ねぇ、こっちにおいで?   作:Mr....

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恋愛。
love と love。
だからラブラブ。つまり恋愛。
はい、こんにちはMr...です。
恋愛小説なんて、ロマンチックなものは書けませんが、頭の中は黒いお花がたくさん、咲き誇っています。
今話もよろしくお願い致します。

登場人物
主人公 坂本 猛
年齢 23歳
身長 175cm 体重 59kg
職業 ショップ店員
運動音痴

???
女性
年齢不明
詳細不明
人間らしい




desire 1

desire 1

 

 

 

めくるめく毎日。変わらない日常。何かを求めて、仕事をしたり、恋をしたり、仲間と騒いだり、そうして疲れれば眠る。そしてまた同じことを繰り返す。それが人の人としての在るべき姿であり、他の動物には真似出来ない唯一的な理。

 

 

欲求を満たし幸福を得る為に、大昔から人間が作り上げてきた自我。例外もあるが、他の動物のそれより強い意志や感情に突き動かされる。

 

金が欲しい。彼女が欲しい。服が欲しい。何が欲しい。

貪欲なのはいい事だ。活力になる。欲がない人間には何かを生み出すことが出来ない。神様がくれた幸せになる為の根源。程度の差はあるけど、何かを求めて、どこかへ行く、出会い、別れ、また出会い。退屈しないだけマシだと思う。

 

 

俺もそんな人間の1人。名前は坂本 猛(タケル)

23歳 彼女なし 職業 ショップ店員

身長175cm 体重 59kg

趣味 特に無し。

 

 

どこにでもいる普通の男。めちゃくちゃモテるわけでもないけど、モテないわけでもない。彼女はいない。大体世の中の女っていう生物は面倒臭い。あれこれ理屈を並べたかと思えば、掌を返して感情的になり、面倒ごとは押し付けるのに、利害の一致がある時だけいい顔をする。

 

 

逆に男ってダメなのよ。って思われているだろうが、そもそもなんで上から目線でダメなのよって言われなきゃならないのか理解出来ない。別にダメだろうと良かろと、そこで判断してないだろとつくづく思う。ダメならいいのか。そうじゃない。良いものはいいのか。そうじゃない。結局自分に都合が悪くなることに対しての防御的な意味合いを持つ言葉。対してのこちら側は面倒臭いくらいには思うが、ダメな女なんてこれっぽっちも思ってなかったりする。

 

 

そもそもダメな人ってなんなんだ。見た目だけの話なら、ブスはダメ。可愛いは正義、みたいなCMの腹が立つキャッチフレーズのことを言うのか。

 

 

見た目だけならまぁ自分は恵まれてる方だとは思う。身なり、服装の所為でよくバンドマンと思われがちだが、俺はあんな不特定多数の人間から当てられる、期待されるような視線は嫌いだし、自分の思いや考えを人に伝えることなんて出来ないし、ましてや楽器なんか弾けない。そういった意味ではダメな人。

 

 

ああいうのも結局は自分を見て欲しい。認めて欲しい。思いを共感してバカ騒ぎして、明日からも頑張ろうぜ!なんて青臭いことを言って、現実から目を背けさせるものでしかない。その人はダメな人でも、見てる側はそう思わない。

 

 

ライブが終わり、明日になれば、仕事行きたくない。学校行きたくない。昨日のライブで燃え尽きたからやる気が起きない。なら死ねばいいと、ひねくれた俺は思う。そもそもやる気が無くなるくらいなら行かなきゃいいし、やりたくなければやらなきゃいい。

 

 

何かを満たしたくても満たされない人もいるのに、どんな神経してんだよって、心の中で悪態をついてしまう。俺の欲求は最低限の生活。それ以上もそれ以下も望まない。

 

 

俺は満たされない。満たされないままこの世界に囚われて、求めることも忘れて、そのまま朽ち果ててもいい。もう何も欲してはならないと、人間としての欲求など陳腐なものなんだと。腐りかけの林檎みたいに枝から落ちて潰れたら、誰かの欲求を満たすことくらいは出来そうだが、双方にいい事は無いだろう。なので色々と諦めている。

 

 

猛「あぁ。そろそろやめよう。」

 

 

黒い感情に飲まれないように自制する。時々何か変な病気なのではないかと、本当に自分を疑ってしまう。考え過ぎてしまうのは悪い癖。今となってはそういう人間なんだと自分で自分を受け入れているから、そういう病院にかかってない。幸いなことだと思う。

 

 

