「お願い事があるのですが」
放課後。正門を出ようとしたユーシスを呼び止めたのはロジーヌだった。
ユーシスが振り向くと、彼女は温和な笑みを浮かべている。
「なんだ。また日曜学校の先生でもやれというのか?」
「いいえ。そうではないのですが」
以前ユーシスが日曜学校の一日先生を務めてから、ロジーヌとはそれなりに話す仲になっていた。教会前と正門前が、ユーシスに声を掛ける彼女のお気に入りスポットらしい。
「はっきり言うがいい」
「言ったらお願いを受けてくれますか?」
「受けるも受けないも、まずは話を聞いてからだ」
ロジーヌは困った顔をして、ユーシスの瞳をのぞき込んだ。
「話をしてもしなくても、お願い事は受けて欲しいのです」
「な、何だその理屈は」
ロジーヌは控え目で大人しいのだが、慣れた相手には意外にも明け透けに物を言う。最近それがユーシスにも分かってきた。いつも日曜学校の子供達を相手取っているのだから、当然と言えば当然であるが。粛々としているだけではこなせない仕事なのは、ユーシスも身をもって知っている。
「実は次の日曜日にですね――」
ロジーヌの話を聞き終わると、ユーシスは額に汗を滲ませた。
《☆☆☆スポットライトは誰が為に☆☆☆》
「子供達の為に劇をやる!?」
次の日の昼休み。Ⅶ組の教室からそんな声が響く。
「そういうわけなのだ」
話を終えて、ユーシスは後ろの壁にもたれかかった。
ロジーヌからの依頼というのは、先に述べた通り『子供達の為に劇をして欲しい』であった。何でもボランティアで予定していた当初の劇が、先方の都合でキャンセルになってしまったらしい。子供達も楽しみにしているので、中止と告げるのは心苦しいそうだ。
ユーシスからこのような頼みというのも珍しいので、一同は興味深げに耳を貸していたのだが、話を聞き終わった後の皆のリアクションは、奇しくも昨日ロジーヌから話を聞いた彼と全く同じであった。
一様に『うーん』と唸りながら難しい顔を浮かべている。
「次の日曜と言うと……あと五日しかないな」
「学院祭のステージ練習だって時間がないんだぜ」
渋面のマキアスとクロウが難色を示した。
ルーレ、オルディスへの特別実習、そして続けざまのユミル旅行ということで、今月下旬にある学院祭――そのバンドステージの練習に充てる時間でさえ限られている状況なのだ。
「無理は承知で頼んでいるが……やはり厳しいだろうか。エリオットはどう思う?」
ユーシスの目が演奏指導役のエリオットに向く。彼ならある程度の目算を立てられるだろう。
少し考えてから、エリオットは首を横に振った。
「これからの練習次第ではあるんだけど、やっぱり余裕があるとは言えないかな……ごめん」
「そうか」
皆協力したい気持ちはあるのだが、今はどうしてもステージ練習がネックになっていた。そのことはユーシス自身も理解している。
「いや、その通りだな。やはり今回は断っておくとしよう」
心中を悟られない為か、あくまでも淡々とユーシスは言うが、そこに「待ってください」とエマが差し挟んだ。
「今回の件、どうにか受けられないでしょうか」
驚きを見せる一同に、彼女は続ける。
「やればなんとか時間を作れるはずです。学院内じゃなくても、寮のラウンジなら広さも丁度いいですし、個々の練習もしやすいと思います」
再度一考の様子を見せた全員に、さらに重ねて言う。
「演奏における表現力、演出における演技力。これはステージのクオリティを上げることにも繋がりませんか?」
しばしの沈黙の後、「確かにそうかもしれないな」と口を開いたのはリィンだった。
「学院祭ステージの練習にも繋がるっていうのは同感だ。舞台度胸もつくと思う。時間を割いてやってみる価値はあるんじゃないか? それに内容も内容だ。受けてやりたい気持ちは皆にもあるんだろう?」
それぞれがうなずく。
全員の協力が得られる形となった所で、ちょうど昼休憩が終わった。
ユーシスが感謝を述べたあと、エマが締めくくる。
「あとは午後の講義が終わってから、細かな担当分けは放課後に行うとしましょう」
放課後。黒板の前に立つのはエマである。
「――では担当を決めたいのですが、まず劇の脚本が必要ですね」
脚本がなければ配役のキャスティングができない。だがこれに関して悩む余地はなかった。
アリサがエマを見返した。
「エマがやればいいじゃない。文芸部なんだしストーリー作りには慣れてるでしょう?」
「わ、私ですか?」
「ああ、エマ君ならいいだろうな」
「ん、いいと思う」
全員が同意する中で、クロウが手を挙げた。
「ちょっと待った。脚本なら俺も参加するぜ」
