シャルロット・デュノアの妹、ジャンヌ・デュノアです。   作:ひきがやもとまち

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久しぶりにジャンヌちゃんIS更新です。なんとか百合っぽい話を考えようとして思いつかず、仕方なしに一先ずは話を進めてみた内容です…。
もう少し早くから本格的に百合展開の用意を進めておくべきでしたよね…チクソウ…。


第24話「ガールズ・ハント&オープン・ユア・暴露」

 ワイワイ、ガヤガヤ・・・。

 先日起きたキャノンボール・ファストへの亡国機業による乱入を踏まえ、テロ対策として専用機持ちだけを対象とした全学年合同のタッグマッチが開催されることが公表されたIS学園生徒たちはザワついていた。

 

 が、別に誰と組んで出場しようというのではなくて、誰と誰が組んで出るかとか。わたしも専用機持ちだったら織斑くんと出たいな~、とか。

 テロリストの襲撃に危機感を覚えたから対策に乗り出した学校の生徒がしていい思考法によるものではまったくない理由によってザワついていただけなので、いつも通りといえばいつも通りと言えないこともない。

 

 まぁ、責任者である生徒会長自らが妹との姉妹仲改善のためとかいう超個人的な動機によって参加者の一人に誰と組むかを強要している時点で、今更といえば今更でしかなかったわけでもあるのだが。

 

 

「こうしてみると、意外と見つけにくいものなのね・・・。

 どうすれば見つかるものなのかしら・・・? 『友達』って」

 

 

 ――さすがに、テロ対策を目的としたタッグマッチに参加するバディ選びを、『人生初の友達作り』に使うつもりで候補を探し歩いている専用機持ちは、この子以外にいないと思う。

 て言うか、いないと思いたいし信じたい。こんな奴が国が保有する最高戦力の担い手だと思うと胃が痛くなってきそうだから・・・。

 

 

 フランス代表候補生の片割れ、シャルロット・デュノアの妹ジャンヌ・デュノア。

 彼女は先日、ライバルであり宿敵であり一応はクラスメイトでもいてやっているドイツの代表候補生ラウラ・ボーデヴィッヒが、他の寮生たちと普通にコミュニケーションが取れるようになっていたという驚愕の事実を知ることになり、急遽今まであんまり考えたことなかった学校内での友達捜しを開始していたわけなのであるが。

 

「おかしいわねぇ~? 参考書によれば、学校の校舎内を適当にブラついていると高確率で現在の自分が持つステータスにピッタリな美少女が向こうからやって来てくれるはずなんだけど・・・」

 

 そうつぶやきながら、手元にある参考書『ときめいてメモワール3』の攻略本を何度も何度も読み返しているジャンヌ・デュノアちゃんは、これでも一応IS企業大手で世界3位のシェアを誇るデュノア社の社長令嬢です。一応はね。

 

「・・・うん。やっぱり場所選びが良くなかったわ。出会いの基本は図書室、教室、部室、グラウンドにプールと体育館なんだし。廊下を歩いているだけだと固有イベントは起こりづらいわ。そういう場所へ向かいましょう。

 向かっている途中でぶつかってくる可能性もあるわけだし・・・・・・ん?」

 

 現実とフィクションがごっちゃになっている旧男尊女卑時代に主流だった考え方に毒され尽くした独り言をつぶやきながら、女尊男卑の根幹を支えているISの担い手少女ジャンヌ・デュノアは踵を返し、まずはサッカー部の部室からマネージャーを探しに行こうとしていた矢先のことだ。

 

 少し先の廊下で、見覚えのある“男子生徒”が見覚えのないクラスの前でなんかやっていた。

 

「・・・なにやってんのかしら・・・? アイツ・・・」

 

 

 

 

 

「えーと」

「・・・・・・」

 

 カタカタカタ。

 

「初めまして。織斑一夏です」

「・・・・・・・・・」

 

 カタカタカタ。

 

「・・・・・・」

「・・・・・・」

 

 カタカタカタ。

 

 ジャンヌ・デュノアが友達作りのためタッグマッチでペアを組む相手を適当に捜し歩いていたのと同じ時刻。

 織斑一夏は1年四組の教室内で、特定の一人に絞ったペア候補の少女を勧誘するため頑張っていながら困ってもいた。

 

