ベル君がジョーカーアンデットなのは間違っているだろうか? 作:オンドゥル
翌日、ギルドから支給された防具とナイフを身に付け、ベルはダンジョンへと足を踏み入れる。不死の存在であるアンデッドとしては、防具は重りと大差ないが、防具無しで突っ込めば必ず怪しまれるので渋々身につけているといった感じだ。ナイフに関しては、やたらめったらラウズカードを使うわけにもいかないのでありがたいが。
「さて、今日はまだそんなに深く潜らなくても良いかな」
表記上はレベル1なので、あんまり深く潜りすぎると不審に思われるので、ベルは第一階層にて獲物を探す。程なくして、獲物を発見した。
「あれは確かゴブリンだっけ?ま、良いや」
そう言いながら、ナイフを構えゴブリンに接近する。それに気づいたゴブリンは手に持った棍棒の様な物で、ベルを迎え撃つが、ゴブリンが腕を振り下ろすより早く後ろへ回り込み、その首にナイフを深々と差し込む。そのままナイフを動かし首をはね飛ばすと、ゴブリンは倒れ魔石へと変わる。ヒューマンとは言え、アンデッドである事には変わりないので、この程度は造作もない。
「こんなものかな」
魔石を拾いながらベルは辺りを見渡す。それなりに稼ぐ気ではあるので、出来れば大量にいる所に行きたいのだが。
「あ、これ使ってみるか」
思い出した様に言うベルの手にはバットアンデッドが封印されているダイヤの8のラウズカードが握られていた。誰も周りにいないことを確認したベルは、ジョーカーラウザーを出現させラウズカードをラウズする。今回は、そのアンデッドに擬態するわけじゃなく能力のみを使うのだ。
《Bat》
このラウズカードには何個か能力があるが、今回は索敵能力を使う。蝙蝠が超音波で周囲の様子を察知する様に、人には感知できない超音波を放ち、
「よし、此処だ」
たどり着いたその場所には、ゴブリンが5、6体はいた。早速注意を引くために、足元にあった石を投げる。
「キキキッ」
それによって、ベルに気づいたゴブリン達が、ベルへと襲いかかる。
「よし、行くよ」
一体目のゴブリンが先のゴブリン同様棍棒を振りかぶる。今回は、後ろに回っている暇はないので、振り下ろすより早く懐に入り込み、ナイフを刺す。そのまま、その後ろの二体めがけて蹴り飛ばし、迫ってきていた別のゴブリンの一撃を避ける。
「よっと」
そのまま腕を掴み、捻り上げ棍棒を奪い、ゴブリンの頭を粉砕。流れる様に持ち方を変え、別のゴブリンに投げつける。ここで漸く先に巻き添えを食らったゴブリン二体が攻撃を仕掛けてきたので、一体の足を払う。結果、そいつの持った棍棒はあらぬ方へと振り抜かれ、もう一方を葬った。ナイフを回収し、残りの三体を相手取る。と言っても、避けて刺すだけだが。
「ふう、終わった」
転がっている魔石を回収して、また別の狩場を探す。先の索敵時に2、3体で固まっている所は割と多めだったので、全部倒し終える頃には、それなりの量になっているだろう。
*
「神様、ただいま帰りました」
ギルドにて、魔石の換金を済ませたベルは一切寄り道することなく帰ってきた。というのも、量が多いためにエイナにちょっとしたお叱りを受けた事により、遅くなってしまったからだ。
「おっかえりーベル君!」
「うわ!神様、突然抱きついてくるのは危ないですよ」
ヘスティアを優しく抱きとめながら、ベルはそう言う。なんでも、ベルが無事に帰ってきてくれて嬉しかったんだとか。
「なあ、ベル君。不死の君に言うのもおかしな話かもしれないが、無茶はしないでくれよ?」
「当然ですよ。不死と言ったって痛みは感じるんですから」
「フフ、なら良いんだけどね。さて、そろそろ夕食にしようかベル君。バイト先の店長から在庫処分とか言ってジャガ丸くんいっぱい貰ったから食べ放題だぜ?まあ、賞味期限が近いから、今日か明日までには食べないといけないんだけどね」
「ああ、在庫処分ってそう言う……」
「まあ、ちゃんとした食事の方が良いとは思うけど、たまにはこう言うのも良いと思ってね」
「そうですね。たまには良いかもしれませんね。じゃあ、準備始めましょうか」
今日の稼ぎの五千ヴァリスを机に置いて、2人は夕食の準備を始めるのだった。
お待たせ致しました。リアルが忙しいので、これからも不定期になりそうですが、現状失踪だけはする気はないので、首を長くしてお待ちください