異世界サバイバルに、神様なんていらない!   作:rikka

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044:次のミッションは探険! そして両手に花!

 シェルターを組み立てるのが終わり、そのまま俺はゲイリーと共に簡単に周辺の木の実や野草集めに出かけている。

 

「あの女はどうだった?」

 

 うん、まぁそら聞くよね。敵だもん。

 

「三人組の中では一番信用できる……かも。いや、まぁ警戒心ゼロにしていいって相手じゃないけどさ」

「……アシュリーは?」

「軽率な動きはしない慎重派って所かなぁ。いや、でも状況が激変すると分からないけど……一番やっかいなのはもう一人かな」

「……ヴィレッタか」

「うん」

 

 ゲイリーもひょっとしたら一番警戒していたのか、彼女の名前を出した時にわずかに眉をひそめる。

 

「なんていうか、こう、ちょっと人間味を感じないんだよね。あの子。完成された軍人っていうのはああなのかもしれないけどさ」

 

 それが思った感想だった。

 なんというか、一番表情が変わるのはアシュリー。笑顔ばっかで、お店の店員さん臭がちょっとするけど、言葉の端々に感情が零れるのがテッサ。

 対してヴィレッタは、現状あんまり感じない。

 ……昨日の今日だから仕方ない! コミュニケーション足りてないもんな!

 

「明日はテッサとヴィレッタ連れて仕事に行ってみようと思う」

「危険じゃないのか!?」

 

 いや、もう今更だし。

 

「割と真面目にさ。ゲイリー達の仲間……魔法使い? 魔術師? が来ている可能性も出てきたと思うんだ」

「……来ていると思うか?」

「多分。あるいは今から来る」

 

 その場合に。俺たちがまとまっていないとまた割れちゃう気がするんだよね。

 出来るだけアシュリー達三人と俺達で……こう、価値観のすり合わせというか、一つのグループとして最低限の意志疎通というか。

 

「前も言ったけど、やっぱり俺としては致命的な衝突は避けたいのよ。だから、どっぷり魔術側にも、科学側にも立てない」

「……トール」

「ん?」

 

 やっぱ駄目? 復讐したいとか攻撃したいとかある?

 

「君は、本当の統率者なんだな」

「……そうかぁ? かなりなぁなぁにやっている気がするけど」

 

 うん、そこまで真剣に問題の解決に努めている訳でもなく、先送りに全力を費やしているというか……。

 ……どうにかしないとなぁ。

 帰還手段の発見までは協力しようって方向で、とりあえずは約束させるか?

 

「いや、俺は……私ではきっとこういう風に事態を治める事は出来なかった。……やっぱり僕は」

 

 ……大丈夫?

 一人称が安定しなくなってるけど。

 

「ゲイリー」

「っ……あぁ、なんだい?」

「その……やっぱりごめん」

 

 そらそうだよ、刃物突きつけられてて仲良くしろってのいうのはスンゲー無茶あるわ。

 出来るだけ一番言いたい事言わせて、かつ通してあげたい。

 

「今回の件は、俺が色々と無茶ぶっ通しちまった。もう一度言うけど、本当にすまなかった」

「君が卑下する事なんて何もないさ。隙を見せてしまった僕に問題がある」

 

 ……僕?

 

「大丈夫。君は君が通したい道を示してくれ。俺は、全力でその道を守り抜く。切り開く――もう絶対に、君の足は引っ張らない」

 

 おーい。

 別にそこまで気負わなくていいって。

 

「役に立つんだ。役に立つんだ。僕じゃない俺は……役に立つんだ。本当だ」

「知っとるがな」

 

 あぁ、なんだろう。

 これまでは逆だったけど――

 

 なんだろう、今、無性にアオイと話したい。

 

 

 

 

 

 

◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇

 

 

 

 

 

 

 食糧集めは滞りなく終了。

 なんというか、ゲイリーがかなり気合を入れてくれたおかげで木の実やキノコが大分集まった。

 これ、いくつかはアク抜き必要だから、取っておいて今度の昼飯辺りで使おう。

 

