虹の軌跡   作:テッチー

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Intermission ~ノーブルメンバーズ

 初めてその話を聞いたのは先月の末だった。

 正直、面倒なことに巻き込まれたと思う。なぜその場で収集をつけられなかった? なぜ自分達がそこに介在する必要がある? 話の流れと勢いで? それこそ我々に関係ないではないか。

 授業を終えた放課後。重い頭を抱えつつ、学院内を歩き回る。中庭辺りまで歩を進めた時だった。 

「パトリック」

 背後から名前を呼ばれた。仮にも侯爵家の人間の名を呼ぶとは思えない、気後れも遠慮もない気安い声音でだ。

 声の主はもう分かっている。振り返ってみると、やはり案の定だ。そこにはリィン・シュバルツァーが立っていた。

「珍しいな一人で。どうかしたのか?」

 その第一声に小さな苛立ちを覚える。別にいつも連れ立っているわけじゃない。周りが勝手に寄ってくるだけだ。

「君には関係ないだろう。いや――」

 関係なくはなかったか。ため息を付いてから僕は言う。

「今月半ばの体育勝負に関してだ。ハインリッヒ教頭からの頼まれ事があるんだ」

「ああ、あれか。じゃあパトリックも出場するのか?」

「不本意ながら」

 学院祭の出し物であるオペレッタの稽古もあるので、余計なことは受けたくなかったのだが。

「そうか。当日は宜しくな」

「敵チームにかける言葉ではないだろう。言っておくが僕は手加減するつもりはない」

「わかっているさ」

 本当に理解しているのか。安穏とした口調で言い、その上こんなことを申し出てくる。

「ハインリッヒ教頭の頼みがあるんだったな。何なら手伝おうか?」

「は……?」

 さすがに拍子抜けする。Ⅶ組との勝負絡みでハインリッヒ教頭が僕に依頼事だぞ。君達に対しての策か何かだと訝しまないのか。

「結構だ。失礼する」

 短く言い捨てて、踵を返す。他人の手など借りるつもりは元よりなかったが、この男の助力となると尚のこと受けるわけにはいかない。

 それはそうだろう。

 なぜなら僕が今からやることは、Ⅶ組に対抗する為のメンバー集めだからだ。

 

 

 《☆☆☆Intermission ~ノーブルメンバーズ☆☆☆》

 

 

『Ⅶ組に勝利する為、体育大会に出場する貴族生徒の選定を君に任せたい』

 

 ハインリッヒ教頭からそんな依頼を受けたのは今日の昼だった。

 先月から教頭も教頭でメンバーを考えていたみたいだが、結局ベストオーダーを絞り込むことは出来ず、学生目線で決定した方がバランスがいいだろうとかいう理由で、僕に丸投げしてきたのだ。

 実に勝手な話である。

 貴族の誇りと力を見せる時だとか、サラ教官の素行を正す為だとか、理由の並び立てには事欠かなかったが、最後に付け加えられた『私の尊厳を守るためだ』という一語が根底にあるような気がしてならない。

「だが……受けた以上はやるしかないか」

 自分を納得させるように一人ごち、戦力になりそうな貴族生徒を頭の中に巡らした。一般生徒に比べて人数は多くない。必然、当てに出来そうな人間も限られてくる。

「まずはそうだな。あそこに行ってみるか」

 

 

