異世界サバイバルに、神様なんていらない!   作:rikka

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015:気力回復!

 

 結局スキル――というかスマホに関しては、次に何かアナウンスが来た時に全員で情報を共有してそれからどうするかを決める事になった。

 まぁ、要するにどのスキルを取るのかあるいは保留するのか会議が開かれる訳だ。

 

 アオイは次にスキル覚える機会があったら魔法覚えましょう覚えましょうとすごくプッシュしていたが、とりあえず保留。保留ったら保留。

 アオイにはとりあえずささやかな抗議というか俺の意志表示としてコメカミ思いっきりグリグリしてやった。もちろんダブルでだ。

 

 そしてついでに罠の話をして、明日の朝になったら確認してみようという話で終わってそれぞれ就寝に入り、そして翌朝――

 

「トール君。昨日俺たちが作ったのって魚捕りの罠だよな?」

「そうでしたね、ゲイリー君」

 

 

 

 

 

「なんか……動物の死体が引っかかってないか?」

「……そうですね」

 

 俺たち4人の前に現れたのは、四本足で全身が毛に覆われて、そして角が生えている――ぶっちゃけ鹿の遺体が引っかかっていた。

 

「「食うぞ! 肉だっ!!」」

 

 

 

 

 

 

◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇

 

 

 

 

 

 

 刃物を持っている人間がいてよかった。

 元々山育ちだったというアオイは、刀を使って手際よく動物――どう見ても鹿だ――を解体していった。

 ゲイリーやアシュリー曰く、新鮮な上に沸騰させられるのなら血も飲んでおいた方がいいと言うので、水に混ぜた物を煮沸して飲んでおく。

 ある程度は塩分を補給できると言う事だ。

 

「上流を調べるべきだ」

 

 剥いだ皮から、石で余分な肉や油をこそぎ落とす作業――人間の胃では消化できない油の可能性があるため、結構大事らしい――をしながらゲイリーがそう主張する。

 

「確かに動物がいる――現れたと言うべきね。それは分かるけど、探索の計画を変える必要はあるのかしら?」

 

 それに反論するのはアシュリーだ。

 アオイがさばいた肉を即席の三脚に吊るして、その下で火をおこして煙で燻している。即席の燻製……というよりは、念のための虫よけらしい。

 

「ん~~。トールさんはどう思います?」

 

 そして俺たちは、食事の準備として切り分けた肉を延々細い枝に突き刺して、炭火の上で焼いていた。

 

「……正直迷っているなぁ」

 

 上流を探索して、流れ着いた鹿の痕跡を探したいという欲求はある。

 久々にこうして肉を食えたし、他の動物の痕跡だって見つかるかもしれない。

 だが同時に、この森を抜けるには下流の探索も大切だと思う。

 

「いっその事、思い切って二手に分かれるって言うのはどうかしら?」

 

 先日の探索では片方が念のために待機していたが、肉を食べた事で気力が出てきたのか少々大胆な意見が出てきた。

 加えて、この周辺に目に見える脅威がないことが分かって来たために強気なのだろう。

 

「ゲイリー、貴方は上が気になるのでしょう? 私は下が気になっている。ここで二手に分かれて行動すれば……」

「怪我などしたらどうする?」

「あちこち探索せず、川沿いにいると言う事だけ守っていれば大丈夫でしょ。二人組ならば片方が助けを呼べるし、水の確保がしやすい川沿いなら数日くらいは余裕で生きられるでしょう?」

 

 アシュリーの言葉に、ゲイリーは考えこむ。

 

(さてどうしよう)

 

 正直、悪くないと思う。

 食糧も、今作っている燻製ならば、まぁ数日はしっかりしたタンパク質が取れるし野草は相変わらず豊富。

 数日前にアオイを探しに行った時の様に、互いに火種を持っていけばある程度の状況は切り抜けられるだろう。

 

「俺も、二組に別れて行動するのは悪くないと思う。ただ、そうなると問題なのは組み合わせなんだけど――」

「あ、じゃあ私は上流を探させてくださぁい♪」

 

 前回みたく、男女で別れるかと提案する前に、アオイが挙手をした。

 

「む? 上流探索は俺が行こうと思っていたのだが……」

「別にいいじゃないですかぁ。トールさんもゲイリーさんも、特に何かするような人ではありませんしぃ♪」

 

 その謎の信頼感はなにさ。

 いやまぁ別に手は出さんけどさ。

 

 ゲイリーに目配せをすると、彼も呆れたように肩をすくめて見せてきた。

 

「……まぁ、問題ない。それにトールの感性というか文化はアシュリーに近いようだ。案外、良い組み合わせかもしれん」

 

 ゲイリーがアシュリーの案を肯定すると、アシュリーは首をかしげている。

 あるいは否定されると思っていたのか。

 

「それじゃあ、アタシとトール君は下流の探索でいいのかしら? 貴族様」

「ゲイリーだ。しかし、そうだな……もし良さそうな所があったら下流にもう一か所拠点を作ってもいいかもしれん――と、俺は思うんだが」

 

 今度はゲイリーが俺に目配せをしてくる。

 しかし、拠点をもう一つ?

 

「俺も下流探索が大事なのは分かっている。それには、いつまでもここを拠点にしていては不便だ」

「それで探索拠点を別に作れと?」

「そうだ」

 

 あぁ~。確かに今なら良いかもしれない。

 元々動ける範囲に限界があるから、いずれは移動しようとしていたんだが……。

 

「分かった。ただ……そうだな、今回は探索期間を三日としよう。三日後にはまたここに戻ってこれる様にペースを配分。更に一日経っても戻ってこない場合は捜索に出る。念のため、それぞれ余り川沿いから離れないように。……これでいいか?」

 

 俺の確認にアオイ、ゲイリー、アシュリーそれぞれが頷く。

 

「アオイ、ノートは書き込める?」

「はい、大丈夫ですよぉ。ペンの方も全然使えます」

 

 濡れたのではないかと思ったが、どうやら持ち物は無事らしい。

 

「それじゃあ、そのまま気がついた事を書き込んでくれ。俺たちもこっちの手帳に簡単な地図とかを書き込んでいく」

「了解です!」

 

 よし、それじゃあまずは飯にしよう。

 なにせ久々の肉である。

 

 特に味付けは無いが、香り付けも兼ねて野草と一緒に食えば豪勢な朝飯になるだろう。

 

 

 

 ――実際、多少臭みがあっても滅茶苦茶美味かった。

 

 

 

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