異世界サバイバルに、神様なんていらない!   作:rikka

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『アオイ』

 巨大な白い球体だったそれは、翼を広げて舞い上がる。

 気が付けば、白いだけの球体の表面に、ところどころピンクの点が見えるようになっていく。

 いや、あれは――

 

「口?」

 

 あらゆる場所にぷつぷつっとピンクの点が膨れ上がっていく。

 かなり離れているためによく分からず、目を細めて観察してそれっぽいモノを口にすると、横にいるヴィレッタが――

 

「と言うより『唇』だな」

 

 と口を開く。

 ひょっとしたら、視界のズーム機能とかもあるのかな。

 

 

 視界に突然文字がサーチなどと同じ文字が現れる。

 

 

――管理下個体『ATH-s001』より武装技能の許可申請が来ています。

 

 

 同時に、スマホが震え始めた。

 それに気が付き手に取ると、『交戦を許可しますか? Y/N』と表示されている。

 

(……攻撃して大丈夫なのか?)

 

 あからさまにヤバいものだとは思うが、攻撃して却ってヤバくなるパターンこそ一番警戒しないと不味い気がする。

 例の『ゴーレム』とかいう兵器もそういう物だったっぽいし。

 倒したら毒撒き散らしたりしないだろうな。

 

「おい、さっさと許可しろ。撃ち落とせん」

「許可求めている人の言葉じゃないよね?!」

 

 そうこうしている間に、ゆっくりと『天使』が高度を下げてくる。

 ……んお?

 

 

―― La~~~~~~~~~~~~~~~♪

 

 

 …………。

 

「なにしてんの、アレ?」

「私の感覚がお前達人類種からズレていなければ、歌っているのだろう」

「……なんで?」

「知らん」

 

 そう、歌っている。

 高音から低音、女性の声から男性の声、それに弦楽器に管楽器、打楽器と。

 あるとあらゆる声と音が、それぞれの唇から一斉に放たれ、荘厳な音楽となって夜の海に響く。

 

「……ヴィレッタの国の楽器とかじゃないの?」

「自分の中のメモリーに、あのような悪趣味な楽器のデータはない」

 

 さいですか。

 じゃあ、あれなにさ?

 

 ゆっくり、ちょうど俺とヴィレッタの頭上を中心に旋回しながら、徐々に高度を落として来ている。

 

「知らんと言っている。だからこうして撃墜の許可をお前に求めている」

 

 ちょいと決断早すぎないかね、ヴィレッタくん。

 まぁ、こうして空飛ばれている現状、手を出すとしたら飛び道具しか……。

 

「今銃持ってるの? ガンスミスとか持ってたから銃火器を作ることは出来そうだけど」

「スキルを習得した時にもう試してある。私の身体そのものがアーティファクトだからか、私は身体の構成要素を消費して一時的に銃火器を作製する事が出来る。弾薬の精製もテスト済みなので確実だ」

 

 マジでか。

 

「身体の構成を消費って大丈夫?」

「銃の使用限界が来たらすぐに戻る。完全に消費する弾はそこらの石や砂などで作ればいい」

「弾って、じゃあ火薬を作れるの?」

「火薬を用いた弾薬類は現状無理だ。空気圧縮式や電磁誘導式の物ならばある程度作っている」

「そっちの方が凄くない!?」

「黙れ、いいから許可しろ」

 

 だから許可を求める態度じゃないよねヴィレッタ!?

 そう言っている間にも、『天使』はクルクルと舞い降りながら歌っている。

 前も後ろもよく分からんフォルムだけど、翼の向きでいうとずっと俺たち二人の方を向いているようだ。

 

(歌を聞かせている? 俺たちに?)

 

 眼がある訳ではないが、ずっと同じ方向を見ているのか。それとも俺たちに自分の姿を見せようとしているのか。

 じーっと目を細めて近づいてくるソレを見つめていると、また突然視界に文字が現れる。

 

 

――管理下個体『ATH-s001』の視界を共有しますか?