 やってきたのはグラウンドだ。

 目当ての人物はすぐに見つけることができた。グラウンドの隅にいたのは同じクラスのフェリス・フロラルドである。

「もっと角度はこう……いえ、もう少し斜めに構えた方がいいのかしら?」

 ラクロスのラケットを手にし、色々と試行錯誤しているようだが、周囲には誰もいない。どうやら自主練習をしているらしい。

 少し意外に感じながらも、彼女に声をかけてみる。

「フェリス」

「きゃっ!?」

 声を発した瞬間、フェリスはびくりと肩を震わせてこちらに振り返った。同時、有無を言わさず繰り出されたラケットが、僕のこめかみに直撃する寸前でピタリと止まる。

「な、なにをする?」

「あ、あら。パトリック」

 僕だとわかると、彼女はそそくさとラケットを引いた。ラクロスとは直接攻撃が認められているスポーツだったのか。

「なにかご用でして?」

「そうだが……君は一人で練習してるのか?」

 本題に入る前に何気なく聞いてみると、彼女は大げさに首を横に振って否定した。

「ちょっと体を動かしているだけですわ。大層な事ではなくてよ」

「つまり自主練習だろう」

「まあ……そうとも言いますけど」

 しぶしぶフェリスは認めた。

 努力を人に見せることを良しとしないのか、あるいは単に恥ずかしいからか。彼女が負けず嫌いなのは知っている。そして負けたくない対象が誰なのかも。

 運動神経は決して高い方ではないが、その性格はムードメーカーに向いているかもしれない。

「今月半ばにⅦ組との体育勝負があるのは知っているな。君にメンバーに入ってもらいたいのだが」

 さっそく用件を伝えると、彼女は驚いた表情を浮かべた。ずいぶん戸惑っているようだ。

「わ、(わたくし)がですか?」

「Ⅶ組に勝ちたい相手がいるんだろう。だからこうやって練習をしているんじゃないのか」

「それは……」

 うつむいてフェリスは黙考する。

「ライバルとして対抗するいい機会じゃないか」

「私は友人として対等でいたいだけです。ですが――」

 彼女は顔を上げた。

「お誘いには乗らせて頂きます。ラクロス以外でアリサと勝負したことはありませんし、定期テストでは……ちょっとだけ負けてますし」

 負けず嫌いというよりは、フェリスの原動力はプライドの高さか。それでこそだと思う。貴族とは誇りの上に成り立つものだ。  

「当日まではオペレッタの稽古と体育大会の特訓のかけもちだ。忙しくなるぞ」

「望むところですわ」

 フェリスはぐっとラケットを握りしめる。

 そういえば自主練習の途中に邪魔をしたのだった。長居するのも本意ではない。

 しかしグラウンドを離れる前にこれだけは訊いておこう。

「他に戦力になりそうな貴族生徒はいないだろうか? 二年でもいい」

 人数が少ないと言っても、さすがに貴族生徒の全員は把握していない。人に紹介してもらった方がてっとり早そうだった。

 メンバーには、二人までなら二年も入れていいと聞いている。

 Ⅶ組に比べて人数が少なくなることが予想され、かつ向こうには二年の編入生がいる。ある程度戦力を均等にする為の措置で、これはサラ教官も了承済みらしい。

「急に言われても……あ? んんー……ど、どうしましょう……」

 フェリスには思い当たる名前があるようだが、それを口にするべきか激しく悩んでいる。

 心を決めたらしく、彼女は重い口を開いた。

「あの……あまりお勧めはしませんが」

「かまわない。選ぶかどうかは僕が決める」

 まるで呪いの言葉でも発するかのように、フェリスは低くなった声でぼそりと告げた。

「マルガリータさん」

 

 

 そういえばあの女も貴族生徒だった。確かドレスデン家――男爵位と記憶している。極限まで肥大化した男爵イモの間違いではないかと思ったこともあったが、例のグランローズにまつわる物語は僕も知っていた。彼女が現代のグランローゼというのは、この上ない品名詐称のような気もしてならないが。