得意気に鼻を鳴らし、手に持ったペンをクルクルと回してみせる。
「最近のガキ共は目が肥えてやがるからな。俺が山あり谷ありの冒険活劇を作ってやる」
とても嫌な予感である。クロウに任せると、子供達に見せられるレベルを色んな意味で越えてしまいそうだからだ。
「何言ってるのよ。エマに任せればそれで――」
言いかけて、アリサの言葉が止まった。
脳裏によぎるのは少し前、エマの部屋で見た
内容を一言で説明するのは困難だが、“行き過ぎた友情”と“突き抜けた青春”とでも言おうか。
表紙下部に書かれていた“G”のサインの意味など知る由もなく、アリサはあの小説を書いたのはエマだと思っていた。
もしあの作風で突っ走れば、劇の当日、教会の色鮮やかなステンドグラスは全て怪しげな紫色に染まり、子供たちの何人かは幼くして人生のレールを脱線するだろう。
「……えーと」
「アリサさん?」
アリサはぎこちなく笑った。
「うん、クロウと二人で作っていいんじゃないかしら。丁度良く中和されるというか」
「……なにか勘違いしてません?」
「勘違いというか、キャストの組み合わせが違うというか」
「や、やっぱり。アリサさん違うんですよ。なにがというのはこの場では言いにくいんですが」
言い出せないエマと、何か言いたげなアリサ。
取り返しのつかなくなる言葉を伏せたまま続いた二人の微妙なやり取りの果てに、結局、脚本はエマとクロウで担当することになった。
「配役は脚本が出来てからじゃないと難しいだろう。劇のストーリーはどれくらいでできそうだ?」
ユーシスが訊ねると、エマはちらりと時計を見た。
「細部はまた詰めるとして、プロットだけなら一時間あれば作れると思います」
「おう、その間お前らは、どの役に当たってもいいように心の準備をしとけ。最終的に配役は立候補と推薦、それでも揉めるようならくじ引きになるけどよ」
紙とペンを用意しながらクロウも言う。
何しろ今回は時間がない。エマとクロウはさっそく机に向い合わせて座った。
「だーから、ここでどんでん返しの方が盛り上がるんだよ!」
「待ってください。それだと主人公の心情と辻褄が合いません」
「チビ向けの劇でそこまで深くしなくてもいいだろ。ど派手な演出が一番だぜ」
「子供の感性を伸ばす意味もあるんですから。ここはやはりヒロインが遅れてやってきて……」
「服を脱ぐんだな?」
「どうしてそうなるんですか!」
脚本作りは見事に難航していた。緻密な心理背景を大切にしたいエマに対し、ど派手に、そして妙にセクシーさを入れたがるクロウ。テーマの方向性の違いが水と油となり、ストーリーがまとまっていかない。予定していた時間を三十分も過ぎていた。
口を挟む余地はすでになく、周りはただ二人の論争を見守るのみである。
さらにそこから一時間。場所も教室から寮のラウンジに移ったところで、
「ふう、できました」
「中々の出来だぜ」
ようやく脚本が完成した。
相当集中したらしく、それなりに憔悴した様子のエマとクロウが、ストーリーの大枠を全員の前で発表する。
「子供にも分かりやすい構成にしました。ストーリーはシンプルに、『悪者に囚われたお姫様を主人公が助けに行く』という形です」
「王道だろ? これならチビ達でも楽しめると思うぜ」
最終目的がはっきりしていて、かつ個々の登場人物の立場が明確だ。確かに見ている側が分かりやすい。
「じゃあ細かく話を説明していくぞ。どの役を演じることになるかはまだ分からねえから、イメージしながらよく聞いとけよ」
冒頭のストーリーを、まずはクロウが語り出した。
「主人公はとある国の騎士だ。こいつは新米なんだが、一目見たお姫様に密かに想いを寄せていた。ある時、その好奇心旺盛なお姫様が城を抜け出すところから話は始まる」
エマが言葉を継ぐ。
「お城から抜け出したお姫様は、決して足を踏み入れてはならないという禁忌の森に迷い込んでしまいます。そこには古より存在し、不思議な力を持つ森の主がいました。森の主は侵入者であるお姫様を、
そこで一歩前に出るクロウ。
「禁忌の森の荊を断ち切ることができるのは王家に伝わる剣だけなんだが、困ったことに城の連中は誰もその剣を引き抜くことが出来ない。そこで王様は言うわけだ。『この剣を引き抜き、姫を救い出した者こそ真の勇者。その者の望む褒美を与えよう』ってな」
さらにずいっと前に出るエマ。
「その剣を引き抜いた者こそが今回の主人公です。紆余曲折の果て、彼は馬を繰り、仲間と共に禁忌の森へと入ります。襲い来る魔獣を退け、ついに森の主も倒すことができました」
二人は交互に説明を続ける。だんだんと口調に熱が入り始めていた。
