異世界サバイバルに、神様なんていらない!   作:rikka

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024:黒曜石とは天然のガラスである

「小魚がいた?」

「あぁ、罠にかかって……っていうか普通に住んでる感じだけど」

「食べられそうか!?」

 

 ……あぁ、うん。やっぱそこが一番大事だよね。

 

「スキルで調べたけど、一応は食えそうだよ。……俺も知らなかったけど」

「?」

「俺の世界の生き物だったって事。子供の時に、学校のクラスで水槽に入れて飼ってたのさ」

 

 メダカっぽいと思ってサーチを発動させると本当にメダカだった。

 食えたんだアレ。本気で知らなかったよ。

 

「ただ、味は保証できない。味噌汁の具とか佃煮になってたみたいだけど、時期外すとクソ不味いらしいし……佃煮とかあれ味濃いしなぁ……」

「ミソシルノグ……ツクダニ……君の国の料理か?」

「あ、すまん。そう、スープと……あれなんて言えばいいんだ? 煮物? まぁいいや、何にせよ冬前に取らないと苦いんだとさ。タイミング逃すと地獄だ」

「……追いつめられた時の食事だな」

「そうだな。あぁ、それとは別に――」

 

 もう一つの発見を握っていた手を開く。

 

「……貝?」

「なんかくっそなげぇ名前だったから流し読みしたけど、貝であるのは間違いない」

 

 手にしているのはメダカの水槽に一緒に放り込まれているアレ――タニシに非常によく似た奴だった。

 メダカがいたんだからこれもタニシだろうと思ったら名称がなんか滅茶苦茶長くてビビったわ。

 

「こいつは時期問わず食えるけど、泥抜きに時間がかかるって事だ。最低四日……多分五日から七日くらいがベストじゃないか? 真水の中に、ときたま水を変えながら放置しておけばいいってさ」

「味は問題ないのか?」

「そっちは問題ないけど、しっかり茹でないと病気にかかるようだ。そこらへんも考えるとかなり注意しなきゃいけない獲物だけど……」

「なるほど……。まぁ、そもそも野生動物なんてほぼ全て問題持ちがほとんどだ。君のスキルでそれが分かるだけマシか」

 

 それな。まさか病気うんぬんまでスキルで教えてくれるとは思わなかった。これまでなかったし。

 スキルで教えないと不味いレベルなのか、あるいはスキルが成長したのか。

 

 ……後者だと良いなぁ……。マジで。

 

「ちなみにトール、この貝は結構いたか?」

「ん~……そこそこ? 罠の中にも普通に川の中にもある程度はいたな」

 

 ひょっとしたら、湖側にも湧いているかもしれんな。

 ……今更だけど湧くってなんだよ湧くって。

 ついこの間まで生き物の気配ゼロの川だったのに、それが突然……。

 

「どう思う、ゲイリー? やっぱり連れてこられた?」

「……断言はできないが、その可能性は捨てられない。だがそうだとすると――」

 

 ゲイリーは眉をひそめて、改めて周囲の様子をうかがう。

 

「動物はもちろん、他にも俺たちの様な人間がいてもおかしくないな」

 

 

 

 

 

 

◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇

 

 

 

 

 

 

「で、だ。ゲイリーは基本、紐作りに専念するんだろう?」

「あぁ、そのつもりだ。君は?」

「アオイの頼み事もあったし、石を探してみようかと思う」

 

 サーチスキルの再使用にまで少々時間がかかるけど、石の多い所と種類を探しておくのは無駄にはならないだろう。

 ついでにちょうどいい石を割って、簡単な刃物を作っておきたい。

 材料集めの効率を考えて斧やナタを優先していたが、そろそろ細かい作業が増えているのだ。ナイフが必要だ。

 それとシャベルも。

 

(黒曜石とか落ちてないかなマジで。それがあれば多分比較的簡単にナイフ作れると思うんだけど……)

 

 どういう見た目の石かも知らないけど、名前の通り黒いんだろう。あるかどうかはともかく、そんな感じの石を探していくか。

 

「そうか。一応動物には気をつけろよ?」

「注意事項ってある?」

「……ヤバイ獣がもしいたら、目をそらさずゆっくり後退すること。背中を見せないようにな」

 

 怖えーよ。いや、正直どうしようもないけどさ。

 やっぱりせめて槍くらいは作るべきか?

 

「ゲイリー、弓を直す事は出来るかな? 弦は残ってるんだろう?」

「弓そのものが折れているからな……。やるとしたら、木を削って弓を作り直すしかあるまい。威力は下がるだろうが……」

「矢も作らないと意味ないしな……なぁ、矢筒マジでどこにやったのさ」

「川に流されたから……おそらく下流のどこかに」

 

 つまりはアシュリーのサバイバルパックと同じ状況である。

 ホント、湖の底にでも転がってるんじゃないだろうな。

 そうなると回収が現状ではすっげぇ難しくなるんだけど。

 

「出来ることなら、後々の事も考えて弓はいくつか作っておきたいな。アオイは一応武装しているとはいえ、刀一本では危うい」

 

 むしろあの子、刀をキチンと振れるんだろうか。

 アシュリーは身体は鍛えていると言ったが……こう、普段のやり取りを思い返すと不安になってくる。

 

「そうだな。……やっぱり弓とか、あと槍くらい作っておきたいな。高い所の木の実とかを取るのにも便利だし」

「槍か。悪くない」

 

 まぁ、全ては動物が見つかればの話だ。

 あれだ。肉が食えなくなるという事実が見えているせいか、気が付いたら思考が動物を狩る方に向かってる。

 つい先日、魚の方に力を入れようと決めたにも関わらずだ。

 でもなぁ……しっかりしたお肉食べたい。

 この間の肉は、脂が人の胃では消化できない可能性があると言うで徹底的に削ぎ落していた。なぜ俺はあの時スキルで詳細をチェックしなかったのだろうか。

 いや、あれはあれで美味しかったのだが、もっとこう……ジューシーな奴を食いたい。

 いかんな、食欲に脳が支配されかかっている。

 

「なぁ、ゲイリー」

「ん?」

「とりあえず、毎日お腹一杯になるくらい食べられる生活を作りたいね」

「……あぁ……そうだな。心から同意する」

 

 だよね。

 

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