 聞けば先月に、Ⅶ組女子と“小競り合い”をしてグラウンドを荒野に変えたとか。

 この時間、彼女は調理室にいることが多いという。

「ひいああああ!!」

 本校舎に入ろうとしたところで、いきなりの悲鳴。

 誰かがこちらに走ってきていた。防水用のブーツにハンチング帽、背に掲げた釣竿。

 彼には覚えがあった。Ⅱ組のケネス・レイクロードだ。中庭の池やアノール川で釣りをしている姿が印象に残っている。

 誰かに追われているのか。しかしケネスの背後には誰も見えない。

「パトリック君!? 僕を助けてくれ!」

「な、なにからだ?」

 ほとんど話をしたことがない僕に救いを求めてくるとは、よほどの緊急事態らしい。

 彼は素早い動きで僕のそばに立つと、ひどく焦って辺りを見回している。呼吸は荒く、肩はがたがたと震えていた。

「少しは落ち着け。状況を説明して――」

「おやおや」

 穏やかな声が聞こえた。声は前後左右のどこからでもない。上、と理解した時、それは空から降り立った。

「ひいっ!」

「やあ、ケネス君。」

 白髪交じりの初老の男性が、軽やかな着地を決める。この男はどこから降ってきたのか。

 よくよく見てみれば、知った人物だった。

「あなたは用務員の……」

「お話をさせて頂くのは初めてでしたかな。私はガイラーという名でね。記憶の隅にでも留めてもらえれば光栄だよ。パトリック・ハイアームズ君」

 僕の名前は知られていた。四大名門の一角なのだから、当たり前と言えば当たり前か。

 彼が現れるなり、ケネスはこの世の終わりのような顔をして固まっている。

 僕と彼をセットにして、ねぶるようように視線を這わせたガイラーはその口許をにたりと歪ませた。

「悪くないね」

 背中に冷たいものが走る。知らずの内に嫌な汗が滲んでいた。

「ケネスに用か?」

「ふふ、彼がフィッシングに勤しんでいたのでね。その背を眺めていたら、ついハンティングをしたくなったのだよ」

 意味がわからないが、ケネスは怯えている。とりあえずこの用務員には消えてもらおう。

「放課後とは言え、勤務時間内だろう。通常の業務に戻るがいい」

 わずかな制止のあと、目を(しばたた)かせたガイラーは、わざとらしく両腕を大きく開いた。

「これは私としたことが。君の言う通りだ。秋口の落ち葉は厄介だからね」

「ならば無駄口を叩かず本分を全うすることだ」

「その憮然とした言い様。実にいいね」

 そう言って、彼はズボンのポケットからペンを二本取り出した。それを僕と、僕の袖にすがり付くケネスとの間に掲げるように交差させる。

「ふむ。『傲岸不遜と温厚篤実。~純白は秋風に溶けて』と言ったところかな」

 すっと踵を返したガイラーは背中越しに言う。

「今はただ育みたまえ。機が熟した時、私は再び君達の前に現れよう」

 落ち葉が風に舞い、一瞬視界が奪われる。その刹那に、用務員の姿は消えていた。

「何だったんだ? ……おい、いい加減に離れるがいい」

 腰にしがみついたままのケネスを引きはがす。

「ありがとう、君のおかげで助かった。お礼にどんな魚でも釣らしてもらうよ」

「いや、結構だ」

 そんな礼の仕方は初めて聞いた。

 改めてケネスを見返すと、白い学院服が目に留まる。それが専用のウェアみたいな着こなしなので、あまりイメージにないが、彼もれっきとした貴族生徒だ。

 運動能力は未知数だが、釣りはそこそこの体力、そして忍耐力も必要と聞く。いけるかもしれない。

「礼というなら、一つ頼みたいことがあるのだが」

 

 

 成り行きではあったがケネスも出場メンバーとなった。同行するケネスを引き連れて、調理室のある二階へと向かう。

「体育大会か。僕には向かなさそうだけど」

「競技次第だろう。種目はハインリッヒ教頭とサラ教官が、各自の割り当て数だけ自由に決めるらしい。普通の種目が出てくればいいが」

 特に予測不能なのがサラ教官だ。山の中でのサバイバルなど課してくるんじゃないだろうか。そこまでいくと、体育という領域を軽く踏み越えている気がする。

 ぼやきながら歩を進め、程なく調理室前に辿り着いた。

 マルガリータか。戦力としては申し分ないが、応じてくれるかは微妙なところだ。 

「じゃあ入るよ」

「ん? ああ」

 考え事をしていて、足が止まっていた。先行したケネスが調理室の扉を開こうとした、その時。

 ズドン! と大砲が発射されたような爆音が轟き、扉が内側から吹き飛んだ。廊下の壁に扉もろとも叩きつけられたケネスは、ずるりと床にくずおれ、そのまま扉の下敷きになってしまう。

「グッフォッフォッ……」

 獣の唸るような笑い声が、腹の底を震わせた。もわもわと白煙が充満する室内に、大きな影がうごめいている。

「ついにできたわ。ラブクッキー改が。これで……グフッ」

 いくつもの災厄が組み合わさって、救いのない何かが生まれたらしい。

 というかくさい。すごい異臭だ。あの女、自称クッキーに何を混入させた。

「あとはラッピングをして……ムフォッ」

 ものすごく行きたくないが、行くしかあるまい。セレスタンにガスマスクを用意させておけばよかった。

「Ⅰ組のパトリックだ。ごふっ! 少し話があるのだが……げふっ!?」

 ダメだ。この白煙は侵入者を阻む結界か何かか。滞留するそれらを吸い込んだ時点で、意識が遠退いていく。吹雪の山中を進むよりも危険だ。とてもそばまで近付いて話など出来ない。

「引き返さねば……!」

 諦めて振り返るが出口はもう見えなかった。がむしゃらに扉に向かうも、全くたどり着けない。まだ数歩しか踏み入っていないのに、すでに方向感覚が狂っている。

「ケネスっ! いるか、僕を助け――」

 そういえばケネスは扉の下敷きになっていた。くそ、視界がかすむ。手足が痺れる。

 ここ、まで……か。

「こっちよ!」

 苦し紛れに突き出した腕を誰かが掴んだ。しなやかで細い指という感覚があったが、その顔を見る前に、僕の意識は闇の中へと落ちていった。

 

 