「だがな……荊の檻から助け出したのに姫は目を開けない。荊の棘には毒があったんだ。毒を消し去る方法はただ一つ。陽の光に当てることだ。だが森の奥に光は届かねえ。主人公は必死で森を抜けようとするが……」
「追いかけてくる魔獣。どんどん弱くなるお姫様の鼓動。傷だらけになりながらも走り続ける主人公」
「ようやくのことで森を抜けるが、空には分厚い雲がかかっていて太陽は見えねえ。そして姫はもう息をしていなかった」
「悲しみに打ちひしがれ、手にした剣を振り上げる主人公。その瞬間、雲が裂け、眩い光が二人を包み込むんです。そしてわずかに身じろぎし、静かに目を開くお姫様」
「剣を大地に突き立てて、主人公は姫を強く抱きしめる。そこで幕は下り――」
二人は声をそろえた。
『ハッピーエンド』
子供向けかと言われると、やや対象年齢が高い気がするが、それでも雰囲気は伝わってくる。年少の子供達が話について来れるかはともかく、大団円であることは感覚で分かってくれるだろう。
ユーシスが了承した。
「これでいこう。全員構わないな?」
異論は出なかった。出なかったが、アリサは不安そうにしていた。
「……配役はどうなるの?」
「えーとこんな感じです」
エマが役のリストを書いた紙を全員に見せる。
・主人公
・お姫様
・仲間
・王様
・森の主
・魔獣
・馬
・木
・通行人などエキストラ
・BGM担当
・ナレーション担当
以上である。
「では今から配役を決めますね。やりたい役がある人はいますか?」
皆が頭を抱えていた。正直どれも難しい。まず自分に合っているものがわからない。魔獣などどう演じればいいのか。そもそも木に役どころがいるのか。疑問と不安が尽きず、中々声が上がらなかった。
クロウが手を打ち鳴らし、全員の視線が集中する。
「まあ、こうなるとは思ってたけどよ。だが今回は時間がねえんだ。ほぼ決まりの所はこっちから指定していくぜ」
クロウが順々に告げる。
「エリオットはBGM担当な。舞台袖に楽器をセッティングして、場面に合わせて演奏するんだ。んでナレーションは委員長。落ち着いた口調だし適任だろ?」
この辺りはハマリ役である。二人もすぐに承諾した。
「うん、演技よりは役に立てそうかな」
「ナレーションですか。がんばります」
問題はここからである。
まずは主人公。物語の軸となる人物で、必然セリフは多くなる。
「イメージ的にはリィンかユーシスなんだけどな」
言われて顔を見合わす二人。
「だったらユーシスがいいんじゃないか? 子供達に好かれているんだろう」
「好かれているかは知らんが、今回俺は裏方に回ろうと思っている。主役はお前に任せたい」
役は受け持つが全体のバックアップも行うと、ユーシスは言う。それは全員の協力に対する彼なりの返礼だった。
「けど……」
「頼む」
そこまで言われては、リィンも拒めなかった。
「わかった。精一杯やらせてもらう」
主役はリィンに決定である。
そうなると次に決めるのはお姫様役なのだが、これもキャスティングは限定されてくる。
「まあ、消去法ではお前らのどっちかだよな」
クロウの視線がアリサとラウラに向いた。
「わ、私? 演技なんてやったことないわよ」
「同じくだ」
焦る二人を見て、クロウは大げさに首をすくめた。
「こいつは困ったぜ。ここは一つ主役に意見を聞いてみるか。なあリィン。お前はどっちをお姫様にしたいんだ?」
『えっ!?』
三人の驚愕が重なり、クロウは口の端を引き上げる。悪意の凝集された笑顔だった。
ハッピーエンド物語の主役なのに、眼前にあるのはバッドエンド直通の二択しかない。
顔面にびっしりと汗を浮かべたリィンは、アリサとラウラを交互に見やる。
しかもこんな時に限って、二人は口を開かない。黙したままリィンを見つめ返しているだけだ。
「お、俺は二人の演技を見てからじゃないと決められない……っ」
重い空気の中で絞り出したそれが、精一杯の返答だった。
あくまでも判断基準は演技。この場においての筋は通っている。アリサとラウラが納得するかは別としてだが。
「……まあ、いいわ」
「……よかろう」
含んだ目をリィンに向けながら、二人は首を縦に振る。視線の意図になど気付きもしないリィンは、安堵の面持ちで胸を撫で下ろしていた。
お姫様オーディションの緊急開催。
先程とは打って変わって、いつの間にやら二人ともやる気である。
「それでは私がお姫様のセリフを言いますので、役になり切って復唱して下さいね」
台本はまだ出来ていないから、適当なセリフを書いたメモ紙を片手にエマが読み上げを行う。
「じゃあ、行きます。『私も自由にお城の外に出てみたいわ。毎日毎日、退屈なのよ』はい、アリサさん」