 

 

(…………スキル……じゃないよね?)

 

 こんな事、今までになかった。

 視界の共有が出来そうなスキルなんて取った覚えもないし、これまでにこんな表示は一切ない。

 そもそも、こんな感じのクエスチョンが出てきた事なんて、これまで一度もなかった。

 

 スマホを取り出すと、やはり文字が出ていた。

 イエスか、ノーか。

 

 なんの意味があるのか少しだけ迷ったが、『Y』の部分をタップする。

 すると視界に変化が起こり、いつもの違和感のある視界に近いものになる。

 いつもと違うのは、見ている光景が一気に変わった事。

 

(これがヴィレッタの視界か……)

 

 自分が見ていたそれよりもやけに近い、まるでカメラのズームのようなそれに少々驚くが、同時に便利な物を手に入れたと少しだけ気持ちが高ぶる。

 

 視界に映るのは、かなりアップになった『天使』の姿だ。

 いや、こうして間近で見ると『天使』という言葉を使うのは躊躇われる。

 余りにも気味が悪すぎる。

 そしてデカい。球体というか、卵か。

 

(口、口、口。どれもこれもパクパクしやがって……マジでキモいなこれ)

 

 歌っているのだろうそれは、もはやどう見ても人間の口だ。

 閉じたり開いたり、閉じっぱなしだったり開きっぱなしだったり。

 

 他に何か判別できるような物はないか。

 

 そう思って周囲を見まわそうとするが視界が動かない。

 あぁ、そっか。これヴィレッタの視界か。そういえば全く動かないからなんか違和感が……・

 

(ってことは、真正面がヴィレッタが注目している物って事で……)

 

 ヴィレッタの視界は、白い――胴体部分とでも言った方がいいのか?

 その下の方を注視しているようだ。

 

(……あら?)

 

 その時、ふと違和感を覚えた。

 それ自体が淡く発光しているためによく分からなかったが、真っ白な胴体の中に一部違和感を覚える。

 

(ズーム、出来るか?)

 

 そう考えたら、視界に更に文字が追加される。

 

 

――視界操作を行いますか?

 

 

(出来る事、妙に増えてない?)

 

 これまでになかった選択肢――想像すらしなかった選択肢が次々に現れてくる。

 正直、怖いし文章が文章だ。ヴィレッタに影響があるかもしれない。だが……。

 

(現状、背に腹は代えられない!)

 

 いつもイエスかノーかを表示させるスマホの画面のタップするべき場所はもう覚えている。

 ポケットに突っ込んでいたスマホのその部位を、タップする。

 

「……っ!!? トール、貴様!!」

 

(やっぱり、向こう側に影響が出たか)

 

 謝罪の言葉を口にしようとするのと、それに気付いたのは同時だった。

 

 小さく、白ではない、色のついた何かが見えた。

 小さいささっくれにも見えるそれは、だが確かに見覚えのあるものだ。

 

 鞘だ。

 刀の。

 

「ヴィレッタ、撃っちゃダメ!」

 

 反射的に叫んでいた。

 

「中にアオイがいる! だったら他の奴らだって――」

 

 あの大きさならば、他の連中が中に入って――取り込まれていたとしても不思議じゃない! むしろ、全員がいなくなっているのならばそう考えた方が自然か!

 

 視界の共有を終えて、ヴィレッタの方に向きながら叫び続ける。

 そもそも射撃の決定権を持っているのは自分だから意味がないと気付いたのはすぐ後だった。

 

「ちっ」

 

 ……。

 こいつ、まさか!

 

「お前、あの中に皆がいる可能性がある事に気付いていやがったな!?」

「………………」

 

 ヴィレッタは無表情のままだが、心なしか忌々しそうに見える。

 

(こんにゃろう! 当然だけど諦めてないか!!)

 

 中にいるアオイとテッサが排除されれば、俺の味方はいなくなる!

 さらにいえばゲイリーはコイツの敵! クラウとアシュリーも、コイツからすれば似たようなもんだろう。

 ついでに意味不明の羽が生えたイレギュラーも排除できるっていうんなら……っ!

