生」

 

 

このアパートにいるのは、俺たちだけだ。

2人だけでここに住んでいる。他の人達はみんな避難所へ逃げた。

時期にそこも危うくなってしまうだろう。だが、自分にはそれを守れる力がない。

 

 

「今日は… 弥生さんが教えてくれた料理だよ。前にこれ美味しいって言ってたから…」

 

「うん、すごく美味しそう」

 

「ありがとう」

 

 

あの日以来、まなは無理して微笑んでいるように見える。

これも当然といえば当然。彼女はあの状況の中で、俺を助けるために、言葉を悪く言えば、人類を選ばなかった。

しかしあの場で何をしようが、結果は変わらないだろう。

俺たちにはすでに選択肢なんかない。あるのは死を待つことのみ。

 

 

「すごく美味しい…… でも食材、残り少ないね」

 

「うん。ガスもなんとか使えるけど…」

 

「そっ…… かぁ……」

 

 

街は荒れ果てている。そんな中で食べ物以前に、生活環境だってままならない。

今、俺に出来ることは人々を避難所に届け、物資を届けるだけ。

アンチバイツを殺す事は、確実に標的にされる。約束を破ることとなる。だから倒せないし、手すら出せない。日に日にその数を増やしている気がする。

睦生は食べ終わった食器を、洗い終わると、椅子に座る。またはその隣に腰掛ける。

 

 

「…… あれから1週間も経つのか。時が過ぎるのは、ホントに早い」

 

「そうね…」

 

「社会人になって、大切な人もできて、毎日楽しかったんだ…… でも、あの日から全て変わった」

 

「ん…?」

 

「俺は… ヴァイザーに寄生された。トイレの中だったかな? 嫌な場所で倒れたもんだよ……ハハッ」

 

「……」

 

「それから色んなアンチバイツと戦った。もちろん仮面ライダージャスティスとも。今、覚えばあんな体験してる人、俺しかいないんじゃないかな? それもそのはずだよね。だって俺は… 人間じゃなかったから……」

 

「睦生…」

 

 

机に膝をつき、片手を額に付けて、笑顔を保ちながら話し続ける。

 

 

「自分のこの力は与えられるべくして、貰ったんだろうなとか、ちょっと思ったことあったよ。俺は他の奴とは全然違うし、なんでも出来る気がしてた。アンチバイツを倒して、みんなを救えると思ってた…… それが全部、間違いだったんだ」

 

「……」

 

「俺は結局、この世を救えなかった。今のこれはなんだ? 家族と一緒にゆったりと過ごす。別に何処にでも普通の光景さ…… だけど俺がそれをする資格があるのか? あいつとやり合えるのは、俺しかいない状況で、俺は何のうのうと生きてるんだ? 俺は一体なにも出来ず、ただ怯えてるだけの…… 弱い男だ……!!」

 

「睦生は弱い男なんかじゃないよ… だって現に、あなたに救われた人はいっぱいいるじゃない…」

 

「… ありがとう、まな。でもこれは事実なんだ……」

 

 

まなは既にアンチバイツではない。ジーエンズが外れた為、ただの女の子となった。

そんな彼女に、睦生は自分の怒り、悲しみのままに打ち明ける。

かつて寄生されたものとして、聞いて欲しかったのかもしれない。自分のことを。

 

 

「戦いは怖かったさ。いつもいつも自分を奮い立たせて、アンチバイツ達に挑んでた。人を守る為に戦った。命懸けで守った…… でも、最終的には、自分を選んだ」

 

「……」

 

「ジーエンズと戦ってわかった。俺はあいつに勝てない…… おかしいだろ?今まで命懸けてたのに、あいつと真正面からやりあって、怖くなって、何も出来なくて…… なにも………… 僕は… 怖い。死ぬのがとても怖くなっちゃったんだ……」

 

 

睦生の胸の内を聞き、まなは優しく彼を抱きしめる。そして泣いている睦生の頭を数回撫でる。

 

 

「睦生は充分頑張ったよ…… 私が言える口じゃないけど、あなたは誰よりも頑張った。だからもう… 戦わなくてもいいんだよ?」

 

「…… でも… 僕は、大切な人を失いたくない。僕の為に死んでいった人たちが何人もいる。だから、それを蔑ろにしたくない……」

 

「やっぱり… 行きたいのね……」

 

「本当は行きたくないよ… だけど僕が、僕がやらなきゃいけない。救わなきゃいけないんだ… それが僕に託された使命だと思う」

 

「…… わかった」

 

「まな…」

 

 

まなは涙を必死に堪えて、無理矢理に笑顔を作る。

本心は嫌だとわかっているから、睦生自身の心情もかなり苦しい。

 

 

「絶対… 生きて… 帰ってきて……ッ!!」

 

 

この言葉を聞いて、睦生は覚悟を決めた。

彼は再び、ヴァイザーとして復活する。

 

 

「あぁ… もちろんだよ」

 

「約束だから…… 」

 

「約束」

 

 

しばらくお互いを抱きしめ合い、最後の戦いまでの時間を過ごす。

明日から準備が整い次第、すぐにジーエンズの元へと向かうつもりだ。

睦生はベッドに寝転がって、天井を見上げる。特に変化はなし。それもそうか。

 

 

「… 明日だよ。ヴァイザー」

 

「--- なんだ?あんな事を言っておいて今更、無理だから逃げる、ってのはなしだぞ」

 

「言わないよ。この状況で言うとか、格好つかないでしょ?」

 

「--- それもそうだな」

 

 