 ――相手が無反応なのである。

 朴念仁オブ・ザ朴念仁の一夏であっても、相手から返してくる反応が無反応な無視だけでは誤解しようがなく。また自意識過剰なイケメン共と同類になっちまう気がしてイヤだったので相手からの反応待ちで根気強く話しかけ続けているのだけれども。

 

「・・・・・・・・・」

 

 カタカタカタ。

 

 ・・・無反応だった。相手からは無反応以外の反応を返してくれていなかった・・・。

 正直言ってツラい。引き受けたの失敗だったかな~? とか少しだけ思ってしまう程度には精神的にツラい反応だった。

 

 気持ち的には身内であり、関係性では完全に外様の更識楯無生徒会長からの依頼を受けて、彼女の妹『更識簪』をタッグマッチに出場する自分のペアになってもらうため頑張って勧誘しに来ているのだけれども。

 無言が答えのままではどうしようもない。タイピングの音が会話するための符帳になっているとかのスパイ映画っぽい技能は彼の持ち技にはないので会話してもらわないと彼としてはどうしようもないのであった。

 

「・・・・・・・・・知ってる」

「お?」

 

 相手がようやく動きを止めて、こちらの言葉に反応してくれたので一夏としては会話が進む展開を期待したのだが。

 

「・・・・・・」

 

 一言いってから立ち上がって、右腕をわずかに振り上げてからすっと下ろし。

 

「・・・私には、あなたを・・・殴る権利がある・・・。けど、疲れるから・・・・・・やらない」

 

 そのまま再び席についてキーボードを叩く作業へと戻っていってしまったのだった・・・。

 

「えーと・・・・・・」

 

 これにはさすがの一夏も反応に困らざるを得ない。

 昨夜の内に楯無から大凡の事情は聞いていたから、白式のせいで簪の専用機が未完成なままなのは事実であり、それが自分のせいと言われてしまえば受け止めるしかないのは仕方がない。

 

 ――そう、彼は思っていたのだけれども。

 

「・・・用件は?」

「おお、そうだった。今度のタッグマッチ、俺と組んでくれないか?」

「なに? アンタ今度は別クラスの女子を口説きに来てんの? いい加減にしときなさいよ・・・そのうち本気でナイスボートされる可能性が高いんだからさ。アンタの人生って」

 

 

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

 

 

「ジャンヌ!? お前、ジャンヌ・デュノアか!?」

「そうだけど・・・なんでそんな説明臭い驚き方してんのよ。別に隠しカメラが仕掛けてあるわけでもないでしょーに・・・」

 

 いつの間にか一夏の背後に立って様子を見下ろしていた1年1組のクラスメイトでフランス代表候補のジャンヌ・デュノアが白っぽい目付きで彼の反応を眺めやりながら、白っぽい反応を返してくれたのだった。

 

「・・・・・・誰?」

 

 ちなみに簪は、猫かぶってた頃のお嬢様モードなジャンヌのデータしか見たことないので、素の状態が常態化してしまっている今のジャンヌとはほぼ初対面である。対人関係少なすぎたせいでジャンヌの変貌ぶりを知らせてもらえず、本人もまた殻に引きこもって他人に興味もたなかったから知らなかったのである。

 

「いや、アンタこそ誰よ? 人に名前を聞く前に自分から名乗りなさいよ。それが礼儀でしょうが、普通に考えて」

 

 そんな簪に対して、ジャンヌは横柄な態度で平然と自己紹介を要求してくる。

 もうひとつちなみにだが、ジャンヌは簪と違ってヒーローには興味がなかったし嫌いだったけど、ロボットは大好きだしアニメも好きだしゲームも好きだし、あと漫画とかラノベとかフィギュアなんかにも興味がある、暗くない引きこもり系のオタク少女だったため交友関係の狭さは簪とほぼ同等。

 

 実の姉が一番の仲良し情報源という、世間一般からはボッチと呼ばれている劣等人種なので、外国の代表候補で専用機が未完成のままな簪のことなど存在すら知らない。

 機体が完成してない事情どころか、そんな機体があることさえ知ろうとしたことさえなかったりする女の子。

 

「・・・っ。やっぱり私の存在はみんなに知られていない・・・日本の代表候補生なのに・・・っ。

 あなたのせいで《打鉄・弐式》が完成してないから・・・っ。アレさえ完成してくれてたら・・・っ!!」

「いや、そんな機体のことなんて知らないし。

 なに? あのテキサスマックの日本版みたいな機体の後継機って造ってる途中だったの? ・・・はじめて知ったわ。教えてくれてありがと」

「・・・!? う、《打鉄・弐式》の開発計画さえ知らなかった・・・の・・・? 軍事機密とはいえ完成予定日はとっくに過ぎてるから、関係者はみんな知ってる情報なのに・・・」