「う、うん『私も自由にお城の外に出てみたいわ。毎日毎日、退屈なのよ』……どうかしら?」
初めてと言う割には中々のものだった。流暢に言葉を発するだけではなく、ちゃんと抑揚もつけている。
「うまいですね。それでは次はラウラさん、どうぞ」
「よし。『私も自由にお城の外に出てみたい……わ。毎日毎日退屈、なの、よ』……うむ」
しっくりこないという感じで、ラウラは首をひねっている。
「何だかすごくセリフが言いにくそうでしたが……もしかして語尾が慣れない言葉だからですか?」
ラウラの言葉は毅然としているというか、貴族然としているというか、『~のだ』などのはっきりとした語尾で締めることが多い。いわゆる女性言葉をあまり話し慣れないのだ。それが違和感となり、彼女の口調をぎこちないものにしていた。
「むう……『毎日毎日退屈なのよ……だ』……う」
セリフを言い終わったあと、心地悪そうに身じろぎするラウラ。それでもしばらくはがんばっていたが、最終的に『~なのだよ』とか言い出す始末である。
「ラウラさん、しんどそうですね。時間をかければ何とかなるとは思いますが……」
しかし今回はそのかけるべき時間がない。ラウラも納得したようで「姫役はアリサに任せよう。どの道柄ではないしな」と、どことなく残念そうに身を退いた。
その流れで、ラウラは口調を崩さずに演じられる仲間――女騎士役を務めることになった。
「うっし、主人公と姫、んで仲間役も決まりっと。これ以上時間はかけらんねえから、こっからはくじ引きだぜ」
役の書かれたくじをクロウが差し出す。特に異議もなく、残った面々はくじを引いた。
その結果――
・主人公(リィン)
・お姫様(アリサ)
・仲間の女騎士(ラウラ)
・王様(ガイウス)
・森の主(フィー)
・魔獣(ミリアム)
・馬(ユーシス)
・木(マキアス)
・通行人などエキストラ(クロウ)
・BGM担当(エリオット)
・ナレーション担当(エマ)
キャスティングの一覧を見て、口ぐちに感想が飛び交う。
「俺が王様役か。ユーゲント皇帝をイメージしたらいいのだろうか?」
「私が森の主?」
「えー! ボク、魔獣~!?」
それぞれが想定外の役だったようだ。その中でマキアスが「ち、ちょっと待ってくれ」と喧騒を中断する声をあげる。
「僕は木なのか!? 一体何したらいいんだ」
木は動かない、話さない。あえて舞台の上に存在する意味がわからない。
クロウは憤るマキアスの肩に、ぽんと手を置いた。
「演じようのないものを演じるには相当のセンスがいるんだぜ。考えようによっては一番難しい役かもしれねえ。お前以外には演じられないかもな」
「ぼ、僕じゃないと演じられない……?」
「ああ、頼んだぜ。マ木アス」
「ちょっと待ってください。今なんか名前の呼び方が――」
引っ掛かる事があったらしいマキアスだが、それはさておき改めて全員の承諾を確認する。不安はあれど意義はなし、といったところである。
肝心の演技指導や演出はクロウとエマで分担することになった。
「おっと、そうだ。衣装やらの物品調達もしねえとな。これはどうするか……」
主人公の剣。お姫様用のドレス。細かいものを挙げれば、王様の冠、森の主の衣装、舞台背景の板やら絵、照明器具その他。入用な物は数多い。
難しい顔でうなっていると、「それは
皿洗いでもしていたのだろう、濡れた手を拭いながらシャロンがラウンジに顔を出した。
「お話は聞こえておりました。衣装に関してはシャロンがお手伝いしますわ」
「簡単に言うけど、かなりの量よ。さすがにシャロンだけじゃ手が回らないんじゃない?」
アリサが指摘すると、シャロンはくすりと笑んだ。
「それでしたら心配はありませんわ。手なら追加できますので」
「え?」
「たっだいまー」
そのタイミングで帰ってきたサラに、全員の視線が集中する。
「な、なに。なんでみんなしてあたしを見てるのよ。何かやったかしら?」
「いいえ、サラ様。何かやるのはこれからですわ」
当惑を見せるサラ。意思とは無関係に彼女も巻き込まれた。
一方、馬役のユーシスは考え込んでいた。
クロウがニヤつきながら歩み寄る。
「よう、どうしたよ。まさか言いだしっぺのお前さんが不服か? 馬役ならセリフはないし、全員のバックアップに回る時間だってあるだろ」
「役に不満などないが、ただ――」
「ただ?」
「馬というのは白馬だろうな?」
物憂げなため息。
こだわりのノーブルオーダーを言い放ち、ユーシスは思案顔を天井に向けた。
●
翌日の昼休み。ほとんど徹夜で仕上げたという台本をエマから受け取り、ユーシスはロジーヌに劇の詳細を伝えていた。