ヴァイザーと最後の会話になるのかな。できれば死にたくはないけど、今回ばかりは万が一のことがある。

だから、相棒と少しでも話がしたい。

 

 

「そうだ、ヴァイザー。今日のまなの料理どうだった?」

 

「--- あぁ? まぁ美味かったな。ただ弥生のにはまだ足りないと言ったところだな」

 

「そうかな? 結構似てたと思うけどな」

 

「--- なんだ? 味覚音痴にでもなったか?」

 

「誰が音痴だよ」

 

 

会話最中、扉を叩く音が聞こえる。誰かはわかっているから、あえて返事はしてみない。

しかし全く開けてこないものだから、結局、呼んだ。

なんで返事してくれないの?と、怒っていたが、笑っていたから良かった。

 

 

「そういえば、ヴァイザー。最初の頃はグレてたね」

「--- グレてた?」

 

「私知らないけど、そうなの?」

 

「かなり酷かったよ。もう人のことなんだと思ってるんだって感じの」

「--- 仕方ないだろ… あの時は若かったんだ」

 

「アンチバイツに年齢ってあるの…?」

 

「--- 知らん。俺に聞くな」

「人間年齢って大体どのくらい?」

「--- …… お前と同じくらいなんじゃないか」

「え!?」

 

「へぇー…」

 

「--- なんだその顔は」

 

「別にー」

 

 

楽しい会話、かなり長い時間話していた。

この楽しい会話も今日で終わりになってしまうのか。

睦生は最後の時間をたっぷりと過ごし、明日に備えて眠りに落ちた───。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

---------------

 

朝の日差しは差し込まない。空は毎日暗闇に覆われている。

起床した睦生は、着替えてからリビングへと向かう。

キッチンではまなが朝食を作っていた。これが最後の食事だ。

 

 

「あ、起きた? ご飯もうできてるよ」

 

「うん。食べるよ」

 

 

椅子に座り、「いただきます」と、合掌をして食べ始める。

途中、まながジッと顔を見つめてきているのがわかり、そちらの方を向くと、驚いて顔を伏せる。

 

 

「ん? 顔になにか付いてる?」

 

「んーん… なんでもないよ」

 

「…… まな」

 

「なに?」

 

「大丈夫。俺は必ず帰ってくるから」

 

「うん…」

 

 

食事を済ませると、両親の写真がある仏壇の方へ行く。

その前で正座をして、合掌をする。

 

 

「母さん。父さん。俺、行ってくるよ… 」

 

 

さぁ、行こう。

玄関へと移動し、靴に履き替える。

まなもその後、片付けをしてやってきた。

 

 

「いってらっしゃい。気をつけてね」

 

「いってくるよ」

 

「… 絶対。帰ってきて」

 

「もちろん」

 

「うん… 気をつけて……」

 

「…… いってきます」

 

 

まなはゆらゆらと手を振り、ドアが閉まるまで見ていた。

そしてもう一度ドアを開けた時、すでに彼の姿はなかった。

 

 

「… 頑張って…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

---------------

 

「邪魔だぁぁぁッッッ!!!」

 

 

街に蔓延るアンチバイツ達を、みるみるうちに殲滅して行く。

人類の未来のために、彼は今、もう一度立ち上がる。

 

 

「気配はこっちからだ!!」

 

「--- あぁ… 睦生。お前がこの先何があっても、俺は最後までとことん付き合うつもりだ」

 

「かしこまった感じして… どうしたの?」

 

「--- 相手は今の俺たちを圧倒する、アンチバイツの王… 無事でいられるはずもない。だからだ」

 

「… わかってるよ。帰るとは言ったけど、本当に帰れるのかもわからない。あんな圧倒的差を見せつけられて、それでも戦いに行くなんて馬鹿らしいよ… でも、俺しかできない。俺がやらなきゃいけない」

 

「--- やはりお前は面白いな。もうすぐあいつの場所だ」

 

 

睦生達はジーエンズのいる場所へ、覚悟を決め向かう ───。

 

 

 

──── しばらくして、ようやくジーエンズの気配がする更地へやってきた。

来るのがわかっていたかのように、周りの木々や瓦礫は除去してある。それらしき残骸が所々に見られる。

 

 

「来たぞ… ジーエンズッ!!!」

 

 

さっきまで、そこにいなかったはずのジーエンズが、一瞬のうちに目の前に現れた。

深くため息を吐くと、呆れたように首を振る。

 

 

「--- なぜ、来た」

 

「お前を倒すため」

 

「--- …… ありえない。お前も理解しているはずだ。我とお前とでは話にならない。だが、どうしてだ? 一体、お前の何がそうさせる」

 

「大切な人を… もう2度と失いたくないからだ」

 

「--- ククッ… たったそれだけの理由で、我と戦おうなどと無謀が過ぎる」

 

「たしかに無謀だ。だけど、俺は戦わなければならない… それに俺は死ぬ気なんてない。必ず帰って、あの頃のように平和に過ごすんだ。俺はお前に勝つ。勝って、みんなの明日を作る!!!」

 

「--- ハハハハハッ! … さすがビーレンズの息子だ。悔いのないように殺してやろう」

 

「行くよ。ヴァイザー」

「--- あぁ、行くぞ睦生」

 

 

そして構える。

全てを終わらせる為に、平和を取り戻す為に、生きる為に。

最後の戦いが始まる。

 

「「ジーエンズッッッ!!! お前を喰ってやるッッッ!!!!!」」




次回、最終回です。

睦生 VS ジーエンズ
果たして、地球の未来はどちらのものになるのか。

残り1話。皆さん、よろしくお願いします。
次回まで暫しお待ちください。
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