「さて、改めてだけどさ」

 

 もはや恒例になった食事会兼報告会議。火を囲んでの円陣だけど、相変わらず左右にアオイとゲイリーが座って、アオイの横にはアシュリーが、ゲイリーの横にはテッサが座っている。

 つまり自分の反対側にはヴィレッタさんがいるんだけど、こう、なんだろう。

 

 観察されてる感半端ない。

 

 一挙一動に凄く反応してるんだよ。凝視してるんだよ。

 

 皆が頑張って作った匙とか……串? 楊枝? とかでスープ掬ったり具を突き刺したりして食べてる中、俺は即席の箸を使って食べているのだが、その仕草すらすっごく注目されている。

 

「帰る方法を見つけるまでの協力体制というか……せめて休戦協定をここでしっかり結んでくれないかな」

 

 もうね、とりあえずここをハッキリ――うん、本当は昨晩、遅くても朝の時点でこれやっておかなきゃいけなかったんだけど、ついつい時間を置いてしまったんだ。

 

「反論はないわ。アタシ達は君に降参した。……ゲイリー卿に負けたわけではないって事だけはハッキリ言っておくけど」

 

 今はそこちょっと置いといてくれませんかね!

 ほらゲイリー君ちょっとうつむいちゃったじゃん!!

 

「まぁまぁ♪ とりあえずトールさんを中心に協定を結ぶ。それでいいじゃないですかぁ♪」

「そッスそッス! 色々ごちゃごちゃ考えるの面倒くさいじゃないッスか!」

 

 君達、ホントににぎやかしというかムードメーカーとしては最適役だな。

 うん、だけど俺、これから仕事の配置とかで、この二人は分けておこうかなってちょっと思ってしまったよ。

 

「ゲイリーの味方が現れる可能性は十分にあると思う。けど、どうにかそこはワンクッションを置いて欲しい。……反撃は仕方ないけど」

「あの~、割と反撃に関してはボクら反射的というか……かっっっなり引き金軽い感じになると思うッスけど……」

 

 セーフッスか? アウトッスか?

 

 目線でそう問いかけるテッサ。

 ……。

 ……。

 

「セーフ」

「ありがとッス!」

 

 うん、まぁこればっかしは仕方ない。

 

「ただ、多分その場合ってゲイリーへの接触の方が先だと思う。ゲイリー、説得を任せても大丈夫かい?」

「あぁ。……確実に止まると確約は出来ないが、なんとかして見せる」

 

 まぁ、確実とは言えないよな。

 領主だから部下は来るかもしれないけど、同じ権限持ってる連中もまた結構いるだろうし、それ以上って事だってあり得る。

 

「あぁ、大丈夫大丈夫。少なくとも魔術師の一人が俺の意見に賛同しているっていう広告塔になってくれれば、それだけでも相当意味あるし」

 

 ……あ、でもアシュリー達とゲイリーが一緒に動いてると、もしどちらかの仲間とかに目撃されると裏切り者扱いされる可能性も十分にあるか。

 あるいは、突発的な救出戦とか。

 

(むぅ……)

 

 ゲイリーは、俺かアオイと出来るだけ組ませるのかベストか。

 でも、俺は科学側のメンバーは一緒に行動したいし……。

 

 うん、よし。

 

「明日は、久々に探索をしてみようと思うんだ。で、だ――罠の確認作業、二人だとどうだった?」

 

 本日の戦果は魚二匹のみ。獣罠の方は成果なしだった。

 一つ、作動というか動いた痕跡のある罠はあったらしいが、タイミングが悪かったのかあるいは別の要因か、ただ支えの枝が倒れて紐が落ちていただけらしい。

 

 ……結果論だけど、ゲイリーが張りきって集めた野草の量がちょうど良かった。

 シメジっぽいキノコもそれなりに美味かったし、結構腹一杯食えた。

 出来ればタニシモドキも、もうちょい食いたかった。

 