俺は今ショップ店員として衣服を販売している。従業員は俺含めて7人程度、正社員は4人、あとはアルバイトの小さな店だが、人間関係は良くも悪くも深い関係にならず、生活には困らないし、それなりに充実している。

 

 

何故今の仕事に就いたのか、衣食住は欲求云々より生活するにあたって必要なものだから。溢れかえる職業の中で、生きるのに必要最低限な業種は、クレームも少ない。逆に別に必要じゃなさそうな所には、こうして欲しい。ここが悪い。このシステムが気に食わない。オタクの会社はどんな教育をしているんだ。みたいな余計なものが次から次へと出てくる。

 

 

衣食住は欲求とは別に、確実に無くてはならないものだから、そう割り切ってしまえば、楽だと思ったからだ。

 

 

けど、住は不動産屋さんに務められるほど学識を持ってないし、何より面倒くさそう。

 

 

食は細かいことが多すぎて、一度やってみたが性にあわなかった。

 

 

服を売るだけなら、適当にお似合いですよ、なんて言っておけばフラフラ生きてる若いヤツらはその気になってお金を払うし、それなりに年齢を重ねた人も好みの物があれば、勝手に買っていく。楽でいい。

 

 

勤めているショップは20~30代後半くらいの層の人が好みそうなファッションで、系統で言えば少し落ち着きのあるカジュアルな物がメインになっている。店内も白が基調の黒と青が差し色でシックな雰囲気を演出していて、服の系統と店内の雰囲気がしっかり噛み合っているので、俺もそれなりに気に入っている。

 

 

店長「あ、猛君。来週分の発注と在庫確認お願いしてもいいかな?」

 

 

店長。37歳。良くも悪くも当たり障りのない良識人で常識人。仕事も真面目、家庭も真面目、この人から真面目を取ったら何が残るんだろうと思うくらい真面目。そういうのは必要だと思うし、不真面目過ぎても問題。最近の悩みと言えば、頭が寒くなってきたことくらい。この人の真面目な熱意に対して、頭頂部は熱を逃がそうと、必死に隙間を作ろうとしているのだろう。ようはハゲかけ。そしてお気に入りは大きめのハット。頭頂部はまだまだ苦労が耐えなさそうだ。

 

 

猛「分かりました。ちょっとレジ忙しくなりそうですし、フォロー終わったらやっておきます。」

 

 

店長「助かるよ!嫌な顔しないで引き受けてくれるの猛君だけだからさー、頼りにしてるんだよね。」

 

 

猛「(やりたくてやってるわけじゃない)仕事ですからね。給料分の働きはしますよ。」

 

 

俺はにこやかな顔で店長に受け答えする。演技だとしても悪い顔をしないでいた方が楽だからだ。いざこざなんて面倒臭い。面倒事は極力避けていきたい。

 

 

一時のピークが過ぎて、アルバイトのスタッフが出勤してきたのを確認して、フロアを任せる。本当に人と接するのは嫌気がさしてくる。仕事をしてる上では避けられないが、バイトのスタッフも、まぁ金の為なら多少嫌なこともやるだろう。と良いように使う。その辺だけは頭が冴える。

 

 

夕方、人気のない倉庫で発注と在庫の確認をする。

店長は大体デスクワークで、何をしてるのかわからないが意味の無さそうな生産性をパソコンという無機質な物に費やしている。残りの店舗内の面倒事は俺の仕事。というかパソコンと向き合うくらいなら、他にやることやれよ。

 

 

つまらない仕事。つまらない人生。つまらない人間達。自分の人生。明日終わってもいいと思っている俺からしたら、何もかもがつまらない。そんなことを閉塞感のある倉庫でぼんやり考えていると、

 

 

???「つまらなそうな姿...いつまでそんなことをしているの?」

 

猛「...!?」

 

 

急に聞こえた耳馴染みのある声に驚き後ろを振り返る。1番聞きたくて、1番聞きたくない声。聞いてしまえば、俺は生きなければいけなくなる。かと言って聞かずにいると、いつ死んでもいいなどと虚無感にも囚われる。

 

 

気の所為。疲れてるんだ。拗れた妄想のようなものだろう。そういう痛いところがあるのは自覚している。もちろん誰もいるわけがない。いるはずがない。聞こえるわけがないんだ。なぜなら、その声の主は、彼女は、

 

 

もうこの世いないのだから。




猛くんって中々ひねくれた人間。
まっすぐ生きるのは疲れますよね。

敬意と感謝を込めて。
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