 カーテンの隙間から差し込む光で目を覚ます。消毒液の匂いで、そこが保健室だと分かった。となりのベッドにはケネスも寝かされている。

「むう……」

 ゆっくりと体を起こしてみる。若干頭がふらついた。

 僕に気付いたベアトリクス教官が、椅子から立ち上がってこっちに近付いてきた。

「大事ないようね。おとなりの彼も、もうすぐ気付くと思うわ」

 手早く血圧や脈拍を計りながら、教官は笑いかけてくる。

「この時間は調理室に近付いちゃダメよ。でもさすがにニコラス君からも注意してもらわないとね。体調不良者が後を絶たないわ」

 困ったように肩をすくめ、ベアトリクス教官は「パトリック君はもう大丈夫そうですよ」と誰かに声をかけた。

「本当ですか。よかった」

 ぱたぱたと小さな足音が近付いてくる

 ベッドスペースのカーテンをめくったのは、知っている顔だった。Ⅱ組の女子生徒で、名前はブリジット。同じフェンシング部のアランと一緒にいるのをよく目にする。

「彼女があなた達を保健室まで連れて来てくれたのよ」

「そうだったか。感謝する」

「楽器の片付け中に気付いたの。音楽室と調理室は近いから」

 音楽室。彼女は吹奏楽部か。

「でもどうして調理室に入ったの? マルガリータさんに用事?」

「そうだ。実は――」

 ブリジットにも事のあらましを説明する。 

「なるほど。それでマルガリータさんに……メンバーにするにはいいと思うけど」

 けど、の後は言われなくても分かる。ハイリスク過ぎた。仲間にしたとしても、陣地に野放しはできない不安感がある。なんなら鎖が必要だ。

「当てはないだろうか? 君も貴族生徒なら誰かよさそうな人を……む」

 言いながら思い立つ。

「よければ君がメンバーに加わってくれないか? ブリジット」

 しばし呆けていたが、すぐに彼女はぶんぶんとかぶりを振った。

「む、無理よ! 私そんなに運動得意じゃないし、Ⅶ組には友達のラウラもいるし」

「純粋な運動勝負ばかり出て来るとも思えん。手先の器用さが求められる種目もあるだろう。あと衛生兵的な存在としても活躍できそうだ」

「え、衛生兵って。そんなに危険なの?」

「あ、いや。可能性の話だ」

「別に私じゃなくても……他にもっと適任がいそうな気がするわ」

 まるで応じる気配がない。誰かを説得するなどの経験はほとんどないが、こういう場合どうしたらいいのだろうか。

 ふとラケットを振り続けていたフェリスの姿を思い出す。

 ダメで元々。とりあえず話してみる。

「友人とはただそばにいるだけのものなのか?」

「え?」

「話したり、行動を共にするのもいいだろう。だが時に競い合い、互いを高め合うことも必要ではないのか。それは友人同士だからできることではないのか?」

 ただ付き従う者達とは絶対にできないことだ。それは求めることはおろか、今まで思うことすらなかったことだ。

 半分は自分に問いかけるように、頭に浮かんだままの言葉を紡ぐ。

「正直、僕はその感覚があまりわからない。ただ……友人というのは対等なものではないのか?」

 フェリスはそうありたいと望んでいた。

 ブリジットの瞳が僕を見返してくる。

「私はラウラと同じ立場でお話をするし、どちらが上で下かなんて考えたこともないわ。それはラウラもきっと同じ」

 少しブリジットの語調が強くなる。不快にさせたのか。慣れないことなど、やはりするものではなかった。

「すまない。余計なことを言ったようだ」

「けど、あなたのいう事は分からなくない。お互いが本気になることで理解できることもある、ということよね?」

 それが最終的に僕が言いたかったことなのかは、実は自分でも判然としなかった。彼女が納得してくれたのならそれでいいが。

「何だかパトリックってイメージと違う人ね」

「どこから得たイメージだ。まあ、どうせアラン辺りだろう」

「どうかしら?」

 はぐらかすように言って、彼女は口元を緩めた。

「どこまで力になれるかは分からないけど、人数が必要なんでしょう。私もメンバーに入るわ」

「いいのか?」

「考えが変わったの」

 なぜ急に。意外に気まぐれな性格なのか。

 ともかくこれで三人目。事務仕事に戻っているベアトリクス教官は、にこにこと笑んでいる。

 一応順調にメンバー集めはすすんでいる――のだろうか。

 

 

 ここからは一人でいいと断ったのだが、ブリジットは僕達の体調がまだ気にかかるとお節介なことを言い、ケネスは暗くなったらどこに潜まれているか分からないと意味不明なことを言い、結局二人を連れ立って歩くことになった。

 学生会館二階にて。

「僕は遠慮しておくよ。その代わり君達の勇姿はファインダーに収めさせてもらうさ」

 物は試しにと頼みに行ったのは写真部である。しかしフィデリオ部長には応じてもらえなかった。

「どうしようかしら。二年生は二人まではいいのよね。協力してくれそうな人いるかしら」

「馬術部のランベルト先輩とかどうかな」

「あの人は多分無理だろう」 

 馬以外のことには、無頓着のような気がする。それに馬術部は学院祭で大掛かりな出し物をすると聞くし、音頭を取るのはランベルト先輩だろうから、どのみちメンバーには入れそうもない。

 二年で戦力になる人間と言われて連想するのは、かのアンゼリカ・ログナーだが、彼女は先日学院を去っている。もっとも、いたとしても僕は彼女に声を掛けなかっただろうが。

「サロンにはあまり役立ちそうなのもいないしな」

 廊下を引き返し、三階に繋がる階段を見上げながらそうぼやく。二人はサロンに顔を出したことがほとんどないらしく、ピンと来ていないようだ。

 僕が一声発せばおそらく人数は集まる。しかしそれではダメなのだ。

 有象無象の寄せ集めでは、あのⅦ組に勝つことなど到底出来ない。個人としてなら渡り合うことも出来るだろうが、チームとして戦った場合、圧倒的な差をつけられるだろう。悔しいが、これは事実だ。