 

「ならばどうする? 少なくとも奴は人類種を取り込む生体。貴様にとって脅威以外の何者でもない」

「中にアオイ達がいるまま落とすわけにはいかないだろう!」

 

 ふと、足元の影がさっきから動いていない事に気が付いた。

 見上げると、あの巨大な『天使』が動きを止めている。

 先ほどまで羽ばたいていた翼がぴたりと止まり、文字通り完全に制止してこちらを見ている。

 いや、眼はないけど。

 

「?! トール、飛べ!」

「ぐぇ……っ」

 

 ヴィレッタがそう叫ぶと同時に俺の首根っこを掴んで、後方へと投げ飛ばす。

 

(てっめ、飛べじゃなくて飛ばしてんだろうが!)

 

 そう叫ぼうとした。

 いや、ひょっとしたら叫んだのかもしれない。

 

 だが、それ以上の轟音が全てを吹き飛ばす。

 避けたはずの俺もヴィレッタも、積んでいた苔の山も素焼きの壺もシェルターも。何もかもを巻き込んだ突風によって吹き飛ばされ、地面に叩きつけられる。

 

 肺から抜けた空気を取り戻そうと荒い息を繰り返しているうちに、先に起き上がっていたヴィレッタが俺を抱き起こす。

 

「やはり敵性存在のようだな」

 

 ヴィレッタの肩に掴まりながら身を起こし、突風が吹いてきた方を睨む。

 奴だ。

 天使だ。

 

 

――迎撃目標を設定しますか?

 

 

 先ほどから視界にはそういう文字がチカチカと点灯してやがるが、だが……もしあれのど真ん中を銃でぶち抜いたら、誰かが死ぬかもしれない。

 それはダメだ。それはノーだ。

 

「おい」

 

 口を開く。

 ヴィレッタに向けてではない。

 どこかの誰かに向けて。

 口を開く。

 

「攻撃許可を部位に限定することは出来るか?」

 

 届くかどうか分からない。

 いや、そもそも馬鹿げた試みなのかもしれない。

 だが――

 

 

――管理者候補『███ - Sstp-E-J-██████』の要請の受諾を確認。

 

 

 

――『███ - Sstp-E-J-██████』管理個体『ATH-s001』への干渉システムの最適化を開始…………完了。

 

 

 

 見える世界が、また少しずつ変わっていく。

 ヴィレッタを通して見える視界に、ポインターのような物が付く。

 俺が右の方を見ればそちらに、左の方を見ればそちらに動く。

 

 

「ヴィレッタ! 翼を撃ち抜け!」

 

 俺が翼を睨むと、今度はポインターがそこに固定される。

 俺の言葉に、一瞬ヴィレッタの顔がわずかにニヤつき、そして目を見開く。

 

「トール! 貴様、こちらのファイア・コントロールを――っ!」

「翼を撃てって言っただろうが!!」

 

 やっぱり胴体狙ってやがったなこのアマ!

 ありがとうどこかの誰かさん!

 

「くそっ! やはり思い通りにはいかんか!」

 

 そう言いながら、ヴィレッタの右手が淡く光る。

 俺の自己再生と同じ光だ。

 手の平に集まるその中から、どこから来たのか大型のライフルが出てくる。

 

「トール!」

 

 自分が想像しているような銃口ではなく、帯電してパリパリ鳴っている二枚の板で『天使』を狙う。

 

「私から距離を取れ!」

 

 そう叫ぶと共に、甲高い奇妙な音が鳴り響く。

 ドラマやアニメで聞くようなそれと違う、独特の発砲音。

 それと同時に、銃弾の軌跡が『天使』へと向かって伸び――

 

 

 

 同時に、再び『天使』が翼を広げると共に現れた緑の膜――いや、巨大な泡? のような物が『天使』を包み、そして銃弾を受け止めた。

 

(違う、溶かしたのか!)