他クラスの教室に留まって話――というのも目立つので、今は二人して適当に廊下を歩きながら会話を交わしている。
「そういうわけで、劇の内容は今言った通りだ。練習や小道具作りは急ピッチで進めている」
「そんなに本格的に……なんとお礼を言えばいいでしょうか」
「気にするな。ただ舞台は礼拝堂を使うことになる。教区長の許可は取っていると聞いたが、当日のセッティングがスムーズに行くように、子供たちの席配置などは事前に済ませておけ」
「わかりました。……ああ、そうです」
ロジーヌは思い出したようにくすりと笑った。
「どうした?」
「ユーシス先生が来ることを子供たちに話したら、とても喜んでいましたよ。カイだけはむっつり顔でしたが」
「あいつは町で顔を合わす度に突っかかってくるからな。理由は分からんが」
「あの年頃の子供は難しいですから。普段は素直な子なんですよ」
「どうだかな」
あの一日先生をやって以来、『ロジーヌ姉ちゃんを返せ』などと叫びながら、カイは木の棒を手に奇襲をかけてくるようになった。その都度、遊び仲間のルーディとティゼルに取り押さえられるのだが、最多記録では一日に三回も襲ってきたことがある。あれを素直と呼んでいいのだろうか。
「ユーシスさんは子供に慕われやすいですね。うらやましいです」
「お前が言うか」
誰よりも慕われているのはロジーヌだろうに。自分で気づいていないのか。
「昼休憩を使って今日から劇の練習をする予定だ。お前も少し見ていくか?」
「はい、ご一緒させてください」
時間は限られている。果たしてどこまでのものに仕上がるか。
『俺はこの剣を引き抜き、姫をお救いしてみせる』
屋上に伸びやかなリィンの声が響く。
どうやらアリサと同様、演技にはセンスがあるらしい。あとは身振り手振りの動作がセリフと合わされば、ひとまずは十分である。
一方で苦戦中なのはガイウスだった。
『お前程度の新米騎士が姫を救おうなどとは笑わせてくれる誰かこやつをつまみ出せ他に腕の立ちそうな者はおらんのか』
発声が固すぎる上に息継ぎもろくにしないので、セリフを言い終わった後は常に酸欠状態に陥っている。話す度に『はあ、はあ』と息切れする王様は怪しい人だった。
「ガイウスは演技が苦手だったか。そういえばあの時も……」
「あの時?」
「いや、なんでもない」
言いかけた言葉をユーシスは飲み込んだ。ロジーヌは不思議そうにしている。
あの時、と言うのはヘイムダルでアランとブリジットのデートの応援――結果として邪魔になったが――をしにいった時だ。
不良の頭役であるガイウスだったが、下手な演技ではばれてしまう為、結局一言もセリフはなかった。正確に言えば『ハイヤー』だけは発したが。
「ガイウスさん、落ち着いて下さい。私の後に続いてゆっくりやっていきましょう」
横からエマの演技指導が入る。
悪戦苦闘するガイウスから少し離れた屋上の片隅では、アリサとラウラが各々で練習中だった。
『そなたのような新入りが姫を救えるものか。王よ、その大役はどうか私めに』
普段の口調と大差ない女騎士のセリフは、ラウラも問題なく演じられている。というより、演じる以前にラウラそのものだ。違和感は全くなかった。
『私は自由を感じてみたいの。自由に外に出て、買い物をして、友達を作って、恋をしてみたいわ』
姫役のアリサは相変わらずで、卒なく演技をこなしていた。
互いの役作りに関して、あれやこれやとアドバイスし合っているあたり、この二人は問題なさそうである。
「……ガイウスがセリフを言えるようになれば、何とかなりそうだな」
なにせ王様役なのだ。不良役の時のように一言も発さないわけにはいかない。
ガイウスならやれるだろうと、根拠なく胸中に呟いて、ユーシスは屋上の端に歩を進めた。
その背に続きながら、ロジーヌが言う。
「皆さん、あんなに一生懸命になって下さって……きっと子供達も喜んでくれます」
「だといいがな」
柵に寄りかかり、ユーシスは何気なく眼下に視線を落とす。
そこに見えた中庭では、小さな影が二つ飛び回っていた。
『ミギャー!』
校舎から中庭に出たとたん、つんざくようなわめき声が突き刺さる。
『森を荒らす人間め。荊の檻に閉じ込めてやる。ふふふ』
『ワギャー!』
フィーが邪悪な笑みを浮かべる横で、ミリアムはギャーギャー叫んでいた。
ユーシスは呆れ顔で言った。
「……お前たちは何をしているのだ」
「あ、ユーシスとロジーヌ。見ての通り練習中だけど。悪い顔はクロウがモデル」
「ボクは魔獣役だからさー。とりあえず鳴き声から入ってるんだ」