「いったん外に出るぞ。これ以上は時間の無駄だ」

 一階に引き返し、途中食堂を眺めてみるものの、声を掛けられそうな生徒はやはりいない。

 外に出ると、すでに夕焼け空だった。

「パトリック?」

 不意に名を呼ばれる。近付いてきたのはフェリスだった。

「練習は切り上げたのか?」

「先ほどね。メンバー集めは順調ですの? あら、後ろのお二人はもしかして」

 フェリスの視線が、ケネスとブリジットに向いた。

「うん、僕達も出場することになったんだ」

「よろしくね、フェリスさん」

 一礼で返したフェリスは、落ち着かない様子で辺りを見回した。

「それで……その、マルガリータさんは?」

「それが話が出来る状態ではなくてな。人数差を補うために彼女の力は借りたいのだが」

 制御できれば、の話ではあるが。ちなみに競技毎の出場人数を制限するそうなので、こちらの人数をⅦ組側と合わせる必要はない。ないが、リザーバーは多いに越したことはない。

 彼女との交渉が出来なかったことを伝えると、またフェリスは難しい顔をして、下を向いたり、上を向いたり、果てはその場でクルクルと回り始める。何の儀式だ。

 ややあって動きを止めると、彼女はいくつかの質問をしてきた。

「人数は足りてないのですわね?」

「見ての通りだ」

「マルガリータさんの力は必要なのですわね?」

「Ⅶ組と張り合う為にはな」

 そこで言葉を区切り、フェリスは息を吸う。

「二年生枠は空いていまして?」

「まだ二人分残っているが」

 何かを諦めたように彼女は肩を落とし、「わかりました」と毒杯をあおるような苦しげな声で告げた。

「マルガリータさんを制御できる、唯一の方法の元に案内しますわ」

 

 