 

「くそっ! なんだあれは……っ」

「バリアみたいなもんだろう。それも、あからさまに触ったらヤバそうな奴」

 

 即座にヴィレッタが銃を構えて数発連射するが、やはりどれも煙を立てて蒸発する。

 着弾の時に僅かに発光しているから、ひょっとしたら効果があるのかもしれないが、微々たるものだろう。

 

「トール! お前の魔法とやらは!?」

「整地魔法に期待すんな!」

 

 ぱっと見であのバリアっぽいのは液体のように見えなくもない。

 熱を加え続ければ蒸発するか?

 

「くそ、これで効果が見られないなら空気圧縮式でも同じか!」

 

 そう叫ぶヴィレッタの手にあったライフルは、取り出した時の同じ輝くを発しながら光の粒子へと変わって、ヴィレッタの腕の中へと戻っていく。

 

「っておい! ライフルは!?」

「使用限界だ! ちっ、また来るか!」

 

 ヴィレッタがまた俺の襟元を掴んで、人間ではあり得ない跳躍をする。

 

「ごげ……っ」

 

 首が折れるかと思ったが、本当に折られた時はこんなんじゃなかったな。

 なによりも、それどころではない。

 ヴィレッタが俺をひっ捕まえて跳躍した直後、再びあの突風が飛んできた。

 なにもかもを、片っぱしから吹き飛ばす。

 

 かろうじていくつか残っていたシェルターや道具の類。

 それらがものの見事に――

 

「こ……っ」

 

 全部、壊れていく。

 皆で作った物が。皆で作ろうとしていた物が。

 

 過ごそうとしていた場所が――

 

「んの野郎……っ」

 

 邪魔だ。

 

 邪魔だ。

 

 邪魔だ邪魔だ邪魔だっ。

 これは、コイツは俺にとっての邪魔者だ。

 

 だけど外から触れられない。

 仮にどうにか出来たとしても、時間をかければここらがズタボロにされる。

 そもそも避け続ける事が出来るのかが疑問。

 時間がない。

 つまり奴を今すぐ大人しくさせる必要がある。

 触れるなら……バリアの中からならあるいは……っ!

 

「邪魔だ…………っ」

 

 俺の進む道に。

 行きたい先に、この白い卵は――要らない。

 

 息を吸い込む。

 気が付いたら吸いこんでた。

 でも、そこから何をするかは分かっている。

 あぁ、分かってるさ。

 

 アイツがした約束だから。

 

 アイツが約束した事だから。

 

 だから――

 

 

 

「アオイっ!!!!!!!!」

 

 

 

 

 

 

◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇

 

 

 

 

 

 

 歌が聞こえた。

 

 あの人、男の恰好をした……誰だったか。

 まぁいい。誰でもいい。どうでもいい。

 その誰かが歌が聞こえると口にした次の瞬間、自分は輝きに包まれた。

 歌という輝きに。

 

 あの輝かしい存在から放たれたそれは空気を伝い、耳を通して自らの身体を伝い、脳を介して五感を刺激した。

 

 願いだ。

 この歌は。

 

 理想だ。

 この歌は。

 

 そうだ、理想だ。

 トールさんが掲げる……いや、自分の中にそれしかないと強制している物と似た……。

 

(トールさん?)

 

 それは、誰だったか。

 

 

――誰だったか?

 

 

 突然、身を包む心地よさにノイズが走る。

 よく分からない痛みが、身体ではないどこかを貫く。

 

 

――誰だったか?

 

 

 指先がピリつき、感覚が戻る。

 

 

――私は何を言っている?

 

 

 どこかボヤけている脳に、いつかの光景がよぎる。

 自分が隠れている時だ。

 刀という武器を手に、姿を隠して『あの人』の様子を観察していた時。

 周辺に人が集まる気配はない。

 まだ虫や鳥、獣の気配もなかった静かな夜の頃。

 『あの人』はずっと火を焚いて、辺りを見回していた。

 

 そして次の日、『あの人』は探し回っていた。

 武器ではなく、多めの食糧と水を持って。

 出来るだけ汚れることを避けていた高そうなカバンに、出来るだけの物を詰めて。

 

 

――アオイ! どこだアオイ!