「いや、私そういうの興味ないから。興味ない事柄には必要ない限りググらないタイプだから」

 

 だって、自分の愛機《ラファール・シュヴァリエ》以外のISには興味ないし。見た目はアレが最高で至高の芸術作品だし。

 アレで突撃していって、誰だろうとブッ刺して倒して勝てばそれでいいじゃない。・・・それがジャンヌ・デュノアクオリティ。

 

 ・・・自覚なき、悪意もない暴君がここにいた・・・。

 

「ふ~ん・・・・・・」

「な、なに・・・?」

 

 そんなジャンヌちゃんは、一夏の背中越しに簪のことを頭の先から足のつま先までジロジロと無遠慮に見定めるような視線を送って相手にたじろかせていたが、「はぁ~・・・」という溜息と共に終了させて改めて一夏に白い目線で問いかけてくる。

 

「・・・巨乳の幼馴染み、ツンデレ金髪お嬢様、ツインテロリ、ボクっ子をコンプした次はメガネで奥手の人見知り文系少女って・・・・・・アンタの女の子の好みはどこまで古めかしくて王道なのよ・・・軽く引くわ。

 なに? アンタって伝説の木の下を復活させるため、七つの星の入った伝説の球を探して戦い続けてる、強い奴らと戦いたい野菜星生まれの人だったワケ?」

「なんの話だよ!? 日本語でしゃべれよ! お前の言ってることこそワケわからんわ!」

「まぁ、別にアンタが誰を新しい織斑ラバーズのハーレムメンバーに勧誘しようと私には関係ないから、いいんだけど。――クラスメイトの誼で、一つだけ忠告しといてあげるわね?

 ・・・大人しめの文系女子だから控えめで知的とか思ってたら、背中刺されるときあるから気をつけなさい。こういう物静かなタイプこそ頭の中では人一倍悩んでてヤンデレやすいんだからマジ危ないわよ? 下手に爆弾処理失敗したらね。

 ギャー、ギャー、騒ぐわりに頭からっぽな凰とか篠ノ之とかと真逆なタイプだから」

「言ってる評価がヒドすぎる!? お前はアイツらになんか恨みでもあったのか!? 俺で良ければ相談に乗るぜ! いや、マジで本当の本気で心の底から!!!」

 

 ジャンヌの抱える心の闇を気遣って、全力で人生相談に乗り出す一夏君。

 血のつながりより心の繋がりこそ第一な、千種兄妹さんちのお母さんとすこぶる相性最悪そうな彼としては、仲のいい身内同士で修羅場とか絶対イヤだったので当然の反応と言えば当然の反応だったのだけれども。

 

 別にジャンヌとしては常識について語っただけのつもりなので他意はなく、悪意もなく。病んでもいない。

 ただ、彼女なりの常識と一夏の考える常識との間で価値観の相違が生じてしまっただけのことだ。男女関係ではよくある話だし、気にしなくてもいいんじゃね? 多分だけども。

 

「ああ、それとアンタ。さっきコイツのこと殴るの疲れるから辞めるって言ってた気がするけど、殴りたいんだったら殴っちゃっても別に問題ないわよ?

 毎日のように痴情の縺れでキレた口説き相手から、斬られたり、撃たれたり、IS展開して襲いかかられたりしてるけど、全然気にせずに仲良く付き合い続けてるマゾ系男子だから殴るぐらいならカワイイもんだし」

「誤解だ! そして悪意的解釈の極地でもある! 俺が毎日どれだけ苦労させられてるか知ってるだろうがお前だって!?」

「だから毎日言ってやってんでしょーが。『嫌ならバッドエンド覚悟で勇気だして振れ!』って。

 それやんないからアンタはいつまでたってもハーレムラノベの女ったらし主人公街道一直線しか進めなくなってんのよ! 人生の道を!」

「ヒドすぎる! 俺への評価が他の誰より一番ヒドすぎる!!!」

 

 ギャー、ギャーと。余所様のクラスに来てまで自分たち二人だけの世界を構築して騒ぎまくる一夏とジャンヌの空気読めないイノシシコンビ。

 やがて、気付いたときには目の前に座っていた簪の席から、簪の姿は消えてなくなっていた。

 