 屋上の扉をくぐると、フェリスはある一角を指差した。

 その先には白い学院服を身にまとい、あかね色の空を物憂げに見上げる男子生徒が一人。

「ふっ、燃えるような夕日が僕の未来を祝福しているようではないか」

 台詞の練習だろうか。劇系の文化祭の出し物は一年Ⅰ組だけだと思っていたが。申し訳なさそうな、やや恥ずかしそうな声音でフェリスが言った。

「ヴィンセント・フロラルド。私の兄です」

「あの人がそうなのか……」

 フェリスから聞くところによると、マルガリータ女子は、あのヴィンセント先輩に恋をしているらしい。

 身もふたもなく言ってしまえば、彼を餌にマルガリータをチームに引き入れ、引いてはその抑止力となってもらうのが目的だ。

「いつも自信満々ですが、お兄様は運動神経が壊滅的なのです。しかも自分で気付いていないという有様ですわ」

 君と似ているじゃないか。

 喉元まで出かかった言葉を、かろうじて飲み込んだ。

「でもいいんですの? 貴重な二年生枠をお兄様で埋めてしまって」

「それでマルガリータがメンバーに入るなら十分過ぎる」

 たそがれるヴィンセント先輩の元へ全員で向かう。今回の説得はフェリスが買って出てくれた。

「お兄様、少し宜しくて?」

「おお、我が最愛の妹よ。この兄に何か用かな?」

「実はお願いがありまして。ぜひ協力して頂きたいことが――」

「見つけましたわ。ヴィンセントさまぁ……」

 野太い声がフェリスの言葉をさえぎった。

 屋上の入口に丸い物体がたたずんでいる。マルガリータだ。その手に持つのはラッピングされた包み紙。さっき作っていた得体の知れない死神クッキーに違いない。

「はひぃ! マ、ママ、マルガリータッ君!?」

「今日こそはラブクッキーを召し上がって頂きますわ」

 その姿を見ただけで青ざめている。いったい彼はどんなトラウマを抱えているのだ。

 あんなものを召し上がったら、召されるぞ。女神の御許に。

 マルガリータが歩み出た。その一歩の衝撃で、ズズンと腹の底まで震える。信じられない。屋上が揺れた。

 負けじとフェリスも前に出た。毅然とした態度だが、自殺行為に他ならない。

「あらあ、フェリスさん。邪魔をするのお?」

「ち、違いますわ。あなたにお願いしたい事があるのです」

 頬肉に押し拉げられた目をさらに細め、「お願いごとお?」と、マルガリータは首を傾げた。

「もうすぐⅦ組と貴族生徒の体育勝負があるのは知っているでしょう。あなたにもメンバーに加わって欲しいのですわ」

「なんで私が? いやよお、無理よお、怖いじゃなあい。こんなにか弱いのに。ねえ、ヴィンセントさま」

 なんのアピールだ。グラウンドを半壊させる女のどこにか弱さがある。

 身じろぎするごとに、あらゆる部位の肉が絞られ、ギチギチと圧のかかる音が聞こえる。それは蛇がとぐろを巻いて、獲物を絞め殺す様に似ていた。

「でしたら、お兄様もメンバーに加わると言ったらどうですか?」 

「フェリス、何を言っているのだ?」

「ちょっと静かにして下さいまし」

 兄を一蹴する妹。

「……さあ、マルガリータさんどうなさいますの。それにお兄様はこう言っていますわ。『マルガリータ君がメンバーに入るなら百人力だ。君の作ってくれたクッキーをいくらでも食べよう』と」

「フェリィース!?」

 ヴィンセント先輩の声が裏返った。

「それは本当かしらあ?」

「そんなわけ――ぐむっ」

 背後からブリジットが「ごめんなさい、先輩」と口を抑え込み、さらにその陰に隠れて「本当さ、僕は君のクッキーが食べたいんだ」と声色を変えたケネスが言う。

「……本当に?」

 再度確認するマルガリータ。

 フェリス、ケネス、ブリジットはヴィンセント先輩の頭を三人がかりで掴み、無理やりうなずかせた。

 マルガリータの口元が笑みの形に引き上がる。

「ムフォッ」

 これは承諾の『ムフォッ』だ。

 巻き込まれた先輩は不憫の一言に尽きるが、この際やむを得まい。実妹の許可が出ているわけだし、問題はないだろう。多分。

 包み紙からクッキーを取り出したマルガリータが、ゆっくりと迫る。

 逃れようとする先輩の体をケネスが抑え込み、ブリジットが頭の角度を固定し、フェリスが口を開かせた。

「フェリス、何のつもりなのだ! 兄に! この兄に!」

「可愛い妹の頼みですわ!」

「んー! サリファー! 僕を救うのだ、頼むからー!」

「お覚悟なさいませ!」

 太腕が突き出され、紫煙立ち昇るクッキーが『ずむっ』と彼の口中に押し込まれた。

「ぐふぉっ」

「グフォッ」

 重なる悲鳴と歓喜の声。

 たちまちに先輩の様子がおかしくなる。辺りをのたうち回り、肌の色が髪と同色の薄紫に変色し、口と鼻から黒い蒸気が噴き出し始めた。

 ……この人、魔獣とかに変身するんじゃないか。

 その様子を眺めていたマルガリータは、横たわる屍を不思議そうにのぞき込む。

「変ねえ。食べ合わせが悪かったのかしら?」

 本気で言っているらしい彼女を見て、ヴィンセント先輩一人では鎖代わりにすらならないことを知った。

 

 動かなくなったヴィンセント先輩は、マルガリータが責任を持って保健室まで送ることになった。もちろん約束なので、彼女もチームメンバーに加わるとのことだ。

 お姫様抱っこでマルガリータに連れ去られる先輩。あの邪まな目は気になるところだ。まっすぐに保健室に行ってくれればいいのだが。

 ブリジットが言った。

「またメンバー探しに行かないとね。でも誰か他にいるかしら」

 僕を入れて現時点で六名。せめて一名、枠を考えるなら二年生が欲しい。それも、人数の不利を打ち消すくらい、とびきり戦力になるような貴族生徒だ。

 どう考えてもあの人しかいなかった。

「僕にも当てがある。みんなついてきてくれ」

 屋上から場所を移し、練武場。

 今日は稽古日ではなかったが、その人は一人で鍛錬に励んでいた。

「――というわけなのですが、お力を貸して頂けませんか。フリーデル部長」

 フェンシング部部長、フリーデル。

 サーベル捌きは部内最強。僕でさえ成す術なく完封される。その実力は学内でも五指に入り、戦闘技術においては、あのアルゼイド家の息女と互角以上ではないかと噂されるほどだ。

 マルガリータとフリーデル部長を対Ⅶ組の切り札にできるなら、勝算も見えてこよう。

 話を聞き終えた部長は「そうねえ」と僕たちを一瞥した。

「パトリック。あなたがこの子達のリーダーなの?」

「成り行きで僕が声をかけ回ったので、別にリーダーというわけでは」

「でもあなたを中心に動いていたのよね?」

「まあ、一応そうなりますが」

「んー……よし!」

 諸手を打って、彼女は言う。

「いいわ。力を貸してあげる。可愛い後輩の為だもの」

「あ、ありがとうございます」

「ただし」

 フリーデル部長は持っていたサーベルを僕の胸に押し付けてきた。

「それが私に届いたらね」

 

 