ミリアムは歯を剥き、爪を立ててみせる。これが彼女なりの魔獣らしい。
「まあ、かわいい」
ロジーヌはにこにこと笑っている。
ミリアムはともかく、森の主を演じるフィーはそれなりに型にはまっていた。
ガイウスほどとは言わずとも、もっと棒読みを予想していたユーシスにとって、これは意外なことだった。
その視線に気付いたフィーは、台本から目を上げた。
「なに?」
「いや、案外とやれているものだと思ってな」
「任せといて」
珍しいユーシスの褒め言葉に照れ隠しのつもりなのか、フィーは再び台本に目を落とす。
「ねえねえ、ユーシス! ボクは? ホギャー!」
「お前はまとわりつくな。あと鳴き声を統一しておけ」
周りを飛び跳ねるミリアムを払いのけながら、ユーシスはその場から離れる。
「ここはもういい。行くぞ」
「やっぱり小さい子に好かれるんですね」
「俺はそう思わん」
「ふふ、ごめんなさい」
すたすたと前を行くユーシスに、ロジーヌは悪びれなくあやまった。
「ユーシスさんは馬役でしたか」
グラウンド側へと歩を進めながら、ロジーヌが訊ねた。
「そうだ。白馬だ」
白馬がいいと言うノーブルオーダーは、無事シャロンに聞き届けられ、専用の被り物と衣装は現在制作真っ只中である。
「主人公かと思っていました」
「リィンに頼んだ。俺には似合わん」
「そんなことありません。私は見たかったです。ユーシスさんの、その……騎士役を」
「……お前も劇に出てみるか?」
ふと思い立った提案だったが、ロジーヌはさすがに驚いた様子で目をしばたたかせる。
「エキストラなら何人いても構わんのだ。クロウが何役かこなすことになってるが、分担できるならその方がいい」
「い、いえ。私が皆さんの舞台に混じるなんて」
「そんなことを気にするな。それに子供達もお前が出た方が喜ぶだろう」
「ですが……」
「なにも劇中通して出るわけではない。それこそエキストラだ」
しばらく悩んでいたロジーヌだったが、やがて小さくうなずいた。
「無理なお願いを受けて頂いていますし、私にお手伝いできることがあればさせて下さい」
「ああ、話は委員長たちにも通しておく」
グラウンドに差し掛かったところでロジーヌは足を止めた。
「やっぱりお優しいのですね」
「優しい? 俺がか? 見立て違いだな、それは」
「もしかして怒ってしまいましたか?」
「そんなことでいちいち立腹するか」
「よかった」
おかしそうにクスクスと笑う。なにが面白いのかユーシスにはよくわからない。
「しかし、お前も変わっているな。Ⅶ組以外では平民生徒は俺にほとんど話しかけてこないと言うのに。まあ、ポーラは別だが」
話かけてくるどころか、ムチを振るってくる始末である。
「四大名門。アルバレア家。名前だけで萎縮する者も多いのだ。なぜお前は――」
「ユーシスさんはユーシスさんですから」
「え」
一瞬、素になって固まる。ロジーヌは不思議そうにしていた。
「あの、どうかしましたか?」
「いや、大丈夫だ」
気取ることもなく、思った通りの事を口に出したのだろう。
家でも名前でもなく、ただ自分を見ている。そんな稀有な人間がⅦ組以外で、それもこんなに近くにいたとは。
「劇、成功させましょうね」
「ああ。皆も頑張ってくれているからな」
「ユーシスさん……劇が終わったら――」
ロジーヌの続く言葉を「ふ、ふふふ」と、不敵な笑い声が遮った。怪しく眼鏡を光らせたマキアスが、近くの木の陰からぬっと顔を出す。
「やはり木を演じられるのは僕くらいだろうな。当日までにもっと木に近付いて、完璧にこなしてみせるぞ。……おっと、次は枝のディテールを観察しに行かなくては」
やたらと書き込まれたメモ帳を片手に、マキアスはいそいそとその場を去って行った。
「……あの方は」
「あれは気にしなくていい。木だ。単なる背景だ。それより何か言おうとしていなかったか?」
「え、えっとですね、その……劇が終わったら――」
ここで昼休み終了の予鈴が鳴る。
「いかん、教室に戻るぞ。お前の分の台本は後で持っていく」
「あ、あ……はい、お待ちしています」
互いの会話を打ちきって、二人は早足で本校舎へと戻った。
●
時間は流れる。
初日は台本の読み合わせ。個々に分かれてのセリフの暗記。
二日目は細かな個別の演技指導、動作、間の取り方。
三日目は実際の舞台を模しての立ち位置確認、演出、BGM、ナレーションのタイミング合わせ。
四日目は通し稽古。繰り返し、繰り返し、繰り返し――
この他にも合間を縫って、舞台背景の書割作成、小道具作り、衣装合わせなど。
シャロンやサラ、ロジーヌのフォローもあるが、多忙極まりない突貫作業の連続だった。
