異世界サバイバルに、神様なんていらない!   作:rikka

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019:THE お引っ越し!

「というわけで、湖の方に引っ越しをしようと思う」

「異議なしですぅ」

「同じく、異議なし」

「じゃあアタシは反対で」

「じゃあってどういう意味じゃコルァ」

 

 止めてよ。ほんと止めてよアシュリー! 万が一にも分裂したらこの三人まとめ切れる自信がありません!

 

「まぁ、冗談はさておき……たまにはこっちの様子も見に来るのならいいんじゃない?」

 

 罠もあるしというアシュリー。何気に皆の興味が魚に映っている。

 まぁ、どこにいるか分からない動物よりも、おおよその場所が把握しやすい魚の方が取りやすいというのもあるか。

 

 こうして、俺たちは一大引っ越し計画を実行に移すことになったのだ。

 

 

 

 

 

 

◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇

 

 

 

 

 

 

 正直火種にしてもいいんじゃないかと思う教科書やプリントの類も含めて、可能な限りを鞄等の荷物や火種をそれぞれに手に持つ。

 中でも、ゲイリーが昨夜、枝や葉を使って作ったバックパックが役に立っている。

 枝で箱のような枠を作り、そこから大きい物が外に出ないよう隙間を塞ぐために葉っぱを巻き付けている。背負えるために、長い葉をよじって即席の縄にしてくくりつけている。

 本人曰く、耐久性に問題があるから今回だけだと言っているが、石斧やナタ、採取箱や鹿の毛皮を入れても今の所壊れる気配はない。正直凄く助かる。

 俺は鞄を持つのと同時に、長くて頑丈な枝にツタで括りつけた鹿の死体をアシュリーと二人がかりで運んでいた。

 

 そうして四人で歩き、到着したのはもうほとんど日が暮れてからだった。

 やっぱりあれだ。運ぶ物が多かったためか時間がかかってしまった。

 

 ……暗くなっても分かりやすいように、目印を何か点けておいた方がいいのかもしれない。

 

 火種を運んでいたアオイがすぐに火を起こし、そして全員でまた火を囲む。

 その間に、アシュリーがアオイの刀を使って動物の肉を削ぎ落して、ゲイリーとが肉を枝に刺していって食事の準備を進める。

 その間、俺は水を汲みに行っていた。 

 場所が変わってもやる事は変わらず、会議も兼ねての食事である。

 

「さて、本当ならここから改めて探索に入るつもりだったんだけどさ……俺とゲイリーで明日は例の魚籠を量産したいと思うんだ」

「……なるほど」

 

 食糧が確保できる可能性は少しでも上げるべきだ。

 正直な話、ここからまたさらに人が増える可能性だってあるのだ。

 鹿の死体ももう大分食べてしまった。

 明日……明後日までには完全に食える部分は無くなるだろう。

 

(まぁ、骨があるからあれを野草としっかり煮込めば、一応それっぽいスープというかシチューになる。もうちょいは持つが……)

 

 この森に来て――要するに肉を一度食ったんだ。正直これがなくなるというのがある意味でストレスだ。不安になってしまう。

 

「悪くはないと俺も思う。だが……ふむ……」

 

 ゲイリーは俺たち三人を見まわし、

 

「トール、罠の作り方を他人に教えられるか?」

「ん? あぁ、出来るよ。スキルもあるし、材料はここら辺豊富だし」

「なら、アオイと一緒に作ってくれないか? キチンとした刃物を持っているアオイなら作業も(はかど)るだろう」

「……俺は別にいいんだけど、二人は大丈夫か?」

 

 敵同士だから、その組み合わせは頭の中から除いていたのだが……。

 

「あぁ、いつまでもいがみ合っている場合ではないというのは分かっているさ。お互いに」

 

 いやホントかよ。アシュリーがすっごい胡散臭そうな目で君を見ているんだが。

 

「……ま、いいわ。アタシとしても、そろそろ貴族様とはゆっくりお話したい所だったし……大丈夫よ、トール君。君が不安に思っていることは絶対に起こさないわ」

「……わかった。信じる」

 

 二人ともそう言うなら、まぁ殺し合いになる事はないだろう。

 

「で、二人はなにをするつもりなんだ?」

「俺としては、湖の周囲を探索するつもりだったが……。アシュリー、お前は何か他に考えが?」

「いいえ、問題ないわ」

 

 ならば、問題ないか。

 あ、そうだ。肝心のアオイの意見聞いてなかった。

 

「アオイは問題ないか?」

「大丈夫ですぅ♪ 手先は器用な方なのでお任せくださぁい♪」

 

 とりあえずやる事は決まった。

 食糧に対する不安は大きいけど、希望もないわけじゃない。

 相変わらず泣ける状況だけど、頼りになる仲間がいて、道具も揃って来た。

 

 あぁ、確かにアシュリーの言うとおりかもしれない。

 

 俺、この状況を楽しんでいるかもしれない。

 

 

 

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