 でたらめな強さだ。

 勝負を開始して、まだ十分と経っていない。だというのに、こちらはすでに満身創痍の疲労困憊だ。対してフリーデル部長は汗一つかいていない。

 サーベルを受ける度に、右腕の感覚が失せていく。体捌きについていけず、足がもつれて膝を付く。

 意地で相手をにらみ上げると、相変わらずの微笑を湛えている。

「どうしたの? もう終わり」

 彼女から出された条件は、サーベルが手から離れるか、足が立たなくなったら僕の負け。剣が届けば僕の勝ち。時間は無制限。

 侮辱されているのかと思う程のハンデだったが、正直それでも足りない。全く届かないのだ。

「ま、まだ」

 それでも立ち上がり、サーベルを構え、打突を繰り出す。

 一瞬の内に捌かれ、いなされ、弾かれた。流れを切らさないカウンターが、僕の脇腹をかすめていく。

「くっ」

「剣を目で追っちゃダメよ。相手の全体を捉えるようにしなさい」

 僕に対する指導を差し挟みながらも、手は止まらない。切り、突きの鮮やかな連撃が、視界の中に鋭い光線を刻む。

 間合いの取り合いにすらならない。受けて避けるのが精一杯だ。

「ふっ!」

 鈍った足の動きを見逃さず、フリーデル部長は即座にサーベルを引いた。

 突きが来る。頭では分かっていたが、体が先に言うことを聞かなくなった。どうにか一撃はかわしたものの、体勢を戻すことはもう出来ず、僕はその場に倒れ込んだ。

「パトリック!」

 後ろで三人が口々に僕の名を呼ぶ。うつ伏せに倒れたまま、そちらに首を向けることもできなかった。

 情けない姿だ。アランに見られなくてよかった。というか彼らも連れて来ない方が良かったかもしれない。

 最初から分かっていたじゃないか。

 この人は別格だ。抜群のセンスがあって、しかも継続した努力を惜しまない。地力も違えば積み上げてきた時間も違う。合理的で無駄の無い剣の動かし方が分かるのだろう。その為に体をどう使えばいいかが分かるのだろう。

 半年間、フェンシング部にいたのだ。彼女の実力は嫌というほど目にしてきた。

 勝てないことは最初から知っている。剣先くらいなら届くかもしれないと思ったのは、甘すぎる目算だった。

 なら、ここで伏せたまま終わるのか。

「……っ!」

 なんの為に僕は勝てない相手に挑んでいる。見苦しく土埃だらけになってまで。教頭から依頼を受けたから? 教頭の頼みなど断ろうと思えば断れたではないか。

 教官同士が競り合っているだけで、そもそも体育勝負とやらも受けてやる義務はなかったはずだ。

 なのになぜ、僕は。

 ――あの時、トリスタ駅でその声を聞いたのは偶然だった。

 

『兄様。その体育大会というのは、いつ開催されるんですか?』

 