「なんか、『うるさくて作業に集中できないから』って、今さっき教室出て行って、たぶんIS整備室に行ったと思うんだけど・・・」

 

 親切な四組女子生徒の一人が教えてくれたので、一夏は腕を組み、ジャンヌは「ふん」と鼻を鳴らして大きな胸を張る。

 

「作業ぐらい、ここでやってくれてよかったのに・・・。なんだったら俺たちが手伝ってもいいんだし」

「朱に交わって赤くなるのがイヤだったんじゃないの? 当然よね、私だってイヤでイヤで仕方ないんだから」

「朱本人が、自分のこと棚に上げて言うな」

 

 ――いや、どっちもだよ・・・。アンタら二人とも真っ赤っかな朱だよ、完全に・・・。

 そう思ったけど空気読んで言わないでいてやる、朱と違って普通の常識がある四組生徒の女子生徒諸君。

 

 そんな彼女たちと違ってオタクの常識はあるけど、一般常識は薄いジャンヌは普通に簪の席に内蔵されてるコンピューターを起動させて、勝手に中を拝見開始。

 彼女が一夏に言ってた、《完成してない打鉄の後継機》に関する情報を空中投影し始める。

 

 日本の軍事機密を勝手に覗いちゃうフランスの軍事機密乗りというのは問題ありすぎる気がするけれど、それ言い出したら教室にある自席の内蔵コンピューターで制作作業していた簪の方がもっと問題ありなので、まぁ今更としておくべきなのだろうきっと。

 IS学園は如何なる国家権力も介入できない、治外法権の地である。

 

 ・・・なんかこの条約、都合が良いときに都合良く使われるだけの口実になってきてないかな? 最近だと特に・・・・・・。

 

 

「お、あったあった。《打鉄・弐式》に関する情報はコレね。なになに・・・。

 『マルチ・ロックオン・システムによる高性能誘導ミサイル搭載機。最大で四十八発の一斉同時射撃が可能・・・。

 コントロールには空中投影型の球状キーボードが使用される想定だが、私は自分でフルカスタマイズしたものを合計8枚呼び出して、二手二足で一斉に入力する予定でいる・・・』

 

 

 読み終えたジャンヌはキーボードを閉じ、感慨深げに何も投影されていない教室の空を眺めながらしばらくの間黙り込む。

 やがて意を決したように一夏の方へと顔を向けると、覚悟を込めてこう言い放つのだった。

 

 

 

「なかなか良さそうな奴じゃないの。気に入ったわ。特に趣味が。

 私、コイツと組んで合同タッグマッチ出場するから、アンタは別の奴探しに行きなさい。異論反論はしてもいいけど、一切認める気ないからそのつもりでね」

「お前・・・たまにでいいから人の事情ってものを考慮してくれないかマジで。ホントの本当に頼むからさぁ~・・・・・・」

 

 ああ、一夏。頼まれた本人から口止めされてて事情を言えない男の悲しさよ。

 彼はいったい、今回はどんな役を押しつけられるのか・・・・・・?

 

つづく

 

オマケ『ジャンヌから見た原作7巻の織斑一夏評』

 

ジャンヌ「鈴はともかくとして、同じクラスの箒、セシリア、シャルロット、ラウラの仲良し四人組の誰とも組まずに、二年の先輩から頼まれたからって理由だけで別クラスの初対面な相手をペアに誘って、本人たちに事情は伝えない・・・これって孤立しているいじめられっ子を助け出すヒーロータイプの主人公キャラじゃなくて、普通に裏切り者キャラなんじゃないかしら・・・?」

 

一夏「いや、ちょっと待てジャンヌ! 誤解だ! 姉妹の仲を取り持つためにはああするより他なかったんだろうし、周りに説明するわけにもいかないじゃねぇか普通に考えて!」

 

ジャンヌ「・・・裏切りって、たいていの場合は“ただの結果”だったりするのよね・・・」

 

一夏「誤解だー! 冤罪だー! 信じてくれー! 原作の俺は誰のことも裏切ってない! 裏切ってなんかいないんだーっ!!!」

 

*上記のような理由によって今作の一夏は裏切り者ルートに進みませんでした。それが良かったかどうかまでは知りません。結果論で決められてしまう問題ですからな。

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