そしてあっという間にやってくる劇当日。
リハーサルは何度もこなしたものの、さすがに緊張の面持ちでⅦ組の面々は礼拝堂に向かっていた。
「むう……」
「ガイウス、大丈夫だよ」
歩きながらも台本に目を通すガイウスに、となりでエリオットが笑いかける。
実は彼の演技はあまり上達しなかったのだ。数回に一度はうまくセリフを言えるといった具合なのだが、本番ではその一度を先頭に持って来なくてはならない。
「緊張したら、いつもはしない失敗をしちゃうよ。リラックスしてみて」
「エリオットは大丈夫そうだな」
「僕は演奏会とかの経験があるから、あまり緊張してないかな。皆と違ってセリフがないのも大きいんだけど」
そんな会話の後ろではリィンとラウラ、ミリアムが終盤のアクションシーンの最終確認をしていた。
「俺が舞台奥から手前に切りかかるから、ミリアムはそれをこうかわして……」
「そこに私がすかさず連撃を入れる。脇下をわざと大きく開けるから、その下を潜って後ろに回り込むがよい」
「うんうん、そこから素早く動いて苦戦させるんだね」
こちらは順調である。
さらにその後ろで打ち合わせをするのはフィーとアリサである。
「フィーが私を荊の檻に閉じ込める時の舞台装置って完成したの? 昨日の時点ではまだだったわよね」
「大丈夫。この後で直接ステージ上に仕込むから。ちょっと痛いかもだけど」
「な、何よそれ。トラップじゃないの?」
「応用しただけ。ちょっと痛いかもだけど」
「繰り返さないでよ!」
列から少し遅れて歩くマキアスは、相変わらずメモ帳をペラペラめくっている。それを横からユーシスが呆れ顔で見ていた。
「風がそよいだ時の枝葉の揺れは完璧だな。あとは礼拝堂内の空気の流れを把握して、自然な演技ができれば、舞台で一番輝くのはこの僕だ」
「お前が輝いてどうする」
「ふふ、僕の演技の質の高さに驚くがいい」
「木に質などあるものか」
「そういう君は馬だろうが」
「白馬だ」
「どっちでもいい!」
木が、馬がと言い合う二人。
最後尾ではクロウとエマが礼拝堂内の見取り図を片手に、最終の段取りを詰めていた。
「開始は午後からだから、二時間は余裕がある。その間に舞台セッティングと立ち位置を全員に再度説明しとくか」
「さすがに直前のリハーサルをする時間はありませんしね」
「やれることは全部やったが、それでも十分とは言えねえ。アクシデントは必ずあると思えよ。万が一流れが止まったり、最悪中断することになったらナレーションで乗り切るしかねえな」
「うう、胃が痛くなってきました……」
礼拝堂に到着すると、扉の前にロジーヌが立っていた。
「お待ちしておりました。今日はよろしくお願いします」
深々と頭を下げた後、彼女は扉を開いた。澄んだ空気の漂う礼拝堂に足を踏み入れる。
開演は間もなくだ。
~後編に続く~
☆おまけ~物品準備☆
夜。第三学生寮。演技練習を終えた後は、小道具作りの時間である。それぞれ担当に分かれて、あくせくと工作の真っ最中だ。
「うむ、こんなものだろう」
額の汗を拭い、ガイウスは眼前の書割を眺めた。演技では苦心するものの、そこは美術部。背景の下絵などは彼の独壇場だった。
「ここに色を塗ったらいいのかな?」
絵の具と筆を手に、エリオットがガイウスに訊く。
「ああ、薄い色から順に塗ってくれ。高い位置は俺が受け持とう」
「助かるよ。僕も身長が高くなればいいな」
「フィーよりは高いだろう?」
「そこと比べてもね……」
文化部二人が受け持つ背景の作成は順調だった。
衣装班はサラ、シャロンだ。
「ちょっとシャロン、ここからどうするのよ」
手元の布は針を入れ過ぎたせいで穴だらけになっていた。おまけに彼女の手は絆創膏まみれである。
慣れない裁縫に悪戦苦闘するサラは、スカートと思わしき布きれからシャロンに視線を移した。
「サラ様ったら。雑巾はもう足りておりますわ」
「あんた、ここぞとばかりに言ってくるわね」
ぎろりと睨みつけると、シャロンはわざとらしく肩を強張らせた。
「まあ、サラ様こわい」
「時間無いんでしょ、早く教えなさいよ」
シャロンに教えを乞うのが負けに感じるのか、サラは不機嫌に鼻を鳴らして新しい布を取った。
「縫い目はもっと丁寧に仕上げませんと、着ている内に糸が緩んでしまいます。舞台上でお嬢様たちがあられもない姿に……あら」
「それはそれで面白いかも、とか思ったでしょ」
「何のことでしょう?」
言いながら、シャロンは工作道具を運ぶアリサに目を留めた。
「そうですわ。アリサお嬢様、採寸を合わせたいのでこちらに来て頂けますか」
「ん、いいわよ」