 あの娘が僕達の勝負を見に来るかもしれない。

 初めて会った時は泣いていて、二度目に見た時は気を失っていて、まだまともに話さえできていない、あの娘が。

 優しげで、どこか儚げな、その声を聞いた時。 

 戦わずに背を向けたくない。無様な戦いはしたくない。何よりも負けたくない。

 理屈もなく、そう思った。

「……ぐ」

 奥歯を噛みしめる。

 認めたくないが、Ⅶ組は強い。こちらがどれだけの精鋭を集めても、決して楽な戦いにはならないだろう。

 だとしても。

 僕は絶対に退かないからな。帝国貴族として、ハイアームズ家の名に懸けて……違う、そうじゃない。

 戦うのは僕の意志だ。だから懸けるものは身分でも、家の名でもない。ただ、そう。

 僕自身の、誇りに懸けて。

 笑う膝を押さえて、両足を踏ん張る。不作法にも剣先を地に突き立て、必死に上体を持ち上げる。無理やりにサーベルを構えると、体中が軋みの音をあげた。

「はああっ!」

 全ての力を振り絞って繰り出す渾身の一突き。

 全然ダメだ。軸は定まっていないし、剣と体の動きがバラバラだ。こんな勢いだけの技が、部長相手に通じるはずもない。

 それでも腕を伸ばす。サーベルを突き出す。一歩でも前へ。少しでも遠くへ。

 ギィンと甲高い音がして、手に受けた衝撃が肩まで走る。

 気が付けばサーベルは僕の手から離れ、中空に半円の弧を描いていた。その行方は目で追いきれず、先に僕の両膝が折れる。

「勝負ありね」

「……承知していますよ。約束ですから」

「そうね、約束通り」

 彼女は腰を屈めると、僕の胸をトンと叩いた。

「私もメンバーに入るわ」

「は?」

「だから入るの」

「……もし情けをかけているつもりでしたら、こちらからお断りする。僕の剣はあなたに届かなかった」

「あら、ちゃんと届いたわよ?」

「からかうのはやめて頂きたい。どうみても剣は――」

「私、剣でなんて言ってないけど」

 僕の胸に当てていた手を離し、それを自分の胸に添えると、フリーデル部長は目許を緩めた。

「ちゃんと届いたわ」

 剣ではなくて、何が届いたというのか。

 もしかして部長の酔狂に付き合わされただけか? この人の考えていることは今一つ理解できない。

「パトリック!」

 フェリス達が駆け寄ってきた。

 虚勢だったが、フリーデル部長が差し出した手は借りず、何とか自力で立ち上がってみせる。遅れて部長も腰を上げた。

「やるからには勝つわよ。当日まで全員みっちり鍛えてあげるから。覚悟なさいな。ふふふ……」

 口調こそ穏やかだったが、目が本気だ。皆の顔がわかりやすく引きつっていた。

 彼女はさらに僕に近付くと、今度は額を人差し指でツンと突いて、一言告げた。 

「期待してるわよ、リーダー」

 

 ●

 

 貴族チームの選抜メンバーは七名で打ち止めだ。

 増やそうと思えば、まだ増やせるのだろうが、僕はもうこれでいいと思っていた。実力も、策も、持ち得る全てを費やして、このメンバーでⅦ組に勝ってみせる。

 やることは多い。考えることも多い。フリーデル部長の特訓など、想像するだけでえづきそうだ。

 空には薄闇がかっていた。もうすぐ日が暮れる。とりあえず帰ろう。今日は何だか疲れた。

 正門を抜けた時だった。

「パトリック」

 今日はよく名前を呼ばれる日だ。そして、またこの声である。リィン・シュバルツァーだ。

「君か。なぜまだ学院にいる?」

 そう聞いてみたが予測はついている。大方、誰かの依頼を受けて、学院中を走り回っていたのだろう。飽きもせずよくやる。まあ、今日に関しては人の事を言えないかもしれないが。

「少し頼まれ事があって。あっちこっち動く羽目になったんだ」

 正解だ。予想通り過ぎて、返す言葉も浮かばない。

「そういえばパトリックも依頼を受けていたんだったな。そっちは片付いたのか?」

「当たり前だ。僕を誰だと思っている」

「ははは、悪い」

 それにしてもこの気安さは何とかならんのか。あのフェリスだって入学当初は僕の名に恐縮していたぞ。慣れた会話をするようになったのは、ここ最近のことだ。だというのに、この男は最初からではないか。

 最初から僕を対等に見ていた。

「……ふん」

「パトリック?」

 苛立たしいことだ。全く持って。君なんかが僕と対等などと。本当に、おかしな話だ。

「Ⅶ組のリーダーだったな。確か」

「え? ああ、いつの間にかそう呼ばれているが」

「僕も今日、いつの間にかリーダーになった」

「そうなのか?」

 意味が分かっていなさそうだが、構わず続ける。 

「Ⅶ組との勝負、勝つのは僕達だ」

「俺達だって負けるつもりはない。全力で迎え討つ」

 そうでなくては困る。リーダー同士、雌雄を決する時だ。 

「楽しみにしておこう。せいぜい準備は怠らないことだな」

 返答は待たず、僕は彼に背を向ける。

 10月17日。決戦の幕が上がるのはその日。

 フェリス、ケネス、ブリジット、マルガリータ、ヴィンセント先輩、フリーデル部長。

 僕が背中を預ける仲間だ。

 七人で必ず君たちに勝ってみせる。

 

 

 ~FIN

 

 

 

 

 

 最終話『Trails of Red and White』に続く。

 

 




最後までお付き合い頂きありがとうございます。全てのインターミッション回は最終話に繋がるお話なんですが、今回はⅦ組に対抗する貴族サイドの一幕でした。
主役格はパトリックぼっちゃま。もう10月なので態度も軟化し、少しずつ周囲を慮れる考えも持ち始めています。
冒頭での彼なら、多分体面を気にし、勝つだけのチームを目指し、まとめ役にはとてもなれなかったでしょう。集団におけるムードメーカーの重要性にも、友人の在り様にも気付けなかったと思います
三章でやらかしたぼっちゃまは株価大暴落でしたが、章を追うごとに成長が見れていい感じでしたね。終盤のセレスタンとのサブイベントは特にお気に入りです。
Ⅱではエリゼ参戦も決まり、彼女との絡みもあることから、パトリックにもスポット参戦が期待できるところでしょうか。

今まで『対等』と呼べる存在が限られていたパトリック。頼れる仲間を得て、いざⅦ組との決戦へ。

ようやく役者が出揃い、最終話のタイトルコールもできました。もうしばしお付き合い下されば何よりです。

では予告を。次は『貴族達の放課後』でラウラとユーシスに水路に落とされた二匹の魔獣と、最近不幸続きのマキアスとのお話です。
次回『レーグニッツ王国』でお送りします。 

お楽しみ頂ければ幸いです。

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