「やっぱりちょっとつらいわね。もし獣罠の方に獲物がかかってたら、トドメさしたり内臓抜いたりしている間に日が暮れそうになってたと思うわ」

 

 だよね。俺も空の様子見てて、あれ? まだ帰ってこれないならヤバいかな? って思ってた。

 

「分かった。やっぱり罠関係はそれぞれ分担しよう。アシュリーは魚の方を、アオイとゲイリーは獣罠を……出来れば、俺がいない間にそれぞれ増設しておいてくれ。干物や燻製の方も頼む」

 

 やっぱり食いぶちが増えたのは問題としてデカい。

 聞けば、二人ともここに合流するまでは基本食事は野草で、タンパク質はアリ等の虫や、前に俺たちが見つけた豆類を食べて補給していたらしい。

 うん、タンパク源の確保口を増やすのは急務だ。

 

「んお? じゃあトール君は、ボク達と一緒に動くんスか?」

 

 そう俺に尋ねながらテッサは、そっと焚火に枝を立て掛けて適当な樹皮で扇ぐ。

 揺らめきながら、大きくなる炎。

 

 うん、やっぱいいよ。火はいい。

 なんというか、凄く落ちつくよね。

 

「ボクが言うのもなんスけど、ちょこっと不用心というか……」

「大丈夫大丈夫」

 

 アオイとゲイリーの安全度合いの方が今は大事と思う。

 今アオイに抜けられると、下手したら詰む。昨晩よりも悪い状況になりかねない。

 

 それに、ヴィレッタさんはともかくテッサが、いきなり手の平を返す子には見えない。

 

「探索に同行するのは構わんが、どこに向かう気だ?」

「ん~~、やっぱり川を下って行こうと思ってる」

 

 どこを調べるのが正解か分からない以上、川という分かりやすい目印を頼りに、少しでも人がいる可能性の高い場所を探るのは間違いじゃないだろう。

 

「なんか危ない事があっても、テッサとヴィレッタさんの二人がいるならどうにかなると思うし……ちょっと長めに日を取って探険してみたい。どう?」

 

 ついでに、これで二人と一緒に俺が無事に帰ってこれれば、多少は二人やアシュリーへの信用回復の足し……に、なればいいなぁ。

 せめて空気の回復くらい。

 

「一応耳にしてはいたが……トール、せめてどちらか片方を俺かアオイと交代するというのはダメか?」

 

 やっぱり警戒しているゲイリーがすぐにそう提案してくる。

 いや、ホントにありがたい。

 心配してくれているのはよく分かる。が、

 

「んー、今回は二人とのトークも主題だから……まぁ、よっぽど帰りが遅くなった時とかの捜索は頼むよ。正直、拠点の方も大事だしさ」

「……そうか」

 

 やめて、そんなあからさまにガッカリしないで!

 悪かったよ、絶対に埋め合わせはするから!

 

 とりあえずアオイに目配せを送る。

 主に自分がいない間のゲイリーへの力添えを頼むと言う意味合いを込めてチラッと項垂れているゲイリーを示すと、お任せくださいと小さく頷いてくれる。

 

「それで、トール君。君、今回はどれくらい探険をするつもりなの?」

「ん~~」

 

 持っていける食糧とか野草の量を考えると……四日?

 バケツ一個持っていけば、後はそこらの石と火で水の浄化はできるし。

 問題があるとすれば服か。

 一応、水でがっつり洗って、殺菌も兼ねて煮沸しまくってる。

 あとで取り出して火から離れた所で吊るしておいて……朝になっても臭いが酷かったら、ちょっと計画を考え直そう。

 

「とりあえず予定では四日。ただ、明日の朝の空模様とかによっては二日くらいにしようと思う」

 

 まぁ、こんな所だろう。

 とにかく、なんでもいい。

 この森から抜け出すか、あるいは何かのヒントになりそうな物を見つけ出さないと。

 

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