アリサが衣装班の場所――ラウンジ脇のテーブルまでやってくる。
「では失礼致します」
採寸用のメジャーをピンと張り、シャロンはにこやかに微笑んだ。その動作がどうにも手慣れ過ぎている気もしたが、サラがその指摘を発する前に、アリサは早くもメジャーでがんじ搦めにされていた。
「ちょっとどこまで測るのよ!?」
「余すことなくですわ」
「離しなさいってば。怒るわよ!」
「なんということでしょう。寝不足のせいで目がかすんで数値が読み取れません。リィン様、申し訳ありませんがお手伝いを」
「きゃあああ! 来ないでーっ!」
小道具班。何かと細かいものが入用なので、ここの担当者は多い。
「王の冠はこんなものか? いやガイウスの長身に合わせるなら、もう少し目立つ方がいいか」
ちょきちょきとハサミで、冠の追加パーツを作るラウラ。
リィンはシャロンに呼ばれ、続けざまにアリサに罵倒を浴びせられ、すごすごと戻ってきたところだ。
「何だったんだ。まあいいが、先に剣の具合を見ておこう」
舞台で自分の太刀を使うわけにはいかず、適当な木材から作った剣をリィンは手に取った。
刀身は銀紙でコーティングし、拵えは見栄えがよくなるように玩具の装飾品をつけている。軽く振ってみると、バランスも丁度よかった。
「問題は台座から剣を引き抜く時なんだよな」
剣先と台座のくぼみが合わず、剣を刺したままでの固定がしにくいのだ。接合が緩すぎて、剣を引き抜く感じが出せない。
「フィーとミリアムは今空いてるか? ちょっと台座と剣が合わなくて、調整を頼みたいんだが」
「いいよ」
「ボクにお任せ!」
フィーとミリアムが台座をひっくり返したり、くぼみを調べている内に、今度はユーシスとマキアスの小競り合いが始まった。
「木の枝葉などそこまでこだわることか。そんな暇があるのなら色塗りの一つでも手伝ってくるがいい」
「君だって馬のたてがみの調整に何十分かけているんだ。その時間で小道具の一つも作れただろう」
「話のわからん男だな」
「君が言うか!」
見かねたリィンが二人の仲裁に向かう。
諍いには関わらないスタンスのちびっこ達は、台座を前に思いつく案を並べていた。
「ねえ、くぼみを接着剤で固めたらどうかな」
「分量を間違えなかったら大丈夫だと思う……たぶん」
集中しているラウラの耳にその会話は届かない。つまり制止をかける者はいなかった。
台本を手に意見を交わしているのは、演出班のエマとクロウである。
「剣の位置はこの辺りでしょうか?」
「照明の当て具合で輝きを強調したいから、もう少し前の方だな」
劇の完成度を高める為、二人は小道具作りには関わらず、空いた時間はほぼ打ち合わせに使うことになっている。
演出器具には限りがある。光などのエフェクトは舞台袖から補助アーツを使うという案も出ていた。
「あとはやっぱアドリブがいるよなあ。委員長そういうの苦手そうだな」
「アドリブですか?」
「例えばよ。舞台上で騎士の鎧とかが外れるとするだろ。それをトラブルだと思わせず、あたかも演出の一つとして見られるようにナレーションで繋ぐんだ」
「そこまで臨機応変なナレーションをやれる自信がないんですが……」
「だから練習すんだろうが」
クロウはエマの台本を取り上げた。
「じゃあこんな時はどうすんだ。『お姫様が城を抜け出す時に、ドレスの裾を踏んでずっこける』ほれ」
「えーと。『これが森の主の呪い。姫は無力を噛みしめながらも、よろよろと立ち上がり――』こんな感じでしょうか」
「森の主がそのタイミングで出てきたらおかしいだろ。でもまあ、そんな感じだな。じゃあ続いて『主人公がうっかりお姫様の胸に下敷きになった場合』これでどうだ?」
「まだやるんですか。『お姫様の平手が強く騎士の頬を打ち据え、しばらく二人は微妙な雰囲気に――』」
「悪くねえ、悪くねえな!」
「そ、そうですか?」
演出班も盛り上がっていた。
前編をお付き合い頂きありがとうございます。
今回はユーシスのターンでした。劇というのも皆馴染みがなさそうですね。もっともエリオットとマキアスはクロチルダファンということで、劇場に足を運んだことはありそうですが。
私も高校の時、何かの出し物でちょっとした寸劇をしたことがあるのですが、まあ激スベりしましたね。今思い出しても吐きそうです。観客含め、惨事を知る者を速やかに抹殺しなければと思い立つ程でした。
……それはともかく
次回はいよいよ劇本番。あらゆるアクシデントに見舞われる中、彼らは無事エンディングまでたどり着けるのでしょうか。そしてロジーヌ嬢とユーシス様の行方はいかに。
次回もお楽しみ頂ければ幸いです。
ご感想も随時お待ち致しております!