 

 

 

――怪我とかしてないか!? 声が出せるなら出してくれ!!

 

 

 

――声が出せないなら、物音でもいいんだ!!

 

 

 

――アオイ!!

 

 

 ずっと自分を探していた。

 なぜ探すのだろう。

 少なくとも、『あの人』は自分を物騒だけど無力な女だとその時は思っていたはずだ。

 なぜ必死なのだろう。

 そう考えていた自分がいた。

 

 会ったばかりの女に。

 まだ何の役にも立てていなかった女に。

 手を出す素振りも見せずに、ただ傍にいて、ただ少ない食糧を分けあって、ただ一緒に火を起こそうと苦労して……

 

 

――誰だったか、か。

 

 

 指先のピリつきはいつの間にか消えた。

 状況を少しずつ把握していく。

 自分が、水のような――少しトロっとした液体に浸けられているのがわかる。

 

 

――馬鹿か、私は。

 

 

 目を見開く。

 瞼越しでも分かる輝き。

 さきほどまで自分が身を委ねていた白い光。

 今となっては邪魔なだけのそれを、片手で目を覆って遮る。

 

 

――あの人の事を、一時とはいえ忘れてしまうなんて。

 

 

 初めて出会った、何も考えなくていい人だ。

 

 自分を殴ろうとしない。

 自分を蹴ろうとしない。

 自分を売ろうとしない。

 自分を食べようとしない。

 自分を犯そうとしない。

 自分を殺そうとしない。

 自分を殺しの道具にしようとしない。

 

「トールさん……っ」

 

 五体に意思が戻る。

 そうだ、そうだった。

 自分の役割は――

 

 

『アオイ!!!!!!!!』

 

 ええ。

 えぇっ!

 

 ただ邪魔な光に慣れてきた目で、もう一度周囲に目を通す。

 全員寝ている。

 ゲイリー、アシュリー、テッサ、クラウ。

 皆いる。

 互いに後ろ手で刃を突きつけ合いながら、それでも共に生きる人達はここにいる。

 

『聞こえるかっ!!!!』

 

 トールさんの状況は。

 分からないなら、とりあえず斬ろう。

 

 仲間達とは逆の方向――そこにある、真っ白いゼリーのような壁に向けて短刀を抜いて、突き立てる。

 同時に、何十人もの女の叫び声のような音が鳴り響く。

 

 おそらく、それで全員目が覚めたのだろう。

 背後からバタバタ暴れる音が聞こえる。

 

 それを無視して短刀で壁を斬り開いていくと、闇が差しこむ。

 夜だ。

 

「――――っぷは!」

「アオイ!」

 

 切れ目をこじ開けて外に顔を出すと、そこはとんでもない場所だった。

 自分がとんでもなく高い所に浮いている。

 そして下の方から――あの人の声がする。

 

 見下ろすと、見知った顔が二つ並んでいる。

 先日まで男だった女と、髪を束ねた女が並んでいる。

 

「ソイツの翼だ!!」

 

 自分が壁だと思っていたのは、何らかの生物の皮膚だったようだ。

 白くて丸っぽい何かにたくさんの口と一対の翼が生えた気味の悪い、巨大な生き物。

 

「翼が邪魔なんだ!!」

 

(えぇ、えぇ!)

 

 アナタと約束した事だから。

 

 アナタに約束した事だから。

 

 だから――だからっ!

 

「はい!」

 

 鞘を手に取り、皮膚の切り口を足場に跳躍する。

 目標は、翼の付け根っ!

 

「貴方の邪魔をする物は全て!」

 

 届きそうになくて、更に白い生き物の皮膚を蹴って跳躍する。

 

「斬ります!!」

 

 一閃。

 

 それほど固さを感じなかったそれを、斬り飛ばす。

 それと同時に、耳が割れる程の甲高い叫びと共に――

 

 白い巨体が、落下し始める。

 

 




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